業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析

 ①全社業績

会計事務所事業部門では、顧客である税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が、中小企業の伴走型の支援者として、関与先企業の会計・税務や資金繰り支援に取り組めるよう支援しています。また、クラウド型の会計システムの提供と導入支援を通じて、後述の通り、中小企業の「黒字決算と適正申告」を支援しています。

地方公共団体事業部門では、令和3年10月20日付で厚生労働省から事務連絡「新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)に係る接種券等の印刷及び発送について」が発出されたことを受け、「ワクチン接種券作成業務」「ワクチン接種予約・受付システム」の提供等を迅速に行い、顧客市区町村におけるコロナウイルスのワクチン接種事業を支援しました。また、「行政サービス・デジタル化支援サービス」の提供を通じて、地方公共団体における窓口業務のDXを支援しています。

これらの活動の結果、当期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が67,838百万円(前期比2.4%増)、営業利益は13,351百万円(同8.4%増)、経常利益は13,677百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,317百万円(同7.3%増)となりました。

当期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。

 

 ②会計事務所事業部門の営業活動と経営成績

1) 会計事務所事業部門の営業活動

会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営)に基づき、当社の顧客である税理士および公認会計士1万1,500名(令和4年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で事業を展開しています。

[「黒字決算」と「適正申告」の実現に向けた活動]

TKC全国会が掲げる新たな運動方針とその目標達成に向けた営業活動の実施

a.TKC全国会の新たな運動方針

 TKC全国会は、向こう3年間の新たな運動方針として「未来に挑戦するTKC会計人─巡回監査を断行し、企業の黒字決算と適正申告を支援しよう!」を掲げられました。また、その実現に向けて、次の3つの目標を掲げています。

ⅰ)優良な電子帳簿を圧倒的に拡大する

「TKC方式の自計化」の推進

ⅱ)租税正義の守護者となる

「TKC方式の書面添付」の推進

ⅲ)黒字化を支援し、優良企業を育成する

「巡回監査」と「経営助言」の推進

 TKC全国会は、社会に対して巡回監査の実践とコンプライアンスを遵守しながら、企業の黒字化に貢献すると宣誓されています。当社は、これらの3つの目標達成を支援するためTKC方式の自計化推進を軸とした営業活動を展開します。

b.優良企業の育成に向けた取り組み

 TKCグループでは、中小企業が目指すべき指標として以下の5つの条件を定めました。

・書面添付の実践

・中小会計要領への準拠

・限界利益額の2期連続増加

・自己資本比率が30%以上

・税引前当期純利益がプラス

 24万社超の決算書データを収録した令和4年版「TKC経営指標(BAST)」では、この条件を充足した企業を「BAST優良企業」と定義しています。TKC会員の指導のもとコンプライアンスを遵守しながら、高付加価値経営に取り組む企業の増加を支援することにより、「TKC会員は地域の優良企業を育成する伴走者である」ことを社会に訴えかけてまいります。

c.365日変動損益計算書の活用促進

 TKCの自計化システム(FXシリーズ)には、経営者の意思決定を支援する「365日変動損益計算書」を搭載しています。「365日変動損益計算書」は、通常の損益計算書と異なり、変動費と固定費を区分して業績を確認できるため、FXシリーズを利用している企業経営者は、限界利益(粗利)を意識して経営に取り組めるようになります。当社では、この「365日変動損益計算書」を経営者にとって手放せないツールにしていただくための啓蒙活動を展開しています。

 

 令和4年9月には経営者自身が「365日変動損益計算書」を活用し、業績を改善した事例がテレビ番組で放映されました(ドキュメント「戦略経営者」/BS11)。このドキュメンタリーは、弊社のホームページにも掲載し、広く視聴していただけるようにしています。今後もこのような広報活動を積極的に実施してまいります。

d.TKC方式の自計化の推進(「FXシリーズ」の推進)

 多くの中小企業は、コロナ禍において実行された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済に備える必要があります。そのため、当社は「FXシリーズ」に搭載している「経営戦略レベル」の機能(365日変動損益計算書、予算登録、部門別管理、資金繰り実績表、当期決算の先行き管理)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するには、適時・正確な会計取引の入力が必要となるため、「日常業務レベル」の機能として、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」の活用や、「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携などを支援しています。

 なお、クラウド型の財務会計システムである「FXクラウドシリーズ」を利用している企業では、経営者自らが高い頻度でシステムにアクセスし、自社の業績を確認する傾向があることが分かってきました。これは、いつでも・どこでも自社の業績を確認できるクラウドのメリットだと言えます。当社は、「FXクラウドシリーズ」の導入支援を通じて中小企業の「黒字決算と適正申告」の実現を支援します。なお、こうした活動の結果、令和4年9月末日現在でFXシリーズの導入件数は約29万9,000件となりました。

e.電子帳簿保存法への完全対応支援

 令和4年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存要件が緩和されました。これにより、国税関係帳簿の電磁的記録である「電子帳簿」は、①過去の仕訳データの加除訂正履歴(トレーサビリティ)を残している「優良な電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条および第5条の要件を満たす電子帳簿)と、②帳簿の加除訂正履歴を残さない会計ソフトで作成した「その他の電子帳簿」(改正電子帳簿保存法の施行規則第2条の要件だけを満たす電子帳簿)に区別されることになりました。「その他の電子帳簿」が認められたことは、「帳簿の証拠力」を消滅させる法改正であり、帳簿を改ざんできる会計ソフトの利用を国が認めたことになります。当社はこの問題に対処するため、「優良な電子帳簿」を作成する「FXシリーズ」の利用促進を全国的に展開しています。また、改正電子帳簿保存法により電子取引データの電子保存の義務化への対応も求められています。令和5年12月までは紙での保存も宥恕されていますが、全ての事業者がそれまでに対応を迫られることとなります。「FXシリーズ」は電子取引データを電子保存できる機能を標準搭載しておりその活用を支援しています。

f.消費税インボイス制度への完全対応支援

 令和5年10月1日に消費税インボイス制度が開始されます。消費税の課税事業者は、制度開始までに適格請求書発行事業者の登録申請、適格請求書の発行への対応、適格請求書からの仕訳計上方法の学習等の準備を進める必要があります。

 このような対応の支援を会計事務所が関与先企業にスムーズに行えるよう、当社ではオンデマンド研修の整備や説明資料の提供等を進めています。また、関与先企業が「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署に提出して受理された場合に通知される「事業者登録番号」を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトから検索し、OMSクラウドの関与先基本情報データベース(CDB)に一括登録できる機能を提供開始しました。また、FXシリーズに登録されている「取引先マスター」の取引先名と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトと照らし合わせて「事業者登録番号」を登録・更新できる機能を搭載しています。これによって、FXシリーズ利用企業は、その取引が適格請求書発行事業者と行ったものかどうかを判定できるようになり、正確な消費税計算を行えるようになります。また、消費税インボイス制度に対応した新しい仕訳入力画面や新たな課税区分などの設計も完了し、これらのレベルアップ内容をTKC会員に案内することにより安心感と信頼感を醸成しています。

 なお、令和4年8月19日に当社は、日本におけるPeppol(Pan European Public Procurement Online(以下、ペポル))の管理局(Japan Peppol Authority)であるデジタル庁、およびペポルの管理団体である 「Open Peppol」(本部:ベルギー)から、国内初のペポルサービスプロバイダーにいち早く認定されました。TKCの自計化システムは、このインフラを活用し、ペポルに準拠したデジタル・インボイスの発行と受取を標準的に行えるよう機能強化します。

g.「TKCモニタリング情報サービス」の推進

 「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。開示のタイミングは、月次試算表の場合は月次決算終了直後、年度決算書および税務申告書の場合は税務署に対して電子申告した直後となります。

 また、当社は「TKCモニタリング情報サービス」の推進と同時に、金融機関に対して中小企業の決算書の信頼性は以下の3帳表で確認できることを訴求しました。

 

ⅰ)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」

ⅱ)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性を株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」

ⅲ)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」

 こうした活動の結果、「TKCモニタリング情報サービス」は令和4年9月末日現在、全国全ての地方銀行(64行)を含む478金融機関に採用されています。また、全国の信用保証協会(51協会)のうち、74.5%にあたる38協会で当サービスが利用されています。それにより同サービス利用件数は31万件を突破しました。

 コロナ禍において中小企業の過剰債務問題が顕在化し始めている中、「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員が月次巡回監査によってその適法性、正確性および適時性を確認した月次試算表、年度決算書、税務申告書が金融機関に迅速に提供される点において、中小企業の経営支援に取り組んでいる金融機関と信用保証協会から高く評価されています。当サービスは、中小企業を伴走型で支援する金融機関とTKC会員の架け橋となることが期待されています。

h.会員導入(TKC全国会への入会促進)

 TKC全国会では、引き続きTKC会員事務所数を1万超とする運動に取り組んでいます。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会などと密接に連携し、Webセミナーを積極的に開催するなどの活動を展開しました。

 この結果として令和4年9月末日現在のTKC会員事務所数は9,900事務所、会員数は1万1,500名となっています。なお事務所数と会員数に違いがあるのは、1事務所に複数会員が所属する場合があるためです。

[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]

a.「中小会計要領」の普及支援活動

 TKC全国会では、中小企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。

 中小会計要領は、①自社の経営状況の把握に役立つ会計②利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計③会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計④中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。

 当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材などの整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。

b.「記帳適時性証明書」の発行

 当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用し、金融機関などが客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。令和4年1月からTKCシステムで会計処理と税務申告処理を行い、記帳適時性証明書が発行された個人事業者を対象として、青色申告決算書等を「TKCモニタリング情報サービス」を利用して金融機関に提出できるように機能強化しました。今後もさらなる金融機関との連携強化を支援します。

[大企業市場への展開]

 当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンス向上と合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。

a.グループ通算制度への対応

 令和4年4月1日以後に開始する事業年度から連結納税制度が見直され、新たにグループ通算制度が適用されました。グループ通算制度を適用する法人は、親法人および各子法人が法人税申告を電子申告にて行うこととされています。

 当社は、これまで資本金1億円超の大企業の電子申告義務化への対応を積極的に支援してまいりました。また、当社ではこれまで培ったノウハウを生かし、グループ通算制度に対応する「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」を開発し、8月より提供開始しました。グループ通算制度を適用される企業グループが円滑に対応できるように、TKC全国会中堅・大企業支援研究会(令和4年9月末日現在の会員数は1,545名)と連携し支援しています。それにより、令和4年9月末日現在で約2万1,000社あるといわれる資本金1億円超の企業の約40%において「法人電子申告(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」をご利用いただいています。

 

b.改正電子帳簿保存法、消費税インボイス制度への対応

 令和4年1月から施行された改正電子帳簿保存法では、電子帳簿の保存要件が緩和されるとともに電子取引データの電子保存が義務化されました(令和5年12月末まで宥恕措置あり)。

 さらに、令和5年10月から消費税インボイス制度が開始されるため、現在、デジタルインボイスの標準仕様の策定とその普及に向けた取り組みが進められています。これらの法改正への対応を支援するため「中堅・大企業のためのインボイス制度対応セミナー」を開催し、約3,600名の申し込みを得ました。

 また、改正電子帳簿保存法に対応した「インボイス・マネジャー」を令和4年1月から提供開始し、令和4年9月末日現在、中堅・大企業の350社に導入しています。

c.海外子会社の業績管理支援

 海外に展開している日本企業において、コロナウイルスによる渡航制限で在外法人を訪問できないことや、ウクライナ情勢による資源価格の高騰、物流の分断等による業績への変動リスクの増加等の問題が顕在化しています。

 当社が提供する「海外ビジネスモニター(OBMonitor)」は、海外子会社の財務データを日本にいながら確認できるクラウドサービスであり、このような課題を抱えている企業での採用が増加しています。現在、OBMonitorは1,200社超に採用され、世界38カ国で活用されています。また、金融機関とビジネスマッチング契約を締結し、海外に展開している取引先企業に業績管理や会計処理のミス・不正の発見・牽制を支援する目的で提案・採用されています。既に全国9金融機関とビジネスマッチング契約を締結しており、今後も提携する金融機関を拡大していく予定です。

d.大企業市場でのシェア拡大とTKC会員の関与先拡大

 このような活動の結果、「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和4年9月末日現在で約5,000企業グループとなりました。また、日本の上場企業の売上高トップ100社のうち91%の企業が当社のシステムを利用しています。これにより、日本の上場企業における市場シェアは42%となりました。

[法律情報データベースの市場拡大]

a.「TKCローライブラリー」の利用拡大

 当社は、リーガルリサーチにおける「TKCローライブラリー」の利用価値を高めるため、判例等の基本サービスと関連する法律専門誌等の記事の拡充に取り組んでいます。また、これらのコンテンツをセットにした  TKCローライブラリーの「法律事務所向け」「企業法務部門向け」のパックサービスの普及に取り組んでいます。コロナウイルスによってオンラインで業務を遂行することが当たり前となった現在、資料室や図書館などを利用したリーガルリサーチに代わり、当パックサービスを利用していただくケースが主流となりつつあります。このような状況において、法令・判例・文献情報に加え、主要法律専門誌の記事をいつでもどこでも利用できるTKCローライブラリーの評価は高まっており、利用者数やコンテンツの追加契約が増加しています。また、令和3年6月にTKCローライブラリーのオプションサービスとして、法律、会計、税務、経営等の専門分野の書籍をPDFで閲覧できるサービス「Legal Book Search」の提供を開始しました。このサービスは、弁護士等が書籍情報を無償で検索し、PDF化された書籍をタブレットやパソコンで閲覧(有償)できる定額制のサービスです。新刊も含め随時追録しており、閲覧可能な書籍は令和4年9月末日現在、990冊を超えました。

 当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部などへのオンライン提案活動を実施した結果、ユーザー数は57,000IDを超え、令和4年9月末日現在で25,000超の諸機関で利用されています。

b.アカデミック市場における展開

 多くの大学・法科大学院は、コロナウイルスにより対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型の授業を実施しています。当社が提供する「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」などのシステムは、いつでもどこでもオンラインで利用でき、他社をしのぐ多種多様なコンテンツを収録すると共に、レポートの提出、オンライン演習、テスト機能等を搭載しています。これらの特長が教員、学生のオンライン授業および学習を支えるものとして再評価されており、大学のオンラインによる学習環境整備に貢献しています。

 また、大学の法学部に提供しているオンライン学習ツール(公務員試験、ビジネス実務法務検定、法学検定試験等)は、令和4年9月末日現在で27校が利用しています。現在、多くの資格試験がCBT/IBT方式によるコンピューター利用試験を採用しているため、オンライン試験対策としても有効な当社のオンライン学習ツールの活用を、資格試験の実施団体や受験生に訴求してまいります。

 

2) 会計事務所事業部門の経営成績の分析

会計事務所事業部門における売上高は46,465百万円(前期比2.3%増)、営業利益は11,286百万円(同6.8%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比2.8%増となりました。これは中堅企業においてDX(Digital Transformation)への取り組みが加速する中で、販売管理システムや給与計算システムといった業務システムとデータ連携して仕訳を計上できる中堅企業向け「統合型会計情報システム(FX4クラウド)」の導入が進んでいること、会計事務所向けの「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と自宅や外出先からリモートで業務を遂行できる「OMSモバイル」の採用が増加していることなどによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比2.9%増となりました。これは、令和4年1月から施行された改正電子帳簿保存法に対応するために、「優良な電子帳簿」の法的要件を満たし、証憑保存機能を標準搭載した「FXクラウドシリーズ」を新規に利用開始する関与先企業が増加したことによります。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比2.4%増となりました。これは「FX4クラウド」の販売が堅調に推移し、立ち上げ支援サービスが増加したことによります。

d.ハードウエア売上高は、前期比7.9%増となりました。本年度の「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」において、ハードウエアの購入費用も補助の対象となったこと、Windows11を搭載したパソコンへの買い換えが進んだことなどによります。

e.サプライ用品売上高は、前期比1.0%増となりました。デジタル化の進展に伴い紙の会計用品や消耗品の需要は減少しましたが、リモート業務やデジタル化を支援する事務機器の販売ならびに令和5年末に対応が必要となる電子取引・インボイス関連書籍の販売が好調だったことによります。

f.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、利益率の高いコンピューター・サービス売上高やソフトウエア売上高が増加した一方で、利益率の低いサプライ用品売上高が前年よりも減少したことなどによります。

 

 ③地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績

1) 地方公共団体事業部門の営業活動

地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。

当社は、地方公共団体に対して、「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは、「TASKクラウドサービス」と「TASKアウトソーシングサービス」から構成されるクラウドサービスです。この「TASKクラウドサービス」は、住民基本台帳や税務情報などを管理する「基幹系関連サービス」、財務会計(公会計)や給与計算などの「内部情報系関連サービス」、行政手続きのオンライン申請などの「行政サービス・デジタル化支援サービス」で構成しており、令和4年9月末日現在で1,100団体を超える地方公共団体(都道府県、市区町村等)に採用いただいています。

a.基幹系サービスの開発・提供

 当社が提供する「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提に設計しています。また、サービス利用料金はサブスクリプション方式を採用しており、この利用料金の範囲内で年1回の定期バージョンアップを実施しています。

「TASKアウトソーシングサービス」は、「基幹系関連サービス」の顧客市区町村を対象として納税通知書や選挙入場券などの大量一括出力処理を支援するサービスです。当期は、新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)に係るシステム対応を迅速に行い、顧客市区町村のワクチン接種事業を積極的に支援しました。こうした点が評価され、「基幹系関連サービス」は令和4年9月末日現在で約170団体に採用されています。

b.行政サービス(各種手続き)のデジタル化・オンライン化の支援

 当社は、自治体DX推進に貢献すべく〈来させない・待たせない・書かせない〉窓口サービスの実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援サービス」を提供しています。

 当期は、「TASKクラウドスマート申請システム」、「TASKクラウドかんたん窓口システム」、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」の大幅な機能強化を行いました。

 これらのサービスの活用を提案した結果、当期末において「TASKクラウドスマート申請システム」は大阪市、横浜市など政令指定都市を含む約30団体に、「TASKクラウドかんたん窓口システム」は約40団体に、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は約140団体に採用されています。

 

c.地方税税務手続きのデジタル化の支援

 地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市区町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。

 本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を締結した50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和4年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約790団体に採用されています。

 当期においては、令和5年4月から開始される地方税の共通納税システムにおける税目拡大に向けたシステム導入支援作業をパートナー企業と共に取り組んでいます。

d.地方公会計制度に完全準拠した財務会計システムの開発・提供

 当社では、総務省が策定した統一的な基準に基づく財務書類作成機能と「日々仕訳方式」に対応した「TASKクラウド公会計システム」およびその関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」、「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。

 当期においては、<財政状況の見える化による持続可能な財政運営>および<電子決裁や電子請求書連携などによる内部事務のDX推進>を支援する機能を拡充した次世代版公会計システムの提供も開始しました。

 その結果、「TASKクラウド公会計システム」は令和4年9月末日現在で約300団体に採用されています。

e.次世代製品の研究・開発

 令和4年10月7日に「地方公共団体情報システム標準化基本方針」が閣議決定され、地方公共団体は、令和7年度末までに基幹業務システム(20業務)をガバメントクラウド上に構築された標準化基準を満たすアプリケーション(標準仕様準拠システム)に移行することが求められています。

 当社では、地方公共団体を取り巻く環境変化に対応するため、令和3年11月1日に自治体DX推進本部を新設し、地方公共団体情報システム標準化に関する最新情報の収集・発信など顧客サポートの強化に努めています。

 当期においては、デジタル庁の「ガバメントクラウド先行事業」に当社顧客(埼玉県美里町、川島町)の共同提案が採択され、当社はアプリケーション開発事業者として両町とともに当事業へ取り組みました。また、令和4年9月2日に総務省より発表された、自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(第2.0版)に記載の〈行政サービスのデジタル化〉を支援するため先進団体との実証事業などを通じて、次世代ソリューションの調査・研究、開発にも継続して取り組んでいます。

2) 地方公共団体事業部門の経営成績の分析

地方公共団体事業部門における売上高は18,228百万円(前期比3.0%増)、営業利益は1,922百万円(同12.7%増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比8.3%増となりました。これは前期までに受託した新たな顧客のシステム本稼働に伴いデータセンター利用料が増加したこと、新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)に係る接種券等の印刷業務を受託したこと、衆議院議員選挙に伴う入場券等作成業務を受託したことなどによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比1.8%減となりました。これは、前期に計上したワクチン接種事業(1、2回目接種)やデジタル手続法改正に伴うシステム改修など、制度改正による一時的な売上高が前期に比べて減少したことによります。一方で、当社は団体規模に応じた定額のサブスクリプション方式の料金を採用しているため、ソフトウエアの利用料は、顧客数の拡大に伴って順調に推移しています。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比36.2%減となりました。これは、前期に計上した自治体中間サーバ・プラットフォームの次期システムへの移行料が当期は発生しないことなどによります。

d.ハードウエア売上高は、前期比14.3%増となりました。これは基幹系システム機器更改に伴うハードウエア機器の導入や新庁舎への移転に伴うネットワーク機器導入、ハードウエア機器移設作業の集中などによります。

e.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、新たな顧客のシステム本稼働によりコンピューター・サービス売上高が増加したことなどによります。

 

 ④印刷事業部門の営業活動と経営成績

1) 印刷事業部門の営業活動

当社グループの印刷事業部門は、データ・プリント・サービス(以下、DPS)事業、ビジネスフォーム印刷事業および商業美術印刷事業を基軸に事業を展開しています。

DPS分野では、市区町村から衆議院議員選挙および参議院議員選挙の入場券、ワクチン接種事業におけるワクチン接種券、住民税非課税世帯給付金通知、各税帳票業務を受注したことに加え、民間企業において需要が回復傾向にあるダイレクトメール・通知業務を受注したことにより、売上高は前年に比べて増加しました。また、新規設備導入により民間企業向けダイレクトメール製造の内製化を進めたことにより、生産性と利益率の改善を実現しています。

 

ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展により、ビジネス帳票・伝票類の使用量が減少傾向にあることから、売上高は前年に比べて減少しました。

商業美術印刷分野(カタログ、書籍等)では、改正電子帳簿保存法の制度改正、消費税インボイス制度への対応、令和4年度税制改正を解説する書籍等の印刷業務を受注したことにより、売上高は前年に比べて増加しました。

なお、印刷事業部門の株式会社TLPでは、環境配慮を志向するお客さまが環境にやさしい紙製品をお使いいただけるよう、令和4年10月3日付でFSC®森林認証(CoC認証)を取得しました(FSC-C182216)。この認証制度では、適切に管理されたFSC認証林およびその他の管理された供給源からの原材料を用いるとともに、適切な管理と印刷加工が求められています。これに対応することによって紙製品にFSC認証マークを付すことができ、お客さまの環境配慮への取り組みを支援することができるようになりました。

2) 印刷事業部門の経営成績の分析

 印刷事業部門における売上高は3,145百万円(前期比1.3%増)、営業利益は144百万円(前期に対して105百万円増)となりました。売上高の内訳は以下のとおりです。

a.データ・プリント・サービス(DPS)関連商品の売上高は、前期比3.6%増となりました。これは、昨年10月の衆議院議員選挙および本年7月の参議院議員選挙入場券、市区町村におけるワクチン接種券、住民税非課税世帯給付金通知、「令和3年分確定申告のお知らせ」はがきの印刷業務などを受注したことに加え、コロナ禍により減少していた民間企業のダイレクトメール・通知業務の需要が徐々に回復傾向にあることなどによります。

b.ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比1.4%減となりました。これは、顧客企業におけるペーパーレス化の進展により各種伝票類をはじめとして、ビジネスフォームの需要が減少していることによります。

c.商業美術印刷(カタログ、書籍等)関連の売上高は、前期比9.9%増となりました。これは、電子帳簿保存法の改正、消費税インボイス対応、令和4年度税制改正を解説する書籍等の印刷業務を数多く受注したことによります。

d.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、利益率が高いDPS関連商品の売上高の増加と、新規設備導入により民間企業向けダイレクトメール製造の内製化を進めたことによります。

 

 ⑤全社に関わる重要な事項

1) 「サステナビリティ方針」の開示

 東京証券取引所の市場再編に伴うプライム市場への上場や、改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応の一環として、「サステナビリティ方針」を策定すると共に、当社がこれまで取り組んできたESG活動実績をWebサイト(https://www.tkc.jp/sustainability/)に公開しました。

2) コロナウイルスの感染防止と新しい働き方への対応

 コロナウイルス感染拡大の終息が見通せない中、当社は顧客へのサービス提供を継続するため、引き続き以下の感染防止と新しい働き方への対応に取り組んでいます。

a.クラウドサービス、帳表印刷サービスやヘルプデスクサービスを継続して提供できるよう、事業継続のための体制強化(重要事業所への社外関係者の立ち入り禁止、データセンターを遠隔拠点からリモート操作するためのインフラ整備)を継続しています。

b.在宅勤務制度、時差通勤制度を実施しています。また、顧客サポートや商談についてもWeb会議システムを積極的に活用しています。

3) デジタル庁よりペポルサービスプロバイダーに認定

 令和4年8月19日に当社は、日本におけるPeppol(Pan European Public Procurement Online、以下、ペポル)の管理局(Japan Peppol Authority)であるデジタル庁、およびペポルの管理団体である「Open Peppol」(本部:ベルギー)から、ペポルサービスプロバイダーに認定されました。

4) システムに搭載する機能において特許を取得

 以下の2つの特許を取得しました。

a.「FXクラウドシリーズ」に搭載する巡回監査機能(令和4年1月20日取得/特許第7012895号)

b.「海外ビジネスモニター(OBMonitor)」の内部監査支援機能(令和4年4月1日取得/特許第7052135号)

5) TKCカスタマーサポートサービス株式会社(TCSS)がHDI「三つ星」を獲得

 コールセンターサービス専門子会社のTKCカスタマーサポートサービス株式会社(TCSS:当社100%出資)は、令和4年2月16日にパッケージソフトウエア業界では他社に先駆けて、HDI-Japanによる格付けベンチマーク「クオリティ格付け」において、最高評価の「三つ星」を獲得しました。

 

 ⑥当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析

1) 資産の部について

 当連結会計年度末における資産合計は、109,225百万円となり、前連結会計年度末103,406百万円と比較して5,819百万円増加しました。

a.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、40,715百万円となり、前連結会計年度末36,107百万円と比較して4,607百万円増加しました。
 その主な理由は、現金及び預金が3,493百万円、売掛金が962百万円増加したことによります。

b.固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、68,510百万円となり、前連結会計年度末67,298百万円と比較して、1,211百万円増加しました。
 その主な理由は、投資有価証券が957百万円減少したものの、長期預金が1,100百万円、ソフトウエア仮勘定が642百万円、ソフトウエアが418百万円増加したことによります。

2) 負債の部について

 当連結会計年度末における負債合計は、21,899百万円となり、前連結会計年度末19,990百万円と比較して1,909百万円増加しました。

a.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、17,679百万円となり、前連結会計年度末14,721百万円と比較して、2,958百万円増加しました。
 その主な理由は、未払法人税等が956百万円、賞与引当金が880百万円、買掛金が571百万円、未払金が400百万円増加したことによります。

b.固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、4,219百万円となり、前連結会計年度末5,268百万円と比較して、1,048百万円減少しました。
 その主な理由は、退職給付に係る負債が747百万円、リース債務が212百万円減少したことによります。

3) 純資産の部について

 当連結会計年度末における純資産合計は、87,325百万円となり、前連結会計年度末83,416百万円と比較して3,909百万円増加しました。
 その主な理由は、自己株式が1,007百万円増加したことにより純資産が減少したものの、利益剰余金が5,331百万円増加したことによります。

 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、80.0%となり、前連結会計年度末80.7%と比較して0.7ポイント減少しました。

 

 ⑦当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ3,493百万円増加し、26,620百万円になりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。

1) 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、13,050百万円増加(前連結会計年度比2,500百万円収入増)しました。これは、税金等調整前当期純利益13,650百万円、減価償却費3,050百万円の計上、法人税等の支払い4,063百万円などによるものです。

2) 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、4,342百万円減少(前連結会計年度比2,858百万円支出減)しました。これは、定期預金の預入4,400百万円の支出、定期預金の払戻3,300百万円の収入、および無形固定資産の取得2,573百万円の支出などによるものです。

3) 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、5,214百万円減少(前連結会計年度比1,523百万円支出増)しました。これは、自己株式の取得による支出1,035百万円、令和3年9月期期末配当(1株あたり配当39.5円)ならびに令和4年9月期中間配当3,979百万円(1株あたり配当36円)の支出などによるものです。

 なお、当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりです。

 

 

 

令和元年9月期

令和2年9月期

令和3年9月期

令和4年9月期

自己資本比率(%)

73.8

78.9

80.7

80.0

時価ベースの自己資本比率(%)

126.8

183.2

179.2

164.6

債務償還年数(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

4,566.9

6,492.7

27,055.7

8,627.1

 自己資本比率           :自己資本        ÷ 総資産 ×100

 時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額      ÷ 総資産 ×100

 債務償還年数           :有利子負債       ÷ 営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

   2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 特に記載すべき事項はありません。

②受注実績

 特に記載すべき事項はありません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

会計事務所事業

46,465

102.3

地方公共団体事業

18,228

103.0

印刷事業

3,145

101.3

合計

67,838

102.4

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び仮定を用いている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

 当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、使用される当社の見積り等が、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」をご参照ください。

③当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。

 また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。

④当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。

1)連結数値に基づく経営指標

a.対前年度売上高比率:3%以上

b.自己資本利益率:8%以上

2)個別数値に基づく経営指標

a.自己資本比率:80%超

b.売上高経常利益率:8%以上

c.総合限界利益率:60%以上

※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。

 このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は2.4%(前期比4.7ポイント増)、連結自己資本利益率は10.9%(前期比0.1ポイント増)となりました。

 また、個別自己資本比率は83.3%(前期比1.2ポイント減)、個別売上高経常利益率は20.9%(前期比1.3ポイント増)、個別総合限界利益率は78.9%(前期比0.1ポイント減)となりました。

 引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。

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