事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては、以下に記載のとおりである。

なお、記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

(1) 原子力を取り巻く状況について

①志賀原子力発電所の状況

当社は、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故を受け、早期に安全強化策を取りまとめ、実施してきた。引き続き、新規制基準も踏まえた安全性向上施策に関する工事を進めており、2号機については新規制基準への適合性確認審査を受けている。

安全性向上施策については、先行他社の審査状況を踏まえ得られた知見・評価を反映しながら2号機の工事を進めており、工事完了時期については、今後の審査や工事の進捗を踏まえて決定する。なお、1号機については引き続き検討を進めていく。

また、原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査の場で、現在、敷地内及び周辺断層の審査が行われている。

これまでの審査会合では、敷地内断層について、評価対象である10本(陸域6本、海岸部4本)の断層を、鉱物脈法及び上載地層法により評価した結果、いずれの断層も活断層ではないことを説明し、概ね理解が得られ、2021年11月には現地調査が実施された。今後も、現地調査で出たコメントに丁寧に説明していくことで、当社評価の妥当性を理解していただけるよう努めていく。

引き続き、新規制基準等へ的確に対応し、世界最高水準の安全性を目指していくとともに、安全対策や敷地内及び周辺断層の評価について、その内容を地域の皆さまにわかりやすく丁寧にご説明し、ご理解いただけるよう最大限努力し、早期の再稼働を目指していく。

なお、新規制基準への適合性確認審査の進捗や原子力政策・規制の見直し等によって、原子力発電所の停止が長期化する場合や稼働率が低下する場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

②原子力バックエンド事業

原子力バックエンド事業については、原子力施設の廃止措置・使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分等に多額の資金と長期にわたる事業期間が必要であり、事業に必要な費用については、国の制度措置等に基づき費用計上・拠出している。具体的には、原子力施設の廃止措置に係る費用については、法令に基づき算定した原子力発電施設解体費の総見積額を基に、資産除去債務及びこれに対応する費用を計上し、使用済燃料の再処理及び放射性廃棄物の処分に係る費用については、法令に基づき事業を実施する各機構から通知される拠出金単価を基に、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物の量に応じた金額を拠出している。

これらの制度措置等により事業者のリスクは低減されているものの、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更等がある場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(2) 電気事業に関わる制度の変更等について

電力システム改革については、小売全面自由化や2020年度からの送配電部門の法的分離が実施された。新市場取引については、非化石価値取引市場、ベースロード市場、容量市場に加え、2021年度から需給調整市場での取引が開始された。今後は、2023年4月の託送料金制度見直しなどが予定されており、このような当社事業に関連する制度の変更などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

また、2021年10月に策定された「第6次エネルギー基本計画」において、2050年カーボンニュートラルを見据え、2030年度温室効果ガス排出削減目標及びその実現のためのエネルギーミックスの見通しが示された。脱炭素社会の実現に向けた社会の動きが加速しており、今後、環境規制の動向などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループとしては「低廉で良質なエネルギーを安定的にお届けする」という社会的使命に変わりはなく、お客さまをはじめステークホルダーの皆さまの視点に立ち、安定供給や更なる経営効率化に不断の努力で取り組むとともに、2021年4月に策定・公表した2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに基づき、電源の脱炭素化及びお客さまや地域のゼロエミッション支援などに取り組んでいく。

(3) 新型コロナウイルス感染症による影響について

    新型コロナウイルス感染症による販売電力量への影響は、現時点では落ち着いているものの、今後、感染症が更

  に拡大し、生産活動の停滞や消費の落ち込みによる販売電力量の減少等が生じる場合は、営業収益の減少等によ

  り当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

  なお、当社及び北陸電力送配電株式会社は、感染症の大流行時を想定した業務計画に基づき、発電設備の運転や送配電網の運用、燃料・資機材の調達をはじめとした優先業務の選定や、要員の確保策を策定している。今後の新型コロナウイルス感染症の状況に応じ適切に対処し、従業員の健康及び安全の確保を最優先に、電力の安定供給に努め、社会的責任を果たしていく。

 

(4) 経済状況や天候等による販売電力量等の変動について

販売電力量は、経済活動や天候(特に気温)の状況、電力市場における競争状況、企業の海外移転などによる産業空洞化などによって変動することから、営業収益の増減により当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

また、年間の降雨降雪量の変動により水力発電所の発電量が増減し、火力燃料費が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(5) 燃料価格、卸電力市場価格の変動等について

火力燃料は、石炭、原・重油、LNGであり、需給状況や外国為替相場の動向により、火力燃料価格が急激に変動した場合や、調達地域での操業トラブルや政治情勢の変動等により、燃料が円滑に調達できない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、燃料価格の変動については、価格変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られており、業績への影響は軽減されるが、特定小売供給約款の適用を受ける契約には燃料費調整単価に上限が設けられている。

また、当社グループは、卸電力取引所を通じ、供給余力を活用した販売や不足時の調達を行っているが、需給状況や燃料価格の動向により、卸電力取引所の市場価格が変動した場合、販売収入や調達費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

現在、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響等によりこれらのリスクが顕在化しており、燃料価格の大幅な上昇や、これに伴う燃料費調整単価の上限到達、卸電力市場価格の高騰が発生している。今後、このような状況が継続する場合、当社グループの業績への影響は長期化する可能性がある。

これらに対し、当社グループは、燃料・卸電力市場価格動向や自社の需給状況を評価し、燃料・電力デリバティブ取引の活用や販売ポートフォリオの最適化などにより、最大限、収支影響の抑制を図っていく。

(6) 金融市場の動向について

当社グループの有利子負債残高は、当連結会計年度末で1兆387億円であり、市場金利や格付の低下等に伴う調達金利の上昇により、業績は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債の殆どは中長期的に利率が確定している社債や長期借入金で構成されていることから、金利上昇による業績への影響は限定的と考えられる。

また、企業年金資産等の一部は、株価・金利等の変動により時価が変動することから、業績は影響を受ける可能性がある。

(7) 自然災害・操業トラブルについて

当社グループは、電力供給設備を中心に、多くの設備を保有しており、その保守・保全には万全を期しているが、当社グループの設備及び当社グループが受電している他社の設備において地震・台風等の大規模な自然災害や操業トラブルが発生した場合、修繕費用や代替電源の調達費用の増加等により、業績は影響を受ける可能性がある。

2018年度及び2019年度に発生した石炭火力発電所の計画外停止を踏まえ、予防保全的な補修、AIやIoT技術を活用したトラブル早期検知システムの導入等、操業トラブルの未然防止及び早期発見・早期復旧に繋がる対策をこれまで以上に強化している。

(8) 電気事業以外の事業について

当社グループは、中期経営計画において「グループ総力による事業領域拡大」を掲げ、カーボンニュートラルに係る事業・サービスや海外事業などを展開している。

これらの事業については、その将来性や収益性を十分勘案して取り組んでいるが、他業者との競合進展等の市場環境の変化や、国際情勢などにより、業績は影響を受ける可能性がある。

(9) 企業倫理の遵守等について

企業倫理に反した行為やサイバー攻撃による被害が発生した場合、当社グループへの社会的信用の低下や対応に要する費用の増加等により、業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、「行動規範」や「個人情報保護規程」の制定・遵守に加え、コンプライアンス研修を充実するなど、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているとともに、サイバー攻撃の早期発見・早期復旧するための体制構築など、情報セキュリティ対策の強化に努めている。

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