業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

(連結業績)

・当期は、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言の再発令を受けて、対象地域店舗の臨時休業や外出自粛による影響が依然として大きかったものの、感染防止対策を講じたうえで営業を行い、約2カ月間休業した前期と比較すると営業日数は大幅に増加しました。

・グループ総取扱高は3兆3,734億円(前年比+16%、前年差+4,542億円)、フィンテックのカードクレジット取扱高が全体を牽引したことに加え、小売の客数が回復してきたことにより、初めて3兆円を上回り過去最高となりました。

売上収益は2,093億円(前年比+2%)と3期ぶりの増収、 営業利益は368億円 前年比+142% )、 当期利益は178億円(前年比+685%)とそれぞれ2期ぶりの増益となりました。

・EPSは85.81円(前年比+711%、前年差+75.23円)、利益増加と資本政策により前年を上回りました。ROEは6.5%(前年差+5.7%)と株主資本コスト(7.7%)を下回り、ROICは3.3%(前年差+1.9%)と資本コスト(WACC 3.5%)を下回りました。EPS・ROEは2020年3月期対比で約7割、ROICは約9割の水準となりました。

 

※「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、

・億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しています。

・当期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しています。当該会計基準等は遡及適用しており、前期・前期末との比較は遡及適用した後の数値と行っています。

 

 

□ 連結業績


 

営業利益増減の主な特殊要因

・売上収益は前期において、店舗に出店しているお取引先さまの休業期間中の家賃・共益費の免除により減少していたため、当期の営業利益の増益要因(42億円)となっています。

・販管費のうち、店舗の休業等期間に係る固定費(11億円)については特別損失へ振替えていますが、前期の振替額が大きかったため当期の販管費は増加し、営業利益が61億円減少しました。減少の内訳は、小売セグメントで56億円、フィンテックセグメントで5億円です。

・債権流動化による債権譲渡益(56億円)が前年に比べ23億円減少し、償却額・費用等(49億円)が12億円増加したため、営業利益が35億円減少しました。

・前期はカードキャッシングの利息返還に備えるため、利息返還損失引当金繰入額を232億円計上しましたが、当期は引当金の繰入が不要なため増益要因となっています。

・上記の特殊要因を除いた実質的な営業利益は、前年に比べ38億円の増益(小売+19億円、フィンテック+18億円)となります。

 

□ 営業利益増減要因


 

 

 

(セグメント別の状況)

・小売セグメントの営業利益は前年を5億円上回る20億円(前年比+33%)、2020年3月期比では約2割の水準で、ROICは0.7%(2020年3月期比差△2.7%)となりました。

・フィンテックセグメントは2期ぶりの増収増益、営業利益は前年を210億円上回り過去最高の412億円(前年比+104%)、ROICは5.0%(前年差+2.5%)まで大幅伸長しました。

 

□ セグメント営業利益


 

<小売セグメント>

・店舗をオンラインとオフラインの融合のプラットフォームと位置づけ、リアルならではの価値創出をめざし、売ることを目的としないD2Cブランドやネットサービスなどの体験型テナントの導入を進め「売らない店」の拡大に取り組みました。各店舗でアニメ、ゲーム、食、コスメなどのイベントを展開し、イベントが来店動機となる「イベントフルな店」への転換を推進しました。その結果、非物販カテゴリーのテナント面積構成は50%(前期末差+7%)となりました。

・当期は前期と同様、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言が発令されましたが、店舗休業期間が短かったことなどにより客数が前年を上回り、取扱高が増加し3期ぶりの増益となりました。

 

<フィンテックセグメント>

・戦略的に取り組みを進めている「家計シェア最大化」により、家賃払い、ECでのご利用、公共料金などの定期払いが継続的に伸長したことに加え、昨年大きく落ち込んだトラベル・エンターテイメント、商業施設、飲食でのご利用が回復してきたことで、カードクレジットの取扱高は過去最高となる3兆760億円(前年比+16%)を達成しました。

・エポスカードの新規会員数は61万人(前年比+16%)となり、期末会員数は714万人(前年比+1%)となりました。商業施設での入会、ネット入会がどちらも回復傾向にあることに加え、家賃保証をきっかけとする入会も順調に推移しました。

・商業施設との提携を進め、全国にエポスカード会員を拡大する取り組みを推進しています。提携施設数は38施設(前年差+5施設)に拡大し、施設と一体となってカードを活用した施設価値向上に取り組んでいます。

・アニメカードに代表される「一人ひとりの『好き』を応援するカード」は、店舗でのイベントやファンクラブサイトの運営など、独自性の高い取り組みをグループで推進し、ゴールドカードに次ぐ収益性の高いカードとなっています。

・2021年4月には、エポスカードのデザインを15年ぶりに刷新しました。非接触決済機能を搭載し廃棄プラスチックのリサイクル素材を採用した新カードにより、安全性と利便性の向上を図りました。さらに、お客さまのライフスタイル全般をサポートする新アプリを導入しました。ダウンロード数は145万人となり、ユーザーエクスペリエンス(UX)を飛躍的に高めることで、LTV(生涯利益)の向上をめざしています。

 

 

□ フィンテックセグメントの状況


 

(LTVの安定性を表す指標)

当社グループの収益構造はこれまでのビジネスモデルの転換にともない、店舗の不動産賃貸収入やカード手数料をはじめとする「リカーリングレベニュー(継続的収入)」(非監査情報)が拡大し、売上・利益に占める構成が大きくなりました。お客さま・お取引先さまとの契約に基づく継続的収入であるリカーリングレベニューからは、翌期以降の将来収益を「成約済み繰延収益」(非監査情報)としてとらえることが可能であり、収益の安定性を測る指標として使用できます。これらは、LTVを重視した当社グループの長期視点の経営において重要な要素であると考えています。

 

・当期のリカーリングレベニュー(売上総利益ベース)は1,276億円(前年比+3%)となり、売上総利益に占める割合は68.8%(前年差+0.7%)となりました。

・成約済み繰延収益の算出は、不動産賃貸収入は契約残年数、分割・リボ手数料やカードキャッシング手数料は返済期間、加盟店手数料(リカーリング分)はカード有効期間、家賃保証は保証期間をもとに行っています。

・当期末の成約済み繰延収益は3,376億円(前年比+1%)となり、当期の売上総利益の約1.8倍の将来収益が見込まれます。

 

□ LTV経営の指標


(注)売上総利益ベースのリカーリングレベニュー、およびその構成を算出する際の売上総利益には、販管費戻り(お取引先さまから継続的にいただく経費)を含めています。

 

(財政状態)

・営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)は、カードクレジットの拡大により5,717億円(前期末差+270億円)となりました。総資産は9,200億円(前期末差+188億円)となりました。

・有利子負債(リース債務を除く)は5,272億円(前期末差+426億円)となり、営業債権に対する有利子負債の比率は92.2%(前期末差+3.2%)となりました。

・自己株式の取得は、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画期間中に700億円(資本最適化に向けて500億円、株主還元として200億円)を予定していますが、1年目の当期は資本最適化に向けて300億円の取得を実施しました。自己資本は2,616億円(前期末差△280億円)となり、自己資本比率は28.4%(前期末差△3.7%)となりました。

 

 

□ バランスシートの状況


※1 流動化比率=債権流動化額/(営業債権+債権流動化額)

※2 営業債権比=有利子負債/営業債権

 

(キャッシュ・フローの状況)

・営業キャッシュ・フローは、115億円の収入(前期は222億円の収入)となりました。営業キャッシュ・フローから営業債権等の増減を除いた「基礎営業キャッシュ・フロー」(非監査情報)は、税引前利益の増加などにより、前期より180億円増加し、385億円の収入となりました。

・投資キャッシュ・フローは、有形および無形固定資産の取得85億円、投資有価証券の取得36億円などにより138億円の支出(前期は162億円の支出)となりました。

・財務キャッシュ・フローは、有利子負債の増加による426億円の収入や自己株式の取得による支出306億円、配当金の支払110億円などにより8億円の収入(前期は56億円の支出)となりました。

 

□ キャッシュ・フローの状況


 

(注) 当社グループでは営業キャッシュ・フローから営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)等の増減を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」を収益性・健全性の指標としています。

 

(生産、受注及び販売の状況)

① 生産の状況

連結財務諸表提出会社および関係会社において、該当事項はありません。

 

② 受注の状況

小売およびフィンテックの一部において受注による営業を行っており、当連結会計年度の受注額は9,532百万円(前年同期比127.2%)、当連結会計年度末の受注残高は2,508百万円(同126.3%)です。

 

③ 販売の状況

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

 

 

定期借家テナント収入等

36,473

110.1

商品売上高

5,425

70.3

受託販売手数料

5,454

95.4

消化仕入売上高(純額)

5,080

100.2

関連事業収入

20,505

103.7

小売計

72,940

102.2

フィンテック

136,383

101.2

合計

209,323

101.5

 

(注) 1  上記の金額は、外部顧客に対する売上収益を示しています。

2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前年比については、当該会計基準を遡及適用した後の数値との比較によるものです。

 

④ 仕入の状況

当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年比(%)

小売

2,147

61.4

 

(注) 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前年比については、当該会計基準を遡及適用した後の数値との比較によるものです。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

② 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

資本の財源および資金の流動性については「2 事業等のリスク」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」に記載しています。

 

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