課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営基本方針

当社グループは、『信は万事の本を為す』に則り、社業を通じて豊かな社会の実現に貢献することを企業理念としております。また、経営理念として山種経営三原則「分に応じた経営」「積み上げ主義」「予算経営」を定め、その企業理念、経営理念のもと中長期的に企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。

当社グループはコーポレートメッセージとして“「続く」を支える。” を掲げており、パートナー企業として信頼の絆を深め、プロフェッショナルとして、常に最適な「解」を提供し、お客様と社会と共にまっすぐ歩み続け、顧客、株主、社員など全てのステークホルダーの「続く」を支えていくことが当社グループのミッションと考えております。

また、当社グループは、企業理念とコーポレートメッセージの考え方を基本とし、持続可能な社会の実現への貢献と持続的な企業価値の向上を目指し、「サステナビリティ方針」を策定し、4つの取り組むべき行動指針を掲げ、その実効性を高めるため当社グループが取り組むべき「環境」「社会」「ガバナンス」に関するマテリアリティ(重要課題)を特定し、2030年目標を策定しております。

 

<サステナビリティ方針 行動指針>

 a.長期ビジョンを掲げ、その達成のために「環境」「社会」「経済」の持続可能性の側面から課題を抽出し、事

   業を通じてその解決に取組みます

 b.攻めと守りのガバナンス強化と多様な人財の活躍推進のため組織基盤の整備に取組みます

 c.適正な情報開示を行い、ステークホルダーの皆様と積極的な対話を行います

 d.パートナーシップを強固にし、バリューチェーン全体を通して持続可能な社会の実現に取組みます

 

<マテリアリティ 取組み重点テーマ及び2030年目標>

≪E:環境≫

環境に配慮した事業活動の推進

・温室効果ガス排出量削減

・エネルギー使用量の削減

・廃棄物及び有害物質の管理

 

 2030年目標

 

 □GHG排出量削減2013年度対比▲50%以上

≪S:社会≫

製品・サービスの品質向上

・安心,安全な商品・サービスの提供・安全衛生の推進 

・個人情報保護及び高度なデータセキュリティ

・リスクマネジメント

 

 2030年目標

 

 □重篤な労働災害事故(※1)0件

 □ISO9001認証取得 全拠点(営業倉庫/精米工場)

 □個人情報漏洩事故0件

≪S:社会≫

人財の多様性と活躍の促進

・生産性向上による働き方改革 ・人財育成及び教育

・女性活躍を含む多様な人財の活躍推進

・差別防止及び社会的弱者への配慮

 

 2030年目標

 

 □有給休暇取得率80%以上

 □女性管理職比率(※2)20%以上

 □キャリア採用者の活躍促進

≪S:社会≫

地域コミュニティ及び生産地と農業の発展

・コミュニティへの参画及び発展への寄与

 

 2030年目標

 

 □地域社会の文化活動への貢献

 □大規模災害発生時の官民連携を推進

 □産地・行政・取引企業とのコンソーシアム構築

≪S:社会≫

持続可能なコメの調達の推進

・持続可能な材料調達と効率的な使用

 

 2030年目標

 

 □産地のブランド化による持続的営農の実現

≪G:ガバナンス≫

コーポレート・ガバナンスの深化

・経営の健全性の確保、効率化の追求、透明性の向上、

 再現性の堅持

・リスクマネジメント ・適正な情報開示

 

 2030年目標

 

 □取締役会によるリスクと機会の把握と適切な対処

 □重大なコンプライアンス違反0件

 

 

※1 重篤な労働災害事故

   ①死亡、長期療養を要する(または可能性のある)疾病、障がいの残る(または可能性のある)怪我、特定伝染病

    ②一時に3人以上の労働者が業務上死傷または罹病した災害(不休含む)

※2 対象範囲:株式会社ヤマタネ

 

(2) 経営戦略及び業績目標

当社グループは、2024年に迎える創業100周年に向け、めざすべき企業像を示した「ヤマタネ 2024ビジョン」を策定し、当ビジョンでは、3つのフェーズに分け、第1次中期経営計画(2016年4月~2019年3月)を「HOP」とし既存事業の戦略的スクラップ&ビルド中心の成長基盤構築、第2次中期経営計画(2019年4月~2022年3月)を「STEP」とし新規開発投資中心の成長基盤構築、第3次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)を「JUMP」とし投資成果の刈取りと新規・既存への更なる投資による成長基盤拡大を成長戦略とし事業を推進してまいりました。しかしながら、同ビジョン策定時には想定していなかった新型コロナウイルス流行による経済、社会環境への影響は大きく、また、SDGsに対する意識の高まりなど、事業環境は大きく変化しているため、「ヤマタネ2024ビジョン」は発展的に解消し、新たな長期ビジョン「ヤマタネ2031ビジョン」を策定いたしました。

「ヤマタネ2031ビジョン」においては、当社グループの企業理念である「信は万事の本を為す」に則り、当社グループのパーパス(存在意義)を見つめ直し、9年間で目指すべきビジョンを策定いたしました。そして、当社グループのバリュー(提供する価値)を示すとともに基本戦略を策定いたしました。基本戦略では既存事業を「コア事業領域」とし、新たに進出する領域は「チャレンジ領域」と位置づけ、将来の収益源育成を図ることとし、また、攻めと守りのガバナンス体制により、社会的価値と経済的価値の両立を図ってまいります。

また、「ヤマタネ2031ビジョン」に基づき、第1フェーズとして2022年4月~2025年3月までの中期経営計画「ヤマタネ2025プラン」を策定いたしました。新中期経営計画では、スローガンを「創業100周年に向けて、豊かな社会づくりにチャレンジしていく」とし、方針を定め、事業別目標を「チャレンジ領域」と「コア事業領域」に分類し策定しております。当社グループは、変貌する外部環境の中でサステナビリティ経営の高度化を目指し、新たなビジョン実現に向け、グループ一丸となって取り組んでまいります。

 

「ヤマタネ2031ビジョン」の概要

a.パーパス(存在意義)

 「多様な人財が集い、社会に貢献する力を生み出す」

 

b.ビジョン(9年間で目指す姿)

 「物流と食の流通を通じ、より豊かな社会づくりにチャレンジしていく」

 

c.バリュー(提供する価値)

企業理念に基づく「信義・信頼・信用」のサイクルを原点に、バリューチェーン上の各ステークホルダーとの適切な連携・協働を通じて、社会に安心と安全、効率性を提供する。

 

d.基本戦略

<チャレンジ領域>

コア事業領域の中でも新たに取り組むサービスはチャレンジ領域とし、成長が見込まれる分野への参入を目指し、また持続可能な消費と生産に貢献する「食の安定供給ソリューション」と「循環資源ソリューション」の2つのソリューションを社会に提供することによって、今まで以上に社会から必要とされる企業を目指す。

<コア事業領域>

顧客ニーズに合わせた市場開拓を推進することで、既存の4事業(物流・食品・情報・不動産)を維持・強化し、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指す。

 

「ヤマタネ2025プラン」の概要

a.スローガン

「創業100周年に向けて、豊かな社会づくりにチャレンジしていく」

 

b.方針

 ・事業活動を「チャレンジ領域」と「コア事業領域」に分け、経営資源を適切に配分し規模を最適化すること

  により効果的な業務推進を実施する。

 ・環境に配慮した事業活動を推進し、社会に安心と安全、効率性を提供する。

 ・これまで築いてきた資本(財務、製造、知的、人的、社会関係、自然)を基盤に、長期的な展望に基づいた

  事業展開を行う。

 

 

c.財務目標

 

目標(2025.3期)

2022.3期

備考

売上高

565億円

467億円

(+98億円)

営業利益

32億円

30億円

(+2億円)

EBITDA

66億円

53億円

(+13億円)

総資産

1,184億円

1,234億円

50億円圧縮

有利子負債

520億円

561億円

40億円削減

ROE

5%以上

4.4%

 

配当性向

35%以上

31.0%

 

 

 

d.事業別目標

チャレンジ領域

事業分野

目標

物流関連事業

・新たな事業領域への進出のため、食品量販店センター運営等に取り組む

 

食品関連事業

・気候変動リスクや消費者ニーズの変化を踏まえ、新たな品種や商品の開発に着手す

 る

 

情報関連事業

・棚卸機器レンタルのノウハウが詰まったスマホ用棚卸アプリを提供し、幅広い顧客

 の棚卸ニーズに応える

不動産関連事業

・倉庫業併営を活かして物流不動産等の仲介ビジネスを強化する

管理関連

・本社が所在する越中島地区の再開発の方向性をまとめる

 

 

コア事業領域

事業分野

目標

 

物流関連事業

・荷主やサプライチェーン上の各プレイヤーと連携・協働し、物流の効率化や高度化

 を目指す

・収益力向上のため、新倉庫の開設や既存倉庫のリプレイスを行う

 

食品関連事業

・米流通の各段階において品質と安全性を保ち、安心できる商品を消費者に対して安

 定的に供給する

・生産・流通コストの低減を追求し、産地との結びつきを強化する

 

情報関連事業

・DXに必要な技術を提供するパートナーとして、幅広い高度なITスキルを有する

 技術者を育成して顧客に供給する

 

不動産関連事業

・所有物件の品質(安全性・利便性・快適性・環境性)を高め、不動産価値を向上さ

 せる

・不動産管理をクラウドデータベースによって効率化し、プロパティマネジメント領

 域のビジネスを拡大する

 

管理関連

・教育・研修などの人的資本への投資を拡充するとともに、専門能力や経験を有する

 高齢者雇用や女性管理職の登用を推進し、多様な人財基盤を構築する

・取締役会がリスクと機会の実態を把握・監督できるようにガバナンス体制を強化す

 る

 

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

今後を展望いたしますと、新型コロナウイルス流行の収束は未だ見通せないものの、感染症対策を実施しながら社会経済活動は徐々に正常化に向かうと予想されます。一方で、2月以降のウクライナ情勢等により世界的なエネルギー価格や食糧価格等が高騰し、さらに日米金利差等による急速な円安の進展による物価上昇等、日本経済への影響は先行き不透明な状況であります。

このような不透明な経済環境が続く中で当社グループの事業への影響は引き続き一定程度は避けられないものと考えております。しかしながら、当社グループが運営する事業は、社会の流通基盤を支える物流関連事業、社会の食生活の基盤であるコメの流通事業、また、首都圏を中心に人々の働く環境を支える不動産関連事業が中心となっており、持続可能な社会の実現に向けて、その基盤を担うものと認識しております。特に物流企業と流通企業の両面を併せ持つ当社グループは、多様化する“生/製・配・販”のニーズに対応した社会の「インフラストラクチャー」としての役割を果たすことが期待されていると考えております。当社グループとしては、当社グループの事業の特性を踏まえ、中長期的な視点に立ち企業価値の向上を図る基本方針のもとに成長基盤を構築することが注力すべき課題と考えており、以下5項目を対処すべき課題と考えております。なお、新中期経営計画の第1フェーズ1年目である2022年度においては、売上高521億円、営業利益28億90千万円、経常利益26億50千万円の達成を業績目標としEBITDAは62億円を予想しております。営業利益については、食品関連の印西精米センター稼働に伴う減価償却費の計上やM&Aに伴うのれんの償却計上があり減益の計画ですが、堅調な物流関連や不動産関連の増益もありEBITDAではプラスを見込んでおります。

 

<対処すべき課題>

a.「各事業を「チャレンジ領域」と「コア事業領域」に分類し、経営資源の配分を最適化」

b.「グループ一体運営による新たな事業領域の創出」

c.「長期的な戦略の計画的取組み」

d.「業務変革の推進と組織基盤の整備」

e.「サステナビリティ経営を通じ、持続可能な社会を実現」

 

「ヤマタネ2025プラン」の推進に基づき、事業戦略を新たに取組むサービス「チャレンジ領域」と既存事業の維持・強化「コア事業領域」に分類し、経営資源を適切に配分することで総資産の効率性の改善を目指します。

また、当社グループは物流・食品・情報・不動産と事業ポートフォリオは多岐にわたっており、2022年4月にはM&Aにより当社グループが保有していなかった冷凍冷蔵保管・配送の事業を展開する連結子会社が加わりました。そのような事業特性の中において、グループ一体運営により各事業のシナジーを追求し、新たな事業領域を創出することは企業価値向上のため重要課題と考えております。

長期的戦略の計画的取組みにおいては、各セグメントにおいて設備投資を計画的に実施し長期安定的な収益基盤を拡大し、確立することが重要と考えております。収益力向上のため、新倉庫の開設やリプレイス、また不動産価値を高めるための修繕を中長期計画に基づき実施することが課題となります。

業務変革の推進と組織基盤の整備においては、グループを横断した管理体制の構築、人財の効果的な育成、グループシステムの見直し、ヤマタネDXによる業務変革等を課題とし継続的に取り組んでおります。

サステナビリティ方針のもと各マテリアリティ(重要課題)の解決に向けて着実に取り組むことにより、持続可能な社会の実現への貢献とともに当社グループの持続的な企業価値向上を図れると考えております。

 

セグメント別の経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりであります。

(物流関連事業)

物流業界におきましては、新型コロナウイルスへの感染症対策が実施され社会経済活動が徐々に正常化に向かうと予想される中、消費、生産関連貨物輸送量は前期を上回ると見込まれますが、素材価格高騰の下押し懸念もあり、総輸送量は新型コロナウイルス流行前の水準まで回復するには至らないと見込まれます。

このような状況下で、物流関連におきましては、顧客の物流パートナーからSCM(サプライチェーンマネジメント)パートナーを担うべく物流の効率化や高度化を図ります。また、食品量販店センター運営や冷凍冷蔵倉庫・配送事業を展開する株式会社シンヨウ・ロジを2022年4月1日付で100%連結子会社としたことを足掛かりとして、新たな事業領域への進出も図ってまいります。

(食品関連事業)

コメ流通業界におきましては、新型コロナウイルス流行の影響による外食消費の減少により令和2年産米の在庫が積み上がる状況となり、令和3年産米についても、引き続きその影響を受けて取引価格が下落いたしました。感染症対策が実施され社会経済活動は徐々に正常化に向かうと予想されますが、コメ消費動向や相場動向は先行き不透明であると考えられます。

このような状況下で、食品関連におきましては、販売面では既存顧客のニーズにきめ細かく対応し、シェアの拡大を図るとともに新規顧客の開拓に最注力してまいります。仕入面では既存調達先との関係強化と新規調達先の開拓を進め、安定的な調達をめざすとともに、外部機関や産地と連携し新品種の開発にも継続して取り組んでまいります。また、千葉県印西市に新設した精米工場「印西精米センター」に生産体制を集約し、生産効率の向上、配送センター機能の拡充に取り組んでまいります。当センターでは、太陽光発電システムの利用や無洗米の製造過程で発生する排水の飼料への再利用等環境へ配慮した取り組みも実施いたします。

(情報関連事業)

情報サービス業界におきましては、大企業を中心に企業競争力を高めるためDX投資が加速する中でAIによるビッグデータ活用や5Gの普及によるIoTの進展等デジタル化への投資は継続して増加すると見込まれますが、一方で、IT人材不足も更に進むと考えられます。

このような状況下で、情報関連におきましては、新技術への対応を強化し技術者の確保を進め、既存顧客の多様なニーズに対応したシステムサービスの向上を図ります。また、棚卸機器レンタルサービスをスマホアプリサービスへ転換し、更に提供サービスの拡張を図ります。また、グループのシステムにおいては、事業戦略に基づくDXを更に推進してまいります。

(不動産関連事業)

不動産業界におきましては、賃貸オフィスビル市場は、在宅勤務の浸透等によるオフィス縮小の動きが継続して見込まれるものの、社会経済活動が徐々に正常化に向かうと予想される中、都心部の利便性の高い物件を中心に空室率の変動や賃料への影響は小幅なものと想定されます。

このような状況下で、不動産関連におきましては、中長期計画修繕に基づき、物件の付加価値や安全性の向上を図るとともに再生可能エネルギーの積極的な活用等、環境に配慮したビル運営により、既存物件の品質、サービスの高度化を図り、高稼働率の維持を図ってまいります。また、グループの倉庫事業運営のノウハウを活用し、物流不動産等の仲介ビジネスの強化を図ります。さらに、プロパティマネジメント業務の高度化も推進してまいります。

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