課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は、すべての人にとってクルマが、より便利で快適に、安全に、そして楽しい存在であるように、一人ひとりのお客様に最適なカーライフを提案・提供することを目指し、豊かで健全な車社会の創造に寄与し続けます。それが、当社およびフランチャイズチェン加盟法人を含むオートバックスチェンの使命であります。この考えを「オートバックスチェン経営理念」としてまとめ、お客様、フランチャイズチェン加盟法人、従業員、取引先、株主、社会などのステークホルダーに対して、継続的な価値の提供に努めております。

 

 

オートバックスチェン 経営理念

オートバックスは常にお客様に最適なカーライフを提案し

豊かで健全な車社会を創造することを使命とします。

 

 

 また、当社は100年企業の実現に向けた長期ビジョンとして「2050未来共創」を掲げました。当社は創業から70 余年、常に車社会の発展とお客様のカーライフを豊かにするために活動してまいりました。これから先も、社会や自動車技術の進展、人びとの価値観の変化を捉え、人の暮らしに寄り添い、時流に合わせた価値を提案し続けます。そこにグループ全員が力を合わせて尽力し、2050年を目指し、より豊かで健全な車社会の創造に貢献していきたいという願いが、このビジョンには込められております。

 

 

オートバックスセブン ビジョン

2050未来共創

社会・クルマ・人のくらしと向き合い、明るく元気な未来をつくります。

私たちの元気の源泉はお客様の声。

一日一日を積み重ね、個人も企業も成長し、輝きつづけます。

 

 

(2) 経営環境

消費全般を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が長期化したことで、経済活動が停滞するなど厳しい状況が続いております。また、原油や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢も重なり、先行きの不透明感は一層強まっております。

自動車関連市場におきましては、カーボンニュートラルの実現に向けたパワートレインの電動化などへの動きが加速しております。また、自動運転、運転支援機能に代表される先進安全技術の開発・普及が進んでおります。当社においては、それら次世代自動車の整備技術への対応が必須となってまいります。大きな変革期を迎える自動車業界においては、当社グループが強みとする国内の自動車用品市場(カーアフター市場)のみならず、自動車整備、車検、中古車販売などの領域をはじめとした業種・業態を超えた競争が激化していくものと考えられます。さらに自動車整備士の不足も課題として顕在化しております。

なお、当社が加盟する自動車用品小売業協会(APARA)発表の2021年4月から2022年3月までの協会加盟企業4社の店舗売上高合計は、3,973億84百万円で、前年比1.1%減少いたしました。また、同期間の中古車登録台数(普通乗用車・小型乗用車)※1は、約316万台(前年比5.8%減)となりました。2021年1月から12月までの自動車整備に関わる総売上(市場)※2は、5兆5,510億円(前年比1.9%減)となり、5年ぶりに減少に転じました。

※1 日本自動車販売協会連合会 発表 ※2 日本自動車整備振興会連合会 発表

 

 今後は、次世代自動車整備への対応に加え、シェアリングサービスやサブスクリプションなど、新たなサービスの急速な拡大とそれにともないITプラットフォームの整備が求められます。さらに、同業他社やディーラー、ネット販売関連企業などの異業種との競争が激化するだけでなく、個人間売買といった取引形態の領域も拡大していきます。ほかにも、少子高齢化による顧客構成の変化、ニーズの多様化など、市場は今後も大きく、急速に変化するものと予想されます。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記の経営環境を踏まえ、当社は持続的な成長を図り、株主価値の最大化を達成するため、新しいカーライフ文化を創造し続けることを使命に、以下の課題に取り組んでまいります。

① 事業基盤の強化と事業の推進

 当社は、短期間に大きく変化が続く社会・クルマ・人の暮らしの潮流をいち早く捉え、適応することで市場競争力を高めるという目的から、2019年に今後の当社グループが向かうべき方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン」を策定いたしております。4年目を迎える2023年3月期は、より成長の可能性の高い領域への集中に加え、大きく変化する社会環境に対応し、持続的成長に向けネットワークおよび事業基盤の強化と事業の推進を図ってまいります。

 

 「国内オートバックス事業」におきましては、不確実性の高い事業環境下において、仕入先様と共に調達力を強化し、サプライチェーンの改革に取り組むなど、将来を見据えて能動的かつスピードをもって対応し、成熟化が進むカー用品市場での競合との差別化を図ってまいります。若年層やファミリー層といった顧客層のさらなる拡大を図るために、好きなクルマでもっと自分らしくというニーズには「自己表現」、クルマを快適に使いたいというニーズには「安心・安全」、クルマで出かけて楽しみたいというニーズには「体験・発見」という3つの価値を提供いたします。具体的には、新たな商品・サービスや業態の開発を推進するとともに、引き続き、お客様が快適にご利用いただけるよう、店舗運営オペレーションの改善および整備士を始めとした人材育成に注力することで、フランチャイズチェン加盟法人様とともに市場における競争力を高めてまいります。

 

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 また、国内オートバックス事業に加えて、「海外事業」、「ディーラー事業」、「BtoB事業」、「オンラインアライアンス事業」、「ライフスタイル事業」、「拡張事業」の6つの事業を推進いたします。

 

 「海外事業」におきましては、世界情勢を注視しながら注力する国や地域を見極めてまいります。小売事業では、国や地域ごとの市場および消費者特性を踏まえてビジネスモデルを精査し、収益性の改善を図ってまいります。また卸売事業では既存進出国を中心に、現地企業とのパートナーシップも強化して、プライベートブランド商品の供給を行い、スピード感を持った事業展開により収益を拡大させてまいります。

 

 「ディーラー事業」におきましては、売上高に占めるサービス構成比率を拡大するとともに、各拠点間の連携により資産効率を向上させ、運営会社におけるオペレーションの改善や人材育成を通じて、さらなる収益の拡大を図ってまいります。

 

 「BtoB事業」におきましては、新規取引先の開拓により商品卸事業の拡大を推進するとともに、法人会員制度による法人車両管理業務の効率化の提案や出張取付サービスの提供などを通じて、新たな収益機会の創出を図ってまいります。

 

 「オンラインアライアンス事業」におきましては、既存のEC事業のさらなる強化を図るとともに、グループ内のアセットの活用だけでなく、グループ外企業とも積極的に連携し、ネットショッピングとリアル店舗の融合を推進させることにより、お客様へ新たな価値を提供してまいります。

 

 

 「ライフスタイル事業」におきましては、カーライフ・アウトドア・スタイルを軸とした「JACK & MARIE」およびガレージライフスタイルをコンセプトとした「GORDON MILLER」といったプライベートブランドの認知を通じて、クルマを中心とした独自の世界観やライススタイルをお客様へ提供し、ネット販売と店舗展開の両軸で、新たなマーケットを創造するとともに、お客様一人ひとりに目を向け、それぞれのカーライフスタイルを見出すことにより、新たなライフスタイル事業創出の機会を模索してまいります。

 

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 「拡張事業」におきましては、保険事業やローン・クレジット事業を通して、金融面でのサービスを提供することにより、収益の拡大を目指してまいります。また、2022年4月に新設したSX事業推進部を中心に、大きく変化する社会環境や持続可能な社会に対する要請の高まりを受けて、長期的かつ持続的な企業価値向上を実現するために、電気自動車やドローンの整備・販売、既存車両の電動化事業の模索など、新たなモビリティ市場への挑戦に加え、地域社会の交通に関わる社会課題の解決に取り組むなど、サステナビリティ・トランスフォーメーションを推し進めてまいります。

 

 また、事業基盤においては、提携・連携する他の事業者とのネットワークから生み出される新たな価値を、7つの事業へ寄与させ、さらに発展させるために重要な役割を担っていることから、引き続き、5つの事業基盤に集中して強化に向けた投資を進めてまいります。

 

 「人材基盤」におきましては、「ヒト」の成長が、持続的成長と企業価値向上を実現するうえで最も重要な課題であると捉え、人材育成や働き方改革を通じて、挑戦する組織となるための仕組みづくりを進め、収益力の向上と持続的な発展を目指してまいります。

 

 「IT基盤」におきましては、ビジネス環境の急速な変化に対応すべく、柔軟かつ強靭なITシステムを確立することで、競争力の向上やリスク管理強化を進めてまいります。また、お客様視点で新たな価値を創造するため、IT戦略とデジタルトランスフォーメーション戦略の両輪でビジネスモデルの変革を進めてまいります。

 

 「物流基盤」におきましては、国内オートバックス事業にかかる物流の仕組みのさらなる効率化を進めるとともに、EC事業をはじめとするその他事業の拡大に対応する物流機能を新たに構築するため、外部連携も含め、物流デジタルトランスフォーメーションによる物流課題の解決と将来に向けた取り組みを推進してまいります。

 

 「財務基盤」におきましては、投資収益管理の強化に取り組むとともに、引き続き事業ポートフォリオの見直しを行い、各事業単位で管理・見える化を図ることで、資本効率を高めてまいります。また、株主還元では、計画期間である5年間の累計総還元性向を100%として、安定的かつ機動的な株主還元を図ってまいります。

 

 

 「情報基盤」におきましては、事業活動を通じて得られるあらゆる情報を収集・整備し、それらの情報を活用するための基盤の構築に努めております。その上で、お客様により良いサービスを提供するため、情報基盤を通じて得られた情報の分析や活用により、社内外における情報の共有や連携を一層進めるとともに、新たなビジネスやサービスの創出にもつなげてまいります。

 

 さらには、これら5つの事業基盤と7つの事業の推進・強化のために、推進体制の整備とモニタリングの強化など、戦略推進の実効性とスピードを高める仕組みの導入や体制の構築にも引き続き努め、当社および連結子会社ならびにオートバックスフランチャイズチェンの持続的成長を実現してまいります。

 

② 財務上の課題

 財務戦略として推進している事業ポートフォリオ見直しによる投資収益管理の強化と各事業単位での見える化による資本効率の向上、計画期間である5年間の累計総還元性向100%とした安定的かつ機動的な株主還元の実施が財務上の課題となっております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEであります。

 2023年3月期の目標値は、売上高2,300億円、営業利益100億円、親会社株主に帰属する当期純利益69億円、ROE5.6%であります。

 

 

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