業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社は、2021年12月16日開催の第49期定時株主総会において、事業年度の変更に関する定款変更議案が決議されたことに伴い、第50期連結会計年度より決算期を9月20日から6月30日に変更しております。決算期変更の経過期間となる第50期連結会計年度につきましては、2021年9月21日から2022年6月30日までの9か月10日間となっております。このため、当連結会計年度の経営成績等に関しましては、前連結会計年度との比較については記載しておりません。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、ワクチン接種の進展や各種政策の効果も相まって、景況感に持ち直しの動きが見られましたが、昨年末以降は、新たな変異株の発生によって感染が再拡大し、サプライチェーンの停滞や人手不足が景気の下押し圧力となっているほか、ロシア・ウクライナ情勢による資源価格のさらなる高騰や金融資本市場の混乱により、国内景気は不安定な状態が続いております。

このような状況のなか、当社グループでは、2018年の創業100周年を機に、企業メッセージ「前田工繊は混ぜる会社です」を掲げております。このメッセージには、当社グループが持続的成長を遂げるための強い思いを込めており、グループの持つあらゆる経営資源を「混ぜる」ことで、成長戦略である「M&A」、「海外事業」、「人材育成」を積極的に推進するための原動力になると考えております。

M&A戦略においては、当社グループがこれまで培ってきた繊維・樹脂の加工技術に捉われず、異分野がもつ様々な技術やノウハウを「混ぜる」ことで、新製品や新技術を創出してまいります。

海外事業においては、海外の生産拠点を拡充するとともに、外国籍企業との業務提携等を通じて国内外の技術や販売ネットワークを活用することで、当社グループ製品の市場拡大を目指してまいります。

人材育成においては、当社グループ社員全員を戦力化するほか、多様な人材を採用・育成し、それらの能力・経験から生まれる人的資源を「混ぜる」ことで、イノベーティブな組織風土を築いてまいります。また、当社グループでは、「従業員の健康が会社の未来を決める」との考え方のもと、すべての従業員の健康に深く関わっていくことを決意し、「健康宣言」を行っております。今後も健康で働きがいのある職場づくりに向けた様々な施策に取り組んでまいります。

このように、当社グループは、モノづくりを通じて、「私たちは 独自の知恵と技術で 持続可能な地球 そして安心・安全で豊かな社会を創るために 貢献してまいります。」という経営理念を実践し、さらに世の中から必要とされる企業となるよう努力してまいります。

当連結会計年度の売上高は36,901百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は4,220百万円、経常利益は4,360百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,482百万円となりました。

なお、財政状態につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(ソーシャルインフラ事業)

当社の公共工事事業においては、盛土補強材の販売が伸び悩んだものの、景観資材、海洋土木品、斜面環境製品等の販売が堅調に推移しました。利益面については、原材料価格が高騰し、事業の性質上、販売価格に転嫁するのに時間を要することから、粗利率を押し下げる結果となりました。不織布関連の製品は、スパンボンド(連続長繊維不織布)の産業資材・自動車資材向け販売が半導体不足等により減少したものの、上期に新型コロナウイルス感染症対策における医療・衛生資材の受注を確保できた結果、売上・利益とも好調に推移しました。

獣害対策製品、園芸用ハウス、農業資材を取り扱う子会社の未来のアグリ株式会社においては、園芸用ハウスの受注が伸び悩んだものの、獣害畜産関係の受注が伸長したことにより、売上・利益とも好調に推移しました。また、天幕や帆布生地製品を取り扱う子会社の未来テクノ株式会社では、上期に防衛省向け製品の受注が低迷したものの、一部大型案件の受注や海洋土木製品の販売拡大が奏功し、製造原価・販管費の削減効果もあったことから、売上・利益とも好調に推移しました。海外子会社であるMAEDA KOSEN VIETNAM CO., LTD.においては、原材料価格の高騰が利益を押し下げる要因となりましたが、売上は、取扱製品の拡充により、計画に対して順調に推移しました。

以上の結果、当事業の売上高は22,634百万円、営業利益は4,038百万円となりました。

 

(インダストリーインフラ事業)

インダストリーインフラ事業では、精密機器製造用ワイピングクロス、衣料・各種産業資材用の丸編製品を製造・加工・販売する子会社の未来コーセン株式会社において、半導体市況の回復や精密機器製造向け製品の受注確保により、主力のワイピングクロスの売上が順調であったことから、売上・利益とも堅調に推移しました。

アルミ鍛造ホイールを製造・販売する子会社のBBSジャパン株式会社においては、アフター市場向け製品が好調に推移し、同社のドイツ子会社BBS Motorsport GmbHの業績が伸長したものの、自動車メーカー減産等の影響により生産稼働率が大幅に低下したほか、アルミ原料価格の高騰による影響や、運賃等の販管費が一時的に増加したことにより、売上・利益とも伸び悩む結果となりました。

以上の結果、当事業の売上高は14,266百万円、営業利益は1,047百万円となりました。

 

(ヒューマンインフラ事業)

ヒューマンインフラ事業では、子会社のMDKメディカル株式会社が医療機器の治験にかかる費用を計上したことで、営業損失は107百万円となりました。なお、第2四半期連結会計期間において、MDKメディカル株式会社の全株式等を譲渡したため、第1四半期連結累計期間までの損益計算書のみ連結しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ291百万円減少(前期比2.2%減)し、12,798百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られたキャッシュ・フローは、1,682百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,652百万円、減価償却費2,791百万円、売上債権の減少額2,329百万円等の収入と、棚卸資産の増加額3,644百万円、法人税等の支払額2,479百万円、営業活動によるキャッシュ・フローのその他1,278百万円等の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは、3,284百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得3,605百万円等の支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られたキャッシュ・フローは、1,097百万円となりました。これは主に、長期借入れ1,546百万円、短期借入金の純増加額984百万円等の収入と、配当金の支払額818百万円等の支出によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月21日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

ソーシャルインフラ事業(百万円)

12,194

インダストリーインフラ事業(百万円)

13,130

ヒューマンインフラ事業(百万円)

合計(百万円)

25,324

(注)決算期変更の経過期間となる2022年6月期は2021年9月21日から2022年6月30日までの9か月10日間となるため、前年同期比については記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月21日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

ソーシャルインフラ事業(百万円)

3,797

インダストリーインフラ事業(百万円)

121

ヒューマンインフラ事業(百万円)

合計(百万円)

3,919

(注)決算期変更の経過期間となる2022年6月期は2021年9月21日から2022年6月30日までの9か月10日間となるため、前年同期比については記載しておりません。

 

c.受注実績

当社グループは、大部分の品目が見込生産であり、受注残高も僅少であることから記載を省略しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月21日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

ソーシャルインフラ事業(百万円)

22,634

インダストリーインフラ事業(百万円)

14,266

ヒューマンインフラ事業(百万円)

合計(百万円)

36,901

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月21日

至 2021年9月20日)

当連結会計年度

(自 2021年9月21日

至 2022年6月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

豊通オートモーティブ

クリエーション株式会社

5,238

12.1

4,042

11.0

3.決算期変更の経過期間となる2022年6月期は2021年9月21日から2022年6月30日までの9か月10日間となるため、前年同期比については記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,493百万円増加し68,760百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,794百万円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度においては受取手形及び売掛金)が1,725百万円減少したものの、商品及び製品が1,913百万円、原材料及び貯蔵品が1,486百万円、流動資産のその他が1,058百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて1,698百万円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が1,651百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ632百万円増加し27,115百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて438百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金が984百万円、支払手形及び買掛金が472百万円それぞれ増加したものの、未払法人税等が1,085百万円、電子記録債務が355百万円、流動負債のその他が243百万円、未払金が202百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,071百万円増加いたしました。これは主に、リース債務が399百万円減少したものの、長期借入金が1,415百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,860百万円増加し41,644百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2,662百万円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、36,901百万円となりました。

当社グループの主事業であるソーシャルインフラ事業では、公共工事事業において、盛土補強材の販売が伸び悩んだものの、景観資材、海洋土木品、斜面環境製品等の販売が堅調に推移した結果、売上高は22,634百万円となりました。

インダストリーインフラ事業では、未来コーセン株式会社において主力のワイピングクロスの売上が順調だったものの、BBSジャパン株式会社において、自動車メーカー減産等の影響により生産稼働率が大幅に低下した結果、売上高は14,266百万円となりました。

 

(営業損益)

当連結会計年度の売上原価は24,841百万円、販売費及び一般管理費は7,838百万円となりました。

この結果、営業利益は4,220百万円となり、売上高営業利益率は11.4%となりました。

 

(経常損益)

当連結会計年度において営業外収益は678百万円、営業外費用は539百万円となりました。

この結果、経常利益は4,360百万円となり、売上高経常利益率は11.8%となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度において特別利益は546百万円、特別損失は254百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,482百万円となり、売上高当期純利益率は9.4%となりました。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における営業利益は4,220百万円、営業利益率は11.4%、EBITDAは7,024百万円、ROE(自己資本利益率)は8.8%でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

各種指標の推移は以下のとおりです。

 

第45期

第46期

第47期

第48期

第49期

第50期

営業利益(百万円)

4,066

5,092

5,344

4,517

6,462

4,220

営業利益率(%)

13.0

14.7

14.1

11.5

14.9

11.4

EBITDA(百万円)

5,737

6,875

7,145

7,189

9,616

7,024

ROE(自己資本利益率)(%)

12.3

13.2

13.4

9.6

12.9

8.8

(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて算出しております。

2.決算期変更の経過期間となる第50期連結会計年度は、2021年9月21日から2022年6月30日までの9か月10日間となっております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの主な資金需要は、営業活動のための原材料・商品の仕入費用及び人件費、生産設備の能力増強・合理化、品質向上及び業務効率化のための設備投資、事業領域の拡大と業績の向上につながるM&Aのための資金等です。これらの資金については、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入又は社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,443百万円、現金及び現金同等物の残高は12,798百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りを行う必要がありますが、その見積りや当該見積りに用いた仮定は予測不能な事象の発生等により実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得