業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、依然として厳しい状況にあります。先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進する中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されておりますが、国内外の感染症の動向やウクライナ情勢の影響等については十分注視してまいります。

 このような状況の中、当連結会計年度においては、「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに、2023年度を最終年度とする3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」を策定し、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とした取り組みを進めてまいりました。

 「経営改革」については「アセットライトな事業運営」「損益分岐点の引き下げ」「ニューノーマルに合わせたサービス変革」に取り組んでまいりました。中でも「アセットライトな事業運営」に対しては、繰り返し起こると想定される危機に対してより強固な体質を構築すべく、ポートフォリオ見直し、ビジネスモデル変革に取り組んでまいりました。2021年7月1日には西武建材株式会社の株式譲渡、2021年12月に新横浜スクエアビルなどオフィスビルの流動化を実施いたしました。

 また、グループの保有資産の価値極大化及びホテル・レジャー事業と不動産事業の競争力向上のため、ホテルなどについて、資産保有とオペレーションを切り離し、ホテルオペレーター会社となる「株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(2021年12月13日設立)」と、株式会社プリンスホテルが保有するホテル・レジャー事業の資産も集約し総合不動産会社としてグループの保有資産の価値極大化をはかる「株式会社西武リアルティソリューションズ(2022年4月1日株式会社プリンスホテルから商号変更)」へのグループ内組織再編を実施いたしました。合わせて、ホテル・レジャー事業の一部資産の流動化について協議を進め、2022年2月10日には、GIC Private Limited(以下「GIC」といいます。)の関係会社であるReco Pine Private Limitedとの間で、株式会社プリンスホテル(現株式会社西武リアルティソリューションズ)が保有するホテル・レジャー事業の一部資産31物件について、収益の極大化を企図するとともに、当社グループのアセットライト化の推進とホテル・レジャー事業の一層の発展、さらには当社グループ全体の企業価値の極大化につなげ、当社グループとGICとの長期的なパートナーシップを構築することを目的として、法的拘束力を有する基本協定書を締結いたしました。流動化実施後(2022年度予定)においては株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが対象物件の運営業務を受託することとしており、GICとの長期的かつ強固なパートナーシップに基づき、GICが国内外において有するホテル経営の知見及び資金力を活用した安定的な成長投資により、また、GICが有する国内外の豊富なネットワークの活用により、ホテル・レジャー事業に係る資産の本源的な価値の極大化及び業界No.1のホテルチェーンの構築を実現し、当社グループの「企業価値向上の原動力」であるホテル・レジャー事業の中長期的な成長をはかってまいります。

 さらに、一歩踏み込んだ事業ポートフォリオの見直しとして、西武建設株式会社について、2022年3月31日に株式会社ミライト・ホールディングスへ株式の95%を譲渡いたしました。

 

 「ニューノーマルに合わせたサービス変革」に対しては、「プリンスグランドリゾート軽井沢」を国内を代表する「ワーケーションリゾート」としての地位確立を目指すエリアと位置づけ、東日本旅客鉄道株式会社などと連携し、施設やサービス、商品の充足をおこないました。さらに、アウトドア事業領域の拡大に向け株式会社R.projectと提携いたしました(2021年10月1日「株式会社ステップアウト」設立)。

 

 「デジタル経営」については、「グループマーケティング基盤」の構築や会計システムの更改などの取り組みを進めてまいりました。

 「サステナビリティ」については、引き続き安全、環境、社会、会社文化の4領域12項目のアジェンダにおいて持続可能な社会実現のため「サステナビリティアクション」に取り組んでまいりました。中でも、環境への取り組みは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同や、2020年度に設立した西武アグリ株式会社などにより西武グループ初となるソーラーシェアリングを開始するなど、気候変動が進む中でリスク・ビジネス機会双方の影響を適切に認識し、積極的に対応していく「グリーン経営」の実現に努めてまいりました。

 

 当連結会計年度における経営成績の概況は、新型コロナウイルス感染症流行やそれにともなう緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化などにより引き続き厳しい事業環境下にありましたが、休業した施設数の減少や秋口からの外出需要の持ち直しに加え、コロナ禍におけるお客さまのニーズに合わせたサービス提供も寄与し、営業収益は、3,968億56百万円と前期に比べ597億95百万円の増加(前期比17.7%増)となりました。休業期間中の一部施設における固定費の特別損失への振替計上額が減少したものの、増収に加え、役員報酬や従業員賞与の減額、さらには、車両運用の見直しやバス路線の再編、業務の内製化などの固定費削減につながる取り組みも寄与し、営業損失は、132億16百万円と前期に比べ383億70百万円の改善(前期は、営業損失515億87百万円)となり、償却前営業利益は、424億15百万円と前期に比べ405億32百万円の増加(前期は、償却前営業利益18億82百万円)となりました。

 経常損失は、174億40百万円と前期に比べ413億45百万円の改善(前期は、経常損失587億85百万円)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、西武建設株式会社の株式譲渡にともなう売却益の計上などにより106億23百万円と前期に比べ829億24百万円の改善(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失723億1百万円)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の営業収益は98億18百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」をご参照ください。

 

 各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

営業収益

 

 

営業利益

 

償却前営業利益

セグメントの名称

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

 都市交通・沿線事業

131,331

8,734

7.1

△5,748

4,068

16,754

4,362

35.2

 ホテル・レジャー事業

133,180

49,130

58.5

△28,050

25,362

△11,128

27,016

 不動産事業

59,186

3,790

6.8

19,854

4,431

28.7

31,733

4,290

15.6

 建設事業

79,742

△16,391

△17.1

3,903

△155

△3.8

4,195

△357

△7.9

 その他

32,761

6,000

22.4

△3,256

4,306

837

4,337

 合計

436,203

51,264

13.3

△13,298

38,013

42,392

39,649

 調整額

△39,347

8,530

82

357

22

883

 連結数値

396,856

59,795

17.7

△13,216

38,370

42,415

40,532

(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。

2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。

 

①都市交通・沿線事業

 都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

 

営業収益

122,597

131,331

8,734

 

 鉄道業

77,330

83,429

6,098

 

 バス業

18,081

20,320

2,238

 

 沿線生活サービス業

21,516

21,360

△155

 

 スポーツ業

2,556

2,932

375

 

 その他

3,112

3,288

176

 

 鉄道業やバス業では、新型コロナウイルスに関連する感染予防を徹底するとともに、混雑状況の開示充足などピーク時間帯における需要分散施策に加え、車両運用の見直しや需要に合わせたバスの減便、運休などの固定費削減策をおこないました。加えて、西武鉄道株式会社では、生活様式の変化を踏まえ、ご利用状況に応じたダイヤ改正に向けて準備を進め、2022年3月12日に実施いたしました。

 沿線生活サービス業では、2021年5月19日に心あたたまる幸福感に包まれる新しい「西武園ゆうえんち」をグランドオープンし、近場のレジャー需要喚起に取り組みました。

 都市交通・沿線事業の営業収益は、一進一退する感染状況や緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化に加え、新型コロナウイルス感染拡大前と比較し、リモートワークの広がりなどによる定期券利用の減少などもありましたが、上記取り組みや秋口からの外出需要の持ち直しなどにより、1,313億31百万円と、前期に比べ87億34百万円の増加(同7.1%増)となりました。なお、鉄道業の旅客輸送人員は前期比7.6%増(うち定期2.9%増、定期外16.0%増)、旅客運輸収入は、前期比8.9%増(うち定期0.3%増、定期外17.2%増)となりました。営業損失は、西武園ゆうえんち開業にともなう一時的なコスト増があったものの、増収により57億48百万円と前期に比べ40億68百万円の改善(前期は、営業損失98億17百万円)となり、償却前営業利益は、167億54百万円と前期に比べ43億62百万円の増加(同35.2%増)となりました。

 なお、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度における都市交通・沿線事業の営業収益は32億39百万円減少しております。

 都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。

 

(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)

種別

単位

2021年3月期

2022年3月期

 営業日数

365

365

 営業キロ

キロ

176.6

176.6

 客車走行キロ

千キロ

176,087

175,102

 輸送人員

 定期

千人

303,513

312,309

 定期外

千人

168,709

195,756

千人

472,222

508,066

 旅客運輸収入

 定期

百万円

34,755

34,861

 定期外

百万円

36,107

42,308

百万円

70,863

77,169

 運輸雑収

百万円

3,641

3,594

 収入合計

百万円

74,504

80,764

 一日平均収入

百万円

194

211

 乗車効率

27.0

29.3

(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。

2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。

3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。

 

②ホテル・レジャー事業

 ホテル・レジャー事業の内訳はホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)、海外ホテル業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

 

営業収益

84,050

133,180

49,130

 

 ホテル業(シティ)

32,119

50,738

18,618

 

 ホテル業(リゾート)

16,647

25,593

8,946

 

 海外ホテル業

9,587

23,368

13,780

 

 スポーツ業

12,760

16,918

4,157

 

 その他

12,934

16,562

3,627

(注)1  ホテル業(シティ)には主に大都市圏の中心商業地域やターミナル及びその周辺地域に立地するホテルを含んでおります。ホテル業(リゾート)には主に観光地や避暑地に立地するホテルを含んでおります。

    2  以降の項目において、ホテル業(シティ)に属するホテルを「シティ」、ホテル業(リゾート)に属するホテルを「リゾート」と称する場合があります。

    3  会員制ホテル事業プリンス バケーション クラブはリゾートに含んでおります

 

 ホテル業では、株式会社アルムと提携したPCR検査付き宿泊、宴会プランや、新型コロナウイルスワクチン接種済みの方を対象としたプランの販売など、お客さまにこれまで以上に安全・安心を追求したサービスを提供してまいりました。また、軽井沢エリアにおけるワーケーション滞在拠点として、2021年4月27日に軽井沢プリンスホテル ウエストをリニューアルオープンいたしました。さらには、コロナ禍で落ち込む観光需要の回復に向けて、日本航空株式会社との協業を開始するなど、お客さまの価値変容・行動変容に合わせたサービス変革を進めました。

 そのほか、次世代型ホテルブランド「プリンス スマート イン」2施設でリース方式による運営を開始いたしました。

 全体を通じては、営業内容の機動的な変更や業務の内製化により効率的なオペレーションを追求するなど、固定費削減策を実行いたしました。

 ホテル・レジャー事業の営業収益は、一進一退する感染状況や緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化などもあり、引き続き厳しい事業環境となりましたが、休業した施設数の減少や秋口からの外出需要の持ち直し、上記取り組みに加え、東京オリンピック・パラリンピックの開催による利用、海外ホテル業におけるハワイの利用回復などにより、1,331億80百万円と、前期に比べ491億30百万円の増加(同58.5%増)となりました。なお、ホテル業のRevPAR(注)については、4,910円と前期に比べ1,882円増となりました。営業損失は、休業期間中の一部施設における固定費の特別損失への振替計上額が減少したものの、増収により、280億50百万円と前期に比べ253億62百万円の改善(前期は、営業損失534億13百万円)となり、償却前営業損失は、111億28百万円と前期に比べ270億16百万円の改善(前期は、償却前営業損失381億45百万円)となりました。

 なお、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度におけるホテル・レジャー事業の営業収益は17億88百万円減少しております。

 

 (注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。

 

 ホテル・レジャー事業のホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)及び海外ホテル業の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(ホテル業の施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 シティ

15

10,618

210

51,047

  高輪・品川エリア

4

5,138

103

20,322

 リゾート

31

6,739

83

21,824

  軽井沢エリア

3

687

11

3,670

(注)1  面積1,000㎡以上の宴会場は20室であります。

2  シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。

3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

5 リゾートの施設数、客室数に会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」の3施設71部屋を含んでおります。

 

(海外ホテル業の施設概要)

 

施設数
(か所)

 

客室数
(室)

 

うち直営・リース

うち直営・リース

 海外ホテル業

33

6

5,570

1,610

  ハワイエリア

3

3

1,064

1,064

  The Prince Akatoki

1

1

82

82

(注)1 海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。

   2 ハワイエリアに含まれるホテルとはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルを指します。

 

(ホテル業の営業指標)

 

2021年3月期

2022年3月期

RevPAR(円)

 シティ

2,540

4,091

  高輪・品川エリア

1,622

3,341

 リゾート

4,021

6,666

  軽井沢エリア

10,674

15,440

宿泊部門全体

3,029

4,910

 

平均販売室料(円)

 シティ

15,267

14,305

  高輪・品川エリア

14,031

14,521

 リゾート

18,980

19,093

  軽井沢エリア

33,095

31,820

宿泊部門全体

16,699

16,043

 

客室稼働率(%)

 シティ

16.6

28.6

  高輪・品川エリア

11.6

23.0

 リゾート

21.2

34.9

  軽井沢エリア

32.3

48.5

宿泊部門全体

18.1

30.6

 

(注)1  シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。

2  高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

3  軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

4  RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。

5  ホテル業の営業指標については、工事等により営業休止中の施設・客室を含んでおりません。

  また、新型コロナウイルス感染症流行による臨時休業中の施設・客室を含んでおります。

6 会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」はリゾートに含んでおります。

 

(海外ホテル業の営業指標)

・ハワイエリアの営業指標

 

2021年3月期

2022年3月期

 RevPAR (円)

9,184

29,466

 RevPAR (米ドル)

86.64

272.83

 平均販売室料 (円)

36,368

40,210

 平均販売室料 (米ドル)

343.10

372.32

 客室稼働率 (%)

25.3

73.3

 

 

   ・The Prince Akatoki Londonの営業指標

 

2021年3月期

2022年3月期

 RevPAR (円)

6,143

9,697

 RevPAR (ポンド)

45.51

66.54

 平均販売室料 (円)

29,772

42,763

 平均販売室料 (ポンド)

220.57

293.43

 客室稼働率 (%)

20.6

22.7

     (注)1  海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。

2  ハワイエリアに含まれるホテルとはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルを指します。

3  RevPARとはRevenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を、客室総数で除したものであります。

 

(ホテル業における宿泊客の内訳)

(単位:名、%)

 

2021年3月期

比率

2022年3月期

比率

 宿泊客

1,510,082

100.0

2,260,654

100.0

   邦人客

1,506,310

99.8

2,236,758

98.9

   外国人客

3,772

0.2

23,896

1.1

 

③不動産事業

 不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

 

営業収益

55,395

59,186

3,790

 

 不動産賃貸業

46,527

46,943

415

 

 その他

8,867

12,242

3,374

 

 不動産賃貸業では、軽井沢エリアにおける「ワーケーションリゾート」の取り組みの一環として野村不動産株式会社や東日本旅客鉄道株式会社と連携し、軽井沢・プリンスショッピングプラザ内にワーケーション施設「Karuizawa Prince The Workation Core」を開業しました。

 また、PM、BM業務の内製化など、固定費削減策に取り組みました。

 不動産事業の営業収益は、一進一退する感染状況や緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化などもありましたが、休業した施設数の減少や秋口からの外出需要の持ち直しに加え、2020年9月に開業した所沢駅東口駅ビル計画「グランエミオ所沢」第Ⅱ期の収益寄与、分譲地販売件数の増加のほか、東京ガーデンテラス紀尾井町のテナント一部退去にともなう解約金計上などもあり591億86百万円と、前期に比べ37億90百万円の増加(同6.8%増)となり、営業利益は、198億54百万円と前期に比べ44億31百万円の増加(同28.7%増)となり、償却前営業利益は、317億33百万円と前期に比べ42億90百万円の増加(同15.6%増)となりました。

 なお、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度における不動産事業の営業収益は30億8百万円減少しております。

 

 不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(建物賃貸物件の営業状況)

 

期末貸付面積 (千㎡)

期末空室率 (%)

 

2021年3月期

2022年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 商業施設

246

245

2.7

2.0

 オフィス・住宅

205

195

3.5

8.0

(注)土地の賃貸は含んでおりません。

 

④建設事業

 建設事業の内訳は建設業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

 

営業収益

96,134

79,742

△16,391

 

 建設業

68,644

61,380

△7,264

 

 その他

27,489

18,362

△9,127

(注)建設業には西武建設株式会社による兼業事業売上高を含んでおります。西武建設株式会社は、保有不動産の一部を賃貸しており、当該売上高を建設業の営業収益に計上しております。

 

 建設業では、公共工事や民間住宅工事、リノベーション工事の施工を進めたほか、厳正な受注管理や原価管理の徹底に加え部門構成の刷新を進めるなどにより、利益率の改善に努めてまいりました。

 建設事業の営業収益は、西武建材株式会社の株式譲渡やグループ内工事の減少などにより、797億42百万円と前期に比べ163億91百万円の減少(同17.1%減)となりました。営業利益は、39億3百万円と前期に比べ1億55百万円の減少(同3.8%減)となり、償却前営業利益は、41億95百万円と前期に比べ3億57百万円の減少(同7.9%減)となりました。

 なお、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度における建設事業の営業収益は13億6百万円減少しております。

 

 建設事業の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(建設業の受注高の状況)

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

 期首繰越高

77,871

68,454

 期中受注高

58,890

51,407

 期末繰越高

68,454

58,033

 

⑤その他

 スポーツ事業においては、2021年3月にリニューアルオープンしたベルーナドームでその機能を最大限活用したサービスや演出を提供し、横浜アリーナでは安全安心を徹底したイベント開催などにより、楽しんでいただけるスポーツ・エンターテインメント体験の提供に努めてまいりました。伊豆箱根事業においてはタクシー事業の再編にともなう業務の効率化をはかったほか、2022年2月1日には十国峠レストハウスならびに十国峠ケーブルカーの事業を富士急行株式会社に譲渡し、近江事業においては、鉄道事業の公有民営方式による上下分離移行に向けた準備などを進めてまいりました。

 営業収益は、一進一退する感染状況や緊急事態宣言の度重なる発出、イベントの開催制限などもあり、引き続き厳しい事業環境となりましたが、埼玉西武ライオンズの試合数増加や上記取り組み、また、ベルーナドームにおける広告協賛の積極的な獲得や横浜アリーナにおけるイベント開催の増加により、327億61百万円と前期に比べ60億円の増加(同22.4%増)となり、営業損失は、32億56百万円と前期に比べ43億6百万円の改善(前期は、営業損失75億62百万円)となり、償却前営業利益は、8億37百万円と前期に比べ43億37百万円の増加(前期は、償却前営業損失34億99百万円)となりました。

 なお、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度における営業収益は14億32百万円減少しております。

 

 また、都市交通・沿線事業及びホテル・レジャー事業におけるスポーツ業、ならびにその他に含まれるスポーツ事業の営業収益の合計は、356億34百万円であり、前期に比べ89億75百万円の増加(同33.7%増)となりました。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(3) 財政状態、経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

② 財政状態の分析

1 資産

 流動資産は、1,357億13百万円と前連結会計年度末に比べ116億27百万円増加いたしました。その主たる要因は、西武建設株式会社の株式譲渡代金が入金されたことなどによる現金及び預金の増加(586億71百万円)であります。

 固定資産は、1兆5,677億29百万円と前連結会計年度末に比べ66億81百万円減少いたしました。その主たる要因は、繰延税金資産の減少(76億62百万円)であります。

 以上の結果、総資産は1兆7,034億42百万円と前連結会計年度末に比べ49億45百万円増加いたしました。

 

2 負債

 流動負債は、4,511億86百万円と前連結会計年度末に比べ723億3百万円増加いたしました。その主たる要因は、短期借入金の増加(586億25百万円)であります。

 固定負債は、8,650億38百万円と前連結会計年度末に比べ688億87百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(711億37百万円)であります。

 以上の結果、負債合計は1兆3,162億25百万円と前連結会計年度末に比べ34億15百万円増加いたしました。

 

3 純資産

 純資産は、3,872億17百万円と前連結会計年度末に比べ15億29百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(106億23百万円)であります。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.6ポイント上昇し18.3%となっております。

 

③ 経営成績の分析

1 営業収益及び営業利益

 営業収益は、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き厳しい事業環境下にあったものの、3,968億56百万円(前期比17.7%増)となり、増収などにより、営業損失は132億16百万円(前期は、営業損失515億87百万円)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の営業収益は98億18百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」に記載のとおりであります。

 また、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。

 

2 営業外損益及び経常利益

 営業外収益は、感染拡大防止協力金受入額の増加(18億17百万円)などにより、66億53百万円(前期比21.6%増)となり、営業外費用は、前期に計上した株式交付費(14億8百万円)がなくなったことなどにより、108億77百万円(前期比14.1%減)となりました。

 以上の結果、経常損失は174億40百万円(前期は、経常損失587億85百万円)となりました。

3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、子会社株式売却益(373億56百万円)の計上などにより、622億69百万円(前期比86.2%増)となりました。

 特別損失は、減損損失の減少(174億43百万円)、臨時休業等による損失の減少(128億44百万円)などにより、158億56百万円(前期比66.0%減)となりました。

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は289億73百万円(前期は、税金等調整前当期純損失719億70百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は106億23百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失723億1百万円)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ586億71百万円増加し、当連結会計年度末には872億10百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益289億73百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、585億63百万円の資金収入(前連結会計年度は、242億64百万円の資金支出)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、連結子会社である西武建設株式会社ほかの株式譲渡などにより、186億47百万円の資金収入(前連結会計年度は、475億37百万円の資金支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、当社連結子会社の優先株式償還などにより、190億70百万円の資金支出(前連結会計年度は、723億94百万円の資金収入)となりました。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性について

 「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、「西武グループ長期戦略」における財務戦略では、ステークホルダーへの還元と、成長に資する投資の実施を最適なバランスでおこなっていくことを方針として定めております。また、当社グループの資金調達は、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しており、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。

 当連結会計年度は、「(1) 業績」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症流行やそれにともなう緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化などにより引き続き厳しい事業環境下にありましたが、休業した施設数の減少や秋口からの外出需要の持ち直しに加え、コロナ禍におけるお客さまのニーズに合わせたサービス提供も寄与し、営業キャッシュ・フローが改善したことに加え、不要不急のコストや設備投資を抑制するとともに、施設・事業の休業や営業形態の見直しによる水道光熱費・動力費削減や雇用調整助成金の活用を視野に入れた休業の実施など、キャッシュ流出抑制に努めてまいりました。

 

 さらには、「経営改革」を進め、財務基盤の強化を企図し、新横浜スクエアビルなどオフィスビルの流動化を実施したほか、西武建材株式会社の株式譲渡や、一歩踏み込んだ事業ポートフォリオの見直しとして、西武建設株式会社の株式を譲渡いたしました。結果として、当連結会計年度末の手元現預金は874億87百万円となり、自己資本の残高は3,111億41百万円、自己資本比率は18.3%、借入金及びリース債務を含むネット有利子負債の残高は8,436億28百万円、ネット有利子負債/EBITDA倍率は19.9倍となりました。

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、引き続き「アセットライト」や「損益分岐点の引き下げ」などをテーマに「経営改革」を断行いたしますが、その中では、資本効率や最適資本構成について「中長期的に目指す水準」を設定し、その改善に向けて進捗状況を管理してまいります。

 中期経営計画の2ヵ年目となる翌連結会計年度においても、投資キャッシュ・フローにつきましては、新宿線連続立体交差事業や所沢駅西口開発計画などの将来の成長に資する案件について資本コスト3.71%を意識し事業別ハードルレート運用により厳選のうえ実行することや「ホテルアセットライト」を実行することなどにより改善させてまいります。以上によりフリーキャッシュ・フローを拡大することで得られた資金については、当面はコロナ禍で悪化した財務体質の改善が最優先であるとの考えのもと、まずは有利子負債の圧縮に活用してまいります。それと同時に、株主のみなさまへの還元も重視し、利益配分に努めてまいります。なお、当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、1株当たりの普通配当を5円としております。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループ全体の事業基盤に一層影響を及ぼす可能性のある新型コロナウイルス感染症に関する影響等の現在の状況は以下のとおりです。

 

・新型コロナウイルス感染症に関する影響等

①事業運営について

 感染状況の一進一退が続く中、当社グループの各事業においては、消毒や換気の徹底、営業時間・営業形態の変更、宿泊・婚礼・宴会におけるPCR検査付きプランの販売等、感染予防・感染拡大の防止に努めながら、事業活動をおこなっております。新型コロナウイルスワクチンの接種が進んではいるものの、下記の場合に営業収益の減少や対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。

・国内外の各種経済情勢への影響が長期化した場合

・お客さまの出控えや国内外からの観光客の減少が継続した場合

・アフターコロナの社会において、リモートワークの普及による通勤の減少や、オンライン上で

 の交流の活発化による外出の減少等の価値変容又は行動変容が想定を超えて広がった場合

 

②従業員について

 当社グループの従業員については、グループ各社の情報通信インフラの状況に応じたリモートワークを活用した在宅勤務の実施、オフィス在社人員の削減や、業務上の必要により出勤する場合における通勤電車の混雑時間帯を明確に避けた出退勤(時差出退勤)の徹底、希望者への新型コロナウイルスワクチンの職域接種の実施、一定の場合におけるPCR検査等の実施の義務化、罹患又は濃厚接触者の発生に備えた「新型コロナウイルス対応基準」の設定等、万全の注意を払っておりますが、従業員への感染が拡大した際、通常営業に支障が出ることが懸念されます。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③財務について

 新型コロナウイルス感染症の流行の長期化により、減収にともなう営業キャッシュ・フローの低下が見込まれるものの、不要不急のコストの削減・繰り延べ、収益構造の改善、キャッシュ・フローのコントロールに努めるとともに、借入や前連結会計年度のコミットメントラインの拡大などにより、足もとの必要運転資金を確保したほか、当社グループの財務基盤強化を目的とし、「当社株式の希薄化を伴わないグループとしての資本性資金の調達」として、当社連結子会社における優先株式の発行を前連結会計年度に実施いたしました。さらに、アセットライトな事業運営をすべく、経営改革を実行し、資産・事業の売却・流動化をはかっております。2022年3月31日付で当社連結子会社である西武鉄道株式会社が保有する西武建設株式会社株式の95%を株式会社ミライト・ホールディングスへ譲渡したほか、2022年2月10日には、GIC Private Limitedの関係会社であるReco Pine Private Limitedとの間で、下記二点を主な内容とする、法的拘束力を有する基本協定書を締結いたしました。

・当社連結子会社である株式会社プリンスホテル(現株式会社西武リアルティソリューションズ)が保有する、ホテル・レジャー事業資産の全76物件のうち、ザ・プリンス パークタワー東京をはじめとした一部資産(以下「本ホテル・レジャー資産」という。)をGICグループが出資する複数の会社へ譲渡すること

・当社連結子会社である株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが本ホテル・レジャー資産の運営業務を、当社連結子会社である株式会社西武SCCATが本ホテル・レジャー資産のビルマネジメント業務をそれぞれ受託すること

 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行の長期化により資金需要がさらに拡大した場合、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。

 

④与信管理について

 与信管理については、取引先に対する賃料の減額など柔軟に対応しながら、与信管理に関するリスクの対応策として取引先の財務状況の把握、債権残高の把握、与信チェックにより与信管理体制の強化に努めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行の長期化により、各種取引先の資金繰りの一斉悪化や、デフォルト等により、多額の債権の回収に支障を来した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑤業績に与える影響

 当連結会計年度においては、「(1) 業績」に記載のとおり、休業した施設数の減少や秋口からの外出需要の持ち直しに加え、コロナ禍におけるお客さまのニーズに合わせたサービス提供も寄与し、前期比では増収となったものの、新型コロナウイルス感染症流行やそれにともなう緊急事態宣言の度重なる発出、出控えの深刻化などにより厳しい事業環境が継続したことにより、前期に引き続き営業損失を計上いたしました。

 2023年3月期の通期連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症流行が収束に向かい、国内景気は段階的に回復していくことを想定し、算定しております。詳細は、2022年5月12日に開示しております、2022年3月期決算補足説明資料「2022年3月期 決算実績概況および「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗」に記載のとおりです。

 

(7) 経営者の問題意識と今後の方針について

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 西武グループは2014年4月23日の東証一部への株式上場後、2016年の東京ガーデンテラス紀尾井町開業、2017年のステイウェル社の子会社化、2019年の新型特急車両「Laview」の運行開始など、様々な施策を展開し、収益基盤を拡大しながら着実に成長を遂げてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、当社グループにおきましても、出控えによる需要の減少などに直面いたしました。この難局を乗り越えるべく、当連結会計年度には、「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに、2023年度を最終年度とする3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」を策定いたしました。

 当社グループの「アフターコロナの社会における目指す姿」、それは「最良・最強の生活応援企業グループ」の実現であります。

 「最良」とは、お客さま一人ひとりの価値観に寄り添い、良質なほほえみあふれる日常を創造すること、地域社会の発展、環境の保全への貢献を果たすことを指し、「最強」とは、全ての事業運営の基礎である揺るぎない安全・安心、グループの団結力・総合力、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「経営改革」の断行による強い収支構造、財務基盤の実現を指します。

 

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 有価証券報告書提出日現在、コロナ禍で生じた価値変容・行動変容の定着に加え、ウクライナ問題のような地政学リスク、技術革新の加速、日本国内の少子高齢化の加速、SDGs(持続可能な開発目標)・2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)への意識が高まるなど、社会経済環境や事業環境は急速に変化しております。

 これらに対応すべく、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」では「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とした取り組みを進めております。

 当連結会計年度はその初年度として「経営改革」を推進いたしました。詳細は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりですが、中でも新型コロナウイルス感染症による影響が大きかった「ホテル・レジャー事業」の改革に注力しました。

 一つ目は、株式会社プリンスホテルと株式会社西武プロパティーズの組織再編です。再編によりホテルオペレーター会社となった「株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド」はアセットライトなチェーンマネジメントにより当連結会計年度末時点で国内外86か所のホテル拠点を、10年間で250か所への拡大を目指します。また、総合不動産会社を目指す「株式会社西武リアルティソリューションズ」は、あらゆる手法を駆使して、グループ保有資産の価値極大化を追求します。その一環で、高輪・品川エリア、芝公園エリア、新宿エリアといった都心の再開発のみならず「軽井沢・箱根・富良野」などの知名度の高いリゾートについても、サステナビリティを意識したうえで、再開発に注力してまいります。

 二つ目は、「ホテルアセットライト」です。2022年2月10日にシンガポールの政府系ファンドであるGIC Private Limitedをパートナーとして選定し、その子会社であるReco Pine Private Limitedとの間で、対象31物件の収益最大化及び当社グループのアセットライト化の推進とホテル・レジャー事業の一層の発展、さらには西武グループ全体の企業価値の極大化につなげ、当社グループとGIC Private Limitedとの長期的なパートナーシップを構築することを目的として、基本協定書を締結いたしました。有価証券報告書提出日現在、クロージングに向けて協議を重ねております。

 その他、西武グループのDXやスポーツ事業等の戦略を強化すべく、当社に「DX・マーケティング戦略部」及び「スポーツ・アーツ&カルチャー事業戦略部」を新設いたしました。今後の成長に欠かせない西武グループのDX戦略を当社が中心となり、強力に推し進めてまいります。また、サステナビリティへの対応として、気候変動リスク・ビジネス機会双方の影響を適切に認識しつつ、西武グループ環境負荷低減目標に向けて積極的な取り組みを進めるとともに、その取り組み状況を積極的に開示してまいります。

 

 そして、中期経営計画2ヵ年目となる翌連結会計年度は「都市交通・沿線事業」の経営改革を推進いたします。西武鉄道株式会社の定期収入はリモートワークの浸透などにより、需要減少が継続しております。今後、コロナ禍で生じた人々の価値変容・行動変容が定着することにより、定期収入の完全回復の可能性は低いものと考えており、損益構造を見直します。詳細については有価証券報告書提出日現在検討中でありますが、コンセプトとしては都市交通・沿線事業が収益力の強化やグループシナジーを発揮できる最善の体制を構築することと考えております。加えて、他社連携も重要な要素と考えており、鉄道事業については、東日本旅客鉄道株式会社との包括連携強化により、沿線の活性化をはかります。

 また、車両計画においては、新造車両に限らず、環境負荷の少ない「サステナ車両(注)の導入」を進めてまいります。その導入効果として、①メンテナンス効率化②使用電力の削減③車両リサイクルによる環境負荷軽減を想定しています。

(注)サステナ車両とは、当社独自の呼称であり、無塗装車両、VVVFインバーター制御車両等の他社からの譲受車両を指します。

 また、翌連結会計年度においては、「経営改革」の一環として、「管理支援業務の集約・標準化」をはかり、人的リソースの再配分をおこなってまいりますが、設立するシェアード・サービス会社においても新しい働き方ができる環境を構築し、ダイバーシティを実現します。

 組織再編を含めたこの先の体制は以下のとおりであります。組織再編のコンセプトを「各社の機能高度化(専門性強化)」とし、グループ再編に合わせて今後の人的資本の活用をはかる「グループ人事制度の見直し」を実施いたします。新型コロナウイルス感染症の影響下である中期経営計画期間内に、グループの体制を刷新し、アフターコロナにおいて企業価値・株主価値の最大化を果たす体制を構築したいと考えております。

 

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 当社グループはこれまでもリーマンショックや東日本大震災などの難局に力強く対処し、乗り越えてまいりました。この度のコロナショックも、これまでに培ったグループの団結力、挑戦心により、必ずや打ち勝つべく、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」の2ヵ年目となる翌連結会計年度も「最良・最強の生活応援企業グループ」の実現に向け、経営改革に邁進してまいります。

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