業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当期は、好調だった前期の流れを受け、生徒数が引き続き増え、堅調な1年でした。2021年6月に初めて3万人を突破した生徒数は、2022年9月末には33,000人を超え、期中平均でも前期比6.7%増の31,444人となりました。

また当期における新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株が猛威を振るっていた時期、職員にも感染が広がり、時間割を堅持したりオンラインの体制を整えたりするのが大変でしたが、経営数値への影響は軽微でした。陽性や濃厚接触者となった生徒が、教室での授業に自宅からZoomで参加できる体制を継続したことで、安心感をもっていただけたこともあり、この時期を何とか前向きに乗り切ることができました。

今春の新年度入会生の募集は、特に小学生の伸びが目立ち、小学5年生及び6年生の期中平均生徒数は前期比で12.5%の増加となりました。小学生の伸びが大きくなった要因の一つとして、中学生や高校生で満席のスクール・校舎が増えており、そうしたエリアでは、一部のスクールで中学生になってからでは入会しにくい状況が生まれているため、入会時期の早期化が生じていることが挙げられます。

 

2022年春の入試結果も好調で、生徒募集への後押しとなりました。

小中学生部門の入試実績については、神奈川県の公立トップ高校に2,395名(前年比203名増)が合格し、今春も神奈川県全塾中トップの実績を残しました。神奈川県の学力向上進学重点校5校(横浜翠嵐・湘南・柏陽・川和・厚木)においても、競合各塾の3倍以上となる計900名が合格しています。さらにこの5校の平均競争率は、公立高校としては高倍率の1.50倍となる中、ステップ生は受験者の約8割(79.3%)が合格しており、ステップ生以外の合格率56.9%を大きく上回りました(県教育委員会発表の資料から算出)。また現制度を特徴づける特色検査(記述型)を実施した全19校のうち15校においても、塾別の合格者数で当社がナンバー1であり、この19校の神奈川県全体の合格者数のうち約44.6%をステップ生が占めています。この特色検査は主にトップ校や難関校で実施されており、合否に大きな影響を与える可能性のある試験であるため、ステップでは専門の特色検査対策チームをもうけ、研究を積み重ねながら教材作成を進めています。

また、ステップ生の通学圏内で最難関の共学校である国立東京学芸大附属高校については、合格者数は183名(帰国生と内部進学を除く。正規合格者112名は同総数240名のうち46.7%)に達し、14年連続で全塾中トップの合格者を出しています。

高校生部門の今春の大学合格実績は、東京大13名・一橋大12名・東京工業大22名の現役合格者(全47名中43名が神奈川県の公立高校生)を送り出すことができました。国公立大学の医学部医学科にも10名が現役合格し、国公立大学全体の合格者は過去最高だった前年(270名)を上回る307名(前年比37名増)となりました。また、私立大学においては早稲田大・慶應義塾大・上智大は計468名(前年438名から30名増)、理大MARCH(東京理科大・明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)は計1,958名(前年1,462名から496名増)と、昨年に続き過去最高を更新しています。

当社の大学合格実績の特長として、上記の実績のほとんどが公立高校生によるものである点が挙げられます。公立高校は、首都圏においては進学実績で私立高校に押されがちとされていますが、受験に向けた態勢をしっかりとれば、第一志望への現役合格に向け公立高校生を大いに伸ばせるということを、今春も数字として示せたことは大きな意義があると考えています。

 

学童部門では、2020年3月に開校したSTEPキッズ辻堂教室(JR東海道線辻堂駅)、STEPキッズ茅ヶ崎教室(JR東海道線茅ヶ崎駅)が開校3年目に入りました。これまで毎年段階的に募集学年を拡大していましたが、2022年度から小1~小4生の対象全4学年の募集が始まり、これによりSTEPキッズ3教室すべてで4学年募集となっています。これに伴い、学童部門の生徒数は期中平均で前期比30.9%増となりました。

また、2022年4月、藤沢市に「ステップジュニアラボ」を開校しました。学童教室STEPキッズでこれまで積み重ねてきた各種のプログラム部門を独立させ、それに特化した教室で、小3~小6生を対象としています。開講プログラムは、算数、国語、英語、サイエンス、プログラミング、英検、英会話、ダンス、音楽等でスタートしました。小学生の様々な学ぶ意欲、成長意欲に積極的に応えていく新機軸のスクールである「ステップジュニアラボ」は、低学年の児童教室の研究の場として、STEPキッズと一体となって運営していきたいと考えています。

 

当事業年度中の新規開校は、小中学生部門で3スクールを3月に開校しました。武蔵新城スクール(JR南武線武蔵新城駅、川崎市中原区)、武蔵中原スクール(JR南武線武蔵中原駅、川崎市中原区)、向ヶ丘遊園スクール(小田急線向ヶ丘遊園駅、川崎市多摩区)と、いずれも当社が今後ドミナント展開の中心としていく川崎地区の校舎です。

これらの新スクールとステップジュニアラボ湘南教室開校の結果、スクール数は小中学生部門138スクール、高校生部門15校、個別指導部門1校、学童部門3校と新設のジュニアラボ1校の計158校となっています。

また、校舎の増設や移転拡張にも注力しています。当期中は高校受験ステップでは南足柄スクール・秦野スクールを移転し、より広い校舎としたほか、大学受験ステップでは大船校3号館、横浜校2号館をオープン、さらに横浜校1号館を増床、高校受験ステップ東戸塚スクールの教室も増設しました。今後も校舎の移転や拡大を含めた学習環境の整備に力を入れてまいります。 

売上高に対する広告宣伝費の比率は、2000年の6.3%をピークに徐々に下がってきましたが、当期の比率は0.98%となり、遂に1%を下回りました。募集の中心が、口コミや地域での評判、兄弟関係や保護者のネットワーク、ホームページやTwitterを初めとするネット情報等に移ってきており、新聞への折り込みチラシがそれほど必要なくなってきているためです。今後も当塾に対する生徒や保護者の信用・信頼を大切にしていく方針を継続して運営を進めてまいります。

2022年4月下旬には、YouTube公式チャンネルでの情報発信を本格的にスタートさせました。高校や大学の紹介、当社の各部門や部署の紹介などを動画で積極的に公開しています。このYouTubeチャンネルの目的は、「ステップをより広く知っていただき、ファンの方を増やしていく」ことです。塾生や保護者の方はもちろん、全国の多くの学生にステップの存在や特長を知ってもらうことで、採用活動にもプラスの効果を生み出していくと考えています。そのため、インターンシップや教師研修の様子、教師の一日の流れなど、就職活動中の方に興味を持っていただける動画も公開しており、採用活動でもそれらを活用しています。

また、今春4月に教師の給与水準の引き上げ(ベースアップ)を実施したほか、7月には従業員360名に対して譲渡制限付株式報酬として総額153百万円の自己株式の処分を行うことを決議し、9月に実施いたしました。9月末には、オミクロン株の猛威の中で、時間割の堅持やオンライン体制の継続に尽力してくれた教師、職員に、感謝の気持ちを込めて総額42百万円の「コロナ対応協力寸志」を支給いたしました。今後も積極的に教師、職員の待遇向上を図ってまいります。

 

当事業年度の売上高は13,653百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は3,656百万円(前年同期比4.2%増)、経常利益は3,728百万円(前年同期比3.8%増)、当期純利益は2,563百万円(前年同期比3.7%増)となりました。なお、収益認識に関する会計基準等の適用により、売上高は312百万円減少し、営業利益、経常利益及び税引前当期純利益においても、それぞれ同額の312百万円減少しています。

 

事業部門別の生徒数及び売上高は、次の通りです。

小中学生部門

期中平均生徒数は25,933人(前年同期比7.1%増)、売上高は10,935百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

高校生部門

期中平均生徒数は5,511人(前年同期比5.0%増)、売上高は2,717百万円(前年同期比4.3%増)となりました。

 

② 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末比782百万円増の27,573百万円となりました。
 主な要因は、現金及び預金の増加によるものです。
  流動資産は、現金及び預金の増加等により、前事業年度末比756百万円増の9,724百万円となりました。

固定資産は、減価償却実施による減少等はありましたが、長期前払費用の増加等により前事業年度末比26百万円増の17,848百万円となりました。

(負債)

当事業年度末における負債は、前事業年度末比1,141百万円減の2,774百万円となりました。
 流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の減少等により、前事業年度末比1,399百万円減の2,041百万円となりました。
 固定負債は、長期借入金の増加等により、前事業年度末比258百万円増の733百万円となりました。

(純資産)

当事業年度末における純資産は、配当金の支払がありましたが、当期純利益の計上等により、前事業年度末比1,924百万円増の24,798百万円となりました。

自己資本比率は前事業年度末に比べ、4.5ポイントアップの89.9%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
 当事業年度における現金及び現金同等物は9,092百万円と前年同期と比べ706百万円(8.4%増)の増加となりました。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は3,060百万円(前年同期比17.7%減)となりました。

これは主に、税引前当期純利益3,728百万円、減価償却費491百万円、前受金の増加額317百万円があった一方、法人税等の支払額1,424百万円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は388百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出354百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,966百万円(前年同期比22.9%減)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出1,506百万円、配当金の支払額790百万円があったこと等によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(生産実績及び受注実績)

当社は、生徒に対して授業を行うことを業務としていますので、生産及び受注の実績は、該当事項はありません。

(販売実績)

当事業年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりです。

事業部門の名称

第44期

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

小中学生部門(千円)

10,935,627

104.8

高校生部門(千円)

2,717,818

104.3

合計

13,653,445

104.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて判断しています。

 

② 経営成績の分析

当事業年度は、生徒数が2022年9月末時点で33,000人を超え、期中平均生徒数においても前年同期比で6.7%増となるなど好調に推移したことから、売上高は前年同期比で4.7%増加し、13,653百万円となりました。

売上原価は、ベースアップの実施や9月の賞与に加算して支給したコロナ対応協力寸志支給による人件費の増加などにより、前期に比べて446百万円増加し、9,217百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、広告宣伝費が減少したものの、人件費が増加したことなどにより、前期に比べて23百万円増加し、779百万円となりました。

営業利益は3,656百万円(前年同期比4.2%増)となり、営業利益率は26.8%となりました。

経常利益は3,728百万円(前年同期比3.8%増)となり、また、法人税等合計を1,165百万円計上したことにより、当期純利益は2,563百万円(前年同期比3.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりです。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の主な資金需要は、労務費や地代家賃等の営業費用の他、スクール用地取得や校舎建築等の設備投資です。これらの資金需要は自己資金でまかなえる状況ですが、安定的な資金を継続的に調達するために金融機関との関係も重視しており、借入を継続しています。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得