当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・社会活動は大きな制限を受け依然として厳しい状況が続きましたが、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、一部では弱さも見られるものの、企業収益は総じて持ち直しの動きが見られました。
先行きについては、国内外で感染拡大の防止策やワクチン接種が促進される中で、持ち直しの動きが続くことが期待されておりますが、感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があり、依然として不透明な状況にあります。
当社の主要事業である建設業界におきましては、公共投資は関連予算の執行により底堅く推移しているものの、民間設備投資は投資計画の見直し、先送りなどが懸念される中、建設技術労働者の不足による人件費の高騰、建設資材価格の高止まりなど、厳しい事業環境が続いております。
住宅業界におきましては、低金利の住宅ローンや政府の各種住宅取得支援策の継続に加え、生活様式の見直しやテレワーク(在宅勤務)の普及などにより、実需者層の住宅取得意欲は堅調に推移しております。一方で、主に米中での住宅木材の需要増加などを背景とした、いわゆる「ウッドショック」による木材価格の高騰・供給不足の影響により先行き不透明な状況であります。
このような中、当社は、中期経営計画に掲げる「関西トップクラスの総合建設会社への飛躍」の実現に向けて、重点施策に継続して取り組むとともに、さらなる生産性と収益性の向上に努めてまいりました。
2021年7月16日付け「通期業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」にて公表いたしました通り、戸建分譲事業においては、コロナ禍による住宅需要の高まりから販売が好調に推移し、売上高・セグメント利益ともに当初計画値を大幅に上回りました。
総合建設事業及び不動産賃貸管理事業においては、売上高は当初計画値をやや上回って推移し、セグメント利益は、予算管理及びコスト削減を徹底し、案件ごとの利益率改善を図った結果、当初計画値を大幅に上回りました。
一方、不動産事業においては、収益不動産市況の動向を見極め、販売計画の調整を行ったことなどから、売上高・セグメント利益ともに当初計画値を下回りました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済・社会活動に広範な影響を与える事象でありますが、当事業年度における当社の業績等への影響は限定的でありました。
これらの結果、当事業年度における売上高は27,541,969千円(前期比10.8%増)、営業利益は1,967,099千円(同23.8%増)、経常利益は1,905,488千円(同38.6%増)、当期純利益は1,247,989千円(同38.7%増)となりました。なお、過年度分の消費税還付、新型コロナウイルス感染症に関する政府からの助成金などを営業外収益として計上したため、経常利益及び当期純利益が前期比で大幅に増加しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(総合建設事業)
総合建設事業の一般建築請負につきましては、前事業年度までに受注した請負工事の施工が順調に進捗したことに加え、当事業年度に受注した大型請負工事の施工高が業績に寄与し、順調に推移しました。
受注活動については、厳しい受注環境の中、大阪府を中心に、京都府及び滋賀県などにおける営業活動に積極的に取り組み、既存顧客との関係性強化及び新規顧客の開拓に注力いたしました。それにより、新たに不動産開発を営む企業2社と取引を開始しております。
その結果、当事業年度における建設請負受注高は15,536,187千円(前期比30.0%増)、当事業年度末の建設請負受注残高は19,698,669千円(前事業年度末比23.5%増)となり、それぞれ過去最高となりました。
マンション事業につきましては、主にワンルームマンション販売業者に対する販売を目的に土地を取得し、企画・開発を提案し、建設を行ったうえで、引渡しをしております。当事業年度における仕掛物件の施工は、順調に進捗し、引渡しに関しましても、当初計画通りに完了し、ワンルームマンション318戸(前期316戸)を法人顧客へ引渡しております。
これらの結果、売上高16,411,797千円(前期比3.8%減)、セグメント利益1,332,371千円(同12.8%増)となりました。一般建築請負における施工高が前事業年度と比較して減少となる当初計画であったため、売上高が前期比で減少となりましたが、予算管理及びコスト削減を徹底し、案件ごとの利益率改善を図った結果、セグメント利益は前期比で増加となりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、収益不動産の販売や土地売り、不動産売買の仲介等を行っております。収益不動産の販売活動においては、収益不動産市況の動向を見極め、販売計画の調整を行ったことなどから、当初計画値を下回り、収益不動産の販売が5件(前期4件)となりました。また、土地売りを1件(同0件)、不動産売買の仲介を10件(同8件)行いました。なお、当事業年度において、販売用の収益不動産を4件(同2件)取得しております。
その結果、売上高1,834,196千円(前期比0.7%増)、セグメント利益92,390千円(同68.0%減)となりました。前期比で売上高が同水準に留まった一方、セグメント利益は大幅に減少しております。これは主に、前期に販売した収益不動産のうち、利益率の高い物件が含まれていたため、前期のセグメント利益に寄与していたためであります。
(不動産賃貸管理事業)
不動産賃貸管理事業につきましては、安定的な収益確保のため、入居者誘致を積極的に行い、稼働率向上に向けて営業活動を行ってまいりました。また、不動産事業において取得した販売用不動産の収益の維持管理に努めました。
その結果、売上高723,460千円(前期比20.1%増)、セグメント利益209,396千円(同84.2%増)となりました。なお、前期比で売上高の増加幅に比べ、セグメント利益が大きく増加しておりますが、これは主に、短期保有目的の新規取得物件(販売用不動産)が高い利益率で稼働したためであります。
(戸建分譲事業)
戸建分譲事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により実需層の住宅取得意欲が高まる中、当社の属するメルディアグループの「同じ家は、つくらない。」というコーポレートメッセージのもと、地域ごとのお客様のニーズを十分に認識し、他社との差別化を図るべく、企画力・デザイン力を高め、より高い付加価値を提供できる家づくりに努めてまいりました。さらに、京阪神間・北摂エリアを中心に積極的に用地仕入れを行ったほか、個人顧客及び販売協力会社への更なる認知度向上を図るとともに、自社販売部門の販売力強化に努めました。
その結果、戸建分譲住宅の販売件数は213件(前期116件)、土地売り件数は12件(同7件)と当初計画を大幅に上回り、売上高8,572,514千円(前期比59.9%増)、セグメント利益651,256千円(同86.3%増)となりました。販売件数が前期比で大幅に増加したことにより、売上高・セグメント利益は前期比で大幅に増加しております。なお、売上高の増加幅に比べ、セグメント利益が大きく増加しておりますが、これは主に、コロナ禍における購買需要を背景に高い利益率を確保したこと及び自社販売部門の販売力強化による仲介手数料の削減等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、947,529千円(前期2,731,110千円)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は141,118千円(前期2,851,280千円)となりました。
その主な収入要因は、税引前当期純利益を1,905,488千円(前期1,374,541千円)計上したことなどであります。また、主な支出要因は、大型請負工事の施工高が順調に推移したことなどにより、売上債権が1,361,770千円(前期172,503千円)増加したことに加え、マンション事業及び戸建分譲事業の用地仕入れや施工高の増加により、たな卸資産が320,443千円(前期3,367,479千円)増加したことなどであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は233,882千円(前期19,416千円)となりました。
その主な支出要因は、貸付による支出により220,000千円(前期―千円)支出したことなどであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,408,580千円(前期2,064,896千円の獲得)となりました。
その主な支出要因は、短期借入金及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の返済による支出が借入による収入を上回ったため、短期借入金(返済額との純額)が1,042,400千円(前期1,132,516千円の増加)、長期借入金(返済額との純額)が271,613千円(前期1,214,638千円の増加)それぞれ減少したことなどであります。
①受注工事高、完成工事高及び繰越工事高
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②完成工事高
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③手持工事高(2021年6月30日)
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
販売実績
(単位:千円)
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについて」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析
(資 産)
流動資産は、前事業年度末に比べて0.7%減少し、22,554,199千円となりました。これは、大型請負工事の施工高が拡大したことなどにより完成工事未収入金が1,615,024千円増加したものの、借入金の返済などにより現金及び預金が1,786,080千円減少したことなどによります。
固定資産は前事業年度末に比べて12.2%増加し、2,026,718千円となりました。これは、主に長期貸付金が220,000千円増加したことなどによるものであります。
この結果、資産合計は、前事業年度末に比べて0.2%増加し、24,580,917千円となりました。
(負 債)
流動負債は、前事業年度末に比べて8.7%減少し、13,239,622千円となりました。これは、不動産事業における収益不動産の販売と戸建分譲事業における引渡しに伴う返済などで短期借入金が1,042,400千円、1年内返済予定の長期借入金が613,104千円それぞれ減少したことなどによります。
固定負債は、前事業年度末に比べて2.3%増加し、5,012,142千円となりました。これは、マンション用地の取得資金、運転資金の調達などで長期借入金が341,491千円増加したことなどによります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて5.9%減少し、18,251,764千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度末に比べて23.4%増加し、6,329,153千円となりました。これは、当期純利益を1,247,989千円計上したことなどにより、利益剰余金が1,199,298千円増加したことなどによります。
ロ 経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」を参照して下さい。
ハ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照して下さい。
当社の資金需要の主なものは、建物建築における材料費や外注業者への支払い、事業用地・販売用不動産の取得費用、その他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は事業活動に必要な資金を確保するため、内部資金を活用するほか、金融機関からの借入等を行っております。また、資金使途に応じて最適な資金調達手法を検討し、適切なコストで安定的に資金を確保することを基本方針としております。
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