業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における国内株式市場においては、年初から日経平均株価が上昇して推移し、2月中旬には1990年以来の3万円台を回復したものの、新型コロナウイルスの感染再拡大による景気悪化の懸念など投資家心理が悪化し、その後は一進一退しながらも下落基調で推移しました。9月に入り日本国内におけるワクチン接種の進展や自民党総裁選を前にした財政・金融政策への期待の高まりを受けて日経平均株価は大きく上昇し、9月14日には終値で30,670円10銭と約31年ぶりの高値を記録しました。その後、中国の不動産開発大手「恒大集団」の資金繰り悪化を発端とする中国市場の動揺や、新型コロナウイルスの新たな変異株に対する懸念から大きく値を下げる場面もありましたが、日経平均株価は総じて堅調に推移し、前連結会計年度末の27,444円17銭から4.9%上昇して、大納会としては32年ぶりの高値水準となる28,791円71銭で当連結会計年度末の取引を終えました。このような相場展開を受けて、個人投資家の株式等委託売買代金は前期と比較して14.6%増加しました。

外国為替市場においては、年初に一時1ドル=103円台で始まったドル円相場は、米長期金利の上昇を受けて円安基調で推移しました。3月に1ドル=110円台をつけるまでに円安が進行して以降は、9月中旬まで110円を挟んだもみ合いが続きました。9月下旬以降は米国の物価上昇による利上げや原油価格上昇の影響で再び円安が進行し、新型コロナウイルスの新たな変異株に対する懸念から12月に一時急落する場面もあったものの、当連結会計年度末は1ドル=115円台の高値水準で取引を終えました。このような市場環境の中、国内店頭FXの取引金額は前期比で5.5%減少しました。

暗号資産市場においては、代表的な暗号資産であるビットコインの価格は、年初の1BTC=300万円台から上昇傾向で推移し、4月中旬には一時700万円台の高値を記録しました。5月に入ると一気に軟調な展開となり、7月下旬には300万円台前半にまで下落しましたが、その後は再び上昇基調へと転じ、11月には700万円を超え史上最高値を更新しました。日本国内の暗号資産業界においては、暗号資産関連事業への新規参入が増えたほか、年間の暗号資産取引高が前期比で29.9%増加するなど、マーケット全体が拡大しました。このような外部環境の中、GMO-FHは、「強いものをより強くする」の方針のもと、証券・FX事業において、強みである店頭FXの収益性の改善を推し進めるとともに、さらなる収益力強化とシェア拡大に向けて、外貨ex byGMOの全株式を2021年9月27日付で取得し、子会社化しました。新たな収益の柱とすべく注力するCFDについては、認知度向上に向けたプロモーション施策の展開に加えて、スマートフォンアプリの改善や取り扱い銘柄の追加などサービスの利便性向上に取り組み、顧客基盤の拡大を図りました。また、クロスセル施策も推進し、売買代金・収益はともに高水準で推移しました。

暗号資産事業においては、顧客のすそ野拡大に向けたスマートフォンアプリの改善や複数のアルトコイン銘柄の追加など、サービスの充実と利便性の向上に向けた取り組みを推進しました。また、2021年6月より新テレビCMの放送を開始するなど、認知度向上と取引高シェア拡大を目指して積極的なマーケティング活動を展開しました。2021年の暗号資産取引高は29.7兆円(前期比141.7%増)、当連結会計年度末の口座数は47.4万口座(前期末比39.2%増)となり顧客基盤が堅調に拡大し、収益・利益はとも大幅に伸長しました。

海外事業においては、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供するGMO-Z com Securities (Thailand) Limitedの信用取引残高、金融収支がともに堅調に推移し、2期連続の通期黒字を達成しました。

新たな取り組みとしては、NFT事業参入を目的に2021年6月にGMOアダムを設立し、同年8月よりNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版、同年12月に正式版の提供を開始しました。

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は45,924百万円(前期比27.6%増)、純営業収益は43,821百万円(同29.0%増)、営業利益は15,396百万円(同25.5%増)、経常利益は16,037百万円(同35.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,858百万円(同35.1%増)となりました。

 

当連結会計年度における、主な収益、費用、利益の状況は次のとおりです。

 

                                            (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

営業収益

35,988

45,924

9,936

27.6%

受入手数料

4,555

5,276

720

15.8%

トレーディング損益

26,943

34,890

7,946

29.5%

金融収益

3,834

5,132

1,298

33.8%

その他の営業収益

100

61

△39

△39.3%

その他の売上高

553

563

10

1.9%

金融費用

1,595

1,700

105

6.6%

売上原価

424

402

△22

△5.2%

純営業収益

33,968

43,821

9,853

29.0%

販売費及び一般管理費

21,700

28,424

6,724

31.0%

営業利益

12,268

15,396

3,128

25.5%

経常利益

11,806

16,037

4,231

35.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

7,298

9,858

2,559

35.1%

 

 

当連結会計年度におけるセグメント別の状況は次のとおりです。

 

[参考]営業収益内訳(セグメント別/商品別)                       (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

証券・FX事業

30,260

33,282

3,021

10.0%

株式・ETF等 ※

2,047

1,821

△225

△11.0%

先物・オプション

227

153

△74

△32.6%

取引所FX

533

488

△44

△8.4%

通貨関連店頭デリバティブ

17,163

19,929

2,765

16.1%

CFD・株BO

6,381

5,700

△681

△10.7%

金融収益

3,834

5,132

1,297

33.8%

その他

72

57

△15

△20.8%

暗号資産事業

5,164

12,067

6,903

133.7%

暗号資産

5,164

12,067

6,903

133.7%

その他

563

574

10

1.9%

その他

563

574

10

1.9%

調整額

△0

0

営業収益合計

35,988

45,924

9,936

27.6%

 

※ 株式・ETF等の取引に係る委託手数料及びその他の受入手数料、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等

  の取扱手数料、投資信託に係るその他の受入手数料が含まれています。

 

 (証券・FX事業)

証券・FX事業においては、店頭FXの収益性改善、CFDの認知度向上や取引活性化など店頭デリバティブ取引の強化に向けた取り組みを推進しました。店頭FXについては、上半期に相場が大きく動いた前期との比較では取引高が減少したものの、外貨ex byGMOのグループジョインにより収益は増加しました。CFDについては、売買代金は前期比で増加した一方、収益は減少しました。株式関連取引については、株式等委託売買代金の減少や株式取引手数料の引き下げ実施等によって受入手数料が前期比で減少した一方、タイ王国での証券事業が堅調に推移し、金融収益は伸長しました。

また、当第4四半期連結会計期間より、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおり、2021年9月27日付で株式の取得を完了した外貨ex byGMO及びその連結子会社の業績を含めております。

これらの結果、当連結会計年度における当セグメントの営業収益は33,282百万円(前期比10.0%増)、営業利益は11,357百万円(同8.2%増)となりました。

 

(暗号資産事業)

暗号資産事業においては、顧客のすそ野拡大に向けたスマートフォンアプリの改善やアルトコイン銘柄の追加など、サービスの充実と利便性の向上に向けた取り組みを推進しました。また、2021年6月より新テレビCMの放送を開始するなど、認知度向上と取引高シェア拡大を目指して積極的なマーケティング活動を展開しました。当連結会計年度の取引高は前期比141.7%増、当連結会計期間末の口座数は47.4万口座(前期末比39.2%増)となり、顧客基盤は堅調に拡大しました。

これらの結果、当連結会計年度における当セグメントの営業収益は12,067百万円(前期比133.7%増)、営業利益は4,056百万円(同147.8%増)と大幅な増収増益となりました。

 

② 財政状態の状況

 (単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

総資産

725,367

996,049

270,682

負債

688,035

953,218

265,182

純資産

37,331

42,830

5,499

 

 

 (総資産)

当連結会計年度末における資産合計は996,049百万円(前期末比270,682百万円の増加)となりました。これは主に、外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因とした預託金の増加106,325百万円、利用者暗号資産の増加72,765百万円、信用取引資産の増加34,008百万円、支払差金勘定の増加20,414百万円外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因としたのれん等無形固定資産の増加19,550百万円があったことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は953,218百万円(前期末比265,182百万円の増加)となりました。これは主に、預り暗号資産の増加72,954百万円、外貨ex byGMOの連結子会社化を主要因とした受入保証金の増加116,206百万円、外貨ex byGMOの株式取得及び海外における信用取引の買付資金の借入を主要因とした短期借入金の増加48,725百万円があったことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は42,830百万円(前期末比5,499百万円の増加)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払いにより利益剰余金が4,512百万円増加したことなどによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による支出が32,493百万円、投資活動による支出が18,604百万円、財務活動による収入が54,547百万円となった結果、当連結会計年度末には63,597百万円となりました。

 

 

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、32,493百万円のマイナスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上16,262百万円、預り暗号資産の増加による収入72,954百万円があった一方で、預託金の増加による支出12,463百万円、利用者暗号資産の増加による支出72,765百万円、信用取引資産の増加による支出33,638百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、18,604百万円のマイナスとなりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出1,408百万円、外貨ex byGMO株式会社の株式取得による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出16,066百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、54,547百万円のプラスとなりました。これは主に、短期借入金の純増加額48,422百万円、長期借入れによる収入17,763百万円があった一方で、長期借入金の返済による支出6,786百万円、配当金の支払による支出5,346百万円があったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

GMO-FHは、証券・FX事業、暗号資産事業を主要な事業としており、「生産、受注及び販売の状況」は該当する情報が存在しないことから、記載しておりません。

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点によるGMO-FHの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。具体的には、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号) 並びに同規則第46条及び第68条の規定に基づき、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(平成19年内閣府令第52号)及び「有価証券関連業経理の統一に関する規則」(昭和49年日本証券業協会自主規制規則)に準拠して作成しております。

 連結財務諸表の作成に際しては、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産の計上等について重要な判断や見積りを行っておりますが、前提となる条件、仮定等に変化があった場合などにはこれらの見積りが実際の結果と異なる場合があります。なお、当連結会計年度において新型コロナウイルスの感染拡大に伴うこれらの見積りへの重要な影響はありません。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

GMO-FHは、「強いものをより強くする」という方針のもと、収益の柱である店頭FXの強化により事業基盤のさらなる拡大を図るとともに、その他国内外の既存事業、新規事業に投資することで持続的成長を図っております。当連結会計年度においては、店頭FXの収益性改善の推進や外貨ex byGMOの子会社化、タイ王国での証券事業の着実な成長によって、証券・FX事業の収益基盤を強化したことに加え、好調なマーケット環境の後押しを受けた暗号資産事業の急成長やNFT事業への新規参入により事業規模・領域を拡大しました。当連結会計年度の業績は、暗号資産市場の活況を背景に大幅に伸長した暗号資産事業が全体を大きく牽引し、過去最高となりました。

 証券・FX事業においては、スプレッド競争が続く厳しい環境下において、店頭FXの収益性改善施策を着実に進め、スマートフォンアプリの改善などお客様の取引環境向上に向けた取り組みを推進しました。GMOクリック証券の2021年のFX取引高は2020年に続いて世界第1位、10年連続で国内第1位となりました。新たな収益の柱として注力するCFDについては、認知度向上に向けたプロモーション施策の展開とともに取扱銘柄の追加などの利便性向上施策に取り組み、売買代金・収益ともに高水準で推移しました。

 暗号資産事業においては、代表的な暗号資産であるビットコインの価格が大きく上昇し、暗号資産取引が注目される中、積極的なマーケティング施策を展開し認知度向上を図りました。また、新たな銘柄の追加やスマートフォンアプリの改善などの取り組みも奏功し、顧客基盤が拡大しました。取引量も大きく増加し、収益、利益は大幅に伸長しました。

海外事業においては、タイ王国でインターネット証券取引サービスを提供するGMO-Z com Securities (Thailand) Limitedが引き続き堅調に推移し、信用取引残高が過去最高を記録するとともに、2年連続での通期黒字を達成しました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金需要及び資金の流動性)

GMO-FHの資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付、店頭デリバティブ取引等におけるカウンターパーティーとのカバー取引に係る差入保証金等、顧客からの預り金や信用取引、FX取引等に係る保証金の入出金と顧客分別金信託及び顧客区分管理信託への入出金との差による一時的な立替などが挙げられます。これらの資金需要には、自己資金のほか、金融機関等とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約に基づく短期借入金、差入保証金の代替として支払承諾契約に基づく保証状のカウンターパーティーへの差し入れ等にて対応しており、十分な流動性を確保しております。当座貸越契約及びコミットメントライン契約を総額134,363百万円設定しており、当連結会計年度末の借入実行額は99,865百万円であります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う資金調達への重要な影響はありません。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析)

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

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