業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、茲許のウクライナ情勢もあり、需給や物流の混乱による物価上昇に拍車がかかり、また地域により濃淡はあるものの、依然として新型コロナウイルス感染症の影響が根強く残り、先行きの不透明感は拭えない状況です。

日本経済においては、原材料価格の上昇や円安進行に伴い、輸入物価上昇が見られ、また半導体や電子機器部品等の不足が長引き、自動車等の輸出が停滞気味であり、企業業績の不透明感は増しております。更には物価高が家計を圧迫し、個人消費の改善も見通し難い状況です。

このような状況の中、当社グループにおきましては、2021年5月に公表した「第3次中期経営計画」に基づき、中長期的な成長戦略の実現に向けた基盤構築を進めつつ、足許ではコロナ禍においても、取引先の生産計画変更等に対応すべく、生産体制の維持を図ってまいりました。

この結果、売上高は82,697百万円(前期比112.3%)となり、第3次中期経営計画の初年度目標である81,000百万円を上回りました。

利益面につきましては、原材料価格高騰に対する価格改定の遅れや価格改定後の更なる原材料価格の上昇によりハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品の収益性が悪化、また半導体等の不足や新型コロナウイルス感染症拡大等により工業品合成樹脂製品分野での工場稼働率が乱高下する等、非効率な生産を余儀なくされたことから、営業利益は1,970百万円(前期比68.1%)となり、第3次中期経営計画の初年度目標である3,400百万円を大きく下回りました。経常利益は為替差損益の改善等もあり、2,430百万円(前期比83.3%)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に計上のあった固定資産売却益及び収用補償金が発生しなかったこと、また法人税等調整額が増加したこともあり、1,058百万円(前期比35.2%)となりました。

 

 

 

 

 

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 

 

(日本)

工業品合成樹脂製品分野においては、半導体不足等の影響による取引先の生産調整もあり、車両関連の売上が減少する一方、在宅勤務の増加によるプリンター等の需要増加を受け、電機電子関連の売上が増加しました。またエネルギーや通信・デジタル関連等の新規事業分野への取組もあり、分野全体では売上は微増となりました。主力のハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品においては、巣ごもり需要の反動減以降も消費低迷が長く続いており、売上は大きく減少しました。利益面につきましては、物流効率改善や製品組立の自動化等によるコスト削減に取り組んでいるものの、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品の売上減少と原材料価格高騰の影響が大きく、減益となりました。

この結果、当セグメントの売上高は20,735百万円(前期比89.9%)となり、セグメント利益(営業利益)は669百万円(前期比37.2%)となりました。

 

(中国)

工業品合成樹脂製品分野においては、前期に比べ、総じて新型コロナウイルス感染症の影響が薄れ、生産活動自体が復調したこと、また一部取引先にて東南アジアから生産移管があり、製品に加え金型の受注が増加したこと、更には米ドル及び人民元に対し円安傾向で推移し、円換算金額が増加したこと等から、天馬精密注塑(深圳)有限公司及び天馬精密工業(中山)有限公司にて売上が大きく増加しました。ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品においては、コロナ禍等もあり、リアル店舗での売上は落ち込みましたが、EC販売の拡充に取り組み、分野全体では売り上げが微減にとどまりました。利益面につきましては、日本と同様、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品の原材料価格高騰に加え、人件費等の上昇、また主要取引通貨である米ドルに対し人民元高で推移したことから人民元建の支払が膨らみましたが、売上増加で吸収し、増益となりました。

この結果、当セグメントの売上高は21,396百万円(前期比122.1%)、セグメント利益(営業利益)は1,046百万円(前期比108.0%)となりました。

 

(東南アジア)

工業品合成樹脂製品分野において、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、一部の拠点にて1カ月程度の工場稼働停止を余儀なくされましたが、タイにて家電関連の挽回生産が多く見られたこと、またインドネシアにて前年度に落ち込んだ車両関連受注の反動増があったこと、更には原材料価格高騰分の売価反映もあり、売上は大きく増加しました。利益面につきましては、コロナ禍や半導体・電子部品等の不足により、取引先での生産計画変更が度重なり、当社の工場稼働率か乱高下する等、非効率な生産により収益性が低下しましたが、売上増加で吸収し、増益となりました。

この結果、当セグメントの売上高は40,566百万円(前期比122.8%)となり、セグメント利益(営業利益)は1,449百万円(前期比106.4%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて825百万円減少し、15,281百万円となりました。

 各活動別のキャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

棚卸資産の増加2,237百万円、法人税等の支払759百万円等がありましたが、減価償却費4,096百万円、税金等調整前当期純利益2,303百万円等があり、3,054百万円の増加(前期比は2,746百万円の減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

定期預金の払戻31,330百万円等がありましたが、定期預金の預入28,605百万円、有形固定資産の取得2,948百万円等があり、288百万円の減少(前期比は2,608百万円の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

自己株式の増加2,395百万円、配当金の支払1,841百万円等があり、4,724百万円の減少(前期比は483百万円の減少)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

日本

19,494,376

92.5

中国

20,243,146

121.5

東南アジア

38,934,072

122.9

合計

78,671,593

113.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格により算出しております。

3 金額には、消費税等は含まれておりません。

4 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。

 

  b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(千円)

前期比
(%)

受注残高
(千円)

前期比
(%)

日本

4,888,365

99.9

1,119,464

97.7

中国

19,394,967

153.8

2,043,056

126.5

東南アジア

40,862,141

122.9

3,730,597

111.1

合計

65,145,474

128.3

6,893,117

112.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額には、消費税等は含まれておりません。

3 主にハウスウエア合成樹脂製品分野については見込み生産を行っているため、受注実績には含まれておりません。

4 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

日本

20,735,214

89.9

中国

21,395,749

122.1

東南アジア

40,565,858

122.8

合計

82,696,820

112.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額には、消費税等は含まれておりません。

3 金額は、千円未満の端数を四捨五入して表示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって必要と思われる見積りは、過去の実績値や状況に応じ合理的と判断される前提に基づき実施しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(a)繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(b)減損会計における将来キャッシュ・フロー

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価格を下回る場合には、帳簿価格を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、割引前将来キャッシュ・フローの算定は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産及び資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の会計上の見積りに与える影響につきましては、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の追加情報に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品について、特に国内において、巣ごもり需要の反動減以降、景気回復の遅れもあり、売上が大きく減少しました。一方、工業品合成樹脂製品分野については、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体不足等による取行先の生産調整等がありましたが、挽回生産の動きも多く見られ、また原材料価格高騰分の売価反映もあり、売上は大きく増加し、ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品の落ち込みをカバーしました。この結果、売上高は82,697百万円(前期比112.3%)となりました。

 

(営業利益)

ハウスウエア合成樹脂製品分野及び関連商品について、物流効率の改善等に取り組み、一定の効果はありましたが、原材料価格高騰に対する価格改定の遅れ及び価格改定後の更なる原材料価格上昇の影響が大きく、減益となりました。工業品合成樹脂製品分野についても、取引先での生産計画変更等に伴い、当社工場の稼働率が乱高下する等、非効率な生産を余儀なくされたことから、収益性が悪化しました。この結果、営業利益は1,970百万円(前期比68.1%)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

営業外損益において、為替差損益が前期比で改善したこと等により、経常利益は2,430百万円(前期比83.3%)となりました。

一方、特別損益において、前期に計上のあった固定資産売却益や収用補償金が発生しなかったこと、また法人税等調整額が増加した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,058百万円(前期比35.2%)となりました。

なお、前期同様、新型コロナウイルス感染拡大により、一部の海外拠点において、各国政府からの感染拡大抑制の指示に従い一時的に工場を稼働停止した期間の固定費等(人件費、減価償却費等)を、新型コロナウイルス感染症関連損失として92百万円を特別損失に計上しております 。

 

(財政状態)

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,598百万円増加し、93,984百万円となりました。これは、現金及び預金が2,885百万円減少しましたが、原材料及び貯蔵品が1,713百万円、受取手形及び売掛金が991百万円、商品及び製品が780百万円、建設仮勘定が594百万円増加したこと等によります。

負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,296百万円増加し、20,787百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が837百万円、繰延税金資産が402百万円増加したこと等によります。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて302百万円増加し、73,197百万円となりました。これは資本剰余金が2,675百万円、利益剰余金が792百万円減少しましたが、為替換算調整勘定が3,526百万円、控除項目である自己株式が280百万円増加したこと等によります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは、国内及び海外拠点網の有機的な連携強化により、国内外での様々なニーズに迅速かつ的確にお応えし、グローバルベースで業容拡大を目指しております。特に、成長が期待される東南アジアでの事業拡大を図るため、各国にて積極的に設備投資を行っております。これらの投資資金につきましては、主にグループ各社の自己資金で賄うこととしております。

 

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