業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が残るものの、経済活動が徐々に再開し、持ち直しの動きがみられました。また、世界的な経済においても回復基調で推移しておりましたが、ウクライナ情勢の影響により先行き不透明な状況が続いております。

こうした環境のもと、当社グループの関連する金融商品取引市場におきましては、2021年末頃からの原油価格、小麦価格の高騰に伴う円安傾向、また2022年2月以降はロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響によるさらなる物価上昇、各国の金利政策の見直しによる政策金利の引き上げ等により円安が加速いたしました。

この様な状況の中、当社グループは、テレワークの拡大及び長期化や外出自粛の影響等により顧客のFX取引機会が増加したことを背景に、FX初心者から上級者まで幅広い顧客の様々なニーズに柔軟に対応できる環境を提供するべく、取引ツールの細かなバージョンアップを重ねました。便利な機能を搭載することにより経験者にはより使いやすくなった一方、初心者の方には不要だと感じる機能が取引ツールを使う上でのハードルになりかねないことから、FX取引に欠かせない機能だけを厳選し、シンプルに使いやすく操作マニュアル等がなくとも容易に使いこなせる「LION Tab」を2020年12月より提供しており、2021年10月には「LION Tab」をスマートフォン向けに改良した「LION Tab mini」をリリースしました。また1回の取引での取引数量が多い、大口のお客さまからのご要望にお応えして、2022年3月よりUSD/JPY、GBP/JPY等主要6通貨について、1回あたりの注文可能数量や保有上限数量を引き上げた「大口通貨ペア」の取扱いを開始いたしました。加えて、ボラティリティが低調な中でも、顧客の取引意欲が向上するよう、広告宣伝方法の見直しを行い、多種多様なキャンペーンを毎月実施して参りました。

さらに、2021年11月には当社グループの企業価値の増大に向けて、収益源の多様化及び顧客基盤の強化を図るため、主要国の株価指数(日本N225、米国D30等9銘柄)を対象とした店頭証券CFD 取引(差金決済取引)「LION CFD」の提供を開始いたしました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a . 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して4,441,039千円増加して、95,455,849千円となりました。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して2,595,096千円増加して、81,425,829千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して1,845,943千円増加して、14,030,020千円となりました。

 

b . 経営成績

当連結会計年度の営業収益は8,722,863千円、純営業収益は8,666,805千円、営業利益は2,706,718千円(前期比5.1%減)、経常利益は2,703,695千円(同5.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,840,155千円(同5.1%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、当連結会計年度の営業収益は271,990千円減少し、売上原価は7,999千円増加し、販売費及び一般管理費は279,990千円減少しております。よって、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、営業収益及び純営業収益については前連結会計年度と比較しての前期比(%)を記載せずに説明しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

また、当社グループの事業セグメントは、外国為替証拠金取引事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ204,889千円減少し7,024,983千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により増加した資金は147,153千円(前連結会計年度は、4,330,421千円の収入)となりました。これは主にトレーディング商品(資産)の減少による収入959,551千円、受入保証金の増加による収入2,308,032千円、税金等調整前当期純利益による収入2,703,700千円、トレーディング商品(負債)の増加による収入1,386,326千円等があった一方、預託金の増加による支出5,686,000千円、短期差入保証金の増加による支出168,072千円、未払費用の減少による支出211,522千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により増加した資金は441,859千円(前連結会計年度は、302,330千円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出10,485,000千円、無形固定資産の取得による支出33,326千円、有形固定資産の取得による支出23,020千円があった一方、定期預金の払戻による収入10,985,000 千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により支出した資金は827,691千円(前連結会計年度は、2,123,298千円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純減額300,000千円、長期借入金の返済による支出1,000,000千円、配当金の支払額197,276千円等があった一方、長期借入れによる収入500,000千円等があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a . 生産実績及び受注実績

当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b . 販売実績

当社グループの事業内容は、提供するサービスの性格上、販売実績の記載になじまないため、当該記載を以下(a)~(d)に置き換えて記載しております。

なお、当社グループの事業セグメントは、外国為替証拠金取引事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(a) 営業収益

 

 

 

(単位:千円)

区分

第18期連結会計年度
(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

第19期連結会計年度
(自  2021年4月1日
  至  2022年3月31日)

前年同期比
(%)

営業収益

 

 

 

 トレーディング損益

8,731,007

8,709,031

 金融収益

952

834

87.7

 その他の売上高

1,955

12,997

合計

8,733,916

8,722,863

 

(注) 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、トレーディング損益、その他の売上高及び営業収益の合計については、前連結会計年度と比較しての前期比(%)を記載しておりません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(b) 外国為替受入証拠金

 

 

 

(単位:千円)

区分

第18期連結会計年度
(2021年3月31日)

第19期連結会計年度
(2022年3月31日)

前年同期比
(%)

外国為替受入証拠金

65,395,629

67,639,237

103.4

 

 

(c) 通貨別取引高

 

 

 

 

 

区分

第18期連結会計年度
(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

第19期連結会計年度
(自  2021年4月1日
  至  2022年3月31日)

前年同期比
(%)

米ドル/円

(百万米ドル)

2,385,046

4,141,704

173.7

ユーロ/円

(百万ユーロ)

330,471

363,210

109.9

ポンド/円

(百万ポンド)

617,867

707,196

114.5

豪ドル/円

(百万豪ドル)

449,871

515,916

114.7

NZドル/円

(百万NZドル)

58,892

89,804

152.5

南アフリカランド/円

(百万ランド)

67,747

71,098

104.9

ユーロ/米ドル

(百万ユーロ)

567,912

487,029

85.8

ポンド/米ドル

(百万ポンド)

394,242

256,721

65.1

豪ドル/米ドル

(百万豪ドル)

155,256

227,412

146.5

その他

(百万通貨単位)

431,402

635,010

147.2

合計

(百万通貨単位)

5,458,711

7,495,105

137.3

 

(注) 1.通貨別取引高には外国為替証拠金取引業者とのホワイトラベルサービス取引及びカバー取引を含んでおります。

2.当社及び連結子会社3社(JFX株式会社、HIROSE FINANCIAL UK LTD.及びHirose Financial MY Limited)の合算数値を記載しております。

 

 

(d) 自己資本規制比率

(ヒロセ通商株式会社)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

区分

第18期事業年度末

(2021年3月31日)

第19期事業年度末

(2022年3月31日)

基本的項目

(A)

10,982,971

12,644,391

補完的項目

(B)

1,053,983

545,698

 

その他有価証券評価差額金(評価益)等

 

53,983

45,698

 

金融商品取引責任準備金等

 

 

一般貸倒引当金

 

 

長期劣後債務

 

 

短期劣後債務

 

1,000,000

500,000

控除資産

(C)

1,125,484

1,243,271

固定化されていない自己資本

(A)+(B)-(C)

(D)

10,911,470

11,946,818

リスク相当額

(F)+(G)+(H)

(E)

1,474,083

1,555,619

 

市場リスク相当額

(F)

1,302

1,827

 

取引先リスク相当額

(G)

197,234

197,708

 

基礎的リスク相当額

(H)

1,275,546

1,356,082

自己資本規制比率

(D)/(E)×100

 

740.2%

767.9%

 

 

(JFX株式会社)

 

 

 

 

 

(単位:千円)

区分

第18期事業年度末

(2021年3月31日)

第19期事業年度末

(2022年3月31日)

基本的項目

(A)

1,367,107

1,578,095

補完的項目

(B)

 

その他有価証券評価差額金(評価益)等

 

 

金融商品取引責任準備金等

 

 

一般貸倒引当金

 

 

長期劣後債務

 

 

短期劣後債務

 

控除資産

(C)

48,652

62,928

固定化されていない自己資本

(A)+(B)-(C)

(D)

1,318,455

1,515,167

リスク相当額

(F)+(G)+(H)

(E)

148,934

140,198

 

市場リスク相当額

(F)

 

取引先リスク相当額

(G)

3,932

811

 

基礎的リスク相当額

(H)

145,002

139,386

自己資本規制比率

(D)/(E)×100

 

885.2%

1,080.7%

 

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a . 財政状態の分析
(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して4,441,039千円増加して、95,455,849千円となりました。これは主に顧客区分管理信託の増加5,531,000千円、顧客分別金信託の増加155,000千円、外国為替差入証拠金の増加117,598千円等があった一方、デリバティブ取引(資産)の減少959,551千円、現金及び預金の減少523,334千円等により、流動資産が 4,445,200 千円増加したことによるものです。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して2,595,096千円増加して、81,425,829千円となりました。これは主に外国為替受入証拠金の増加2,243,607千円、デリバティブ取引(負債)の増加1,386,326千円等があった一方、1年内返済予定の長期借入金の減少1,000,000千円、短期借入金の減少300,000千円、外国為替取引未払費用の減少210,483千円等により流動負債が2,173,613千円増加したことによるものです。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して1,845,943千円増加して14,030,020千円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,642,878千円、資本金の増加88,974千円及び資本剰余金の増加88,974千円等によるものです。

 

b . 経営成績の分析

(営業収益)

当連結会計年度における営業収益は8,722,863千円となりました。これは主に顧客向けの取引ツールのリリースや魅力的なキャンペーン等を実施したことにより取引が増加したものの、収益単価の低いUSD/JPYの取引が増加したことによるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は2,706,718千円(前期比5.1%減)となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が139,193千円増加したことによるものです。

 

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は2,703,695千円(前期比5.3%減)となりました。これは主に、営業利益が146,930千円減少したことによるものです。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,840,155千円(前期比5.1%減)となりました。これは主に、経常利益が151,969千円減少した一方、法人税、住民税及び事業税が67,151千円減少したことによるものです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の通りであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、カバー取引を行うためにカウンターパーティに差入れている外国為替差入証拠金であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は主に自己資金及び金融機関等からの借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は6,200,000千円となっており、現金及び現金同等物の残高は7,024,983千円となっております。

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大後においても、事業運営上必要な資金の流動性は十分に確保できていることから、現時点では新型コロナウイルス感染症の影響による追加の資金調達の必要性は高まっておりません。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものはありません

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの主要な事業は外国為替証拠金取引事業であり、顧客の取引高が当社グループの業績に重要な影響を及ぼします。顧客の取引高は為替の変動率が高いときには増加する傾向にあり、反対に為替の変動率が低いときには減少する傾向にあることから、為替変動率は経営成績に重要な影響を与える要因であると考えております。

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

国内の外国為替証拠金取引業界においては、新規顧客の獲得や取引高の増加に向けた競争が激化しております。このような環境の中、当社グループでは顧客基盤の拡大を目指し、少額からの取引が可能な仕組みの導入、顧客にとって使い勝手のよい取引システムの構築、丁寧な電話対応サービス、独自性の高いキャンペーンの実施等に取り組んでまいりました。

また、これらの施策を国内だけでなく海外でも行うべく英国にHIROSE FINANCIAL UK LTD.及びLION PAYMENT UK LTD.、香港にHIROSE TRADING HK LIMITED及びHIROSE FINANCIAL LIMITED、マレーシアにHirose Financial MY Limited及びHIROSE BUSINESS SERVICE SDN. BHD.を設立し、更なる業容の拡大を目指しております。

しかしながら、今後も成長を続けていくには国内外の顧客からの信頼獲得や人材の育成が不可欠と考えております。そのために当社グループがこれまで培ってきたノウハウを最大限に活かしてブランディングの強化を行うとともに、世界中の顧客に対して質の高い取引環境やサービスを提供していけるよう努めていく所存であります。
 

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