業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績

① 事業全体の状況

当社グループは、展開するラーメン事業がいわゆる「ハレ消費」を前提とする飲食事業モデルではなく、店内滞在時間が短く「日常食」という特性を有する業態であることから、直営店事業、プロデュース事業のいずれにおいても休業に追い込まれるケースは殆どない中で積極的に新規出店を図る等、事業を拡大してまいりました。しかしながら、新規出店による売上拡大が図られたものの、地方自治体の緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に基づく営業時間短縮要請に応じたこともあり、既存店売上高が伸び悩む状況にも直面いたしました。ただし、当該事由による売上伸び悩みは、あくまでも営業時間短縮の影響によるものであり、当連結会計年度においては、緊急事態宣言が全面解除となった10月度において、既存店の昨年対比売上高が大幅に改善し、新店を含む直営店全店での売上高は、過去最高を記録する等、事業回復に確かな手ごたえを感じることができました。また、国内の直営店のみならず、プロデュース店においても当連結会計年度において店舗数も増加させることができ、売上拡大を図ることができました。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、下記のとおりとなりました。

 

(売上高)

 当社グループの売上高は13,474,995千円(前年同期比22.7%増)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下、既存店売上高に甚大な影響があった一方、国内直営店事業部門においてペースを落とすことなく新規出店を実施したことによるものです。

(営業利益)

 当社グループの営業利益は936,117千円(前年同期比102.9%増)となりました。これは主に、新規出店費用、人材確保、販売力強化などの営業費用の増加があった一方、店舗を中心としたコスト削減に注力したことによります。

(経常利益)

 当社グループの経常利益は1,748,254千円(前年同期比241.4%増)となりました。これは主に、営業利益の増加、時短協力金などの補助金収入が623,922千円と手数料収入が5,737千円増加したことによるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益は1,076,198千円(前年同期比855.3%増)となりました。これは主に、営業利益が増加したことに加え、地方自治体の緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に基づく営業時間短縮要請に応じたことにより時短協力金を補助金収入として計上したこと等によるものです。

 

 また、当連結会計年度の目標とする経営指標は、下記のとおりとなりました。

〈売上高成長率〉

当社グループの売上高成長率は前年同期比22.7%増(2021年10月期目標25.0%増以上)となりました。これは主に、出店は概ね想定通りであったものの、営業時間短縮の影響により、店舗売上高に影響があったためです。

〈売上高経常利益率〉

売上高経常利益率は13.0%(2021年10月期目標7%以上)となりました。これは主に、営業時間短縮の影響により店舗売上高が伸び悩む中、人時生産性(従業員(パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員を含む。)1人が1時間働く際の売上高)の向上により収益を下支えしたことに加えて、時短協力金の収受があったためです。

 

② 事業部門別の状況

(直営店事業部門)

国内直営店事業部門においては、当連結会計年度を通じて積極的な出店を続け、直営店30店舗の新規出店、2店舗の業務委託店化、2店舗の退店により、26店舗の純増を図りました。当該期間における直営店の新規出店は、横浜家系ラーメン業態で25店舗、それ以外の業態で5店舗となりました。また、横浜家系ラーメン業態での出店は、駅近店6店舗、ロードサイド店19店舗と新型コロナウイルス感染症の影響が比較的少ないロードサイド店を中心に図ってまいりました。

駅近店6店舗は、新型コロナウイルス感染症拡大の中で東京都内への出店競争が緩和されている状況を鑑み、現時点ではインバウンド需要の見込めない浅草雷門の近隣、ビジネス街でもあり繁華街でもあるビッグマーケットの渋谷、大規模娯楽施設東京ドームシティのある水道橋、ビッグターミナル駅である川崎にそれぞれ戦略的に出店することといたしました。新型コロナウイルス感染症が収束した暁には、インバウンド需要、ビジネス街及び繁華街としての活気、娯楽需要等が一定程度回復し、いずれも繁盛店になるものと期待を込め、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下においても、将来に向けての布石を打った出店を図りました。

一方、ロードサイド店19店舗は、奥州市に岩手県初出店、鈴鹿市に三重県初出店、さらに三重県2店舗目を津市に出店、岐阜県には一挙に2店舗(累計3店舗)を出店し、人口や交通量等を綿密に分析した上で積極的に出店を図り、中長期の視点に立ち、有望エリアへのドミナント戦略を積極展開しております。子会社である株式会社ラーメン天華においても横浜家系ラーメン業態の出店を行っており、当連結会計年度においては、同社が管轄する山形県に3店舗(累計4店舗)、栃木県に1店舗(累計5店舗)を出店するとともに、福島県初出店となる福島西口店、新潟県初出店となる竹尾インター店をそれぞれオープンすることができました。山形県への出店に関しては、1人当たりラーメン消費量が全国1、2を争う地域であり、当社グループの既出店店舗においても堅調な業績を残していることから、当連結会計年度においても3店舗の戦略出店を行いました。さらには、国道1号線沿いの東戸塚店、東京都内の国道14号線沿いの小岩店、人口集積したベッドタウンである新百合ヶ丘店、神奈川県有数の大型商業施設が近隣にある横浜池辺町店をそれぞれ出店することができました。

また、新商品、新業態の開発に対しても商品開発部が引き続き各種テーマに積極的に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、前連結会計年度に出店し、好評を博した「長岡食堂」に続き、ごま油や醤油ベースのタレにラー油、酢などの調味料をお好みでかけ、麺に絡めて召し上がっていただく油そばを新業態として開発し、「元祖油堂」として横浜駅西口、川崎駅東口にそれぞれオープンさせることができました。今後もラーメンファンから一定評価が得られる新業態の開発を積極的に進めてまいります。

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の第三波、第四波、第五波が国内直営店事業に多大な影響を及ぼし、特に緊急事態宣言対象となった自治体においては、営業時間短縮要請を受け容れたことにより、当社が進める事業拡大を足踏みさせる状況をもたらしました。こうした状況において、来客数の減少をリカバリーするため、テイクアウトニーズへの対応、宅配ニーズへの対応を進め、時短営業を強いられる厳しい環境下で収益を下支えしつつ、商品品質、店舗オペレーション、及び物流の改善を徹底することにより収益性を向上させることができました。

さらには、緊急事態措置対象自治体ならびに、まん延防止等重点措置対象自治体における営業時間短縮要請に応じつつも正社員、臨時社員の適正数確保を図るべく、全従業員を対象として当連結会計年度に休業手当を支給する等、雇用継続に努めてまいりました。

海外直営店事業部門においては、直営店の出店地域となる米国(ロサンゼルス、ニューヨーク)にて新型コロナウイルス感染症の影響を日本以上に大きく受けることとなりました。米国においては、E.A.K. RAMENという屋号の横浜家系ラーメン業態にてロサンゼルス1店舗、ニューヨーク2店舗を展開しております。当該地域では新型コロナウイルス感染症の影響が深刻であったことから、都市封鎖(ロックダウン)がなされ、店内営業の自粛命令が発動される等、苦しい経営環境にありましたが、機動的にローカルスタッフのレイオフ等、雇用調整を行うなど損失を最小限に留める努力をしてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度末の当社グループの店舗数は、直営店140店舗(国内137店舗、海外3店舗)、業務委託店10店舗、合計150店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は11,210,593千円となりました。

 (プロデュース事業部門)

国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてはこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。また、プロデュース店においても新型コロナウイルス感染症の第三波、第四波、第五波の影響を受け、緊急事態措置対象自治体ならびに、まん延防止等重点措置対象自治体においては、営業時間短縮要請を受け容れたことにより、来客数の減少に伴って売上が減少する等、多大な影響を受けることとなりました。しかしながらプロデュース店も直営店同様にテイクアウトニーズへの対応、宅配ニーズの掘り起こしに着手する等、販売促進活動を展開し、当社グループとしてのプロデュース事業の拡大を順調に図ってまいりました。

また、海外プロデュース事業部門においては既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても新規出店を3店舗叶えることができました。

以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当連結会計年度に58店舗の純増となり、結果、国内455店舗、海外13店舗、合計468店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は2,264,401千円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

飲食事業

1,324,310

38.9

合計

1,324,310

38.9

(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。

2.金額は、製造原価によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

飲食事業

2,472,962

8.6

合計

2,472,962

8.6

(注)1.当社グループの事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。

2.金額は、仕入価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

事業部門の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

直営店事業部門

11,210,593

27.1

プロデュース事業部門

2,264,401

4.9

合計

13,474,995

22.7

(注)1.当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため事業部門別の販売実績を記載しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.直営店事業部門における当連結会計年度の地域別販売実績は、次のとおりであります。

地域

地域別売上高(千円)

国内

 

 関東

7,064,950

 東日本(関東以外)

2,472,877

 西日本

1,454,407

 国内合計

10,992,235

海外

218,357

合計

11,210,593

5.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がないため、記載を省略しております。

 

(2)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,405,348千円増加し8,277,456千円となりました。これは主に、直営店の新規出店などの設備投資により建物及び構築物などの有形固定資産が990,800千円、敷金及び保証金が137,317千円増加したこと等によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ396,851千円増加し4,161,068千円となりました。これは主に、返済により借入金が585,903千円減少した一方、未払金が252,577千円、未払法人税等が378,470千円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1,008,497千円増加し4,116,387千円となり、自己資本比率は49.7%となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,076,198千円の計上等により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

① キャッシュ・フロー及び流動性の状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,871,492千円となり、前連結会計年度末に比べ79,515千円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は2,402,124千円(前年同期比486.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,545,451千円を計上し、減価償却費395,045千円、減損損失105,696千円等の非資金的費用があった一方、法人税等の支払額169,908千円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,707,828千円(前年同期は1,564,173千円の使用)となりました。これは主に、直営店の新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出1,414,493千円、敷金及び保証金の差入による支出187,280千円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は639,634千円(前年同期は1,089,433千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入987,152千円があった一方、配当金の支払額99,210千円、短期借入金の純減少額755,487千円、長期借入金の返済による支出774,240千円があったことなどによります。

 なお、事業から創出したキャッシュは直営店の新規出店など収益力強化に向けた投資に充当しております。

 

② 資本政策の基本的な方針

 当社グループは、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。事業への資源配分については、新規出店を主とした設備投資を継続的に実施してまいります。また、成長戦略に伴う当社グループの企業価値向上につながるM&Aも積極的に実施してまいります。また、株主還元については、株主への利益還元を経営の最重要課題と考えており、安定的かつ継続的な利益還元を基本スタンスとして連結配当性向20%以上を目安として実施してまいります。資金の源泉は事業から創出したキャッシュを中心としつつ、基本的に金融機関からの借入により資金調達をしてまいります。大規模な希薄化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響などを十分に考慮し、取締役会にて検討を行ったうえで、株主に対する説明責任を果たしてまいります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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