業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループの取扱物量は、航空貨物輸送は輸出重量で740千トン(前期比33.0%増)、輸入件数で1,349千件(同16.1%増)となり、海上貨物輸送は輸出物量で718千TEU(同12.3%増)、輸入件数で285千件(同8.0%増)となり、コロナ危機前をも上回る水準となりました。また、ロジスティクスにつきましては、各セグメントで前年を上回る基調で推移しました。当社グループが主に関わる国際物流市場では、前期に世界各地の経済活動制限により減少した国際輸送需要が大きく増加に転じた一方、海上コンテナ物流の混乱、旅客便の減便による航空・海上輸送スペースの供給不足により、需給の逼迫と運賃の上昇が継続しました。

この結果、当社グループの当期の営業収入は980,441百万円(前期比61.0%増)、営業利益は62,475百万円(同82.8%増)、経常利益は64,733百万円(同87.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は43,417百万円(同100.6%増)となりました。

各セグメントの業績は、以下のとおりであります。

 

<日本>
 航空貨物は、輸出ではエレクトロニクス関連品や自動車関連品等で取扱いが増加し、取扱重量は182千トン(前期比38.6%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品、ヘルスケア関連品、自動車関連品等が増加し、取扱件数は380千件(同15.2%増)となりました。海上貨物は、輸出では建設機械関連品、自動車関連品、建材関連品等が増加し、取扱物量は164千TEU(同9.3%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品を中心に前年並みの推移となり、取扱件数は107千件(同1.6%増)となりました。ロジスティクスでは、ヘルスケア関連品やエレクトロニクス関連品等で取扱いが増加しました。国内関係会社は、国内物流需要の回復により、業績は前年を上回る基調で推移しました。

 この結果、日本の営業収入は244,073百万円(前期比62.0%増)、営業利益は11,566百万円(同40.6%増)となりました。

 

<米州>

 航空貨物は、輸出ではヘルスケア関連品、化学品等で取扱いが増加し、取扱重量は145千トン(前期比41.7%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品を中心に、自動車関連品、消費財等が増加し、取扱件数は129千件(同29.5%増)となりました。海上貨物は、輸出では航空機関連品が減少し、取扱物量は33千TEU(同5.0%減)、輸入ではエレクトロニクス関連品や消費財、自動車関連品等が増加し、取扱件数は46千件(同33.6%増)となりました。ロジスティクスでは、米国、カナダでエレクトロニクス関連品、消費財等の取扱いが増加しました。

 この結果、米州の営業収入は107,880百万円(前期比81.9%増)となり、営業利益は営業総利益率の改善により、13,332百万円(同159.6%増)となりました。

 なお、1米ドル当たりの円換算レートは、当期が112.38円、前期が106.06円です。

 

 

<欧州・中近東・アフリカ>

 航空貨物は、輸出ではヘルスケア関連品や自動車関連品等で取扱いが増加し、取扱重量は68千トン(前期比44.9%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品やヘルスケア関連品等が増加し、取扱件数は96千件(同29.6%増)となりました。海上貨物は、輸出、輸入ともに産業・建設機械関連品が増加し、輸出では取扱物量は22千TEU(同20.4%増)、輸入では取扱件数は19千件(同21.7%増)となりました。ロジスティクスでは、主にオランダでエレクトロニクス関連品の取扱いが増加しました。

 この結果、欧州・中近東・アフリカの営業収入は60,479百万円(前期比58.7%増)、営業利益は営業総利益率の改善により、4,297百万円(同221.9%増)となりました。

 なお、1ユーロ当たりの円換算レートは、当期が130.56円、前期が123.70円です。

 

<東アジア・オセアニア>
 航空貨物は、輸出、輸入ともにエレクトロニクス関連品を中心に取扱いが増加し、輸出では取扱重量は201千トン(前期比20.5%増)、輸入では取扱件数は533千件(同10.6%増)となりました。海上貨物は、輸出では消費財、エレクトロニクス関連品、自動車関連品で取扱いが増加し、取扱物量は270千TEU(同15.9%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品、自動車関連品等を中心に前年並みの推移となり取扱件数は60千件(同0.0%増)となりました。ロジスティクスでは、主に中国でエレクトロニクス関連品の取扱いが増加しました。

 この結果、東アジア・オセアニアの営業収入は227,326百万円(前期比71.0%増)となり、営業利益は16,216百万円(同45.6%増)となりました。

 

<東南アジア>
 航空貨物は、輸出、輸入ともに自動車関連品やエレクトロニクス関連品が増加し、輸出では取扱重量は142千トン(前期比32.1%増)、輸入では取扱件数は209千件(同19.6%増)となりました。海上貨物は、輸出では自動車関連 品やエレクトロニクス関連品が増加し、取扱物量は173千TEU(同11.0%増)、輸入ではエレクトロニクス関連品等が増加し、取扱件数は52千件(同8.9%増)となりました。ロジスティクスでは、主にフィリピン、インド等でエレクトロニクス関連品や自動車関連品の取扱いが増加しました。

 この結果、東南アジアの営業収入は、179,989百万円(前期比92.6%増)、営業利益は13,277百万円(同65.7%増)となりました。

 
<APLL>
 APLLが取扱う物流サービスにおきましては、自動車関連は、半導体不足に起因する断続的な生産低下の影響を受けましたが、前年を上回る基調で推移しました。消費財関連は、前年並みの取扱いで推移し、リテール関連、その他の産業品目では、海上輸送及び関連物流サービスの取扱いが増加し、前年を上回り推移しました。この結果、APLLの営業収入は196,379百万円(前期比32.6%増)となり、営業利益は8,982百万円(同59.8%増)となりました。継続してAPLL買収に係るのれん等の償却を当セグメントに含めているため、セグメント利益は3,393百万円(前期は19百万円の損失)となりました。

 なお、1米ドル当たりの円換算レートは、当期が109.80円、前期が106.82円(APLLは12月決算のため、1月から12月の期中平均レートを適用)です。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末(以下「当期末」という。)における総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)から119,172百万円増加し、537,999百万円となりました。流動資産合計は、前期末から107,531百万円増加し、344,934百万円となりました。これは主に受取手形及び営業未収入金が70,419百万円増加したことによるものです。固定資産合計は、前期末から11,602百万円増加し、192,896百万円となりました。有形固定資産合計が償却による減少を上回る外貨換算の影響等で5,638百万円増加し、無形固定資産合計も同様の理由等で2,611百万円増加しました。また、投資その他の資産も3,352百万円増加しました。

当期末における負債合計は、前期末から56,854百万円増加し、326,942百万円となりました。流動負債合計は、前期末から53,455百万円増加し、190,716百万円となりました。これは支払手形及び営業未払金が36,786百万円、短期借入金が4,702百万円、その他が6,154百万円それぞれ増加したこと等によるものです。固定負債合計は、前期末から3,399百万円増加し、136,225百万円となりました。これは長期借入金が10,000百万円減少した一方、社債が10,000百万円、リース債務が2,889百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

当期末における純資産合計は、前期末から62,317百万円増加し、211,057百万円となりました。これは配当の支払いによる5,759百万円の減少の一方で、親会社株主に帰属する当期純利益43,417百万円により、利益剰余金は37,551百万円増加しました。また、為替換算調整勘定は換算レートが円安傾向であったことにより21,908百万円増加しました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、営業活動による資金の増加額が、投資活動及び財務活動による資金の減少額を上回ったこと等により、前期末に比して18,033百万円増加し、104,028百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況と、それらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、前期と比較して7,890百万円減少し、30,048百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益64,118百万円、減価償却費17,947百万円、仕入債務の増加額26,268百万円による資金の増加と、売上債権の増加額54,983百万円、契約資産の増加額6,174百万円、法人税等の支払額18,108百万円の資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前期と比較して2,241百万円増加し、5,831百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出4,225百万円、無形固定資産の取得による支出1,337百万円の資金の減少によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前期と比較して13,749百万円減少し、13,164百万円となりました。これは主に、リース債務の返済による支出9,617百万円、長期借入金の返済による支出13,086百万円、配当金の支払額5,758百万円の資金の減少と、短期借入金の純増加額6,188百万円、社債の発行による収入9,940百万円の資金の増加によるものです。

 

④ 生産・受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

ア)生産実績及び受注実績

  当社グループは、貨物運送事業を主な事業としているため、記載を省略しております。

   

イ)販売実績

  販売実績としての営業収入については、「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者による経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [注記事項] (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の状況の分析

当期の営業収入は、航空・海上輸送ともに需給逼迫等に伴う運賃収入の上昇等により前期に比べ371,331百万円増加し、980,441百万円(前期比61.0%増)となりました。営業原価は、運賃原価の上昇等により前期に比べ335,449百万円増加し、839,782百万円(同66.5%増)となりました。このため、営業総利益は、前期に比べ35,881百万円増加し、140,658百万円(同34.2%増)となりました。営業総利益率は14.3%で、前期の17.2%より2.9ポイント下落しました。販売費及び一般管理費は、人件費や事務費の増加等により前期に比べ7,583百万円増加し、78,183百万円(同10.7%増)となりました。
 この結果、営業利益は、前期に比べ28,298百万円増加し、62,475百万円(前期比82.8%増)となりました。営業収入営業利益率は6.4%で、前期の5.6%より0.8ポイント改善しました。
 営業外収益は、前期の為替差損から当期は為替差益に転じたこと等により前期に比べ1,549百万円増加し、4,094百万円(前期比60.9%増)となりました。営業外費用は、支払利息や雑支出の減少により前期に比べ356百万円減少し、1,836百万円(同16.2%減)となりました。

 

この結果、経常利益は、前期に比べ30,204百万円増加し、64,733百万円(前期比87.5%増)となりました。
 特別利益において、投資有価証券売却益34百万円を計上しました。特別損失においては、減損損失194百万円、子会社清算損392百万円、退職給付制度終了損62百万円を計上しました。
 この結果、税金等調整前当期純利益は前期に比べ30,289百万円増加し、64,118百万円(前期比89.5%増)となりました。法人税等合計は前期に比べ7,802百万円増加し、18,562百万円(同72.5%増)となりました。

以上により、当期純利益は前期に比べ22,487百万円増加し、45,556百万円(前期比97.5%増)となり、非支配株主に帰属する当期純利益2,138百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ21,773百万円増加し、43,417百万円(同100.6%増)となりました。

 なお、新型コロナウイルス感染症の断続的な流行により、各国、地域において一時的な経済活動の制限等がある中、当社グループは社会インフラ機能の維持に不可欠な物流事業を継続しております。恒常的な航空旅客便の減便による輸送スペースの不足、海上コンテナ物流の混乱などは仕入原価の上昇を招いておりますが、当社グループ一体となった集中購買の強化やこれまでの航空会社や船会社との良好な関係に基づき適宜適切に輸送スペースを確保するとともに、チャーター便を活用する等サービス品質を維持することで、適正料金の収受を図っております。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

 

③ 財政状態の状況の分析

当社グループは2019年5月に策定した中期経営計画において、経営基盤の強化の一つとして「財務健全性の向上」をあげ、「自己資本比率の向上」及び「純有利子負債の削減」をモニタリングしております。なお、当社での純有利子負債は、借入金と社債の総額より現金及び預金を控除したものになります。

当期は、好調な業績等により自己資本が前期に比べ59,768百万円増加した結果、自己資本比率は前期末より3.8ポイント向上し36.9%となりました。また、フリーキャッシュフローの増大と有利子負債の削減に努めた結果、純有利子負債は前期末に比べ13,115百万円減少し、27,712百万円となりました。

 

各セグメントの資産は、以下のとおりであります。

 

<日本>

セグメント資産は前期末に比べ21,692百万円増加し、107,113百万円(前期末比25.4%増)となりました。取扱物量の増加や運賃の上昇等に伴い受取手形及び営業未収入金が増加したこと、航空貨物輸送のチャーター便等に関わる前渡金の増加に伴いその他の流動資産が増加したこと等によるものです。

 

<米州>

セグメント資産は前期末に比べ33,098百万円増加し、81,691百万円(前期末比68.1%増)となりました。現金及び預金は減少した一方、取扱物量の増加と運賃の上昇に伴い、受取手形及び営業未収入金が増加したこと等によるものです。

 

<欧州・中近東・アフリカ>

セグメント資産は前期末に比べ9,561百万円増加し、30,608百万円(前期末比45.4%増)となりました。現金及び預金が増加したこと、取扱物量の増加と運賃の上昇に伴い、受取手形及び営業未収入金が増加したこと等によるものです。

 

<東アジア・オセアニア>

セグメント資産は前期末に比べ31,668百万円増加し、114,441百万円(前期末比38.3%増)となりました。現金及び預金が増加したこと、取扱物量の増加と運賃の上昇に伴い受取手形及び営業未収入金が増加したこと、また、物流施設の賃借に伴い使用権資産が増加したこと等によるものです。

 

<東南アジア>

セグメント資産は前期末に比べ17,260百万円増加し、64,626百万円(前期末比36.4%増)となりました。現金及び預金が増加したこと、取扱物量の増加と運賃の上昇に伴い、受取手形及び営業未収入金が増加したこと等によるものです。

 

<APLL>

セグメント資産は前期末に比べ21,323百万円増加し、171,119百万円(前期末比14.2%増)となりました。物流サービスの取扱増加等に伴い、受取手形及び営業未収入金が増加したこと、のれんや顧客関連資産が償却による減少を上回る外貨換算の影響で増加したこと等によるものです。

 

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況

ア. キャッシュ・フロー

「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

イ. 財務政策

当社グループは、財務体質の強化及び将来の事業展開に備え内部留保の充実を図ることを財務政策の基本としております。この基本方針のもと、配当等の株主還元を実施した上で、事業強化のための投資と有利子負債の削減を進め、純有利子負債をゼロにすることを「長期ビジョン」に掲げております。

また、銀行借入に加え社債の発行など資金調達手段の多様化や、グループ内資金の効率的運用による調達コストの削減にも取り組んでおります。

 

ウ. 資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、航空貨物輸送、海上貨物輸送のための航空会社、船会社への支払運賃やトラック輸送に係る輸送運賃等の直接原価のほか、通関や輸送オペレーションに係る人件費や倉庫業に係る物流施設賃借料等の施設費等の間接原価、並びに人件費を始めとする販売費及び一般管理費であります。M&Aを含む投資支出については、当社グループのコアビジネスであるフォワーディング事業の拡大に資するものに限定することで財務規律を維持する方針です。なお、株主還元に関しては、各期の業績等を総合的に考慮し、安定的かつ継続的に行っていくこととしております。

 

エ. 資金調達

当社グループの運転資金及び設備投資資金を、内部資金または各社における借入金及び社債の発行によって調達しております。

短期資金については、営業活動から生み出されるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入れなどにより、資金の流動性を確保しております。長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケートローンの組成、社債の発行などの選択肢の中から最適な調達方法を採用しております。

また、グループ内資金の効率的活用を図るため、国内においては子会社を対象に、またユーロ圏においては主な子会社を対象にキャッシュマネジメントシステムによる余剰資金の集中及び配分を行うとともに、一部の海外子会社から親会社へのローンを実施しております。なお、輸送需要の拡大に伴う取扱物量の増加やチャーター便手配に伴う前渡金の増加、運賃市況の上昇等により、運転資金需要が高まっており、金融機関からの短期資金の借入れなどにより対応しております。

 

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