課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは「貢献」「信用」「誠実」を基本的理念として「お取引先様を最優先に思う心を常に忘れない会社」を目指し、提供する商品・サービスを通じてお取引先様と共存共栄することで株主様の利益拡大に寄与するとともに、社会その他すべてのステークホルダーへの責任を果たし続けることを経営の基本方針としています。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による企業収益の大幅な減少や雇用情勢の悪化など経済活動が停滞しており、依然として先行きは不透明であります。

 

(ファインケミカル事業)

 医薬品原料市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、国内・輸出ともに自社製造原薬であるアレルギー剤や、解熱鎮痛消炎原薬等の荷動きが低調に推移している状況となっております。一方でGE原薬を始めとした新規開発品目の納入実績もみられる状況となっております。

 また、医薬品CDMO市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による医療機関訪問の制限や患者さんの来院控えなどにより、臨床試験への影響が継続しており、顧客である製薬企業の一部において医薬品開発スケジュールに遅れや変更などが生じ、開発体制の見直しが生じている状況となっております。

 

(医薬事業)

 医療用医薬品市場におきましては、2020年に続く2021年4月の薬価改定、後発医薬品使用促進策の効果頭打ち、2021年12月に発生したジェネリック医薬品による健康被害に端を発する信用失墜に加え、新型コロナウイルス感染症対応に伴う緊急事態宣言の長期化など経営環境は非常に厳しい状況である一方、一般用医薬品市場におきましては、新型コロナウイルス関連製品の需要拡大が続いております。

 

(HBC・食品事業)

 化粧品原料市場におきましては、化粧品市場全体の出荷金額が21ヵ月連続(2021年9月現在)でマイナスになるなど低調に推移している状況である一方、通販化粧品市場におきましては、オンライン需要の高まりにより好調に推移している状況となっております。

 ドラッグストア・薬局・薬店を主とした市場におきましては、医薬品・化粧品の売上が落ち込み、減益となる企業が相次ぎ、都市部においては店舗撤退が目立つなど低調に推移したことで業界再編が活発化しました。

 食品原料市場におきましては、「巣ごもり需要」や免疫力の向上や体力増進・維持が期待できる商材の需要が旺盛で好調に推移したものの、業務向け等は依然として低調となり、原材料価格の高騰が随所に見られました。

 

(化学品事業)

 表面処理薬品市場におきましては、デジタル化の加速により関連市場は堅調に推移いたしましたが、半導体を中心として世界的にあらゆる部品・原料の調達不安が断続的に発生いたしました。また多くの原材料価格、物流費用が高騰傾向となるなど、製造・販売部門におきましてもサプライチェーン上の逆風が強く、厳しい状況となっております。

 表面処理設備市場におきましては、新型コロナウイルス感染拡大抑止のためのリモートワークや遠隔授業などが普及し、パソコンをはじめタブレット、サーバーなどの電子機器需要が急増する状況のなか、デジタルトランスフォーメーション(DX)やIoT化の動きが、新型コロナウイルス感染拡大により一気に加速しており、エレクトロニクス産業や電子回路・関連資機材市場に活気を与えております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としましては、中期的な経営戦略の実行及び実現に向け、これまで長きにわたって培われてきた良き企業文化はそのままに、成熟企業的な行動慣習を改め、経営品質を改革・向上させることが、非常に重要な課題であると認識しております。この課題に対処するために、当社グループは2021年6月に持株会社体制へ移行し、5事業をビジネスの主軸にするとともに、経営体制刷新による事業戦略の再構築を行いました。事業戦略再構築の基本方針として、「産業」「技術」「社会」のサステナビリティを高めることを目的とした3つのサステナビリティ戦略のもと、6つのビジネスモデルを定義し、グループ中長期ビジョン(Astena 2030 “Diversify for Tomorrow.”)を推進してまいります。

 

(4)経営戦略

 当社グループは2021年1月発表の「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」の実現へ向けて、ニッチトップ事業の磨き上げ・プラットフォーム事業への転換・新規事業への投資と育成の3つの基本戦略に基づいた経営を推進し、各種施策に取り組んでおります。

 

① ニッチトップ事業の磨き上げ

 当社グループにおける医薬事業及び化学品事業は、グローバル展開やカテゴリ選択により引き続き高い成長が見込めるため、これまでの戦略を継続し確実な成果をあげる。

(医薬事業)

・皮膚科領域をベースに、外皮用剤品目数及び生産キャパシティにおいてトップを目指す。

・グローバル要求水準に対応し、高活性注射剤CDMOのトップを目指す。

・外皮用剤、注射剤の導入、新薬共同開発、国内外の事業提携、M&A等により事業基盤の強化・拡大を目指す。

(化学品事業)

・エレクトロニクス実装市場のトレンドを捉え、ニッチトップ商品を継続的に開発する。

・ハイエンドパッケージ基板での地位確立、チップ部品用途の実績で台湾・中国大手での採用、半導体パワー・センサー系薬品の更なる差別化を図る。

・環境負荷低減を追求し、グローバル企業との共同開発による更なる成長を進める。

② プラットフォーム事業への転換

 当社グループにおけるファインケミカル事業及びHBC・食品事業は、商流や技術の中核に位置しており、今後、競争力の高い周辺領域に積極投資し、その繋ぎ合わせにより価値連鎖を実現させ、新たな価値提案を行う。

(ファインケミカル事業)

・CMC/CDMO事業と調達プラットフォーム事業を2本柱とし、原材料調達からCMC研究、原薬商用生産までの医薬品開発・製造の幅広いサービスを提供する。

(HBC・食品事業)

・原料ビジネスのDX化により、顧客の開発・調達プロセスにおける課題解決のプラットフォームを提供。同時に独自性を高めた商品・サービスの提供で市場価値を増大させる。

・ダイレクトマーケティング領域への投資を行い、領域特化型のネットワークを構築する。

③ 新規事業への投資と育成

 上記2つの基本戦略に加えて、将来の持続的ニーズを捉え、社会と共に成長していける製品(モノ)・サービス(コト)を創出し、現状の主力4事業に次ぐ、第5の主力事業を立ちあげる。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

 2025年11月期を最終年度とする中長期ビジョン「Vision“i-111”(アイ-トリプルワン)」においては、売上高と投下資本利益率(ROIC)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。

 

重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2025年11月期)

売上高=1,000億円

投下資本利益率(ROIC) =10.0%以上

 

 2030年11月期を最終年度とした新たな中長期ビジョン「Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”」においては、売上高と自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付け、目標の達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。

 

重要経営指標及び事業遂行上の重点指標の目標値(最終年度:2030年11月期)

売上高=1,300億円以上

自己資本当期純利益率(ROE) =13.0%以上

 

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