事業の内容

3 【事業の内容】

当社は、計測・計量機器及び医療・健康機器の製造・販売を主たる業務とする株式会社エー・アンド・デイを親会社とする企業集団に属しております。

当社は、半導体ウエハ及びマスク上の半導体の回路寸法を、電子ビームによって測定する微小寸法測定装置の開発・製造・販売を主たる業務としております。

半導体デバイスの製造プロセス(1)では、マスクと呼ばれるものとウエハと呼ばれるものとがあります。写真の世界で言えばマスクはネガフィルム、ウエハは印画紙に相当します。

半導体デバイスは微細化が進み、従来の光学式測定装置では測定が不可能となり、光源に電子ビームを使った微小寸法測定装置(電子ビーム技術、それをコントロールする制御技術及び真空技術等を要素技術とした検査装置)が開発されました。この電子ビームによるマスクとウエハ上の回路パターンの微小寸法測定装置が当社の主製品であり、当社の顧客の大半は半導体デバイスを製造する半導体メーカー、マスク(原版)を製造するマスクメーカーであります。

当社は設立当初はウエハ用電子ビーム微小寸法測定装置により市場開拓を行いましたが、現在の主力製品はマスク用電子ビーム微小寸法測定装置となっております。

その他の事業として自社製品の定期点検、修理等の保守サービス及び他社との共同開発研究も業務の一部として行っております。

 

当社の事業の系統図は、次のとおりであります。


 

 

 

 

親会社

 

 

 

株式会社エー・アンド・デイ

 

 

 

(1) 製品事業

当社が開発・製造・販売している製品は、その用途から以下の4種類に大別されます。

① マスク用電子ビーム微小寸法測定装置

当社製品名として「Zシリーズ」として販売しており、以下「Z」と記載します。

② ウエハ用電子ビーム微小寸法測定装置

当社製品名として「ESPAシリーズ」・「ESPA-3000シリーズ」として販売しており、以下「ESPA」・「ESPA-3000」と記載します。

 

③ LED(発光ダイオード)生産用パターン転写装置

当社製品名として「EBLITHOシリーズ」として販売しており、以下「EBLITHO」と記載します。

④ マスク用元素分析欠陥検査装置

当社製品名として「LEXaシリーズ」として販売しており、以下「LEXa」と記載します。

 

① Z

Zは、マスクの原版の回路図の線幅を測定し、回路の寸法検査及び欠陥検査を行う電子ビーム微小寸法測定装置です。

技術の最大の特徴は、レーザー等の光線ではなく電子ビームを使用しているため、光学式寸法測定装置より微細な回路パターンの寸法測定に対応することが可能な点です。

近年、半導体の回路パターンが微細化した上、高密度化した回路の原版であるマスクのパターン寸法に対応するため、OPCパターン付きマスク(2)が使用されています。OPCパターン付きマスクの検査は光学式寸法測定装置では対応できず、電子ビームを用いたマスク用微小寸法測定装置に対する高性能化の要求はますます高まるばかりです。

なお、マスク用電子ビーム微小寸法測定装置の固有の問題点としては、

『チャージアップ』  すなわち、絶縁体である石英ガラスでできているマスクに電子ビームを照射すると、マスクに+(プラス)もしくは―(マイナス)の電子が蓄積し、蓄積した電子の影響で検査結果が正確でなくなる現象

『コンタミネーション』 すなわち、電子ビームを使用したマスク検査時に、試料であるマスクに主にカーボンが付着する汚染現象

があり、これを克服していることが、Zの技術特性(3)となっています。

 

② ESPA

ESPAは、ウエハ上の回路図の線幅を電子ビームによって測定検査する電子ビーム微小寸法測定装置です。

当社は、シリコンウエハのコンタクトホール(4)を検査する装置等のESPAの技術を応用した製品に注力しております。

「ESPA-3000」は、中・小口径ウエハ用CD-SEM機です。

 

③ EBLITHO

EBLITHOは、ステンシルマスクを利用した低加速電子ビーム高速転写装置です。

当社は既に、ステンシルマスクの検査装置(EST-300)をてがけており、当社が保有する低加速電子ビームをコントロールする技術を利用した製品です。

 

④ LEXa

LEXaは、マスク上の異物や欠陥を観察するとともに、EDSにより元素分析する欠陥レビュー装置です。

 

 

(2) その他事業

当社は、自社製品の定期点検、修理等の保守サービスに注力しています。

 

 

用語解説

(1) 半導体デバイスの製造プロセス

半導体デバイスは、ウエハ上にステッパ(縮小投影露光装置)を用いて、ICの設計パターンを原版(マスクまたはレチクル)を介して縮小転写して(ここまでを「前工程」)、その後ウエハを約10mm角の大きさ(ICチップ)に切断し(ダイシング)、パッケージに搭載(パッケージング)すること(「後工程」)で製造されます。

 

半導体デバイス製造プロセス概念図

 


 

① マスク工程

CADで作られた描画データを基に、マスク描画装置でブランクスと呼ばれる石英ガラス基盤にパターンニング(焼き付け)され、半導体デバイスの回路図のマスク(原版)が作られる。

 

② フォトリソ(フォトリソグラフィー)工程

マスクは、下図のようなステッパ(縮小投影露光装置)に原版として組み込まれ、20数枚のマスクを交換しながら、ウエハに縮小転写される。

 

 

ステッパの原理

 

波長248nm(KrF)を使うものをKrFステッパ

波長193nm(ArF)を使うものをArFステッパ

 


 

出典:株式会社工業調査会  当社による補足説明

 

③ 後工程

回路図の記載されたウエハを約10mm角の大きさに切断し(ダイシング)、パッケージに搭載する(パッケージング)。

 

(2) OPCパターン付きマスク

高密度化したマスクを用いてウエハに転写した場合、転写後のパターン忠実性が悪く、必要とする精度で転写されなくなる場合があるため、はじめから転写の変形を見込んでパターンを補正変形してあるマスク。

OPCパターン付マスクは、微小図形が複雑に数多く配置されており、光学式寸法測定装置では検査できないため、電子ビームを光源とする微小寸法測定装置の需要が拡大しました。

 

 

OPC処理の概念

 


 

出典:株式会社工業調査会  当社による補足説明

 

(3) Zの技術特性(電子ビームによるマスク用微小寸法測定装置の固有の問題点の克服)

Zは、電子ビームによるマスク用微小寸法測定装置(マスクCD-SEM)固有の問題点を、下記の技術で克服しています。

① チャージアップ抑制技術(1)の『低加速電圧電子ビーム』

電子銃に与える電圧(アノード電圧)を+、試料に与える電圧(バイアス電圧)を-にすることで低い電圧の電子ビームをつくり、試料のマスクが帯電するのを抑制しました。

② チャージアップ抑制技術(2)の『低真空技術』(差動排気システム)

試料測定環境を低真空にすることで、試料を走査する電子ビームと低真空中のガス分子が衝突して+イオンをつくり、このイオンが-帯電したマスクを電気的に中和して抑制します。

③ コンタミネーション抑制技術の『ACD』

ACDは、ガス分子の吸着率が低温になると高くなるという特性を利用して、試料付近に設置した超低温の板でコンタミネーション源であるガス分子を吸着する装置です。マスクCD-SEMにACDを適用しているのは当社だけです。

④ 高分解能測定技術の『収差補正技術』

超微細パターンに対応した測定を実現させるために、収差補正機能付きレンズを低加速型のCD-SEMに世界で初めて搭載しました。従来機に比べて分解能が50%向上しました。

 

(4) コンタクトホール(Contact Hole)とは、Si(シリコン)基板と第1層目を繋ぐ配線の穴です。

なお、スルーホール(Through Hole)・ビアホール(Via Hole)とは、多層構造で出来ているICの各層(例えば上と下の層)を繋ぐ配線の穴です。

 

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