事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、「事業環境・ビジネスモデルに影響を与えるリスク」「安全・安心の確保に関するリスク」「経営資源の確保に関するリスク」「ガバナンスに関するリスク」の4つを設定いたしました。それぞれのリスク顕在化を防ぐための取り組みは以下に記載のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境・ビジネスモデルに影響を与えるリスク

① 法的規制 

東武鉄道が展開している鉄道事業においては、鉄道事業法第3条により、路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の認可を受けなければなりません。同様に、運賃の設定・変更についても同法第16条により、鉄道事業者は旅客運賃等の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならず、国土交通大臣は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して認可しております(総括原価方式)。また、認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を設定・変更する場合は、国土交通大臣に届け出ることとなっております。

鉄道を取り巻く社会経済環境が大きく変化している中、コストコントロールを徹底しても生じる原価を適時適切に運賃に反映できない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各種事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 出生率の低下による人口減少・少子高齢化の急激な加速

わが国の合計特殊出生率は2016年より減少傾向に転じ、出生数の減少も続いております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により出生率と出生数の低下にさらに拍車がかかり、今後地域によって差はあるものの、人口減少と少子高齢化が進行することが想定されます。

そのため、当社グループにおいては、相互直通運転を活用したシームレスな輸送をはじめ利便性や速達性の向上により快適な通勤・通学輸送と魅力ある観光輸送の提供、ならびに良質で暮らしやすい住環境の提供や観光誘客を推進しております。これらの取り組みをとおして当社沿線の価値向上を図り、定住化促進と交流人口の創出に努めております。

しかしながら、消費活動の基盤となる人口減少と少子高齢化が沿線地域で急激に加速した場合、鉄道事業を中心に東武沿線を主たるマーケットとして事業を展開している当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ライフスタイルの変化

昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大により、働き方や日常生活において新しい生活様式が浸透し、今後もニーズの変化・多様化が続き、新型コロナウイルス感染症発生前の状態には戻らないことが推測されます。

そのため、当社グループにおいては、事業環境が変化する中でも利益を確保できるよう事業構造改革を行い、事業運営体制の見直しやコスト削減施策による効率化と省力化を進めてまいります。また、EC事業の拡張や「TOBU POINT」を活用したデジタルマーケティングに取り組むほか、郊外居住需要の高まりをビジネスチャンスと捉えたサービスの提供を進める等、事業の持続的発展を目指してまいります。

しかしながら、通学やレジャーなどで移動を前提としないライフスタイルが定着した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競争環境の変化

当社グループは、鉄道事業をはじめ幅広い事業を展開しており、事業環境の大きな変化や急速な技術革新に伴う新たな競合サービス・競合事業者の出現等により、需給関係の悪化や競争激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、事業環境の変化やお客様ニーズの変容を的確にとらえ、グループ各社で培ったノウハウやデジタル技術などを活かしつつ、新たな技術や外部からの知見を取り入れて事業に活かしてまいります。それにより、お客様へ最適なサービスを迅速かつ柔軟に提供しサービス向上を図るとともに、生産性を向上することで利益の確保につなげてまいります。

 

⑤ パンデミック等の発生

パンデミック等により外出制限や出控えが発生した場合には、運輸事業やレジャー事業を中心に利用者が急減し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、パンデミック等により従業員の感染が多発した場合には、事業運営に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、お客様が安全・安心に利用いただけるよう感染症対策等に継続して取り組むとともに、事業継続計画(BCP)を策定する等、各種対策を行っております。特に、新型コロナウイルス感染症に対しては、換気の徹底、抗ウイルス・抗菌加工、抗菌清掃の実施などお客様や従業員への感染予防対策を最大限図るとともに、鉄道事業をはじめ国民の安定的な生活の確保に欠かせない事業を継続しつつ、感染症拡大の抑止と早期の業績回復に向けた取り組みを行っております。

 

(2)安全・安心の確保に関するリスク
① 安全・安心の確保 

当社グループでは、安全・安心の確保はお客様の信頼を得るうえで最も重要であると考え万全を期しておりますが、万が一、重大な事故を発生させ長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、「安全はすべての事業の根幹である」との信念のもと、お客様と従業員の安全確保を最優先に安全管理体制の確立に努めるとともに、安全のための設備投資や教育・訓練などに継続して取り組み、安全・安心の確保に努めております。

 

② 気候変動及び自然災害等の発生による事業運営・維持への影響

当社グループは、鉄道事業を始め幅広い事業を展開しております。近年の平均気温の上昇等の気候変動は大型台風や線状降水帯の頻発をはじめとした異常気象の発生リスクを高めており、大規模な自然災害につながる可能性があります。これに加え、テロ・不測の事故などの発生により長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、大規模な自然災害等の緊急事態に備え事業継続計画を整備するなど危機管理体制の充実強化に努めるとともに、自然災害に強いインフラの整備やテロ対策など、安全確保のための対策にも継続して取り組んでまいります。

また、気候変動に対しては、温室効果ガスの排出削減への取り組みが重要と認識しております。当社グループでは、高効率車両への置き換えや設備更新などにより省エネ化を進めるほか、これらの取り組みについて適切な開示に努めるなど、地球温暖化防止のための各種対策を行っております。

 

③ 情報セキュリティ対策

当社グループは、様々な業務分野において多くの情報システムを使用しております。これらへのサイバー攻撃や不正なアクセス、コンピューターウィルスへの感染や人為的不正操作等により当該システムの機能に重大な障害が発生した場合には、事業の運営に支障し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては『情報セキュリティポリシー』に則り、規程類を整備し情報セキュリティ機能向上や社員教育を実施するとともに、問題が発生した場合においても、当社グループ全体で迅速に対応できる体制を整備しております。

また、サプライチェーンに対してもセキュリティ対応を強化すべく、協力を要請しております。

 

④ 個人情報の管理

当社グループは、各事業において顧客の個人情報を含むデータベースを管理しており、情報が流出した場合には損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、情報の取得及び利用に際しての社内での保護規程類を定め管理体制を整備するとともに社員教育を実施し、関係者の情報管理を徹底するほか、情報処理を社外に委託する場合も秘密保持の整備、監督を強化する等、取り扱いには十分留意し情報管理を行っております。

 

 

(3)経営資源の確保に関するリスク

① 人材確保

当社グループは、鉄道事業をはじめ多くの労働力を必要としており、人材の確保のために、「健康経営」の強化を土台にしつつ、多様な知識や価値観を持つ人材の登用や育成、安定した雇用や多様化する働き方への対応、福利厚生の充実等、働きやすく働き続けられる就労環境の確保を図ってまいります。さらに、デジタル技術の活用等により生産性の向上を進め、人材を効率的に活用する事業運営体制を構築してまいります。

しかしながら、出生率の低下による人口減少と高齢化は、一層早いスピードで進むことが想定され、労務費の高騰及び人材確保が困難となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 有利子負債残高の増加並びに調達金利の変動

当社グループは、各事業で継続的に行っている設備投資等の必要資金を、主として社債や金融機関からの外部借入れによって調達しております。特に新型コロナウイルス感染症の拡大による収益の低下による借入額の増加により、有利子負債残高が高水準となっております。今後、金利上昇が顕著になった場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利負担の増大や資金調達条件の悪化を招くことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、昨今の金利上昇傾向を踏まえて連結有利子負債残高の適切な管理に努め削減を図るとともに、資金の調達手段の多様化を進めることにより、中長期の金利環境を勘案しつつ適時最適な方法による調達を行っております。

 

③ 原材料や資源の価格高騰ならびに調達不足

当社グループは、鉄道事業をはじめとして多くのインフラ設備を活用し、動力として電力や燃料を使用しております。また、各事業においてはさまざまな原材料を使用しています。自然災害の発生や海外情勢の悪化などにより原材料や資源の価格が高騰ならびに調達が不足した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては省エネに資する高効率車両や設備を導入するほか、設備の適正化や見直しによるエネルギー消費や温室効果ガス排出量の削減、適切な時期での調達を行う等、コスト抑制とともに持続可能な社会の構築に取り組んでおります。

 

④ 保有資産の価値下落

当社グループは、多様な事業展開を行う上で必要な資産や、株式などの投資有価証券等を保有しております。収支管理の徹底や事業構造改革の実施により、事業採算性を高め資産価値の向上を図るとともに、投資有価証券については保有意義の検証を行い、中長期的に希薄と考えられる場合は段階的に縮減を図っております。

しかしながら、保有資産のキャッシュ・フロー創出力の低下や株価の大幅な下落等によりその時価が著しく下落した場合は、減損損失または評価損等を計上することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)ガバナンスに関するリスク
① コンプライアンス

当社グループは、各種事業において関係法令を順守して事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合には、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、「東武グループコンプライアンス基本方針」を制定し、コンプライアンスマニュアルの整備やグループ全社員へコンプライアンス教育の強化を図るなど、法令順守の徹底と不祥事発生の防止に努めるほか、東武グループ全社員に対して内部通報窓口の周知による利用促進等を行うなど、コンプライアンスの確保に取り組んでおります。

 

② 人権

当社グループにおいては、働きやすい制度や職場環境を整備し多様な人材が活躍しておりますが、人権を侵害する問題が発生した場合には、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、人権について組織的・継続的に教育を行う体制を整え、社員の正しい認識と理解を深めるとともに、社員が活き活きと働くことのできる職場環境づくりに引き続き取り組むなど、人権の尊重に向けて継続して取り組んでおります。

 

なお、上記は当社グループの事業等について予想される主なリスクを例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

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