業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による度重なる緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により、人の移動や経済活動が制限され個人消費が落ち込むなど極めて厳しい状況で推移しました。さらに、原油などの資源価格の高騰やウクライナ情勢の緊迫化などもあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
 このような状況のもと、当社グループ各社は、引き続きお客さまや従業員の安全を最優先に新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じるとともに、経営の効率化に努めてまいりましたが、多くの事業において感染症拡大前の水準を大幅に下回る状況が続いております。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前期の反動により一部に需要の回復が見られたことから、当期における売上高は、97,777百万円(前期比7.5%増)、営業利益は1,008百万円(前期は営業損失5,940百万円)、経常利益は2,586百万円(前期は経常損失5,354百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,838百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失8,516百万円)となりました。
 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(一般旅客自動車運送事業)

一般旅客自動車運送事業においては、お客さまや従業員の安全を確保するため、引き続き車内の消毒や換気を徹底するなど新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じ運行を継続してまいりましたが、度重なる緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用による人流減少の影響を受けたことなどにより、厳しい状況が続きました。

乗合事業においては、4月に相原駅西口~法政大学間に連節バス3両を新たに導入し輸送の効率化を進めました。また、路線バスの需要喚起策として、7月より一日フリー乗車券を土休日等に利用する際は同伴者1名が無料となるキャンペーンを開始するとともに、沿線施設や店舗とタイアップし割引券等をつけたモデルコースを案内するパンフレットの配布を行いました。さらに、9月より金額式IC定期券の発売を開始したほか3月よりモバイルPASMO定期券を導入し利便性の向上を図ることなどにより、収益改善に努めました。

乗用事業においては、神奈中タクシー㈱にて6月にタクシー利用に応じてポイントが付与される独自のスマートフォンアプリを導入し、アプリ利用の促進に向けた各種キャンペーンを展開しましたが、旅客需要は一部回復が見られたものの、依然として厳しい状況が続きました。

貸切事業においては、神奈中観光㈱にて学生団体などの需要に回復が見られたことに加え、東京オリンピック・パラリンピックの関係者輸送や新型コロナウイルスワクチン接種者の輸送を実施したことなどにより増収となりました。

なお、乗用事業や貸切事業においては、雇用調整助成金を活用し、乗務員の一時帰休を実施するなど固定費の削減に努めました。

以上の結果、一般旅客自動車運送事業全体の売上高は45,016百万円(前期比11.5%増)となりましたが、旅客需要は感染症拡大前の水準を大幅に下回る状況が続いており、営業損失は3,357百万円(前期は営業損失9,138百万円)となりました。

 

(不動産事業)

分譲事業においては、前期に引き続き、デベロッパーとのマンション分譲共同事業による藤沢市羽鳥の「プレミスト湘南辻堂」にて新街区の販売が好調に推移したほか、新たな戸建分譲として伊勢原市八幡台において「SkyGrand伊勢原八幡台」の販売や横浜市泉区において宅地分譲を実施したことなどにより増収となりました。

賃貸事業においては、新規テナントの誘致を進め高稼働率の維持に努めたものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた一部テナントへの賃料減額などにより減収となりました。

以上の結果、不動産事業全体の売上高は7,774百万円(前期比19.8%増)、営業利益は3,058百万円(前期比12.7%増)となりました。

 

(自動車販売事業)

輸入車販売事業においては、神奈中相模ヤナセ㈱にて前期に移転した「メルセデス・ベンツ相模原」における新車販売および中古車販売が好調に推移したことや、「Sクラス」や「Gクラス」などの高価格帯の新車販売台数が増加したことなどにより増収となりました。

商用車販売事業においては、神奈川三菱ふそう自動車販売㈱にて5月に湘南支店を新東名高速道路などからのアクセス性の高い立地へ新築移転し、販売ネットワークの最適化に向けた取り組みを進めましたが、半導体不足の影響に伴うメーカーの減産によりトラック販売台数が減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴うバス代替需要が減少したことなどにより減収となりました。

以上の結果、自動車販売事業全体の売上高は26,692百万円(前期比2.2%増)、営業利益は881百万円(前期比75.9%増)となりました。

 

(その他の事業)

レジャー・スポーツ事業においては、㈱神奈中スポーツデザインにて前期は緊急事態宣言に伴う営業自粛の要請に応じて約2ヶ月間施設を休業したものの、今期は新型コロナウイルス感染拡大の防止策を徹底のうえ営業を継続したことにより増収となりました。また、各施設において体験教室を積極的に開催するなど新規会員の獲得に努めたものの、売上高は感染症拡大前の水準を下回る厳しい状況が続きました。
 ビル管理事業においては、横浜ビルシステム㈱にて金融機関における設備修繕工事を新規受注したことや、前期に開始した複合オフィスビルの清掃管理業務が通期寄与したことなどにより増収となりました。
 流通事業においては、㈱神奈中商事にて前期に受注した大型施設の新築工事における空調設備工事の反動減などにより減収となりました。
 商用車架装事業においては、横浜車輌工業㈱にて半導体不足の影響に伴うメーカーの減産を受け、コンテナ架装の受注が減少したことなどにより減収となりました。
 飲食・娯楽事業においては、度重なる緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により飲食店の通常営業が制約されるなかで、テイクアウト商品の品揃えを充実し感染防止策を徹底のうえ営業を継続するとともに、10月に「はなまるうどんイトーヨーカドー立場店」を箱根そばへ業態転換し、新規顧客の獲得に努めたことなどにより、飲食業全体の売上高は前期を上回ったものの、感染症拡大前の水準を下回る厳しい状況が続きました。また、前期にTSUTAYA3店舗の閉店を進めたことから、飲食・娯楽事業全体では減収となりました。
 ホテル事業においては、宴会需要の低迷が続いていることに加え、宿泊需要についても感染症拡大前の水準を下回る状況が続きましたが、7月から8月にかけてスポーツ関連団体などの宿泊利用があり、稼働率が回復したことにより増収となりました。
 以上の結果、その他の事業全体の売上高は25,648百万円(前期比0.5%減)となりましたが、前期のレジャー・スポーツ事業における施設休業の反動増に加え、飲食・娯楽事業において不採算店舗の閉店を進め、固定費の削減を図ったことなどにより、営業利益は590百万円(前期比118.9%増)となりました。
 

 

②財政状態

(資産の部)

流動資産は、分譲土地建物の販売による商品及び製品の減少などにより前連結会計年度末に比べて2,626百万円減少し、18,431百万円となりました。

また、固定資産は、投資有価証券の時価評価額が減少したことや、減価償却による減少などにより、前連結会計年度末に比べて9,525百万円減少し、128,475百万円となりました。

この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて12,151百万円減少し、146,906百万円となりました。

 

(負債・純資産の部)

負債は、借入金やリース債務の返済が進んだことなどにより、前連結会計年度末に比べて10,155百万円減少し、93,746百万円となりました。なお、借入金、社債及びリース債務残高は、前連結会計年度末に比べて6,108百万円減少し、57,686百万円となりました。

また、純資産は、その他有価証券評価差額金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて1,995百万円減少し、53,160百万円となりました。

なお、自己資本比率は、前連結会計年度末と比べて1.3ポイント増加し、33.2%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて789百万円増加し、3,404百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,849百万円に、減価償却費6,608百万円などを加減した結果、11,753百万円の資金収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出6,487百万円などにより、4,237百万円の資金支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出などにより、6,726百万円の資金支出となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、その主要な事業である一般旅客自動車運送事業をはじめ、受注生産の形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

なお、販売の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況を勘案し合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り、判断および仮定設定を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の重要な会計方針のうち、連結財務諸表の作成において当社の重要な見積り、判断および仮定設定に大きな影響を及ぼすものは以下のとおりです。

なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績へ及ぼす影響を勘案したうえで、固定資産の減損判定における将来キャッシュ・フローや繰延税金資産の回収可能性の判断における将来年度の課税所得の見積りを行っております。

 

(投資の減損)

当社グループでは、時価のある有価証券について個々の銘柄ごとに有価証券の期末時価が取得価額に比べ50%以上下落し、かつ、その下落が一時的でない場合は回復可能性がないと判断して減損処理を行っております。また、期末時価が取得価額に比べ30%以上50%未満下落した場合につきましては、対象銘柄の過去3年間の毎月末の時価の平均値が、30%以上の下落率の場合は回復可能性がないと判断して減損処理を行っております。

(固定資産の減損)

当社グループは、一般旅客自動車運送事業および不動産事業を中心に多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づき算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上又は取崩が必要となる場合があります。

(退職給付費用)

従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき計上しております。当社グループの採用した見込額は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または見込額自体の変更により、退職給付の費用および債務に影響を与える可能性があります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

(売上高および営業損益)

売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前期の反動により一部に需要の回復が見られたことから、前連結会計年度に比べ6,862百万円増加し、97,777百万円(前期比7.5%増)となりました。

営業利益は、上記の増収に加え、設備投資の抑制や経費の削減等を実施したことなどにより、前連結会計年度に比べ6,949百万円増加し、1,008百万円(前期は営業損失5,940百万円)となりました。

なお、セグメントごとの売上高および営業利益については、前掲の「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業外損益および経常損益)

営業外収益は、前連結会計年度においてその臨時性を鑑み特別利益に計上していた緊急事態宣言期間における雇用調整助成金等の助成金収入を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ839百万円増加し、1,982百万円となりました。

営業外費用は、支払利息の減少などにより、前連結会計年度に比べ152百万円減少し、404百万円となりました。

この結果、経常利益は2,586百万円(前期は経常損失5,354百万円)となりました。

(特別損益および親会社株主に帰属する当期純損益)

特別利益は、前連結会計年度において計上していた緊急事態宣言期間における雇用調整助成金等の助成金収入を営業外収益に計上したことにより減少したものの、投資有価証券売却益や、事業所の再編等に伴う固定資産売却益の増加などにより、前連結会計年度に比べ92百万円増加し、1,222百万円となりました。

特別損失は、減損損失の減少などにより、前連結会計年度に比べ1,551百万円減少し、959百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,838百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失8,516百万円)となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

(資金調達)

当社グループの資金調達は、社債および市中金融機関からの借入金のほか、㈱日本政策投資銀行からの借入金など、市場環境や金利動向を総合的に勘案しながら決定しております。

なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。

(資金の流動性)

当社グループは一般旅客自動車運送事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しております。

また、現時点では、新型コロナウイルス感染症の影響により、一般旅客自動車運送事業をはじめとして、日々の収入金が減少しておりますが、当座の資金繰りの問題は生じておりません。

 

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、前掲の「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

(3)目標とする指標の進捗状況

 当社グループでは、持続可能な経営を実現するために、本中期経営計画(2021年度~2023年度)の3ヵ年を「体質変革期」と位置付け、厳しい経営環境下においても利益を創出できるように構造改革に取り組み、2023年度を目安に売上高営業利益率および有利子負債/EBITDA倍率を感染症拡大前の水準に回復させることを目指しております。
  当連結会計年度においては、度重なる新型コロナウイルス感染症の再拡大により、一般旅客自動車運送事業の利用客数が想定した以上に減少したため、売上高、営業利益が計画を下回りました。その結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は1.0%、有利子負債/EBITDA倍率は7.6倍となりました。
  当連結会計年度における実績と当初業績予想数値については以下の通りであります。

 

経営指標

2023年度

(目安)

当連結会計年度

実績

計画

売上高営業利益率

6.0%以上

1.0%

4.4%

有利子負債/EBITDA倍率

5.0倍以下

7.6倍

7.0倍

 

 

 引き続き本中期経営計画を確実に推進するとともに、新たな施策を講じるなど、経営指標の達成に向けて取り組んでまいります。

 

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