業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

なお、連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。また、収益認識に関する会計基準等の適用については、収益認識に関する会計基準第84項に定める原則的な取扱いに従って、当該会計基準を過去の期間の全てに遡及適用しており、遡及適用後の数値で比較分析を行っております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大と縮小が繰り返されており、経済活動もその影響を受けながら推移いたしました。変異株が新たに流行するなど感染終息の兆しは見えないものの、感染対策を万全に行い、経済や社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の正常化もあって、景気の持ち直しが期待されております。一方では、原油高や円安、ウクライナ情勢などの影響から、当面は不透明な状況が続くと見込まれます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響による当社グループの業績への影響は避けられないものの、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画『Vision2021・新たな発展を目指して』で掲げる、北関東地区の新倉庫や海外倉庫の安定稼働、集荷強化等による既存事業の拡大・強化、新倉庫建設やASEAN地区への投資等の成長に向けた戦略的投資については、進捗の遅れはあるものの、当初の予定どおり取り組んでおり、2021年11月に神奈川県横浜市に新倉庫を開設いたしました。

 

 

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、新倉庫建設による建設代金の支払いにより現金及び預金は減少しましたが、営業収益の増加により受取手形、営業未収入金及び契約資産が増加し、また新倉庫の完成により建物及び構築物等が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ3,260百万円増加し36,883百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、新規借入れによる長期借入金の増加や、新倉庫にかかる資産除去債務を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ2,432百万円増加の16,803百万円となり、また、当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加、円安の影響による為替換算調整勘定及び非支配株主持分の増加により、前連結会計年度末に比べ827百万円増加の20,080百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響から低迷していた貨物の荷動きが回復するなど、業績は大きく改善いたしました。国内物流事業では貨物の保管高が依然として低調に推移しておりますが、神戸港での港湾運送業務については海外の景気回復もあり、一昨年の取扱いを超える水準まで回復いたしました。また、国際物流事業においても貨物の取扱いが堅調に推移しており、営業収益は前期を上回る結果となりました。営業利益及び経常利益についても前期を上回りましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期に受取補償金等の特別利益を計上したこともあり、前期を下回りました。

その結果、当連結会計年度の営業収益は前期比12.1%増加の23,618百万円、営業利益は前期比67.5%増加の784百万円、経常利益は前期比50.8%増加の862百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比3.5%減少の523百万円となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、当社グループが取扱う輸入貨物の多くが食料品であり、影響は限定的であると捉えておりますが、輸出貨物の影響を大きく受ける港湾運送業については今後の状況が不透明であり、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

国内物流事業

(倉庫業)

世界的なコンテナ不足による輸入貨物の遅延等あるものの、貨物の入庫高、出庫高は前期を上回り好調に推移しました。一方で貨物の回転が速く保管高は前期を下回る結果となり、倉庫業務全体でも前期を下回りました。

(港湾運送業)

港湾運送業務は神戸港での港湾運送取扱業務が海外景気の回復もあり前期を大きく上回りました。

(貨物運送取扱業務)

前期に運送業を営む連結子会社を売却したことによる減収要因もありましたが、貨物の取扱いが回復したこともあり前期を上回りました。

(その他物流関連業務)

流通加工業務、手続業務等についても貨物の取扱いが増加したことにより前期を上回りました。

その結果、国内物流事業の営業収益は前期比3.1%増加の18,481百万円、セグメント利益は前期比9.8%増加の1,304百万円となりました。

 

国際物流事業

国際物流事業においては、輸出入貨物の増加、新規荷主の獲得及び海上運賃マーケットの変動の影響等により営業収益は増加し、セグメント利益についても輸出入貨物の増加や海外子会社の業績が堅調に推移したこともあり、前期を上回りました。

その結果、国際物流事業の営業収益は前期比72.7%増加の4,779百万円、セグメント利益は前期比41.8倍の300百万円となりました。

 

なお、不動産の賃貸事業及び物流資材の販売事業並びに太陽光発電の売電事業等のその他事業は、営業収益は前期比13.0%減少の387百万円、セグメント利益は前期比2.3%増加の225百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が852百万円となり、減価償却費、定期預金の純減少額、有形固定資産の取得による支出、短期借入金の純減少額、長期借入れによる収入、長期借入金の返済による支出等により、前連結会計年度末に比べ500百万円増加し、当連結会計年度末には3,975百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,320百万円(前期は1,371百万円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益852百万円、減価償却費1,073百万円、売上債権の増加額803百万円、仕入債務の増加額319百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、2,134百万円(前期は3,905百万円の使用)となりました。これは主として、定期預金の純減少額1,471百万円、有形固定資産の取得による支出3,351百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は、1,214百万円(前期は1,094百万円の獲得)となりました。これは主として、短期借入金の純減少額199百万円、長期借入れによる収入2,450百万円、長期借入金の返済による支出844百万円によるものであります。

 

③営業の実績

 当社グループの主たる事業は、倉庫業を中心とした貨物の保管・荷役業務、港湾運送業務、貨物運送取扱業務、通関業務及び流通加工業務等を行う国内物流事業ならびに国際複合一貫輸送業務(NVOCC)を中心とした海外輸送業務、海外との輸出入貨物取扱業務、海外での現地作業及び海外での倉庫事業を行う国際物流事業であり、セグメントごとの営業収益及び取扱高等を示すと以下のとおりであります。

a.セグメントごとの営業収益

(千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

国内物流事業

18,481,070

103.1

国際物流事業

4,779,059

172.7

報告セグメント計

23,260,129

112.4

その他

387,268

87.0

合計

23,647,398

111.9

 (注)セグメント間の内部取引消去前の数値によっております。

 

 

b.セグメントごとの取扱高等

 (国内物流事業)

倉庫業の入出庫高及び保管残高

 ・普通倉庫

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

数量(トン)

入庫高

932,142

104.1

出庫高

916,576

100.0

保管残高

期末

261,245

106.3

期中平均

249,109

93.8

(注)数量には、再保管にかかる取扱高を含んでおります。

 ・冷蔵倉庫

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

数量(トン)

入庫高

54,099

114.5

出庫高

54,581

110.3

保管残高

期末

15,132

96.9

期中平均

15,520

91.9

(注)数量には、再保管にかかる取扱高を含んでおります。

 

港湾運送業の取扱トン数

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

数量(トン)

船内荷役

908,434

166.0

艀運送

250

荷捌

1,446,218

114.7

船積

90,096

153.9

合計

2,444,998

131.0

 

貨物運送取扱業務、通関業務及び流通加工業務等については、取扱実績の明示が困難でありますので記載を省略しております。

 

 (国際物流事業)

 国際物流事業については、取扱実績の明示が困難でありますので記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,260百万円増加の36,883百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ119百万円増加の9,051百万円となりました。これは主に、設備投資の支払い等により現金及び預金が903百万円減少したことや営業収益の増加により受取手形、営業未収入金及び契約資産が803百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,140百万円増加の27,832百万円となりました。これは主に、新倉庫の完成により建物及び構築物、機械及び装置等が増加したことによるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,432百万円増加の16,803百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ270百万円増加の3,682百万円となりました。これは主に、支払手形及び営業未払金の増加319百万円と短期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の新規借入と返済による純減額290百万円、利益の増加による未払法人税等の増加218百万円によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ2,161百万円増加の13,120百万円となりました。これは主に、設備投資資金の借入による長期借入金の増加と返済による純増額1,696百万円、新設倉庫に係る資産除去債務の計上による447百万円によるものであります。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ827百万円増加の20,080百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が414百万円増加したこと、円安の影響による為替換算調整勘定の増加253百万円、円安および海外子会社の利益剰余金の増加により非支配株主持分が212百万円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益については前期に比べ2,557百万円増加し23,618百万円となりました。主な増加要因としては、前期から新型コロナウイルス感染拡大の影響により荷動きが低迷していたものが回復し、国内物流事業では倉庫への入出庫高、付随する運送業務、通関業務等も増加したことや港湾運送業務においても海外景気の回復もあり大きく増加いたしました。また国際物流事業においても世界的な海上運賃マーケットの上昇や、輸出入貨物の増加、新規荷主の獲得もあり大きく増加いたしました。主な減少要因としては、前期に売却した子会社の影響により運送収入が減少したほか、賃貸施設の解約、貨物の保管高が低調に推移したことによる倉庫事業の減少等であります。

営業利益については前期に比べ316百万円増加し784百万円となりましたが、主な増加要因としては、貨物の取扱高の増加、港湾運送業務の増加、国際物流事業の増加のほか、保管高の減少による再保管費用の減少等があり、主な減少要因としては、新倉庫の開設による賃借料の増加、新倉庫にかかる減価償却費の増加等であります。なお、営業利益率については当期3.3%(前期比1.1ポイント改善)となっております。

経常利益については営業利益の増加、海外子会社での利息収入の減少等により前期に比べ290百万円増加し862百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、前期に特別利益に計上した当社営業所の移転に伴う補償金の計上や特別損失に当社営業所の閉鎖による損失等の計上がなくなったため、前期に比べ19百万円減少し523百万円となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、下払作業費や運送費用の支払いのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の適正額を維持することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は10,852百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,975百万円となっております。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、当社グループの財政状態に与える影響は限定的であると捉えており、現状では手許資金も高い水準で維持しておりますが、今後の経済情勢及び金融情勢が不透明であることから、金融機関からの短期の借入枠を増額し今後の情勢に備えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、以下の通りであります。

(有形固定資産等に関する減損損失)

当社グループは、減損の兆候がある有形固定資産等について、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。

有形固定資産等に減損の兆候がある場合、減損損失の認識の要否を判定する必要がありますが、この減損損失の認識の要否の判定に用いる個々の有形固定資産等の将来キャッシュ・フローの見積りは不確実性が高く、将来の経営環境の変化等により回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

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