課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

広済堂グループは、1949年に印刷会社として創業以来、社名にある「広済」(広く社会に貢献する)を経営理念として、印刷、ITサービス、人材サービス、葬祭サービスなどの各事業を通じ、“人生100年を様々な場面でサポートする広済堂グループ”となることを目指しております

また、お客さまに必要とされる商品やサービスを提供すべく、お客さまや生活者のニーズの一歩先を読みながら、常に新しいものに挑戦する「進取の精神」で事業展開を進めてまいりました。

当社グループは、社会環境の変化、ライフスタイルや価値観の変化の中で、お客さまに真に必要とされる商品やサービスは何かを探り、提供していく「お客さま第一主義」を今後も追求し、社会から必要とされ、また社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めてまいります。

 

(経営環境及び事業の内容)

当連結会計年度のわが国経済は、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の流行が断続的に継続し、たびたび「緊急事態宣言」等が発出されたことにより、消費や企業業績の回復に足踏みがみられる一年となりました。特に飲食業や観光業の回復が滞り、当社グループに対しても人材サービス事業における得意先企業の採用規模縮小や情報ソリューション事業における広告・印刷物の抑制といった形で影響が及んでおります。

 

このような状況のもと、当社グループは“人生100年を様々な場面でサポートする広済堂グループ”の理念を掲げ、中期経営計画「廣済堂大改造計画2020」の推進を継続いたしました。2021年10月に㈱廣済堂を純粋持株会社化すると共に、情報セグメントを統括する㈱広済堂ネクスト、人材セグメントを統括する㈱広済堂HRソリューションズを分社いたしました。これら2つの事業会社と共に、過年度完全子会社化した東京博善㈱が葬祭セグメントを統括する体制を整え、セグメント毎の専鋭化とセグメント間の連携の両立を図っております

また、2021年7月30日付で発足した新経営体制の下、持続的な成長拡大体制構築の原資を確保すべく2022年1月に第三者割当増資を実行しており、同年2月には葬祭セグメント成長拡大戦略の一環として葬儀業進出を決定し、 葬祭業大手の燦ホールディングス㈱との合弁会社設立や子会社の㈱広済堂ライフウェルで葬儀事業が開始されております。

 

当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、次のとおりであります。

・情報セグメント

情報セグメントは、主に情報ソリューション事業で構成されております。

情報ソリューション事業は、出版・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューションと、IT受託開発を中心としたITソリューション、データ入力代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス、そして、環境配慮型の商品・サービスの提案を行うプロダクト営業といった事業を展開しております。

情報セグメントは、従来から減少傾向にある出版印刷及び新聞印刷での減少が継続したほか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、旅行パンフレットやプロモーション・イベント等のサービスは回復傾向が見られたものの、完全な回復までに至りませんでした。他方、過年度の実績が評価され、官公庁や自治体からのBPO案件受託が大幅に拡大したほか、印刷工場再編の効果が表れ、西日本を中心に利益率の改善がみられました。これらにより、情報セグメントとしては前連結会計年度に比べ、増収増益となりました。

・人材セグメント

人材セグメントは、人材サービス事業で構成されております。

人材サービス事業は、求人媒体・HRテック事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における、人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。

人材セグメントは、求人媒体事業において、新型コロナウイルス感染症の影響として、製造業や医療介護領域では回復がみられたものの、販売・飲食などでは苦戦が継続しました。他方、人材派遣事業については全体としては概ね堅調に推移し、HRテック領域での収益改善がみられました。また、BPOサービスにおいては大型案件を受注し、前連結会計年度に比べ大幅に業績を伸長させております。これらにより、人材セグメント全体としましては前連結会計年度に比べ大幅な増収増益となり、一昨年に迫る水準まで業績が回復いたしました。

・葬祭セグメント

葬祭セグメントは、エンディング関連事業で構成されております。

当社子会社の東京博善㈱において、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営している葬祭事業のほか、2022年3月より当社子会社の㈱広済堂ライフウェルが葬儀事業を開始しております。

葬祭セグメントは、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の蔓延による来場者の減少や葬儀の簡素化、酒類提供の自粛などにより業績に一定の影響がありました。しかし、業務の効率化や修繕費用の見直し、友引日営業の実施などにより火葬件数及び式場利用率が向上し、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。

 

(対処すべき課題)

今後のわが国経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルスによる経済活動の自粛ムードは収束していくものと考えられ、通常の経済活動への回復が進むものと予想されます。一方、世界的に地政学的な緊張関係は高止まりしており、ロシアによるウクライナ領土への侵攻に端を発する原油や食糧価格の高騰、日米の金融政策の相違による記録的な円安が進行するなど、新たなリスクが発生しています。また、新型コロナウイルス流行収束後においては、飲食業・旅行業の回復や国際的な人的交流の再開が見込まれるものの、いわゆる「ニューノーマル」の定着により、紙媒体の需要減少、多様なワークスタイル、葬儀の小規模化等は継続することが見込まれます。

このような状況のもと、当社グループは中期経営計画「廣済堂大改造計画2020」を推進してまいりました。2021年度においては、ホールディングス体制の構築を始め、印刷領域外の売上拡大、HRテックサービスの拡充、葬儀関連サービスの拡張など、当初掲げた主要な施策はおおむね実行が完了し、2022年度の目標としてきた営業利益31億円を1年前倒しで達成するなど結果も出ております。

そこで、「廣済堂大改造計画2020」にて改革した収益構造を更に拡大し、安定した成長軌道に乗せるべく、この度、新中期経営計画「中期経営計画2.0」を策定し、2022年5月20日に詳細を公表しております。

 

(中期経営計画)

新中期経営計画「中期経営計画2.0」について

 

1.基本方針

(1)葬儀業への進出

(2)「超高齢化社会」銘柄への脱皮

(3)復配及び株主還元の向上

 

2.定量目標

  当社グループ

 

2022年度

計画

2023年度

計画

2024年度

計画

売上高

37,800

40,600

44,400

営業利益

3,800

4,700

6,200

 

 

3.葬祭セグメントにおける長期展望

(1)既存敷地内の葬儀事業(東京博善スタイル)を通じてのノウハウ確立

東京博善スタイルを通じて新たに既存敷地外の葬儀事業を「広済堂スタイル」として確立し、私募REIT等の金融技術を活用した、スピーディな成長と減損リスクの回避を可能とするスキームを検討してまいります。

(2)ご来場者のデータベース化による取組み

東京博善の各斎場への年間70万人以上のご来場者をデータベース化し、データベースに基づいたサービスの提供を検討してまいります(相続対策、ご遺族へのメッセージ、相続税申告代行等)。

(3)「東京博善スタイル」のご葬儀の提案

火葬と葬儀の同一立地で実施できる「東京博善スタイル」の他県の自治体への提案を検討してまいります。また、火葬場の賃貸REIT化も検討してまいります。

 

さらに、1,300兆円以上といわれる高齢者金融資産を活用していただくためのサービスの提供も検討してまいります(金融商品販売、投資仲介、フィンテック、住宅のリノベーション、ローン、転売ファンド等)。

 

以上の長期展望における各新規事業の検討の結果、ある程度まで実現可能性が得られた場合は、適宜「中期経営計画2.0」をバージョンアップした中期経営計画を開示してまいります。

 

 

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