業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことにより行動制限が緩和され、経済活動正常化への期待感も相まって、景気は緩やかな回復傾向となりました。一方、物流費、部材等の高騰に加え、欧米諸国を中心とした世界情勢の悪化に伴う原油価格等の上昇が加速するなど、再び不透明感が増し、個人消費及び企業収益への影響の長期化が想定されます。

当社主力事業の貨物自動車運送業界におきましては、ネット通販等の消費需要は底堅く、宅配貨物は増加傾向となる中、一般貨物等においては、原油価格の高騰や人手不足等の影響は大きく、また今後の世界情勢により更なる原油・資材等の高止まり要因が想定される中、経営環境は一段と厳しい状況が続くものと思われます。

このような状況下において当社では、新型コロナウイルスの感染予防対策を継続し、必要な人員を確保しつつ、引き続き輸送中心の収益構造から付加価値の高い総合的かつ複合的な物流収益へと収益基盤改革を推し進めてまいりました。一昨年の東部神戸物流センター、昨年の東部滋賀物流センター、東部堺物流センターに引き続き、当期2021年8月には、東部広島物流センターが稼働し、更に2022年1月より東部海老名物流センターが再稼働したほか、2022年2月には新たに東部大井川倉庫が竣工いたしました。

また、2022年3月30日に株式会社東北三光(宮城県塩竃市)と株式譲渡契約を締結いたしました。同社の子会社化により、営業基盤を受け継ぎ、これまで培ってきた当社の安心、安全、安定物流サービスのノウハウを最大限に活かすことにより、東北地区の営業拡大を図ります。

今後も3PL型営業展開を継続し、更なる収益基盤の改革を推し進め、将来に向け成長を持続させる企業基盤を創出いたします。また、継続的な事業成長に向けた資本業務提携やM&Aを必要に応じ実行するとともに、次世代バイオディーゼル給油施設設置や太陽光発電活用の拡大等を通して、サステナブルな経営を追求し、持続可能な社会への貢献を目指してまいります。

以上の結果、当事業年度の売上高は8,839,626千円(前年同期比3.4%増)、営業利益404,239千円(前年同期比35.8%減)、経常利益454,589千円(前年同期比39.8%減)、当期純利益273,480千円(前年同期比33.8%減)となりました。

 

セグメント別の業績につきましては、次のとおりであります。

なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前事業年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。

(貨物自動車運送事業)

飲料系輸送は、需要減の影響が長引いているものの、飲料以外の輸送の確保を推進し、新たに東部広島物流センター及び東部海老名物流センター等が稼働したことで増収となりました。セメント輸送は建設需要が増え、増収となりました。

以上から、当事業の売上高は、関連業務の荷役・保管作業収入を含め、7,994,965千円(前年同期比3.8%増)となり、セグメント利益は、前期完成の物流センターに係る租税公課負担及び同施設の減価償却費の増加等に加え、軽油価格の大幅な上昇の影響と、新型コロナウイルス感染症拡大による経済動向が見通せない状況で、新たに稼働した物流センターに一部空室が発生したことにより、345,591千円(前年同期比38.4%減)となりました。

(不動産賃貸事業)

自社施設は、横浜地区におけるオフィスビル市況が回復傾向にあり満床となりましたが、収益化までは一定期間を要し安定稼働へ回復しつつあります。

この結果、当事業の売上高は639,135千円(前年同期比4.6%減)となり、セグメント利益は399,967千円(前年同期比5.8%減)となりました。

(その他事業)

石油販売は、石油価格の大幅な上昇により販売数量は減少したものの、増収となりました。

自動車整備事業は、外販の整備受注量が回復基調にあり、増収となりました。

この結果、当事業の売上高は、205,525千円(前年同期比13.2%増)となり、セグメント利益は31,618千円(前年同期比0.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ510,937千円増加し、3,866,845千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は、1,070,955千円(前期は791,578千円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益400,747千円、減価償却費555,621千円、その他資産の減少額142,897千円、主な減少要因は、法人税等の支払額320,083千円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度において、投資活動の結果支出した資金は400,811千円(前期は1,341,406千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出494,182千円、主な増加要因は有形固定資産の売却による収入136,819千円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  当事業年度において、財務活動の結果支出した資金は、159,207千円(前期は117,150千円の支出)となりました。主な減少要因は、自己株式の取得による支出44,050千円、配当金の支払額81,765千円などであります。

 

③ 営業実績

a.売上高

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

貨物自動車運送事業

7,994,965

3.8

不動産賃貸事業

639,135

△4.6

その他事業

205,525

13.2

合計

8,839,626

3.4

 

(注) 貨物自動車運送事業のうち、運送委託の実績は次のとおりであります。

 

区分

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

委託比率(%)

金額(千円)

委託比率(%)

傭車料

2,766,293

35.9

3,496,855

43.7

 

(注) 1.委託比率は売上高(貨物自動車運送事業)に対する運送委託費の割合であります。

2.主要な運送委託先は、サントリーロジスティクス株式会社、中越テック株式会社、アサヒロジ株式会社等であります。

 

b.主要顧客別売上高状況

 

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

売上高(千円)

総売上高に対する
割合(%)

売上高(千円)

総売上高に対する
割合(%)

コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社

2,954,021

34.5

3,231,133

36.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計方針」に記載のとおりであります。また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、主たる事業の貨物自動車運送事業において、運送業界等の客観的な情報を総合的に勘案し、動向を鑑みる必要があります。これらの影響を定量的に測定すること、収束時期を正確に予測することは困難な状況にありますが、当社の業績への影響は限定的と仮定しております。

これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能性まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産合計)

当事業年度末の総資産は22,339,285千円(前事業年度末22,116,326千円)となり、222,959千円増加いたしました。

流動資産は5,102,502千円となり、前事業年度末と比べ333,667千円増加いたしました。これは主にその他が161,484千円減少した一方で、現金及び預金が510,937千円増加したことによるものであります。

固定資産は17,236,783千円となり、前事業年度末と比べ110,707千円減少いたしました。これは主に一部の土地の売却などにより有形固定資産が96,663千円減少したことによるものであります。

(負債合計)

当事業年度末の負債合計は3,533,211千円(前事業年度末3,414,019千円)となり、119,191千円増加いたしました。

流動負債は1,354,451千円となり、前事業年度末と比べ63,985千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が192,796千円減少した一方で、未払金63,215千円、未払消費税等143,387千円、前受金48,059千円がそれぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は2,178,759千円となり、前事業年度末と比べ55,206千円増加いたしました。これは主にリース債務36,995千円、繰延税金負債23,027千円がそれぞれ減少した一方で、引当金が105,039千円増加したことによるものであります。

(純資産合計)

当事業年度末における純資産合計は18,806,074千円となり、前事業年度末と比べ103,768千円増加いたしました。これは主に当期純利益273,480千円及び剰余金の配当81,765千円により、利益剰余金が191,715千円増加したことによるものであります。

 

2) 当事業年度の経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前事業年度に比べ287,009千円増収の8,839,626千円(前年同期比3.4%増)となりました。

これは、主力の貨物自動車運送事業において、飲料系輸送は、需要減の影響が長引いているものの、新たに東部広島物流センター及び東部海老名物流センター等が稼働したことで増収となりました。

② 営業利益

営業利益は、前事業年度に比べ225,553千円減益の404,239千円(前年同期比35.8%減)となりました。これは、前期完成の物流センターに係る租税公課負担及び同施設の減価償却費の増加等に加え、軽油価格の大幅な上昇の影響や、物流センターに一部空室が発生したことによるものであります。

③ 営業外損益

営業外収益は、前事業年度に比べ75,231千円減の64,113千円(前年同期比54.0%減)となりました。

営業外費用は、前事業年度に比べ224千円減の13,763千円(前年同期比1.6%減)となりました。

 

④ 経常利益

経常利益は、前事業年度に比べ300,561千円減益の454,589千円(前年同期比39.8%減)となりました。

⑤ 特別損益

特別利益は、前期に比べ車両売却が減少したことから、42,547千円減の46,370千円(前年同期比47.8%減)となりました。

特別損失は、前事業年度に比べ73,912千円減の100,212千円(前年同期比42.4%減)となりました。

⑥ 当期純利益

以上の結果、当期純利益は、前事業年度に比べ139,717千円減益の273,480千円(前年同期比33.8%減)となりました。

セグメント別の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

1) キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 財務政策

当社は、健全で安定した財務体質の形成に努め、営業活動によるキャッシュ・フローから得られた資金を投資に向け積極的な事業拡大を図ってまいります。

資金の流動性につきましては、運転資金及び設備資金を自己資金で賄っており、自己資金の範囲内で安全かつ安定的な資金運用が可能と認識しております。

 

(3) 経営課題と今後の方針

経営課題と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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