業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、ワクチン接種や行動制限の緩和等により、経済活動の回復も見られましたが、ウクライナ情勢を受けた資源価格の高騰などもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

また、広告業界における総広告費は、2020東京オリンピック・パラリンピックが広告需要を後押ししたこともあり、前年比110.4%となりました。媒体別でみると社会の急速なデジタル化を背景に、インターネット広告費は大きく成長し初めてマスコミ四媒体広告費を上回りました。マスコミ四媒体広告費も市況回復により増加となりましたが、プロモーションメディア広告費は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく減少となりました。

このような状況の中、当社グループは感染リスクの低減を確保しつつ、「デジタルサイネージ業界No.1」を目指すべく積極的な拡大策を展開してまいりました。本施策の一環として2021年11月1日に実施した、株式会社プロテラスの一部事業の吸収分割は、当連結会計年度より業績に寄与し増収となりました。一方で利益については、吸収分割に伴う一時費用が発生したこと、吸収分割に伴う本格的なシナジー効果が来期以降に見込まれることから、営業損失となりました。

これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は2,474,087千円となり、前連結会計年度末に比べ898,825千円増加しました。

流動資産は、1,571,601千円となり、前連結会計年度末に比べ144,287千円増加しました。主な要因は、売掛金が増加したことによるものであります。

固定資産は、902,486千円となり、前連結会計年度末に比べ754,537千円増加しました。主な要因は、2021年11月1日に実施した吸収分割により、のれんが増加したことによるものであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は992,593千円となり、前連結会計年度末に比べ122,124千円減少しました。流動負債は、609,390千円となり、前連結会計年度末に比べ32,302千円増加しました。主な要因は賞与引当金が増加したこと等によるものであります。

また、固定負債は、383,202千円となり、前連結会計年度末に比べ154,426千円減少しました。主な要因は、長期借入金が減少したことによるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は1,481,494千円となり、前連結会計年度末に比べ1,020,949千円増加しました。主な要因は、2021年11月1日に実施した吸収分割により、資本金及び資本剰余金が増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における業績は、売上高1,797,460千円と前年同期と比べ586,771千円(48.5%増)の増収、営業損失は、56,441千円(前年同期は22,491千円の営業利益)、経常損失は、63,028千円(同15,718千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は、73,045千円(同15,167千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

 

当連結会計年度における各セグメントの経営成績は、次のとおりです。

 

(a)デジタルサイネージ関連事業

機器リース、運営部門につきましては、いわゆるサブスクリプションサービスが中心であることから、安定的な推移となりました。

情報機器部門につきましては、デジタルマーケティング、代理店との連携強化や上述した吸収分割などにより、主力業界として取り組んでいるスタジアムやアリーナ等のスポーツ施設の他、新規マーケットや新規顧客も開拓する事が出来ました。

また、注力しているスポーツ施設案件では、機器の販売だけでなく、デジタルサイネージ×照明×音楽×映像、等の総合演出も行っており、これらの総合演出力や積み重ねた実績の強みを活かし、新たなマーケットでの受注を目指して取り組んでまいります。

以上の結果、デジタルサイネージ関連事業は売上高1,697,812千円(前年同期比50.9%増)、セグメント損失64,439千円(前年同期は35,161千円のセグメント利益)となりました。

 

(b)Value creating事業

デジタルプロモーション株式会社が運営するValue creating事業につきましては、自ら運営するハイパーローカルメディア「タウンビジョン」や地元密着の記者、各種SNSサービスの活用やターゲットユーザーに響くコンテンツ(記事、動画)制作により、地域での企業のPR、ファン作り、集客からブランディング、また地方自治体の魅力あるコンテンツ開発など地域に係るエリアファンマーケティング(地域密着型マーケティング)を行っております。

当事業は収益安定事業であり、従前からの実績の積み重ねにより、通年で初めての黒字化を達成することができました。将来的に当社グループの基幹事業とするべく、今後も人員の増強等を積極的に行ってまいります。

以上の結果、Value creating事業は、売上高99,648千円(前年同期比16.0%増)、セグメント利益7,998千円(前年同期は12,670千円のセグメント損失)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ32,675千円減の874,674千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失70,129千円の計上や、売上債権の増加191,631千円があったものの、のれんの償却額44,652千円や棚卸資産の減少108,485千円等により、11,858千円の収入(前年同期は47,664千円の支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出45,784千円等により、60,951千円の支出(前年同期は20,961千円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入による収入150,000千円があったものの、長期借入金の返済による支出304,036千円等により、183,582千円の支出(前年同期は14,982千円の収入)となりました。

 

 ③生産、受注及び販売の状況

 a.生産実績

当社グループは、一部生産活動を行っておりますが、グループ全体における重要性が低いため、記載を省略しております。

  

 b.受注実績

当社グループは、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

 

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

第33期
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

デジタルサイネージ関連事業

1,697,812

150.9

Value creating事業

99,648

116.0

合計

1,797,460

148.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に2022年11月1日に実施した株式会社プロテラスの一部事業を吸収分割により承継したことによるものであります。

   3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アイリスオーヤマ株式会社

423,422

35.0

313,364

17.4

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大によりわが国の経済への影響が生じております。現時点では当社グループへの影響は軽微と予測しておりますが、今後の拡大状況次第では、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

 (固定資産の減損)

減損損失の算定にあたっては、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を基礎として資産のグルーピングを行い、遊休資産については当該資産単独でグルーピングをしています。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、将来キャッシュ・フローの見積額を用いた回収可能額により検討しております。

将来キャッシュ・フローの見積額は事業計画や市場環境を基に慎重に検討しておりますが、その前提とした条件や仮定に変化が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 (連結子会社株式の評価)

関係会社株式については、評価額の著しい低下の有無を判断するにあたって、純資産価額を基準にしております。当該価額が下落し、事業計画に基づく回復可能性が合理的に認められないとされる場合、評価損を計上することにしております。事業計画には不確実性を伴い、その前提とした条件や仮定に変化が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がございます。

 

 

(のれんの評価)

のれんを含む資産グループに減損の兆候があると認められる場合は、減損損失の認識の要否を判定し、判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として計上することとしております。のれんの減損の兆候の有無の判定においては、主にのれんが帰属する資産グループから生じる営業損益及び将来の事業計画を用いており、将来の事業計画には成長率及び損益率といった主要な仮定が用いられております。そのため、上記仮定に変化が生じた場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要の主なものは、商品の購入、リース資産等の設備投資及びソフトウェア・コンテンツ開発によるものであります。

中長期的に安定した成長を遂げるため、「デジタルサイネージ関連事業」「Value creating事業」の両事業において、ソフトウェア・コンテンツの開発が必要と考えており、今後の機動的な開発投資に備えるべく、当面は相応の現預金を保有しておく必要があると認識しております。そのため、財務基盤を強化するとともに、長期借入により必要資金を調達することを考えております。

なお、当連結会計年度末の借入金総額633,382千円に対し、現金及び預金は874,674千円であります。

 

③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの重要な経営指標であるROA・ROEについて、当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

 

指標

第32期

(前連結会計年度)

第33期

(当連結会計年度)

ROA

 1.0%

△3.1%

ROE

 3.6%

△7.5%

 

 

 当連結会計年度の実績については、前述した吸収分割に伴う一時費用の発生などもあり、ROA、ROEともに低調な結果となりました。

 両指標に共通する売上収益率、総資産回転率の向上を図り、ROEに関しては、一定水準以下の財務レバレッジ(一定水準以上の自己資本比率)の中で最適値を検討し、中長期的に資本コストを上回るROEを目指してまいります。

 具体的な経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」をご参照下さい。

 

 

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