当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動の制約が徐々に緩和されるなかで、政府による各種政策の効果もあり全般的に持ち直しの動きがみられました。一方で、年度終盤のロシアによるウクライナ侵攻に起因する原材料価格の高騰や金融資本市場の変動による下振れリスクに十分注意する必要があるなど、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、住宅ローン金利の水準が低い状態で推移したことや各種住宅取得支援策により、新設住宅着工戸数は86万7千戸(前期比6.2%増)となり前期を上回りました。また、新設貸家着工戸数は33万1千戸(前期比8.1%増)となりました。
このような状況のなか、当社グループの連結業績は、売上高につきましては3,115億8千6百万円(前期比0.6%増)となり前期を上回りました。利益面につきましては、営業利益150億3千9百万円(前期比3.4%減)、経常利益153億6千1百万円(前期比6.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益102億7千5百万円(前期比1.9%増)となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 建設事業
建設事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた経済活動の制限や、需要の急激な変動によるサプライチェーンの混乱により工期が延長傾向にあることから、完成工事高は前期と比較して減少しております。利益面におきましては、ウッドショックやウクライナ情勢等の影響による、建設資材や住宅設備機器の高騰により完成工事総利益率は低下しました。ナスラック㈱につきましては、水周り製品を中心とした外販売上高が前期と比較して増加しております。この結果、建設事業における売上高は1,134億4百万円(前期比5.1%減)、営業利益は84億6千1百万円(前期比24.5%減)となりました。
また、当連結会計年度の当社単体における総受注高につきましては、1,364億7千1百万円(前期比7.1%増)となりました。
② 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業におきましては、管理物件数の増加に伴うサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)による入居者様からの家賃収入及び管理料収入等の増加により、売上高は前期を上回ることができました。当社では、独自の「オンライン仲介システム」の導入や、駅前などの集客が見込める場所への仲介専門店の出店・移設を行うなど、入居者募集活動の充実を図ってまいりました。また、これらの施策のほか管理事業拡大のために物件仕入及び管理受託の促進に努める一方で、「ホームメイトFC店」や「ホームメイト倶楽部(ネット会員)」を積極的に開拓し、全国不動産会社情報ネットワークを構築することで、仲介競争力の強化を図ることができました。それらの効果により、賃貸建物の当連結会計年度末の入居率は99.1%となり、高い入居率を維持しております。この結果、不動産賃貸事業における売上高は1,958億7千9百万円(前期比4.2%増)、営業利益は138億7千8百万円(前期比19.7%増)となりました。
③ その他
総合広告代理店業、旅行代理店業及びゴルフ場・ホテル施設の運営に関する事業で構成されるその他の事業における売上高は23億2百万円(前期比2.1%減)、営業利益は5千3百万円(前期は1億8千6百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度末の資産の部につきましては、1,941億5千3百万円(前期比0.1%減)となり、2億7千1百万円の減少となりました。資産の部が減少した主な要因は、現金預金が13億1千7百万円減少したことであります。
負債の部につきましては、807億2千8百万円(前期比9.2%減)となり、81億7千8百万円の減少となりました。負債の部が減少した主な要因は、支払手形・工事未払金等が85億6百万円減少したことであります。
純資産の部につきましては、1,134億2千4百万円(前期比7.5%増)となり、79億7百万円の増加となりました。純資産の部が増加した主な要因は、利益剰余金が1,086億4千1百万円(前期比7.8%増)となり78億9千3百万円増加したことであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「現金及び現金同等物の期首残高」1,044億9千3百万円から、営業活動により29億3千8百万円の収入、投資活動により12億8千8百万円の支出、財務活動により29億6千9百万円の支出があったことから、「現金及び現金同等物の期末残高」は、期首残高より13億2千万円減少して、1,031億7千3百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に「税金等調整前当期純利益」153億4千3百万円、「減価償却費」22億3千3百万円によるものであり、29億3千8百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に「有形固定資産の取得による支出」7億8千6百万円、「無形固定資産の取得による支出」6億7千4百万円によるものであり、12億8千8百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に「配当金の支払額」の支出によるものであり、29億6千9百万円の支出となりました。
(注) 前連結会計年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当連結会計年度受注工事高にその増減を含めております。したがって、当連結会計年度完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各連結会計年度において既受注分の見直しを行い、前連結会計年度14,107百万円、当連結会計年度9,460百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
(注)1 当社グループでは、建設事業以外は受注生産を行っておりません。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
3 建設事業における売上実績には、一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高(完成した工事を含む)が、前連結会計年度には113,613百万円、当連結会計年度には107,211百万円が、それぞれ含まれております。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりとなります。
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減を含めております。したがって、当期完成工事高には請負金額の変更に係る増減額が含まれております。
また、各期において既受注分の見直しを行い、第45期14,081百万円、第46期9,406百万円を当該受注分よりそれぞれ控除しております。
2 当期完成工事高の( )内の数値は、受取設計料を除いた場合の金額を示しております。
② 完成工事高及び次期繰越工事高
建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりであります。
(注)1 工事は、官公庁に対するものはなく全て民間に対するものであります。入札工事はなく全て特命工事であります。
2 第45期、第46期の完成工事総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
3 完成工事高には、一定の期間にわたり収益を認識する方法による売上高(完成した工事を含む)が、第45期には113,661百万円、第46期には107,211百万円が、それぞれ含まれております。
③ 兼業事業売上高
(注) 賃貸物件の管理料収入のうち各保証システムに係る管理手数料収入は、次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 完成工事高及び完成工事原価の計上
財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法により完成工事高を計上しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定にあたり、工事収益総額、工事原価総額、決算日における工事進捗度のそれぞれについて、個別の工事契約ごとに信頼性をもった見積りを行うことが前提となっております。このため、見積りにあたって仮定した個別の工事契約ごとの諸条件と異なる事象が発生した場合、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
② 固定資産の減損
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった資産又は資産グループについては、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで切り下げ、当該切り下げ額を減損損失として計上しております。事業計画、市場環境、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますので、これらの前提条件に変化が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
① 売上高
建設事業におきましては、前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言の発出時には営業活動の自粛や縮小を行ったことで受注高が伸び悩んだことから完成工事高は1,134億4百万円となり、前期比5.1%の減少となりました。一方、不動産賃貸事業におけるサブリース経営代行システム(一括借り上げ制度)は、管理物件数の増加に伴い入居者様からの家賃収入等が増加しました。新型コロナウイルス感染症の影響により減少していたゴルフ場来場者数は回復基調になったことで、その他の事業における売上高も増加し、兼業事業売上高は1,981億8千2百万円となり、前期比4.1%の増加となりました。
② 売上総利益
建設事業ではウッドショックやウクライナ情勢等の影響により建設資材や住宅設備機器の高騰により完成工事総利益率が低下しました。また、サプライチェーンの混乱により工期が延長傾向にあること等から、完成工事高が減少したこともあり完成工事総利益は345億3千9百万円(前期比11.0%減)となりました。一方、不動産賃貸事業ではサブリース経営代行システムによる管理物件の入居率が高位で推移したことから、兼業事業総利益は153億7千2百万円(前期比18.8%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の影響により広告宣伝活動や募集採用活動を縮小したこと、及び経費削減にも努めたことから348億7千3百万円(前期比3.7%減)となりました。
④ 営業利益
上記のとおり、売上総利益が減少ことで販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、営業利益は150億3千9百万円(前期比3.4%減)となりました。
⑤ 経常利益
営業利益に営業外損益3億2千2百万円が加わったものの、前連結会計年度には営業外収益として雇用調整助成金が計上されていたこともあり、経常利益は153億6千1百万円(前期比6.9%減)となりました。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
前連結会計年度には新型コロナウイルス感染症の影響を受け東建多度カントリークラブ・名古屋における減損損失12億7千9百万円を計上されていたこともあり、税金等調整前当期純利益は153億4千3百万円と増加に転じました。これにより法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計額は50億6千8百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は102億7千5百万円(前期比1.9%増)となりました。
2「事業等のリスク」をご参照下さい。
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
当社グループにおきましては、営業活動によるキャッシュ・フローにより得た資金を当社グループの運転資金、設備投資及び配当財源に充当しております。
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