当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況の概要は、以下のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産合計は818億59百万円(前年同期比10.8%増)となり、前連結会計年度末に比べ79億78百万円の増加となりました。流動資産は635億77百万円(前年同期比14.5%増)となり、前連結会計年度末に比べ80億48百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、販売用不動産の54億17百万円の増加、ウッドショック等による資材価格上昇と仕掛工事件数増に伴う未成工事支出金25億98百万円の増加と、一方で手元流動性の調整に伴う現金及び預金の23億19百万円の減少等によるものであります。
固定資産は182億81百万円(前年同期比0.4%減)となり、前連結会計年度末に比べ69百万円の減少となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は541億73百万円(前年同期比12.2%増)となり、前連結会計年度末に比べ58億72百万円の増加となりました。
流動負債は426億41百万円(前年同期比19.0%増)となり、前連結会計年度末に比べ68億21百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、工事未払金の17億90百万円の増加、仕掛工事件数増に伴う未成工事受入金の60億7百万円の増加と、一方で手元流動性の調整に伴う短期借入金の16億3百万円の減少等によるものであります。
固定負債は115億31百万円(前年同期比7.6%減)となり、前連結会計年度末に比べ9億49百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、長期借入金の7億73百万円の減少等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は276億85百万円(前年同期比8.2%増)となり、前連結会計年度末に比べ21億6百万円の増加となりました。
この増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益31億44百万円による増加と当社及び連結子会社の配当金12億円による減少等によるものであります。
(自己資本比率)
当連結会計年度末における自己資本比率は28.9%(前連結会計年度比0.2ポイント減)となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナワクチンの接種が進み、経済活動の再開により持ち直しの動きが見られるものの、足元では新たな変異株の感染が急拡大する等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
住宅業界におきましては、国土交通省発表による新設住宅着工戸数は、消費増税や新型コロナウイルス感染症の拡大等による影響で減少傾向が続いておりましたが、当社グループの事業と関係の深い「持家」は、2020年11月より増加に転じ、持ち直しの動きが見られました。一方で経済回復による需要増加、さらには貨物船の減便、コンテナ不足等を背景として、世界的に木材価格が高騰する「ウッドショック」や原油価格の高止まり等、原材料の供給不安と価格上昇により厳しい事業環境が続いております。
このような状況のもとで、当社グループは、感染防止策を徹底し、お客様の利便性向上を図るため、住宅展示場をはじめとする営業拠点においては、WEBでの来場予約システムや、インテリア等の生活空間をイメージしていただけるⅤR内覧システムの採用、セミナーのオンライン開催等、デジタルツールを拡充し、非対面型の接客を推進しました。また、かねてより進めていた営業ツール、工事工程管理のIT化により社内外のコミュニケーションにおいても、オンライン打合せやWEB会議を積極的に活用し、営業活動や業務の効率化に努めました。これらの対策を講じたうえで、各事業セグメントにおいて、より一層の収益拡大に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,225億3百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は62億58百万円(前年同期比5.6%減)、経常利益は62億52百万円(前年同期比4.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億44百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
セグメント別の業績(セグメント間の取引消去前)は次のとおりであります。
・注文住宅受注の状況
・販売の状況
(単位:棟)
当事業では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、ニューノーマルとして生活様式や働き方に大きな変化がみられ、マンションと比較してワークスペースやプライベート空間を確保しやすい戸建住宅への関心が高まったことや、自宅で過ごす時間が増加したことにより、2016年の発売以後、住宅事業を牽引する「Z空調」の換気性能や経済性があらためて注目され、累計販売棟数が外部向け販売を含めて1万8千棟を超え、順調に販売拡大しました。また、従前から住宅展示場等への集客及び対面営業のみに頼らない方策としてSNSを活用した情報発信やWEBサイトからの集客、オーナー、不動産事業者からの紹介受注強化の取組みを推進したこと等が奏功し、受注棟数及び受注金額は前年を大幅に上回り、過去最高を更新しました。
販売棟数及び売上高は、ウッドショックによる木材不足で一部の工事に遅れが生じたものの、工事工程の管理を徹底する等により影響を最小限に抑制し、販売棟数、売上高ともに前年同期を上回りました。利益面においてはウッドショックの影響によるコスト増約14億円があったものの、増収に加え、売上総利益率改善の取組みや販売管理費削減に努めた結果、前年同期を上回りました。
この結果、売上高は910億8百万円(前年同期比6.5%増)、セグメント利益(営業利益)は63億64百万円(前年同期比1.9%増)となりました。
(不動産投資事業)
当事業では、ホテル事業においては新型コロナウイルス感染症の影響で宿泊需要が大幅に減少し、客室稼働率が低下する等の影響があったものの、都心の賃貸不動産等を中心とした収益物件に対する需要は底堅く推移しており、5物件の販売が成約したことから、売上高、利益ともに前年同期を大幅に上回りました。
この結果、売上高は41億22百万円(前年同期比268.5%増)、セグメント利益(営業利益)は3億54百万円(前年同期比1,172.8%増)となりました。
当事業では、戸建住宅部門においては積極的な営業展開により受注が前年同期を上回ったことに加え、建築物部門でも、断熱・耐火工事の受注が堅調に増加し、売上高は前年同期を上回りました。利益面においては、ウレタン原料価格の高止まりが続く中、利益改善の取り組みとして原料使用量を約30%削減する「アクアフォームLITE」への切替えを進めたものの前年同期を大幅に下回りました。
この結果、売上高は239億3百万円(前年同期比9.3%増)、セグメント利益(営業利益)は14億10百万円(前年同期比23.9%減)となりました。
当事業では、新型コロナウイルス感染症の影響等により、注文住宅オーナーへの定期点検やリフォーム提案等対面での営業が制限されたこと等により受注が減少し、売上高、営業利益ともに前年同期を下回りました。
この結果、売上高は31億98百万円(前年同期比3.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2億24百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
当事業では、新型コロナウイルス感染症の影響による保育所の利用者数減少、2020年12月に老人ホーム4施設等を譲渡したことから、売上高は前年同期を大幅に下回りました。利益面では、減収に加え、前年同期は新型コロナウイルス感染症の影響による保育施設の休園、イベントの自粛により変動費が抑えられたものの、当期は通常運営に戻り変動費が増加したことから前年同期を大幅に下回りました。
この結果、売上高は29億81百万円(前年同期比42.7%減)、セグメント損失(営業損失)は46百万円(前年同期はセグメント利益1億55百万円)となりました。
なお、2021年10月20日付で当事業を構成する連結子会社であるライフサポート株式会社の全株式を譲渡し、連結の範囲から除外しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ23億19百万円の減少となり、当連結会計年度末の資金残高は、159億80百万円(前年同期比12.7%減)となりました。営業活動で28億13百万円の収入(前年同期は61億21百万円の収入)、投資活動で11億96百万円の支出(前年同期は7億33百万円の支出)、財務活動で40億円の支出(前年同期は30億84百万円の収入)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは28億13百万円の収入(前年同期は61億21百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益55億11百万円(前年同期は68億69百万円)、仕入債務の増加額30億20百万円(前年同期は6億1百万円の減少)、未成工事受入金の増加額58億32百万円(前年同期は6億24百万円の増加)があり、一方で売上債権の増加額12億61百万円(前年同期は4億8百万円の増加)、販売用不動産の増加額54億48百万円(前年同期は15億38百万円の減少)、未収入金の増加額9億30百万円(前年同期は3億74百万円の増加)、未成工事支出金の増加額25億29百万円(前年同期は1億31百万円の増加)、法人税等の支払額21億61百万円(前年同期は27億66百万円)などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは11億96百万円の支出(前年同期は7億33百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出26億16百万円(前年同期は14億50百万円の支出)があり、一方で連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入10億67百万円などがあったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは 40億円の支出 ( 前年同期は30億84百万円の収入 )となりました。これは、短期借入金の純減額16億83百万円(前年同期は21億96百万円の純増)、長期借入金の返済による支出18億9百万円(前年同期は17億94百万円の支出)があり、一方で長期借入れによる収入10億円(前年同期は41億円の収入)などがあったことによるものであります。
① 受注実績
当連結会計年度における注文住宅の受注実績は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
3 主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先は 該当ありません。
当社グループが展開している事業領域においては、「生産」を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナワクチンの接種が進み、経済活動の再開により持ち直しの動きが見られるものの、足元では新たな変異株の感染が急拡大する等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
住宅業界におきましては、国土交通省発表による新設住宅着工戸数は、消費増税や新型コロナウイルス感染症の拡大等による影響で減少傾向が続いておりましたが、当社グループの事業と関係の深い「持家」は、2020年11月より増加に転じ、持ち直しの動きが見られました。一方で経済回復による需要増加、さらには貨物船の減便、コンテナ不足等を背景として、世界的に木材価格が高騰する「ウッドショック」や原油価格の高止まり等、原材料の供給不安と価格上昇により厳しい事業環境が続いております。
短期的には新型コロナウイルス感染症の拡大による雇用・所得環境の悪化が懸念される一方、新型コロナウイルス感染症の拡大による環境の変化をきっかけとして、リモートワークの普及、ステイホームにより自宅で過ごす時間が増える等、ニューノーマルとして生活様式や働き方に大きな変化が生じたことによりマンションと比較してワークスペースやプライベート空間を確保しやすい戸建住宅への関心の高まりや、自宅で過ごす時間が増加したことにより、「Z空調」が持つ換気性能や経済性があらためて注目されたこと、及び従前から住宅展示場等への集客及び対面営業のみに頼らない方策としてSNSを活用した情報発信やWEBサイトからの集客強化を推進したこと等が奏功し、住宅事業の受注高及び受注棟数は前年を大幅に上回り、過去最高を更新しました。
b. 経営成績の分析
(売上高・売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、住宅事業において、ウッドショックによる木材不足で一部の工事に遅れが生じたものの前年より好調に推移した受注物件の工事工程管理を徹底する等により、引渡し棟数が増加したこと及び、不動産投資事業において、都心の賃貸物件を中心とした収益物件の販売が増加したこと等により、前年同期と比較して81億38百万円増加し、1,225億3百万円(前年同期比7.1%増)、売上総利益は、住宅事業においてウッドショックの影響によるコスト増、断熱材事業においてウレタン原料価格の高止まり等があったことにより、前年同期と比較して3億64百万円減少し、256億50百万円(前年同期比1.4%減)となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益・経常利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、ICTを活用した業務効率化推進、販売管理費抑制に取組み、前年同期と比較して6百万円増加し、193億91百万円(0.0%増)となりました。一方で、住宅事業においてウッドショックの影響によるコスト増、断熱材事業においてウレタン原料価格の高止まり等があったことによる粗利益の減少により、営業利益は62億58百万円(前年同期比5.6%減)、経常利益は62億52百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
(特別損益・親会社株主に帰属する当期純利益)
第33期定時株主総会において承認決議された、退任代表取締役に対する特別功労金500百万円を特別損失として計上したこと、投資有価証券評価損188百万円等が発生したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期と比較して6億56百万円減少し、31億44百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの主な資金需要は、住宅事業における事業用地取得、事業拡大のための投資資金、不動産投資事業における物件取得、建設資金、並びに運転資金であります。それらの財源については、自己資本並びに金融機関から調達した有利子負債等を充当する等、資金使途に応じた幅広い資金調達手段の確保に努めております。
なお、安定的かつ効率的な調達を行うため、金融機関からは資金的支援をしていただく等、事業継続に十分な手元流動性を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針については、第5「経理の状況」「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
当社グループは、引当金、資産の評価等に関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果を反映して連結財務諸表を作成しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定及び見積りに関する情報は、第5「経理の状況」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2022年12月期に経営上の目標とする指標として売上高営業利益率7.5%、ROE25%を設定しております。2021年12月期においては前述の各要因により、売上高営業利益率は5.1%、ROEは、13.9%となりました。
これら目標とする経営指標を達成するための今後の施策として、収益性向上(受注率UP、コスト削減、在庫回転率UP等)のためのKPIを設定し、目標達成に取組んでまいります。
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