業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への制約が続き、エネルギー価格や原材料価格の高騰、更に、電子部品等の資材不足による生産への影響も加わり、ワクチン接種の進展や海外経済の回復などによる一部に持ち直しの動きが見られたものの、総じて厳しい状況で推移しました。先行きに関しましても、新たなオミクロン株発生による感染症リスクやウクライナ情勢に端を発する地政学リスク、急激な為替変動によるリスクなど、不透明な状況となっております。

 当社グループを取り巻く環境は、公共投資は軟調に推移したものの、前期落ち込んだ新設住宅着工戸数に回復傾向が見られ、さらに、企業の設備投資も堅調に推移しており、総じて前期からは改善しました。

 このような状況のもと、当社グループは2021年5月に公表しました2021年度から2023年度の3ヵ年を対象期間とした「中期経営計画2023」の基本戦略「市場の拡大、事業領域拡大へのチャレンジ」、「基盤事業の競争力と収益力向上」並びに「経営力の強化」に基づき、各重点施策を推進してまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ49億3千9百万円減少し、522億2千7百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ58億1千1百万円減少し、169億9千9百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8億7千1百万円増加し、352億2千8百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高464億8千3百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益32億8千7百万円(同9.5%増)、経常利益38億1千4百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億8千9百万円(同6.6%減)となりました。

 

事業部門別の状況は次のとおりであります。

(計測器関連事業)

売上高は、前期比0.5%増の464億1千4百万円となりました。各分野別の状況は次のとおりであります。

 

ガス関連機器

LPガス関連は減少しました。2019年度から販売を開始したIoT関連製品は順調に数を伸ばしておりますが、家庭用プロパンガスメーターが前期から需要下降期に入っており、このマイナスの影響が上回りました。都市ガス関連も減少となりました。前期に落ち込んだ国内向けの需要は回復しましたが、海外向けが減少しました。この結果、ガス関連機器の売上高は前期比1.9%減の225億4千9百万円となりました。

 

水道関連機器

入札における価格競争が引き続き厳しい状況ではありますが、官需向けは増加となりました。また、前期落ち込んだ国内民間市場は需要回復傾向が見られ、海外市場は前期に続き増加しました。加えて、原材料価格上昇に伴い、スクラップメーターの売却金額が例年より高水準となり、水道関連機器の売上高は前期比7.3%増の155億4千9百万円となりました。

 

民需センサー・システム

当社のコア技術を活かした電磁流量計や超音波流量計を中心とした液体・気体の各種センサーとシステムを、工場における省エネ・省資源管理や環境対策に向けて拡販を進めました。海外向け医療用センサーは前期並みにとどまりましたが、前期に落ち込んだ国内市場は需要回復の動きが見られ、民需センサー·システムの売上高は前期比7.3%増の27億7千9百万円となりました。

 

計 装

大口物件の確保により受注拡大を図るべく、営業体制の充実や提案力·施工能力の強化などを従前から推し進めてまいりました。当分野の市場環境に大きな変化はなく前期並みの受注を確保しましたが、電子部品等の資材調達難により数件が工期延長となりました。この結果、計装の売上高は前期比9.9%減の55億3千5百万円にとどまりました。

 

(その他)

特 機

売上高は、前期比4千万円増の6千9百万円となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて3千3百万円減少し、82億7千7百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 法人税等の支払いによる支出や棚卸資産の増加などがありましたが、税金等調整前当期純利益と減価償却費合わせて49億6千1百万円の収入があり、売上債権の回収も進んだことから、31億1千5百万円の収入(前期比10億7千7百万円の収入減)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得などによる支出がありましたが、定期預金の満期解約などにより、25億8千9百万円の収入(前期は24億2千3百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金の返済や配当金の支払いなどにより、59億2千6百万円の支出(前期比49億3百万円の支出増)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

対前年増減率(%)

計測器関連事業

44,761

 

0.5

 

その他

69

 

136.3

 

合計

44,831

 

0.6

 

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

対前年増減率(%)

受注残高(百万円)

対前年増減率(%)

計測器関連事業

47,350

1.7

4,966

23.3

その他

69

136.3

合計

47,420

1.7

4,966

23.3

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

対前年増減率(%)

計測器関連事業

46,414

 

0.5

 

その他

69

 

136.3

 

合計

46,483

 

0.6

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 (資産)

流動資産は、棚卸資産が増加しましたが、借入金返済などにより現金及び預金が減少したことから、前連結会計年度末に比べて8.3%減少し、329億4百万円となりました。

固定資産は、繰延税金資産や退職給付に係る資産が増加しましたが、株価下落に伴い投資有価証券が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて9.1%減少し、193億2千3百万円となりました。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて8.6%減少し、522億2千7百万円となりました。

(負債)

負債は、期限を迎えた借入金の返済を実施したほか、支払手形及び買掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて25.5%減少し、169億9千9百万円となりました。

(純資産)

純資産は、株価下落に伴いその他有価証券評価差額金が減少しましたが、利益剰余金や退職給付に係る調整累計額が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて2.5%増加し、352億2千8百万円となりました。

この結果、自己資本比率は67.4%となり、前連結会計年度末と比べて7.3ポイント増となりました。

 

なお、収益認識会計基準等の適用により、従前の会計処理と比較して、利益剰余金の期首残高が3千1百万円増加しております。

 

b.経営成績の分析

当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、電子部品等調達難による影響を受けたものの、前期落ち込んだ国内市場が回復に向かったことから、前期比0.6%増収の464億8千3百万円となりました。利益面につきましては、増収による効果のほか、販売費及び一般管理費の減少により、営業利益は前期比9.5%増益の32億8千7百万円、経常利益は為替差益の増加等により前期比15.7%増益の38億1千4百万円となりました。前期に投資有価証券売却益の計上があった特別利益は減少したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比6.6%減益の27億8千9百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従前の会計処理と比較して、売上高は1千3百万円減少し、営業利益は1千5百万円、経常利益は2千7百万円それぞれ増加しております。

また、「新中期経営計画2023」における計画値との比較では、電子部品等調達難による影響で工期延長が発生したことなどの影響で、家庭用プロパンガスメーターの需要減を補えず、売上高は計画値「467億円」に対し「464億円」と未達となりましたが、経常利益は、計画値「35億円」に対して「38億円」、当期純利益は計画値「25億円」に対して「27億円」といずれも計画を達成しました。また、これらの結果、ROA(総資産利益率)では、計画値「4.6%」に対して「5.1%」と計画を上回る結果となりました。

 

                                        (単位:億円)

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

計画

実績

計画

実績

計画

実績

売上高

467

464

477

495

経常利益

35

38

37

39

当期純利益

25

27

26

27

ROA

4.6%

5.1%

4.9%

5.1%

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、内部資金又は借入により資金調達することとしており、借入による資金調達に関しましては、市場の金利状況や資金使途等を勘案し短期借入金や固定金利の長期借入金で信頼性の高い銀行等金融機関から調達しております。

当連結会計年度末における現金及び預金の残高は107億3千7百万円、短期借入金の残高は7億4百万円、長期借入金の残高は2千7百万円となりました。

なお、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢に端を発する地政学リスクなど、今後の業績への影響は予測困難ではありますが、手許資金を確保しつつ、IT/設備/開発の各計画に基づいた成長投資、業績に応じた利益還元と安定的な配当の継続を重視した株主還元など、これらを反映した年度資金計画に基づき、適切に管理しております。

なお、金融機関と総額40億円のコミットメントライン契約を締結しており、不測の事態に備え、資金の流動性を確保しております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における資産、負債の報告数値及び収益、費用の報告数値について影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や合理的であると判断する一定の前提に基づき、継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

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