課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
 

(1)経営方針

当社グループは、1965年の創業以来「かけがえのない生命のために」という創業精神の下、「医療を必要とする人と支える人の架け橋となり、健康でより豊かな生活に貢献することですべての人々を笑顔にします」という企業理念を実現するため、医療現場の課題を的確に捉え、その解決に真に役立つ価値の創造と提供に努めております。こうした企業活動を通じて、株式会社として適正かつ効率的な運営を図り、健全な利益を確保して企業価値を高め、株主・患者さん・医療従事者・取引先・地域住民等すべてのステークホルダーの皆様の利益・幸せを実現することを当社グループの経営方針としております。

 

(2)経営環境

当社グループを取り巻く環境は、日本国内では、ワクチン接種など新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)への対応が進んだことから、外来患者の受診控え、不急の手術・処置の延期等の状況に回復の傾向がみられましたが、海外においては、国・地域ごとに状況は異なるものの新型コロナの影響が継続しております。また、原油価格の上昇に伴う原材料の仕入価格高騰や半導体等の調達難、世界的なコンテナ不足を背景にした海上運賃の高騰などに加え、ロシア・ウクライナ情勢の影響により非常に厳しい外部環境が続いております。そのような環境下においても医療機器市場の動向としては、世界的な高齢化の進行や、欧米での高度先進医療への期待の高まり、また、中国を含む新興国での医療インフラ整備に伴う需要増加を背景として、今後も安定した成長が見込まれており、特に新型コロナ状況下での医療機関のリソース不足を軽減するデジタルテクノロジーを活用した医療機器の需要が高まることが予想されます。

 

(3)中期経営戦略

当社グループは、2030年のありたい姿として、「未来の医療を先取りした新たな価値の創造を実現し、世界の人々の健康とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の一層の向上を支える企業になる」ことを定めた長期ビジョンの実現に向けて、中期経営計画《GAIN-RG 2023》では次の通り基本方針と取り組みを定め、対応を進めております。

 

基本方針

1.顧客起点の深化

医療現場と密接した顧客起点の事業運営を深化させ、顧客も自覚していない潜在ニーズを突き止め、共に課題解決することで、新たな成長を実現する。

 

2.収益向上への変革

グループ経営を支える人材、組織、制度、体制等あらゆる観点から役割の見直しと強化を図り、安定的かつ持続的に収益が得られる企業体質への変革を推進する。

 

取り組み

基本方針のもと、5つの取り組み「事業ポートフォリオの最適化」、「グローバル体制の強化」、「次世代事業の創出」、「グループ経営基盤の強化」、「持続可能な社会の実現」を進めております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの事業活動としましては、輸液・栄養領域、透析領域、外科治療領域、血液・細胞領域の4つの領域を中心に事業を展開し、製品の開発、生産、販売を進めております。

(2)の経営環境を踏まえ、(1)及び(3)に記載の、経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は領域別に次のとおりであります。

 

 

 

(輸液・栄養領域)

医療安全、低侵襲に対するニーズは引き続き高まり、また、診療報酬改定に伴う医療機器へのコスト削減要求は加速しております。そのため、輸液領域では、院内感染制御、注入制御、医療事故対策の課題を解決する製品として輸液ポンプを含むトータルシステムでの価値を提供することで、栄養領域では、栄養管理からリハビリ・回復までの栄養療法のトータルコーディネーターとなることで、医療現場での揺るぎない信頼を確立してまいります。また、国内主力製品のグローバル展開を積極的に推進することにより、当社グループにおける主要事業として収益拡大を進めております。

 

(透析領域)

地域の包括的な支援・サービスの提供体制が推進され、在宅医療へのシフトが進んでおります。そのため、透析領域では、日本国内において患者さんのQOLを支える安全、安心かつ高度な透析医療を提供する企業を目指し、各種装置から情報システム、消耗品、腹膜透析液等を取り揃え、血液透析、腹膜透析の選択療法の啓発、普及を推進しております。海外においては、日本の優れた透析医療を中国に普及させるとともに、慢性腎臓病が増加しているアジア諸国へ販売を進めております。

 

(外科治療領域)

診療報酬の継続的な引き下げ等により、機能別・診療特化の病院再編が進む中、外科治療領域では、自社開発から製造、販売による高い信頼性の強みを活かした独自の製品及びサービスに、アライアンスにより強化した製品ポートフォリオを加えたトータルシステムで、安全、安心の提供ができるよう、人々の健康寿命の延伸に貢献すべく、顧客ニーズの実現への対応を進めております。

 

(血液・細胞領域)

安定した品質が引き続き求められる中、血液領域では、高品質な製品の製造と販売を通じ、全血献血と成分献血の両分野において「採血から輸血まで」の各プロセスで欠くことのできないメーカーになることを、細胞領域では、血液や細胞の「採取から投与まで」に必要とされるデバイスを開発し、細胞・再生事業におけるイノベーションマネジメント企業になることを目指して活動を進めております。

 

なお、翌連結会計年度も引き続き新型コロナの感染拡大の影響を受けることが想定されます。当社グループでは、一日も早い収束につながるよう、ワクチン接種用シリンジの供給を通じて、効果的・効率的なワクチン接種に貢献してまいります。

 

(5)目標とする経営指標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であり、2020年5月22日に公表しました中期経営計画《GAIN-RG 2023》の最終期となる2023年3月期の目標値は売上高640億円、営業利益26億円であります。一方で、新型コロナの影響により主に海外の血液領域において需要停滞が継続しているほか、原油価格の上昇に伴う原材料の仕入価格高騰や、世界的なコンテナ不足を背景にした海上運賃の高騰などの影響を踏まえ、2023年3月期の業績予想値(2022年5月12日公表)は、売上高600億円、営業利益12億円としております。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得