課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「スポーツを通じて、豊かで健やかな暮らしを実現する」を企業理念として掲げて、スポーツ衣料・スポーツ用品の企画・製造・販売、およびその他関連事業を行っております。

経営指針である「強い・速い・きれいな経営」のもと、持続可能な企業体質を求め、企業を取り巻く環境の変化に対応するよう絶えず経営体質の改善・改革に取り組んでおります。

また、平成24年からタグラインとして「スポーツファースト」を掲げ、グループ社員一同が、スポーツを第一に考え、スポーツを愛し、自ら実践し、スポーツのチカラを信じて日々の業務に精励しております。これはスポーツ基本法に掲げられる精神、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」に合致するものであり、当社は引き続きこの精神の浸透に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

主たる経営指標としては、自己資本利益率(ROE)の向上を目標とし、収益性・効率性の高い経営を目指しております。

具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、ROE18%以上を目標として取り組みます。

また、積極的に投資を推進する方針でありますが、経営の健全性を保つために有利子負債比率(D/Eレシオ)は0.3倍以下の維持を目標に取り組みます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症への警戒は続いているものの、消費行動は「withコロナ」へのシフトが進んでいる状況でもあります。

また世界的なインフレの加速、地政学的リスクの高まりによって、原材料価格および物流費用が高騰し、個人消費へ悪影響を与えることが懸念されています。

一方、コロナ禍での在宅時間の増加による日常着需要の増加や、密を避けたアクティビティとしてキャンプ需要が継続している等、働き方、暮らし方の多様化によって、当社を取り巻く顧客層の裾野の拡大が期待されています。

このような環境の下、当社グループでは、顧客や市場の変化に柔軟に対応することで、ブランド事業の収益基盤を強化し、企業価値を高める施策(課題)に取り組んでおります。顧客起点のさらなる強化戦略として、次の戦略を掲げております。

 

①  マルチブランド戦略

単一ブランドでは出来ない新しい市場を創造し、カテゴリー分類別にマルチブランド戦略を実践し、スポーツスタイルの提案を強化します。また、スポーツマーケットの領域を超え、ライフスタイル、ファッションマーケットに対しても、ブランドの地位を確立し存在感を発揮してまいります。

 

②  自主管理売場の強化

直営店とECサイト上での購買体験(オフラインとオンライン)の融合による小売機能の強化を図り、消費者ニーズを直接・間接的に汲み上げると同時にクリエイティブな提案を積極的に行います。

 

③  商品力の優位性の確立

各分野において、今まで以上に世界でもトップクラスの高機能・高品質を誇れる製品を開発し、市場においてもお客様にとっても絶対必要なブランドとしての地位を確立します。

 

④  グローバル市場への挑戦

国内のみならず海外市場においても、当社グループの商品力の優位性を背景に、オリジナルブランドを世界で展開していくための戦略の構築、布石に積極的に取り組んでいきます。

 

⑤  CSR・コンプライアンス体制

社会の中で信頼の置ける必要な会社であると認められるためには、取扱商品への高いニーズ・信頼性にはじまり、企業倫理・法令遵守はもとより、環境問題への積極的な取り組みをはじめとする持続可能な社会の実現に貢献することが重要な課題となります。

 

基本方針「成長分野への投資とレジリエンスを両立すべく、盤石な財務基盤の構築を図る」に基づき、重点課題として以下の施策を遂行すべくグループ全社を挙げて取り組んでまいります。

 

● 成功モデルの波及:THE NORTH FACEの成長余地の探求と成功モデルを波及させる

● 販売チャネルの多様化:VUCAの時代に対応した実需型ビジネスモデルの磨き上げを図る

● 環境配慮素材への移行:全ブランドで環境配慮素材への積極転換を進め、製品開発を強化する

● 高ROE経営の推進:盤石な内部留保を構築しつつ、成長領域への投資の両立を図る

 

(4) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループでは、長期ビジョン「PLAY EARTH 2030」のもと、「事業と環境の二つの側面におけるサステナビリティの両立」を目指し、事業構造を改革しております。2022年度、その取り組みの一環として、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに、当社グループの気候変動への取り組みを改めて整理いたしました。

①ガバナンス

当社グループでは、「ESG経営推進委員会」を設置し、気候変動をはじめとするサステナビリティに関連した重要事項の審議を実施しております。また、ESG経営推進委員会での審議結果は、内容の重要度を鑑み一年に一度、「取締役会」に報告され監督される体制となっております。

「ESG経営推進委員会」では、代表取締役社長を委員長とし、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する基本方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗状況に関する審議が行われます。ESG経営推進委員会は四半期に一度開催され、当社の取締役・監査役をはじめ、役員、部長職以上の全員とグループ会社社長が参加しております。「取締役会」では、気候変動に係る基本方針や重要事項を踏まえ、事業戦略の策定、投融資審査等を総合的に審議・決定しております。さらに、気候変動をはじめとする地球環境問題の改善に向けた実践組織として「EMS推進委員会」を設置しております。また、全社の製品や技術開発の中核を担う「開発委員会」の下部組織「GREEN IS GOODワーキンググループ」と連動して、グループ全体での環境への取り組みを推進しております。

 

②戦略

当社グループでは、2022年度に将来的な気候変動の影響を評価するためのシナリオ分析を実施いたしました。気候関連リスク・機会の分析においては、国際的に認められた複数の気候変動シナリオを参照しております。気候変動が当社グループに及ぼすリスク・機会の抽出と、長期戦略を検討するにあたり、国際エネルギー機関(IEA)が2021年に発表したNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2014年に発表した第5次評価報告書のRepresentative Concentration Pathways (RCP8.5)を参照し、分析いたしました。

事業戦略の妥当性や、2030年に向けた成長戦略の検討に向けて、1.5℃シナリオ、4℃シナリオの2つの気候変動シナリオに基づき、移行リスク・機会及び物理リスク・機会を抽出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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③リスク管理

当社グループは、経営課題に内在するさまざまなリスクに対応するため、ESG経営推進委員会、ガバナンス委員会をはじめとする各種の社内委員会を設定し、リスク管理、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

気候変動に伴うリスクと機会には、脱炭素社会への移行に起因するものと、気候変動の物理的な影響に起因するものが想定されます。こうした気候変動に伴う外部環境の変化を整理し、さらにアパレル産業への影響を評価した上で、当社グループの事業活動への影響度を鑑み、重要なリスクと機会を特定しております。特定したリスクと機会に関しては、ESG経営推進委員会にて報告され、対応方針、施策、目標の策定とともに審議されております。審議された内容は取締役会に報告され、その監督の下、最終決定されます。

また、経営戦略に関する意思決定など、経営判断に関するリスクについては必要に応じて法律事務所などの外部の専門家の助言を受け、関係部門において分析・検討を行っております。

 

④指標と目標

当社グループでは、長期ビジョン「PLAY EARTH 2030」のもと、環境問題への取り組みを最重要課題のひとつとして2030年、2050年を見据えた目標を設定しております。

地球環境の改善に向けた環境重要課題として「グリーンデザインの推進」「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」を掲げ、中期・長期の目標設定と環境改善に向けた具体策を進めております。

具体的には「グリーンデザインの推進」として環境負荷低減素材への移行を目標に、ブリュード・プロテインの開発拡大やリサイクル素材への転換推進、環境負荷低減副資材の活用などにより、2050年までに環境負荷低減素材を使用した製品比率100%(2030年までに環境負荷低減素材を使用した製品比率90%)を目指します。また、「脱炭素社会の実現」については、再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、サプライチェーンマネジメントの強化により、2050年にはサプライチェーンを含むカーボンニュートラル達成(2030年に全事業所・直営店におけるカーボンニュートラル達成)を目指しております。「循環型社会の実現」については、ファッションロス・ゼロを目標に、発注流動強化による総量規制やファッションロス・ゼロに向けた業界連携などを推し進め、2050年までにサプライチェーンを含む廃棄ゼロの達成(2030年までに製品・材料廃棄ゼロ達成)を目指す計画です。

 

 

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