事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)新型コロナウイルスの感染拡大について

新型コロナウイルスの感染拡大はまだ終息しておらず、ワクチンの早期接種が期待されておりますが、新たな変異株の発生も懸念されるため、終息の時期をまだ見通すことができておりません。感染拡大のよる行動制限等が長期化や強化された場合、当社の投資サービス事業と保険事業については、引き続き、セミナーやイベントの開催を含む対面を中心とした営業活動の制約を受けるとともに、景気後退による大口顧客の資金繰りの悪化等が収益の大幅な減少要因となり、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社は、引き続き、YouTube動画の配信やオンライン面談など非対面での営業手法を強化するとともに、テレワーク環境の整備と定着を進めることで、影響を最小限に抑えられるよう注力してまいります。

(2)商品先物市場及び金融商品市場の動向について

当社は、大阪取引所及び東京商品取引所が開設する商品市場に上場されている各種の商品先物取引について顧客の委託を受けて執行する業務(受託業務)、また、東京金融取引所が開設する金融商品市場に上場されている金融商品取引について顧客の委託を受けて執行する業務(受託業務)を主たる業務としており、当事業年度においては営業収益の約66%、営業総利益の約79%を商品先物取引業及び金融商品取引業に依存しております。

商品先物市場及び金融商品市場の相場や出来高は、商品の需給状況だけでなく、為替や景気の動向、国内外の政治・経済情勢など、市場を取り巻く様々な要因によって変動し、その市場動向は、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼします。

市場動向の予測は困難ですが、ボラティリティが低い環境下でも安定した収益が残せるよう、収益と人件費を中心とした管理費のバランスの見直しを図ってまいります。

(3)法的規制について

当社は、商品先物取引業者及び金融商品取引業者として、商品先物取引法、同施行令、同施行規則及び金融商品取引法、同施行令、同施行規則等の関連法令のほか、加盟する取引所及び日本商品先物取引協会、日本証券業協会等の加入団体による諸規則等の規制を受けております。

今後、法令違反等による許可の取り消し・業務停止等の行政処分を受けた場合、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、法改正等により、商品先物取引業者及び金融商品取引業者に対する規制が強化された場合、当社の経営成績及び財政状態は大きな影響を受ける可能性があります。

当社は、これらの法規制に抵触しないよう、コンプライアンスに関する各種の社内規程を整備するとともに、定期的な社内研修を通じて社内の周知・徹底を図り、法令遵守の徹底に努めております。

また、財務の健全性を維持するため、商品先物取引業者及び金融商品取引業者については、純資産額規制比率と自己資本規制比率の規定が設けられております。

純資産額規制比率は、商品先物市場において行う取引につき生ずる相場の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額として主務省令で定めるところにより算出した額に対する純資産額の比率で、純資産額規制比率が120%を下回る事態が生じた場合には、主務大臣は商品先物取引業者に対し商品先物取引業の方法の変更等を、また、100%を下回る場合には3ヶ月以内の期間の業務の停止を命じることができ、業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ、回復の見込みがないときは商品先物取引業者の許可を取り消すことができるとされています。また、金融商品取引業者は、自己資本規制比率の120%維持義務が規定されており、自己資本規制比率は、算出方法が金融商品取引法及び金融商品取引業に関する内閣府令に定められております。金融庁は、自己資本規制比率が120%を下回る事態が生じた場合には、業務の方法の変更を命じ、財産の供託その他監督上必要な事項を命ずることができ、100%を下回る場合には、3ヶ月以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命ずることができることとなっています。これらの水準を下回った場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2021年3月末日現在、当社の純資産額規制比率は412.4%、自己資本規制比率は275.3%となっており、当面は当社の事業に支障をきたすような水準に陥ることはないと考えておりますが、自己資本規制比率については日々数値を確認し、一定の水準に達した場合には、速やかに対策を講じられるよう準備を整えております。

(4)訴訟について

当社は、委託者(お客様)とのトラブルによる不測の損害が生じないよう、商品先物取引及び金融商品取引の受託業務の体制を整備しておりますが、当社が受託した商品先物取引及び金融商品取引に関し、当社の不法行為によって損害を被ったとして、当社を被告とする損害賠償請求が裁判所に提訴されるケースがあります。

なお、当事業年度末現在において、当社が受託した商品先物取引に関し、1件の損害賠償請求事件が係争中であります。これは、当社の不法行為によって損害を被ったとして、当社を被告とする損害賠償請求が裁判所へ提訴されたものであり、損害賠償請求額は9百万円であります。これに対し当社は不法行為がなかったことを主張しております。

また、金融商品取引に関し、2件の損害賠償請求事件が係争中であります。これらは、当社の不法行為によって損害を被ったとして、当社を被告とする損害賠償請求が裁判所へ提訴されたものであり、損害賠償請求合計額は37百万円であります。このうちの1件は、NYダウの急落によるロスカットで発生した立替金0.9百万円の請求を、当社を原告として裁判所への提訴したことに対して相手方が棄却を求め、別訴にて損害賠償請求を提訴されたものであります。これらに対し当社は不法行為がなかったことを主張しております。

これらの訴訟はいずれも現在手続が進行中であり、現時点では結果を予想することは困難でありますが、今後、同様の訴訟が発生しないよう、2021年度事業計画において「コンプライアンス意識の向上と、「お客様本位の業務運営に関する基本方針」を徹底する」ことを定め、全社員への周知を図っております。

(5)コンピューターシステムに関するリスクについて

当社は、お客様からのオンライントレードシステムによる売買注文の受付、大阪取引所及び東京商品取引所並びに東京金融取引所への売買注文の発注などをはじめ、多くの業務でコンピューターシステムを利用しております。当社は、費用対効果を考慮しつつ、システム投資を行い安定稼動に努めておりますが、回線障害、機器の誤作動、プログラムの不備、不正アクセス、自然災害などによりシステムに障害が発生した場合、当社の業務に支障が生じ、その規模によっては、経営成績及び財政状態に重大な影響を受ける可能性があります。

当社は、このような事態の発生の可能性を最小限に抑えるべく、年度ごとに「システムリスクの分析・評価」を実施し、優先度の高いものから対策を実行しており、またシステムの外部委託先については、毎年定期監査を行っております。

(6)個人情報の保護について

当社はお客様の個人情報を保有しております。当社は、2005年4月に施行された個人情報保護法に対応し、社内規則を制定するとともに役職員への啓蒙活動などにより、個人情報の保護に努めております。しかし、コンピューターシステムの不正使用や内部管理体制の瑕疵などにより、万一、個人情報が漏洩した場合には、当社は監督官庁からの行政処分や個人情報の本人からの損害賠償請求を受ける可能性があるほか、社会的な信用の失墜により経営成績及び財政状態に影響を受ける可能性があります。

当社は、このような事故が発生しないよう、社内規程を整備し、個人情報及びマイナンバーの取扱状況の点検と内部監査を定期的に実施して代表取締役社長に報告するとともに、個人情報の外部委託先についても、年1回定期的に取扱状況の調査を行っております。

(7)㈱小林洋行(親会社)との関係について

① 当社の㈱小林洋行グループ内での位置づけ

親会社の㈱小林洋行は、従来、当社と同じく商品先物取引業を主たる事業としておりましたが、2010年3月に商品先物取引受託業務を廃止しており、2011年7月1日付けで持株会社体制へ移行しております。

当社と親会社は別個に事業を営んでおり、当社は商品先物取引業以外に、金融商品取引業や保険募集業務、不動産の賃貸及び不動産の販売を行うなど、独自の戦略で社業の発展に努めております。

② ㈱小林洋行との取引関係

当社は、同社所有ビルを賃借して本社として使用しております。

同社との取引条件の決定に当たっては、市場価格等を調査・勘案のうえで合理的に決定することとしております。

③ ㈱小林洋行との人的関係(2021年6月29日現在)

当社役員7名のうち、㈱小林洋行の役員又は従業員を兼ねるものは以下の1名であります。

当社における役職

氏   名

親会社における役職

招 聘 等 の 目 的

取締役(非常勤)

渡辺 宏

取締役業務部長

当社の業務遂行に資する意見を得るため

 

(8)重要事象等について

当社は主たる事業である商品先物取引の市場規模の大幅縮小に伴い、2007年以降、保険募集業務、LED照明等の販売、不動産賃貸及び売買に参入するなど事業の多角化を進めるとともに、2015年に第一種金融商品取引業者の登録を完了し、2016年から金融商品取引へ参入することにより商品先物取引への依存度引き下げを図ってまいりました。この結果、2015年3月期及び2016年3月期は一旦営業黒字となったものの、それ以降は自己売買業務が低調となったため、前事業年度まで4期連続で営業損失を計上しております。前事業年度の第4四半期は、金融商品取引受託業務の伸展等で黒字化するまで業績は回復しておりましたが、当事業年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、109百万円の営業損失(5期連続営業損失)を計上する結果となり、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当社は、以下に示す課題への対処を的確に行うことにより業績の黒字化を達成し、早期に継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が解消されるよう取り組んでまいります。

「投資サービス事業」につきましては、引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大に備え、YouTubeでの動画配信など非対面での営業手法を整備するとともに、営業社員の増員や、小規模な地方セミナー開催による顧客接点の増加等により、金融商品取引を中心とした新規顧客層の拡大に努めてまいります。また、営業社員の金融リテラシー向上等により顧客満足度を高め、安定的な顧客基盤を確立するとともに、業績給等の営業経費削減による収益力の強化に努めてまいります。

「生活・環境事業」の保険募集業務につきましても、新型コロナウイルス対策としてテレワークなど社内環境の整備と利用の定着を進めるとともに、社会情勢の変化と広範な顧客ニーズに応えるため、営業社員の総合的なスキルアップを図り、保険商品のみでなく付帯サービスも含めた対応力を強化することで顧客満足度を高め、顧客基盤の安定化と拡大を図ってまいります。また、既存顧客に対する生損保のクロスセルも強化して、収益の拡大を図ってまいります。

不動産業につきましては、今後も、コロナ禍の不動産市況への影響を注視しながら仕入活動を強化することで、短期の効率的な資金回転を目指す販売事業(フロー)と安定した賃料収入を確保する運用事業(ストック)の両事業を推進し、堅固な事業基盤を確立するとともに、いかなる経済環境下においても持続的かつ安定した収益が確保できるよう取り組んでまいります。

また、当社は上記施策による既存事業の収益力強化と、徹底した営業経費の見直しによるコストダウンにより安定的な収益基盤の確立を図るとともに、コンプライアンス意識の向上と「お客様本位の業務運営方針」の浸透を全社員へ徹底して企業価値を高めてまいります。

なお、当社の財政状態は、自己資本が2,008百万円、現金及び預金残高が1,159百万円となっており、また、外部借入にも依存しておりません。以上のことから、翌事業年度の事業計画に基づく資金計画により評価を実施した結果、当社は資金面に支障はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

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