業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、上半期は緊急事態宣言などが断続的に発出され、行動制限により個人消費が低迷するなど、力強さを欠いた経済活動を強いられました。下半期は、緊急事態宣言などが解除されたことにより、経済活動の制限緩和に伴って景気持ち直しの明るい兆しを見せましたが、2022年の年明け以降にはオミクロン株の感染拡大、2月下旬以降のロシアによるウクライナ侵攻ならびに原材料供給逼迫やエネルギー資源高騰など、予断を許さない状況で推移しました。

 このような状況下におきまして、当社グループは「安全・迅速・信頼」をモットーに、国民生活と企業活動のライフラインを支える物流業者として、如何なる時世にも顧客に対する輸送責任を果たす「堅実な兵機」との信頼を得るべく、事業展開を進めてまいりました。

内航事業では、社船及び傭船による鉄鋼輸送が順調に推移しました。一方で、船舶燃料油価格の高値推移によるコスト増もありましたが、輸送量の増加でカバーして利益を伸ばしました。

外航事業では、当連結会計年度中は概ね極東ロシア航路が好調に推移したことに加え、委託船による建機類の輸送を新規に引受け、前期実績を大幅に上回る売上・利益を確保出来ました。

港運事業では、海上運賃高騰や海上コンテナ不足などにより取扱量に懸念があったものの、新規貨物の受注及び前期に引き続き輸入食品貨物の取扱いが順調に推移し、利益を伸ばしました。

倉庫事業では、堅調な姫路地区倉庫に加えて、神戸地区倉庫の危険品貨物取扱量の増加が利益に貢献し、設備投資が功を奏した結果となり、収益向上に繋がりました。

 

 これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ990百万円増加し、12,618百万円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ614百万円増加し、9,161百万円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ375百万円増加し、3,456百万円となりました。

 

b.経営成績

当期は取扱輸送量3,984千トン(前期比650千トン増 119.5%)と増加し、売上高は16,087百万円(前期比3,086百万円増 123.7%)と増収になりました。また、経常利益も523百万円(前期比313百万円増 249.5%)と増益になりました。なお、前期は固定資産売却益298百万円を特別利益に計上したことより、最終利益を押し上げました。当期はその様な多額の特別利益の計上はありませんでしたが、親会社株主に帰属する当期純利益は358百万円(前期比34百万円増 110.7%)と増益になりました。

 

 当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 1)海運事業

(イ)内航事業・・・・・国内鉄鋼市場が総じて堅調に推移したことにより、鋼材及び原材料スクラップの輸送量が増加しました。なお、燃料価格の高騰が続いており、また所属船の傭船料改定を実施したことによりコストが増加しましたが、効率的な配船により運航稼働率を向上させ、収益を押し上げることが出来ました。

 結果としまして、取扱量が1,853千トン(前期比381千トン増 125.9%)と増加しました。売上高は6,632百万円(前期比1,020百万円増 118.2%)、営業利益も272百万円(前期比157百万円増 236.9%)と増収増益になりました。

(ロ)外航事業・・・・・第4四半期半ばにロシアがウクライナへ侵攻した影響により、当社の主力航路である極東ロシア航路に地政学リスクが顕在化しました。しかしながら、当連結会計年度に関しましては、極東ロシア航路が3月上旬までは好調に推移したこと、また、台湾航路も堅調に推移したことに加えて、新規に委託船を用いた建機類の輸送及び三国間輸送の取扱い、ならびに円安によるドル建ての海上運賃差益もあり、収益を大きく伸ばしました。

 結果としまして、売上高は1,966百万円(前期比770百万円増 164.4%)、営業利益も108百万円(前期比93百万円増 697.5%)と大幅な増収増益になりました。

 2)港運・倉庫事業

(イ)港運事業・・・・・コロナ禍による海外港湾作業の停滞や各国の海上コンテナ需要の増加などにより、世界的な海上輸送費の高騰が前期より続いております。また、原材料や半導体不足がメーカーの生産計画に影響を与え、輸出入スケジュールが不安定となりましたが、新規スポット案件の獲得により、取扱い通関件数も輸出が前期比103.4%、輸入が前期比109.3%とその成果が現れました。

 結果としまして、売上高は5,984百万円(前期比1,233百万円増 126.0%)、営業利益も83百万円(前期は12百万円の営業損失)と黒字回復を果たしました。

(ロ)倉庫事業・・・・・普通品倉庫での一般貨物取り扱いは、コロナ禍による物流の停滞で苦戦を強いられましたが、港運・倉庫事業が一体となる営業活動を実施したことにより、付加価値の高い危険品貨物の取扱いが順調に伸びました。また、神戸物流センターと兵庫埠頭物流センターで取扱い貨物の振り分けや作業員、荷役機器の適正性を考慮した相互配置により、効率的な運営体制をとれました。

 一方で、施設修繕や作業能力強化の戦略的実施に加えて、管理経費の増加が利益を圧迫しました。

 結果としまして、売上高は1,503百万円(前期比61百万円増 104.3%)、営業利益は22百万円(前期比44百万円減 33.7%)と増収減益になりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ34百万円減少、当連結会計年度末には、1,964百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果、獲得した資金は633百万円(前期は790百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、税金等調整前当期純利益516百万円、減価償却費396百万円、仕入債務の増加86百万円等に対して、売上債権の増加154百万円、未払消費税等の減少126百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は1,061百万円(前期は416百万円の獲得)となりました。

 主な内訳は、固定資産の取得による支出1,085百万円等に対して、長期貸付金の回収による収入37百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は379百万円(前期は605百万円の使用)となりました。

 主な内訳は、長期借入れによる収入1,600百万円等に対して、長期借入金の返済による支出1,215百万円、配当金の支払額58百万円等によるものであります。

 

③事業部門別売上高、輸送品目別トン数及び売上高の実績

(1)事業部門別売上高明細

 当連結会計年度における事業部門別売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

(海運事業)

 

 

 

内航事業

1,853

6,632

118.2

外航事業

250

1,966

164.4

(港運・倉庫事業)

 

 

 

港運事業

1,516

5,984

126.0

倉庫事業

364

1,503

104.3

(その他事業)

 

 

 

商事・賃貸事業

 

 

 

合計

3,984

16,087

123.7

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)輸送品目別トン数及び売上高明細

 当連結会計年度における輸送品目トン数及び売上高を示すと、次のとおりであります。

輸送品目別

数量

(千トン)

金額(百万円)

前年同期比(%)

鉄鋼

2,106

7,268

127.0

飼料

55

103

265.8

農水産品

241

803

86.4

油糧

92

130

93.3

鉱石類

28

104

147.2

機械類

130

1,518

232.5

紙・パルプ

12

18

209.8

自動車関連

48

178

(注2)

その他貨物

1,272

5,963

109.7

合計

3,984

16,087

123.7

 (注)1.外航事業・内航事業・港運・倉庫事業を合算したものであります。

2.当連結会計年度において、輸送品目の集計品目を変更したため、前年同期比の記載をしておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

大和工業株式会社グループ

3,525

27.1

3,911

24.3

JFE物流株式会社グループ

968

7.5

1,185

7.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 1)財政状態

 (資産合計)

 当連結会計年度末における資産合計は12,618百万円となり、前連結会計年度末と比較して990百万円増加いたしました。

 流動資産は3,922百万円となり、前連結会計年度末と比較して169百万円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加154百万円等によるものであります。

 固定資産は8,695百万円となり、前連結会計年度末と比較して821百万円増加いたしました。これは主に、倉庫用地の購入を始めとする有形固定資産の増加1,084百万円等、時価評価の上昇等による投資有価証券の増加86百万円に対して、減価償却による固定資産の減少396百万円等によるものであります。

 (負債合計)

 当連結会計年度末における負債は9,161百万円となり、前連結会計年度末と比較して614百万円増加いたしました。

 流動負債は4,571百万円となり、前連結会計年度末と比較して204百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金の増加115百万円、未払法人税等の増加115百万円、支払手形及び買掛金の増加86百万円等に対して、未払消費税等の減少126百万円等によるものであります。

 固定負債は4,589百万円となり、前連結会計年度末と比較して409百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金の増加368百万円、船舶修繕引当金の増加22百万円等によるものであります。

 (純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産は3,456百万円となり、前連結会計年度末と比較して375百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金の増加292百万円、その他有価証券評価差額金の増加59百万円等によるものであります。

 

 2)経営成績

 (売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前期比3,086百万円増の16,087百万円となりました。

 セグメント別では、内航事業6,632百万円(前期比1,020百万円増)、外航事業1,966百万円(前期比770百万円増)、港運事業5,984百万円(前期比1,233百万円増)、倉庫事業1,503百万円(前期比61百万円増)となり、全セグメントにおいて増収となりました。

これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 (営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、前期比302百万円増の488百万円となりました。

セグメント別では、内航事業272百万円(前期比157百万円増)、外航事業108百万円(前期比93百万円増)、港運事業83百万円(前期は12百万円の営業損失)、倉庫事業22百万円(前期比44百万円減)となりました。

これらの要因につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご覧ください。

 

 (経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前期比1百万円減の79百万円となりました。主な増減は、受取配当金の増加2百万円、持分法による投資利益の減少8百万円等によるものであります。

 当連結会計年度の営業外費用は、前期比12百万円減の44百万円となりました。主な増減は、控除対象外消費税等の減少15百万円等によるものであります。

 以上の結果、経常利益は前期比313百万円増の523百万円となりました。

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度に計上した特別利益は、投資有価証券売却益1百万円となっております。

 当連結会計年度に計上した特別損失は、訴訟関連損失8百万円となっております。

 税金等調整前当期純利益516百万円から法人税等合計157百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は358百万円となり、前連結会計年度に比べ34百万円増加いたしました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ)契約債務

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

1,900

1,900

長期借入金

4,995

1,049

1,215

747

1,982

リース債務

109

43

49

16

 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 当社グループの第三者に対する保証は、傭船船主・協力会社の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2022年3月31日現在の債務保証額は、1,134百万円であります。

 

ハ)財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行借入により資金調達することとしております。このうち、銀行借入による資金調達に関しましては、運転資金については借入時の金融情勢を考慮して短期借入金及び長期借入金にて調達し、船舶建造、倉庫建設などの設備資金については、一部を除き固定金利の長期借入金にて調達しております。変動金利での借入分は金利の変動リスクに晒されていますが、デリバティブ取引(金利スワップ取引)を利用してヘッジを行っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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