業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 

1.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みから回復基調を維持するものの、深刻化するウクライナ情勢により、長期化の様相を呈する供給面での制約、原材料およびエネルギー価格、物価や金利の上昇圧力に注視が必要な厳しい環境下にあります。

当社グループの属する住宅業界におきましては、新設住宅着工戸数全体では前年度比5%増の85万戸となり、5年ぶりに増加に転じました。住宅取得支援策の実施やコロナ禍における生活様式の変化を背景に住宅取得への関心が高まり、新設住宅着工戸数において、利用関係別に見た持家・貸家・分譲住宅の全てで前年度比プラスとなりました。

こうした事業環境のなか、当社グループにおきましては、生産面において、従前より築いてきた、高い国産材使用率と、森林組合や林業者といった生産者と直接つながる当社独自の流通システム「タマストラクチャー」を背景に、引き続き安定的に木材を仕入れるとともに、早期受注・早期着工・早期売上の取り組みを一層進め、また営業面において、地域特性に合わせた販売戦略を策定・実施するとともに、変化するお客様の価値観・行動様式に柔軟に対応していくことで、中核事業である注文住宅事業の収益基盤を強化するとともに、各事業においてより一層の収益力の向上に努めました。

当社グループの連結経営成績は、売上高240,760百万円(前年同期比10.4%増)となりました。利益につきましては営業利益11,893百万円(同8.1%増)、経常利益12,346百万円(同11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,283百万円(同15.6%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

また、当社グループの当連結会計年度末における資産総額は、105,077百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。流動資産は、営業貸付金の減少4,697百万円等があったものの、現金及び預金の増加790百万円、販売用不動産の増加2,107百万円、仕掛販売用不動産の増加6,472百万円などにより79,223百万円(同6.2%増)となりました。なお、現金及び現金同等物は「2.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、33,471百万円(同2.4%増)となりました。また、固定資産は機械装置及び運搬具の増加などにより25,854百万円(同0.9%増)となりました。

負債総額は、74,160百万円(同0.2%増)となりました。流動負債は、支払手形・工事未払金等の増加1,219百万円等があったものの、短期借入金の減少1,186百万円、未成工事受入金等の減少1,058百万円、未払法人税等の減少364百万円などにより65,451百万円(同4.3%減)となりました。固定負債は、長期借入金の増加などにより8,709百万(同54.5%増)となりました。

純資産は、配当金の支払2,945百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益8,283百万円の計上等により4,701百万円増加し、30,916百万円(同17.9%増)となりました。

 

2.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ790百万円増加し、当連結会計年度末には33,471百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は、4,580百万円(前連結会計年度は17,639百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益12,163百万円(同10,353百万円)、営業債権の減少4,572百万円(同334百万円の増加)、棚卸資産の増加8,472百万円(同2,917百万円の減少)、未成工事受入金等の減少1,058百万円(同2,903百万円の増加)等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は、1,992百万円(同1,520百万円)となりました。これは、新規支店の開設等の有形固定資産の取得による支出1,850百万円(同1,655百万円)等によるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は、1,824百万円(同14,436百万円)となりました。これは、短期借入金の減少1,186百万円(同2,748百万円)、長期借入れによる収入3,675百万円(同264百万円)、配当金の支払額2,943百万円(同2,060百万円)等によるものであります。

 

3.生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

当社グループ(当社及び連結子会社)が営む住宅事業、不動産事業、金融事業、エネルギー事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

住宅事業

197,680

+1.9

146,916

+5.0

合計

197,680

+1.9

146,916

+5.0

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  金額は、販売価格によっております。

3  不動産事業、金融事業、エネルギー事業、その他事業では、受注活動を行っていないため記載しておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

住宅事業

192,715

+ 10.4

不動産事業

39,328

+ 13.2

金融事業

1,484

△ 4.2

エネルギー事業

844

+ 2.9

その他事業

6,386

+ 0.8

合計

240,760

+ 10.4

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しております。

2  主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当連結会計年度の経営成績等)

当社グループの売上高は、注文住宅事業において、従前から進めてきた各月の着工棟数の平準化施策により完工棟数が底上げされたことや、過年度から実施してきた価格改定による利益率の改善効果等により、240,760百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりました。利益面では、注文住宅事業における売上高増により、営業利益は11,893百万円(同8.1%増)、経常利益は12,346百万円(同11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、8,283百万円(同15.6%増)となりました。1株当たり当期純利益は282円25銭(前連結会計年度は243円35銭)となりました。

当社グループの中核をなす注文住宅事業は増収減益となりました。これはウッドショックによる木材価格の高騰を受け直接原価が上昇したことに加え、翌期の受注獲得のため、広告宣伝費用等の先行投資費用が増加したことによるものであります。今後は、価格改定効果および引渡棟数の増加に伴い、増益基調に転ずるものと見込まれます。また、事業全体としては、増収増益となり最高収益を達成しました。注文住宅事業を中心に戸建分譲事業およびリフォーム事業の収益基盤の強化を図ってきたことによる収益力向上の成果が十分に表れたものと捉えています。

セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析」に記載しているとおりであります。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について)

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、不動産事業における販売用不動産取得があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、注文住宅事業における展示場の新設および移転があります。当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入等を行っており、自己資本比率等の財務健全性指標を注視しながら、最適な選択を実施していきます。

なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は16,765百万円(前連結会計年度は15,130百万円)となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、33,471百万円となっております。

 

(3)セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析

(住宅事業)

住宅事業においては、注文住宅事業において、5ヶ所(うち移転3ヶ所)の出店を行い、営業拠点は246ヶ所になりました。また、モデルハウス、ショールームのリニューアルを32ヶ所において実施しました。過年度より続くコロナ禍における戸建住宅再評価の動き等もあり、当社の展開する戦略商品である「地域限定商品」および期間限定商品を中心に引き続き受注が好調に推移しました。加えて、過年度より取り組んできた着工平準化策が引き続き順調に進捗しました。しかし、当該事業における損益水準は、ウッドショックによる木材価格の急騰による原価上昇、また翌期に向けた受注獲得のために先行投入を図った広告宣伝費が増えたこと等による影響を受けました。

また、リフォーム事業においては、引き続き入居後10年を経過したお客様を中心に、保証延長を目的とした保証延長工事および入居後15年以上を経過したお客様への継続的な保証延長工事のご提案、並びに住宅設備の経年劣化による交換需要の取り込み等のリフォーム受注活動を展開するとともに、リモートワークをはじめとする生活様式の変化に対応した提案に努めた結果、増収増益となりました。今後も、累計で15万棟を超える豊富なストック情報をもとにお客様との関係深化を図りつつ、築年数やお客様のニーズに応じた最適なリフォーム商品の提案と販売を進めてまいります。

以上の結果、当事業の売上高は192,715百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は5,272百万円(同12.6%減)となりました。

 

 

(不動産事業)

不動産事業においては、戸建分譲事業において、引き続き資金回転率を重視した10区画以下の小規模分譲地を中心とした仕入、販売に取り組みました。引き続き土地情報を収集・厳選する専任組織の能力増強に努め、仕入強化の取り組みを進めた結果、受注・引渡とも好調に推移し、引渡棟数については951棟と前年同期比14.7%増加しました。今後とも戸建て住宅の需要動向を注視しつつ、マーケットニーズに対応した良質な住宅の供給および土地の仕入を一層強化することで、戸建分譲事業の確実な伸長を図っていく方針です。

マンション事業においては、当連結会計年度において、前期より進行する新規分譲プロジェクト3棟のうち、2棟を完売し、残り1棟については現在販売中となっております。また、こうした新規分譲プロジェクトと併行し、中古マンションのリノベーション販売にも積極的に取り組みました。

サブリース事業においては、引き続き東京23区内に所在する管理物件(期末管理物件数22棟)の稼働率の向上に注力し、事業収入は順調に推移しました。

オフィス区分所有権販売事業においては、不動産市場におけるオフィスビル部門の需要動向が弱含みに推移するなか、確実なオフィス需要の見込める東京主要5区を対象として仕入、販売に取り組みました。

以上の結果、当事業の売上高は39,328百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益は4,696百万円(同44.9%増)となりました。

 

(金融事業)

金融事業においては、引き続き、当社で住宅を購入されるお客様への保険販売およびフラット35の利用促進並びにつなぎ融資に取り組みました。保険販売については、住宅火災保険の付保率を引き続き高水準で維持できたこと、フラット35についてはその利用率がそれぞれ高水準を維持するなど堅調に推移しましたが、つなぎ融資の利用が減少しました。

以上の結果、当事業の売上高は1,484百万円(前年同期比4.2%減)、営業利益は622百万円(同7.3%減)となりました。

 

(エネルギー事業)

エネルギー事業においては、福岡県大牟田市で商業運転するメガソーラー発電施設の売電実績が、昨年8月の豪雨等の天候不順の影響を受けたものの、電力会社からの指示による出力制御実施は前年の7割程度と減少したことから、当事業の売上高は844百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は279百万円(同14.9%増)となりました。

 

(その他事業)

その他事業においては、当社の住宅引渡棟数が好調に推移したことから住宅周辺事業を中心に堅調に推移しました。また、過年度より進めてきたグループ会社の選択と集中の結果、引き続き利益水準は改善傾向を維持しました。

以上の結果、当事業の売上高は6,386百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益は961百万円(同31.6%増)となりました。

 

以上の結果、当社グループの連結経営成績は、売上高 240,760 百万円(前年同期比10.4%増)となりました。利益につきましては営業利益 11,893 百万円(同8.1%増)、経常利益 12,346 百万円(同11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益 8,283 百万円(同15.6%増)となりました。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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