業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

当事業年度(自2020年12月1日 至2021年11月30日)における日本経済は、2021年初頭より新型コロナウイルスの感染再拡大に伴うまん延防止等重点措置や度重なる緊急事態宣言の発出により、長期間にわたり経済活動が停滞しました。

しかしながら、新規感染者が急速に減少した10月以降は、緊急事態宣言や各種制限が解除され、徐々に経済活動が再開されて持ち直しの動きがみられました。

当社の関連するアウトドア関連産業では、2020年夏以降、3密を避けられる屋外アクティビティとして「釣り」に関連する市場が拡大した一方、アウトドア衣料品市場は、外出自粛や登山及び旅行需要の減少により、消費は平常時に比べ低調に推移しました。

2020年夏季から年末にかけ、政府によるGoToキャンペーン等の支援策の影響により経済が活況を呈した状況に比べ、当年は夏季における新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、特に8月~9月の消費が大きく抑制される展開となりました。

このような状況の中、当社では収益改善に向けて取り組んだ結果、当事業年度の売上高は29億51百万円(前年同期比10.7%増)、営業損失は26百万円(前年同期 営業損失1億34百万円)、経常損失は14百万円(前年同期 経常損失1億27百万円)、当期純損失は9百万円(前年同期 当期純損失2億28百万円)となりました。

 

なお、当事業年度より、各報告セグメントの費用の配分方法を変更しております。以下の前事業年度との比較分析について、前事業年度のセグメント利益は変更前の算定方法によっております。

詳細については(セグメント情報等)をご覧ください。

 

セグメントの業績を示すと、次の通りであります。

(フィッシング事業)

フィッシング事業に関しては、3密を避けた屋外アクティビティとして釣りが注目されたほか、天候が比較的安定した要因が加わり、売上高は好調に推移いたしました。

まず、ルアー用品に関しては、ルアー(擬似餌)やフィッシングロッド(釣竿)の新製品等の売上高が好調に推移いたしました。また、フライ用品に関しては、既存商品の安定した販売や入門者の増加及び輸出の拡大により、売上高は前期を上回りました。

その結果、当事業年度におけるフィッシング事業の売上高は、10億65百万円(前年同期比19.5%増)、セグメント利益は1億67百万円(前年同期比27.6%増)となりました。

 

(アウトドア事業)

アウトドア事業に関しては、釣りに関連した商品の販売は堅調であったものの、新型コロナウイルス感染再拡大による度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による外出自粛の影響を受け、アウトドア衣料を中心とした販売は都市部の店舗を中心に苦戦いたしました。

特にトレッキング需要が増える夏季に陽性者数が急拡大したことにより、8月~9月における売上高が著しく低迷しました。10月以降は陽性者数の減少とともに販売回復の兆しがみられた効果も加わり、当事業年度におけるアウトドア事業の売上高は18億59百万円(前年同期比6.3%増)となり前年同期の実績を上回りましたが、夏季需要期の低迷を十分に補うには及びませんでした。

一方、集客低迷を補うために値引き販売を実施したほか、直営店舗の増加に伴う運営経費増加等の影響や、セグメント費用の配分方法の変更により、セグメント損失は24百万円(前年同期 セグメント損失36百万円)となりました。

 

(その他)

その他の主な内容は、不動産賃貸収入売上であります。当事業年度に関しては、その他売上高は27百万円(前年同期比5.0%増)となりました。また、セグメント利益は20百万円(前年同期比6.9%増)となりました。

 

② 財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ93百万円減少し、54億61百万円となりました。

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ58百万円減少し、9億78百万円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ35百万円減少し、44億82百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ51百万円増加し、6億29百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1億95百万円(前年同期の使用した資金は2億72百万円)となりました。これは主に減価償却費51百万円や売上債権の減少25百万円、たな卸資産の減少1億99百万円、未払消費税等の増加59百万円などによる資金の増加の一方、返品調整引当金の減少4百万円や店舗閉鎖損失引当金の減少4百万円、投資有価証券売却益20百万円や仕入債務の減少1億8百万円などによる資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1億27百万円(前年同期の得られた資金は3億17百万円)となりました。これは主に、有価証券の売却による収入9百万円や投資有価証券の売却による収入31百万円などによる資金の増加の一方、定期預金の払戻と預入による差額支出10百万円や有形固定資産の取得による支出27百万円、投資有価証券の取得による支出1億円、関係会社株式の取得による支出30百万円などによる資金の減少によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、19百万円(前年同期の使用した資金は35百万円)となりました。これは主に、前事業年度決算の剰余金処分の配当支出13百万円とリース債務の返済による支出6百万円によるものです。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(資金需要)

当社の事業活動における運転資金需要は、主として商品仕入の他、販売費及び一般管理費にかかるものです。また、設備投資資金は直営店等の什器内装工事やルアー等の金型製作等に支出しております。

 

(財務政策)

現在、主として内部資金を活用し金融機関からの借入れに依存しておりませんが、一部の投資についてはリース契約等により外部資金調達を行い、金融機関からの借入れも含め幅広い資金調達手段の確保に努めております。

 

⑤ 生産、受注及び販売の状況

1) 商品仕入実績

当事業年度の仕入実績は、フィッシング事業においては販売が好調に推移した影響により増加致しました。一方のアウトドア事業に関しては、前事業年度に販売が大きく落ち込み商品在庫が過多となっていたため、当事業年度は仕入を控えた結果、大きく減少致しました。それらの結果、全社の仕入実績は前年同期比11.6%減と減少致しました。

 

なお、当事業年度の仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

フィッシング事業

540,152

11.2

アウトドア事業

898,819

△21.3

その他

合計

1,438,972

△11.6

 

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

2) 販売実績

当事業年度の販売実績は、3密を避けたアクティビティとして釣りが注目され、フィッシング事業は好調に推移いたしました。アウトドア事業に関しても、釣りに関連した商品の販売が堅調に推移したことや、前年のような、当社の展開するすべての直営店の休業による売上減少の影響を受けなかった為、全社売上高は、前年同期比10.7%増と回復致しました。

なお、当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

フィッシング事業

1,065,111

19.5

アウトドア事業

1,859,015

6.3

その他

27,712

5.0

合計

2,951,839

10.7

 

 

(注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況の分析

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等や財務諸表作成時に入手可能な情報を合理的に判断しておりますが、これら見積りは当事業年度末現在において判断したもので、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため異なる場合があります。

当社の財務諸表作成にあたって採用した重要な会計方針は「第5 経理の状況  注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響の仮定に関する情報は「第5 経理の状況  注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

1) 繰延税金資産の回収可能性

当社は、繰延税金資産のうち、回収可能性に不確実性があり、将来において回収が見込まれない金額は、評価性引当額に計上しております。回収可能性の判断では、将来の課税所得の生じる可能性とタックスプランニングを考慮し、将来税金負担を軽減する効果を有するものと判断できる範囲で繰延税金資産を計上することとしております。将来の課税所得見込額は、その時の業績等により、変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が生じた場合は、回収可能性の見直しを行うため、繰延税金資産等に影響を与える可能性があります。

また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産等に影響を与える可能性があります。

 

2) 固定資産の減損

当社は、固定資産のうち、減損の兆候がある資産又は、資産グループについて、その資産又は、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、減少額を減損損失に計上しています。減損の兆候の把握、減損の認識、減損損失の測定などにあたっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境などに変化が生じ、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提条件や仮定に変更が生じた場合には、減損処理が必要になる可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

1) 経営成績の分析

当社では、アウトドア・アクティビティに関連する事業を行っていることから、比較的気象や天候の影響を受けやすい状況にあります。また、当事業年度に関しても、新型コロナウイルス感染症の国内における感染拡大により経営成績に影響を受け、特に8月~9月において感染急拡大の影響を大きく受けることとなりました。

 

(売上高)

当事業年度においては、フィッシング事業の売上高は前事業年度を大きく上回ったものの、アウトドア事業の売上高は前事業年度より若干の伸びに留まりました。

まず、フィッシング事業については、3密を避けられるアクティビティとして「釣り」が注目されたことや、比較的天候が安定していたこと等が市場に対する追い風となりました。さらに全般にWEBプロモーション等を強化して取り組んだ結果、近年注力してきたトラウト(マス類)のルアー(擬似餌)やフィッシングロッド(釣竿)を中心にルアー関連用品、フライ関連用品共に全般に好調に推移し、10億65百万円(前年同期比19.5%増)と前期を大きく上回る結果となりました。

一方、アウトドア事業については、釣りに関連した商品の販売は堅調であったものの、アウトドア衣料を中心とした販売は苦戦いたしました。その主な要因としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象期間が長かったことや、特に8月~9月の感染の急拡大に伴い都市部の店舗を中心に来店客数が減少したこと等によります。しかし、感染が収束に向かった10月以降は販売回復の兆しが見られたことや、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象期間中においても、主要販路である百貨店やショッピングセンター等の休業や時短営業の日数が前期に比べて少なかったこと等も影響し、18億59百万円(前年同期比6.3%増)と前期を上回る結果となりました。

上記により、全社売上高は前事業年度に比べて2億85百万円増加し29億51百万円(前年同期比10.7%増)となりました。

 

(売上総利益)

当事業年度においては、フィッシング事業においては、売上高が前期を大きく上回ったものの比較的円安傾向に進んだことや原材料価格の上昇等により売上総利益率は若干低下いたしました。また、アウトドア事業においては、売上高が前期を上回ったことに加え、前期より滞留商品の値引き販売が少なかったこと等も影響し売上総利益率も向上いたしました。これらにより、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べて1億52百万円増加し、13億15百万円(前年同期比13.1%増)となりました。

 

(営業利益)

売上高及び売上総利益が増加し前事業年度より良化したものの、販売費及び一般管理費を賄うまでには届かず、当事業年度の営業損失は26百万円(前事業年度 営業損失1億34百万円)となりました。

 

(売上総利益率、営業利益率について)

当社が重要な指標と位置づけております、当事業年度の「売上総利益率」につきましては、主にアウトドア事業において前期より滞留商品の値引き販売が少なかったこと等により、前事業年度より1.0ポイント増加し44.6%となりました。

次に「営業利益率」につきまして、前事業年度より改善したものの営業損失を計上したことにより、△0.9%(前事業年度 営業利益率△5.0%)となりました。引き続き事業の効率化と経営資源の集中を念頭に置き、この指標について改善されるよう取り組んでまいります。

 

このほか、セグメント別など詳細な経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に具体的に記載しておりますので、こちらをご参照ください。

 

2) 財政状態の分析

資産、負債、純資産の状況

(資産)

当事業年度末の資産は、資産合計54億61百万円と前事業年度末に比べ93百万円の減少となりました。これは主に、現金及び預金の増加61百万円や投資有価証券の増加76百万円、関係会社株式の増加30百万円などの一方、受取手形及び売掛金の減少25百万円、有価証券の減少9百万円、商品の減少1億99百万円、未収消費税等の減少11百万円、有形固定資産の減価償却の実施などによる減少14百万円などによるものです。

(負債)

当事業年度末の負債は、負債合計が9億78百万円と前事業年度末に比べ58百万円の減少となりました。これは主に、買掛金の増加32百万円や未払金の増加10百万円、未払消費税等の増加59百万円などの一方、支払手形の減少1億39百万円や長期未払金の減少21百万円などによるものです。

(純資産)

当事業年度末の純資産は、44億82百万円と前事業年度末に比べ35百万円の減少となりました。これは主に、当期純損失9百万円の発生や前事業年度決算の配当支出13百万円、その他有価証券評価差額金の減少12百万円などによるものです。

 

3) キャッシュ・フローの分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2017年11月

2018年11月

2019年11月

2020年11月

2021年11月

自己資本比率 (%)

83.5

81.8

82.5

81.3

82.1

時価ベースの自己資本比率 (%)

24.4

23.9

24.4

33.0

31.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

2,504.2

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、キャシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

※「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年11月期の期首から適用しており、2018年11月期に係るキャッシュ・フロー関連指標の推移については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

当社は事業経営上必要な流動性資金と、その財源を安定的に確保することを、極めて重要であると考えております。

なお、運転資金は現状自己資金でありますが、新型コロナウイルス感染症が収束せず、当社事業に影響を与え続けた場合には、スポット的に借入など最適な方法により資金調達に対応してまいります。

 

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