課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、「計測、認識、制御といった人間の感覚の働きをエレクトロニクスなどの先端技術で商品化していく事業を核として社会に貢献すること」を経営理念とし、「革新的な技術の追求」、「マーケティング志向の強化」、「新たな価値の創造」、「高い品質の製品とサービスの提供」、「人材の育成」、「健全で公正な企業活動の推進」、「限りある資源の保全」、「ステークホルダーの期待と要請に応える」を経営の方針としています。

また、当社グループは自らの発展に止まらず、全社員がその一員であることを誇りに思えるような、社会に広く貢献する質の高い会社を目指しています。このために、当社グループはコーポレート・ガバナンスを充実させ、内部統制体制を適正に整備・運用し、正しい決算を行って財務報告の信頼性を確保していきます。

なお、当社グループは、環境マネジメントシステムの一環として、かねてよりエネルギー総使用量の削減に取り組んできました。2021年度(2022年3月期)には、これまで以上に環境・社会に配慮した経営を行うことを目的として新設されたサステナビリティ推進室を中心に、改めて当社グループの中長期的な温室効果ガス(GHG)削減目標を検討し、サステナビリティ委員会にて審議・承認されました。新たな目標は、政府が策定した2030年度のGHG削減目標(産業部門)の考え方に賛同し、Scope1、2を対象とした2030年度のGHG削減目標として、2013年度比37%削減を目指します。

 

(2) 経営戦略と目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは2021年6月10日に、10年先となる2030年を見据えた長期ビジョン「東京計器ビジョン2030」を開示しました。「東京計器ビジョン2030」では、当社が創業から125周年という節目にあたりこれからの150年、200年に向かって持続的な成長を続けるため、当社グループが2030年にありたい姿を纏めました。

これまで当社は国内のお客様の困りごとに寄り添い、ご期待に沿えるよう励んでまいりました。

その結果、国内市場でいくつものニッチトップ事業を産み出すことができましたが、さらなる成長のためには、もっと大きな視点での事業展開が必要であるとの認識に至りました。

今後は、これまで積み重ねた独創技術の有効活用によるイノベーションによって、SDGs(持続可能な開発目標)を切り口とした「グローバルニッチトップ事業」を創出して、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るステージへと転換してまいります。

今後注力するグローバルを対象市場とする開発では、仕様の違い、適用規格の違い、スピードアップを図るための自前主義に拘らない生産・販売・技術の補完を目的としたM&A等で多額の投資が必要となることを予想しております。これまで強化してきた財務基盤による資金を有効活用しながら、先行して育ちつつある幾つかの成長ドライバーを早期に立ち上げていきます。

そして、収益源として育った成長ドライバーと既存事業の拡大から得られた利益を再投資に回す成長サイクルを構築しながら、新たな成長ドライバーの発掘・育成によって事業規模を拡大していきます。

このようなことから10年先の目指す経営指標として、連結売上高 1,000億円以上、連結営業利益率10%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上の目標を設定しました。

 

2021年度(2022年3月期)からの3ヶ年中期事業計画の基本方針は、以下の3つの基本方針に基づく成長戦略により、市場のリーダーとして、SDGsにある社会課題の解決に向けて、独自の高付加価値製品を創造し続け、それにより、「安全」と「環境」へ貢献し、収益を伸ばし、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現することで、ステークホルダーの要請と期待に応えていくことです。

加えて、本3ヶ年は2030年の目標を実現すべく、成長ドライバーの発掘、絞込、育成の準備期間としています。

 

① 事業領域の拡大

当社グループは、これまで培ってきた有形・無形の様々な経験と強みを生かしながら、社会課題の解決に貢献する特定市場向けの新製品、新事業を創出しトップに育てる“ニッチトップ戦略”を以って、事業領域の持続的な拡大に挑戦していきます。さらに、単独製品での事業展開だけでなく複数製品を束ねることで、市場において強靭で存在感ある事業として展開することを目指します。また、新製品・新事業については、イノベーションが猛スピードで起き技術・製品が短命化している中、製品及びサービスの開発期間の短期化、競争環境の激化、研究開発費の高騰などに対応するため、M&Aやオープン&クローズ戦略も活用していきます。

 

② グローバル化の推進

持続的な成長が期待できる新興国をはじめとした海外市場を、更に開拓して収益を増大させていきます。そのためには、価格競争力を高め、社会課題の解決の視点で市場特性に合い差別化した製品を開発・投入するとともに、販売とサービスのネットワークを更に拡充・強化していきます。

③ 既存事業の継続的強化

社会課題の解決を追求するとともに、顧客要望を満足させるイノベーションによる高付加価値化の実現と業務の高効率化を徹底することで、現有ニッチトップ事業の維持・拡大に注力するとともに、潤沢なキャッシュ・フローを実現することで、持続可能な成長のための基盤となる収益力を向上していきます。そのために、生産・営業・技術・サービス・スタッフの徹底した高効率化を目的とする全社改善活動を、積極的に展開することに加え、IoTを活用したスマートものづくりによる生産効率の改善、多能工化等の付加価値を高める人材育成に取り組んでいきます。

 

(3) 経営環境と対処すべき課題

2022年度(2023年3月期)につきましては、新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念が残る中で、ウクライナ情勢の悪化、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格高騰、インフレ高進、円安の進行、中国での「ゼロコロナ政策」の長期化など不確実性が継続しています。

このような経営環境の中、次期の見通しにつきましては、船舶港湾機器事業において、新造船向け機器の需要が堅調になったことや、油空圧機器事業が引き続き各市場で需要の回復が見込まれること、流体機器事業が引き続き好調な需要が見込まれること、防衛・通信機器事業で防衛事業の戦闘機用レーダー警戒装置や哨戒ヘリコプター用逆探装置の納入による売上増が見込まれること、その他の事業の鉄道機器事業で主力の超音波レール探傷車の納入による売上増が見込まれています。

なお、足元で生じている部材入手難や原材料価格の高騰等が業績に与える影響については、現時点で想定されるものを一定程度織り込んでおりますが、引き続き部品の早期調達や価格転嫁等、必要な対策を講じることで、業績への影響を最小限に留めるべく対応してまいります。

今後、開示すべき事項が生じた場合には速やかに開示いたします。

 

前述の長期ビジョン「東京計器ビジョン2030」を実現するために、2021年度からの3ヶ年は「基盤強化」と「基礎固め」のフェーズと位置付け、東京証券取引所のプライム市場上場に相応しい企業として、さらなる企業価値向上を目指し、SDGsやESGを起点としたサステナビリティ/環境経営や事業ポートフォリオの全体最適化と持続的成長の実現のためのROIC経営の導入、更に経営判断の迅速化などを目指しDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入等を強力に推進してまいります。

 

また、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対しては、一切の関係遮断を目的として毅然とした態度で対応していきます。

 

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