業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(業績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、同感染症のワクチン接種が進展し、9月30日には緊急事態宣言が解除され、また3月21日にはまん延防止等重点措置が終了するなど経済活動に回復の兆しが見られました。一方で、新たな変異株による感染再拡大への懸念、原材料価格の上昇等の影響もあり、先行きは不透明で予断を許さない状況となっております。

学習塾業界におきましては、少子化による市場の縮小や家庭内における教育費の抑制が続く中で、2021年から導入された大学入学共通テストや小学校での英語教科化等への対応に加え、コロナ禍で継続的な学習環境を提供するために、映像授業やオンライン授業などデジタルを活用した教育の充実が求められています。また、コロナ禍による事業環境の変化により、新規参入や業界の再編成が顕著化し、業界としての注目度も高まってきております。

このような状況の中、当社グループでは、前年から導入した、全ての授業に対して単方向の映像授業も視聴可能とした「ダブル学習システム」を継続して実施するなど、コロナ禍においてもこれまで以上に学力向上体制の強化に努めております。

当社では、校舎等において新型コロナウイルス感染予防対策を徹底しておりますが、6月18日より新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施しました。夏期講習が開講する7月22日までに接種を希望する全職員の2回目の接種を完了させ、さらには職員家族・保護者様への接種も進めてまいりました。また、ワクチンの対象年齢が12歳以上に引き下げられたことに伴い、接種を希望する生徒への接種も9月・10月に実施いたしました。さらに、2月・3月には希望者に対して3回目の接種を実施いたしました。引き続き生徒・職員の感染症対策に努めてまいります。

当連結会計年度での合格実績につきましては、全都立中高一貫校11校(千代田区立九段中等を含む)の入試において過去最高を更新し、963名(前期は927名)となりました。また、全都立中高一貫校の定員合計に対する合格占有率は55%(前期は55%)と過半数を維持し、都立中高一貫校の受検対策塾としての「ena」ブランドを確立しております。また、高校受験においても、都立進学指導重点校7校の合格実績が376名(前期は357名)となり、前期に引き続き全塾中№1を獲得することができました。

当連結会計年度での新規出校につきましては、2022年2月から4月に「ena」を2校舎(代々木、渋谷)、「ena最高水準」を8校舎(渋谷、三鷹、両国、大塚、経堂、旗の台、大泉学園、花小金井)、「ena新セミ」を1校舎(宇都宮校)、「ena高校部」を1校舎(最高水準吉祥寺高校部)開校いたしました。これらの校舎につきましては開校後間もないため当連結会計年度の売上高に大きく貢献するには至っておりませんが、来期以降の生徒数及び売上高の増加に貢献するものと考えております。

収益面におきましては、前年から継続するコロナ禍での対応が生徒・保護者様に支持されたことが寄与し、前年同期と比較して全ての部門において生徒数が増加いたしました。また、夏期・冬期の季節講習や各種合宿につきましても、生徒・職員の感染防止対策を徹底することにより、例年通り実施することができました。その結果、計画を上回る実績となり、売上高の増加に寄与いたしました。

費用面におきましては、生徒数の増加等に伴う変動費(教材・模試費、合宿運営費等)の増加、家賃の減額交渉や人件費の適正化等の各種経費削減策の反動及び1月から3月にかけてTVCMを実施したことなどにより、営業費用全体としては前年同期と比較して増加しましたが、コスト管理の徹底による利益率向上に取り組んだ結果、営業利益は前年同期と比較して増加いたしました。

経常利益につきましては、持分法適用関連会社である株式会社市進ホールディングスの決算の影響を受けて、前年同期と比較して増加いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は12,378百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は2,326百万円(前年同期比25.0%増)、持分法による投資利益の計上などにより経常利益は2,405百万円(前年同期比34.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,510百万円(前年同期比36.2%増)となりました。売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全ての項目において、前連結会計年度に引き続き過去最高益を更新いたしました。

 

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント別の売上高はセグメント間の内部取引消去前の金額によっております。

また、教育事業における部門別の内訳につきましては、第1四半期連結会計期間から対象区分を一部変更しております。これに伴い、前年同期比較は前年同期の数値を変更後の区分方法により組み替えて比較しております。

 

① 教育事業

小中学生部門(ena小中学部)につきましては、前年下半期以降回復に転じた生徒数が年間を通じて好調に推移したこと及び合宿を含む夏期・冬期の各季節講習売上が伸長したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。

個別指導部門(個別ena)につきましては、前年新型コロナウイルス感染拡大を受けて減少した新規入塾者数が増加に転じたこと及び生徒一人当たりの単価が上昇したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。

大学受験部門(ena新セミ、ena新美、ena高校部)につきましては、前年新型コロナウイルス感染拡大を受けて減少した受講者数が全ての部門において増加に転じたことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。

海外校舎を主に展開するGAKKYUSHA USA グループ(GAKKYUSHA U.S.A.CO.,LTD.、GAKKYUSHA CANADA CO.,LTD.、GAKKYUSHA SINGAPORE PTE.LTD.、ENA EUROPE GmbH及び株式会社学究社帰国教育)につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の長期化を受けてインターネット受講生が増加したことにより、売上高は前年同期と比較して増加いたしました。

これらの結果、売上高は11,789百万円(前年同期比9.3%増)となりました。

 

② 不動産事業

不動産事業につきましては、第3四半期連結会計期間において国立1号館の建替えによる賃貸用マンションの稼働を開始したことにより、賃貸収入は前年同期と比較して増加いたしました。

これらの結果、売上高は121百万円(前年同期比23.8%増)となりました。

 

③ その他

インターネットによる受験、教育情報の配信サービス事業につきましては、広告関連売上については、学校法人関連及び一般企業等法人ともに前年同期と比較して増加いたしました。ネットワーク広告売上については、ITP(トラッキング防止機能)によるターゲティング広告単価減少、媒体のPV/ユーザー数減少の影響を受けて前年同期と比較して減少いたしました。

これらの結果、売上高は583百万円(前年同期比11.8%増)となりました。

 

 

(2) 財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて、42百万円減少し、2,342百万円となりました。これは、主として売掛金及び商品の減少等によるものであります。
  固定資産は、前連結会計年度末に比べて、232百万円増加し、7,548百万円となりました。これは、主として建物及び構築物の増加及び建設仮勘定の減少等によるものであります。
  この結果、総資産は前連結会計年度末に比べて、189百万円増加し、9,890百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて、379百万円増加し、3,148百万円となりました。これは、主として短期借入金の増加、1年内返済予定の長期借入金及びその他流動負債の減少等によるものであります。
  固定負債は、前連結会計年度末に比べて、971百万円減少し、1,806百万円となりました。これは、主として長期借入金の減少等によるものであります。
  この結果、負債は前連結会計年度末に比べて、591百万円減少し、4,955百万円となりました。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べて、781百万円増加し、4,935百万円となりました。これは、主として配当金の支払い、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものであります。

この結果、自己資本比率は、49.9%(前連結会計年度末は42.8%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて6百万円増加し、1,988百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

            (単位:千円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,906,041

1,928,822

22,780

投資活動によるキャッシュ・フロー

△744,773

△628,246

116,527

財務活動によるキャッシュ・フロー

△294,893

△1,310,198

△1,015,305

現金及び現金同等物に係る換算差額

△5,772

15,993

21,765

現金及び現金同等物の増減額

860,602

6,371

△854,231

現金及び現金同等物の期首残高

1,109,054

1,982,034

872,979

新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

12,376

△12,376

現金及び現金同等物の期末残高

1,982,034

1,988,405

6,371

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,928百万円の収入(前年同期は1,906百万円の収入)となりました。

主な内訳は、税金等調整前当期純利益、減価償却費、未払消費税等の増減額及び法人税等の支払い額等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、628百万円の支出(前年同期は744百万円の支出)となりました。

これは、主に有形固定資産の取得による支出等によるものであります。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,310百万円の支出(前年同期は294百万円の支出)となりました。

これは、短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入、長期借入金の返済による支出及び配当金の支払額等によるものであります。 

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

53.6

50.8

46.0

42.8

49.9

時価ベースの自己資本比率(%)

293.9

186.9

148.5

150.6

171.9

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

0.6

1.2

1.8

1.5

1.3

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

600.2

637.7

362.4

336.9

333.7

 

(注)1  自己資本比率:自己資本/総資産

 2  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 3  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

 4  インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産及び受注の状況

当社は、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産及び受注に該当する事項はございません。

 

(2) 販売の状況

(業績等の概要)におけるセグメントの業績をご参照ください。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって必要と思われる見積りは、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。
  当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点において入手可能な情報を基に会計上の見積りを行っております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

売上高は、12,378百万円(前年同期比9.6%増)となりました。これは主に、コロナ禍で推し進めた映像授業やオンライン化対応が生徒・保護者様に支持されたこと、高い合格実績を背景とした生徒募集が好調に推移したことによるものであります。また、夏期・冬期の季節講習や各種合宿につきましても、生徒・職員の感染防止対策を徹底した上で例年通り実施することができた結果、売上高の増加に寄与いたしました。

 売上原価は、7,993百万円(前年同期比5.0%増)となりました。これは主に、生徒数の増加等に伴う変動費(教材・模試費、合宿運営費等)の増加、コロナ禍で取り組んだ家賃の減額交渉や人件費の適正化等の各種経費削減策の反動によるものであります。一方で、映像授業の積極活用により生徒一人当たりの単価が上昇したこと及び校舎運営費用が抑制できたこと等により、売上総利益は、4,385百万円(前年同期比19.3%増)となりました。

 販売費及び一般管理費は、2,058百万円(前年同期比13.5%増)となりました。これは主に、当社グループが展開するDX事業である「自宅ena」のTVCMを1月から3月にかけて実施したこと、校舎でのクレジットカード決済導入やオンライン化対応等による手数料負担が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は、2,326百万円(前年同期比25.0%増)となりました。なお、売上高営業利益率は前連結会計年度の16.5%から2.3ポイント上昇し、18.8%となりました。

 営業外収益は、87百万円(前年同期比56.3%増)となりました。これは主に、当連結会計年度において、持分法適用関連会社である株式会社市進ホールディングスに係る持分法による投資利益が発生したこと等によるものであります。一方、営業外費用は、8百万円(前年同期比93.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において、持分法適用関連会社である株式会社市進ホールディングスに係る持分法による投資損失が発生したこと等によるものであります。この結果、経常利益は、2,405百万円(前年同期比34.7%増)となりました。

 特別利益は、当連結会計年度においては計上がありませんでした(前年同期は0百万円)。一方、特別損失は、111百万円(前年同期比66.7%増)となりました。これは主に、当連結会計年度において、国立1号館の建替えに伴い国立市で運営する各校舎の再編成を実施いたしましたが、その移転等に係る減損損失及び固定資産除却損が発生したことによるものであります。この結果、税金等調整前当期純利益は2,293百万円(前年同期比33.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,510百万円(前年同期比36.2%増)となりました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「2  事業等のリスク」に記載しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

「(業績等の概要) (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

(資金調達)

当社グループは、事業活動及び設備投資のための適切な資金確保を常に目指しており、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を重視しております。

新規校舎の設備投資や短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、不動産事業における賃貸等不動産の取得資金については、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
  当連結会計年度末の資金の流動性は十分に確保されていると認識しており、また、金融機関との間に当座借越契約の枠を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。

なお、当連結会計年度末における当社の取引銀行との借入による資金調達余力は以下のようになっております。

 

 

当座借越契約

株式会社三菱UFJ銀行

200百万円

株式会社みずほ銀行

100百万円

株式会社三井住友銀行

200百万円

合  計

500百万円

 

 

 

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