事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社の事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項について、以下に記載しております。なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、その内容は本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 営業活動に関わるリスク

① 情報サービス産業における経営環境の変化および受注競争の激化によるリスク

情報サービス産業の市場規模は、人手不足を背景に業務の効率化および自動化を図ることに加え、業務の非対面化のために、AI、IoT、5GおよびRPAをはじめとする新技術を用いた既存システムの再構築や機能追加等の需要を受けて、増加基調で推移しています。当社では、高い技術力や対応業務の広さ等を活かし幅広い業種からの受注獲得活動を展開しておりますが、経済が低迷あるいは悪化する場合には、取引先企業の情報化投資の減少に伴い受注環境が厳しくなるため、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

② 顧客ニーズの変化によるリスク

当社の属する情報サービス産業に係る市場では、厳しい経営環境の中で「選択と集中」の動きが続いており、とりわけシステムのユーザー企業においては、情報システムの開発および運用を外部資源の利用(アウトソーシング)に切り替える動きがあります。これに対し、当社の顧客層は、システム企画、システム開発および運用保守等の全面的なアウトソーシングへの依存を避ける戦略を採用しています。当社は同戦略を支えるべく、顧客層のシステム化方針に配慮したシステムの提案および開発に取り組んでおります。状況等の変化により、当社の顧客層が外部資源の利用に方針転換した場合には、当社はアウトソーシング先への受注努力をいたしますが、その成否により、業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ 取引先上位10社の売上構成比の変化によるリスク

当社の主な事業内容はソフトウェア開発であり、関連業務の多角化ではなく開発分野の総合化と流通化をめざし、安定的な高収益と継続的な取引を維持するために、大規模システムの受注獲得および広範な業種分野での取引先の開拓を営業の基本方針としております。この方針に対し、当社の売上高に占める取引先上位10社の売上高構成比は過去3年で、2019年11月期 52.3%、2020年11月期 67.2%、2021年11月度 67.4%であり、売上が集中する傾向にあります。

各期の当該上位10社は固定化されたものではないため、メーカー系またはユーザー系の同業他社と比較しても、リスクは低いものと当社では考えております。また、今後も引き続き当該上位10社の売上構成比の低減に努力してまいりますが、これが達成できない場合は、上位10社の売上高の変動が当社業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 貸倒れリスク

当社は、多くの取引先からソフトウェア開発を請負で受注しております。この代金回収はソフトウェア製品の検収後となるため、取引先の財政悪化により債権の回収遅延や回収困難となる可能性があり、当社の業績が影響を受ける可能性があります。当社では、売掛債権管理規程に従い、取引開始時に信用状況の調査および与信枠を設定し、取引先ごとに期日および残高を管理するとともに、信用状況を年1回見直し、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握および軽減を図っております。

 

(2) ソフトウェア開発におけるリスク

① 保有技術に関するリスク

情報サービス産業におけるソフトウェア技術は日進月歩で進化しており、様々な要素技術が現れますが、市場から迅速な対応を求められるもの、一過性の流行に終わるものとその見極めが困難です。当社では、営業、製造、研究の各部門を横断したチームを編成し、技術の本質および市場動向を見極めて研究を進めておりますが、市場の要求スピードや対応技術の選択を見誤った場合には当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

② 製造物責任に関するリスク

当社が開発するシステムには、社会的基盤に深く関わったものが多く含まれます。当社では製品の開発初期段階から品質マネジメントシステムに基づいた品質保証体制を取り、製品品質に万全を期すとともに、契約によるリスクの回避および低減を図っておりますが、製造物賠償責任につながる製品の欠陥が生じた場合には、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ 情報システムの構築に関するリスク

当社が受注するソフトウェア開発の受注契約に基づく案件では、顧客が費用削減や短期開発を目的として、クラウドサービスまたはパッケージソフトを利用することが前提とされることがあります。この場合、クラウドサービスまたはパッケージソフトと顧客の要求する業務水準のギャップの読み間違え等が当社の策定した開発計画の精度に影響して、採算が悪化することがあります。

当社では、不採算案件の発生を抑制すべく、当社独自の生産管理システム(ACTUM)に基づき見積を行うとともに、生産計画に対する生産実績および残作業の予測をタイムリーに実施し、不採算となる可能性のある案件の早期発見、早期対策に努めております。しかしながら、このような対応策を採っているにもかかわらず、不採算案件が発生した場合には、業績が影響を受ける可能性があります。

 

④ 受注量の増減時におけるリスク

当社ではソフトウェアの開発を、開発期間および開発規模等を考慮して計画的に受注するように努めておりますが、取引先の都合等により、開発量が急激に増減する場合には、技術者を計画的に開発業務に配置することができません。技術者の働き方を工夫することにより、ある程度は開発量の増減に対応できるものの、一定限度以上の技術者の不足あるいは余剰が発生する場合には、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑤ 技術者の確保および育成のリスク

当社が本業とするソフトウェア開発では、人材の確保が業容の拡大のためには必須となります。当社の業績予想は人員計画に基づき策定しておりますが、計画どおりに技術者の確保およびその育成ができなかった、あるいは退職率が想定以上に増加する等した場合、外部委託によりある程度は補えるものの、なお不足する場合は当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 協力会社との協力体制に関するリスク

当社では、ソフトウェアの開発工程における開発体制(開発要員)が増減することに対し、協力会社を活用することによりバランスを取っております。しかしながら、ソフトウェアの生産計画に急激な増減が生じ、協力会社への委託規模のタイムリーな調整ができない場合には、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(3) 法的リスク

① コンプライアンスに関するリスク

当社は、法令の遵守はもとより広く社会一般から求められている価値観や倫理観に基づいて、誠実にかつ責任を持って行動するために、企業行動憲章を2004年4月16日に制定し、以後改訂を行ってまいりました。会社、取締役および従業員は、この憲章を遵守して企業活動に取り組んでおります。

社員へはコンプライアンス教育を適宜実施するとともに、公益通報者保護制度に基づく通報窓口を設ける等の施策を通じ、法令遵守の徹底を図っておりますが、これらの取組みにもかかわらず、コンプライアンス上の問題の発生を完全に回避できる保証は無く、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社の信用の失墜あるいは経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権に関するリスク

ソフトウェア開発において、当社が使用する技術に対し、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟提起または請求を受けることのないよう万全の注意を払っております。しかしながら、万一当社が損害賠償を負担し、または代替技術の獲得もしくは開発をしなければならなくなった場合には、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(4) 情報セキュリティ上のリスク

① 情報セキュリティに関するリスク

当社では、顧客の経営戦略を支援するシステム開発を数多く受注しており、また、受注業務に関連する個人情報を保有することがあるため、情報セキュリティマネジメントシステムおよび個人情報保護マネジメントシステムを定めて顧客の情報資産および個人情報の管理に努めております。1998年9月には「プライバシーマーク」使用の認証を取得し、また、2006年3月には情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC27001」の認証を取得し、以降これらマネジメントシステムの改善を継続しております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず、システム開発に関わる機密情報あるいは個人情報が万一漏洩した場合は、顧客からの損害賠償請求および信用毀損が発生する可能性があり、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(5) 財務面におけるリスク

① 金融市場の変動リスク

当社は時価のある有価証券を保有しておりますが、金融市場の変動により、有価証券の時価が下落した場合は減損処理を余儀なくされ、業績が影響を受ける可能性があります。当社では、有価証券管理規程に従い、定期的に時価または発行体の財務状況等を把握して、保有状況を継続的に見直しております。

 

(6) 病災によるリスク

① 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、旅行、運輸等の業界では既に事業の停滞が顕在化しております。感染症の終息までに長期間かかることを想定し、当社では多業種にわたる顧客ポートフォリオを活用し、新型コロナウイルス感染症の影響を比較的受けにくい、金融業等への受注シフトにより売上減少等、業績への影響を最小化するよう努めております。

また、当社の社員または当社の協力会社の社員が罹患するリスクは、テレワーキングを含む開発拠点の分散によって最小化するよう対策するとともに、分散開発による生産性低下を抑えるよう設備投資を実施しております。

 

(7) 大規模な自然災害によるリスク

① 取引先が被災した場合のリスク

当社の取引先が大規模な自然災害または火災等による被害を受け、事業が停滞した場合には、当社へのシステム開発の発注が停滞または中止となる可能性があります。当社は開発業務の遂行が滞るまたは実施出来ないなどの影響を受けるため、売上の減少等の業績に影響が出る可能性があります。

 

② 当社、当社の社員または当社の協力会社が被災した場合のリスク

当社は、取引先のビジネスを支える基幹となるシステムの開発に注力しており、その一部は社会的なインフラに該当するものがあります。大規模な自然災害等の発生により、事業拠点あるいは従業員、さらには協力会社が被災した場合には、開発業務の遂行に支障が生じる可能性があります。当社は、これらが発生した場合に備え、事業継続計画を作成し、速やかな対応、迅速な事業の復旧が可能となるような手順等の整備を図っております。

 

 

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