当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
a.経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や個々の感染症対策が進む一方、オミクロン株等の変異株の発生により未だ終息時期が見通せず、更にはロシア・ウクライナ情勢を主因とした原油高やサプライチェーンの世界的混乱による資材・食料等の不足、高騰などにより、国内景気の不透明感が高まりました。
当社グループが属する建設業界におきましては、公共投資が比較的堅調に推移しており、更には新型コロナウイルス感染症の影響により、Eコマースの普及が一層進み、物流設備などへの民間設備投資は増加の動きをみせております。エネルギー業界においては、世界的な燃料価格の高騰、激甚化する自然災害、カーボンニュートラルに向けた取り組みなど多くの課題が残されております。
このような状況の中、当社グループは、足下の電力事業の効率化を図るとともに、成長戦略としてM&Aを積極的に行い、事業拡大に努めてまいりましたが、発注元である電力会社の予算見直しにより、予定していた大型工事の受注が翌期にずれ込むなどの影響を受けております。加えて、工事資材の高騰により調達コストが増加したことで利益率を圧迫する要因となっております。また、関西で配管工事、メンテナンスを担うユウキ産業株式会社、四国で送電線工事を担う中央電氣建設株式会社、株式会社電友社を新たにグループに迎え入れ、連結子会社としております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の受注高は、46億9千8百万円(前連結会計年度比17.5%減)、売上高は66億8千8百万円(前連結会計年度比36.4%増)となりました。
また、利益については、営業利益2億6千6百万円(前連結会計年度比5.1%増)、経常利益2億6千3百万円(前連結会計年度比1.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1千2百万円(前連結会計年度比21.4%増)となり増収増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(電気工事業)
送電事業においては、断続的な新型コロナウイルスへの対策が必要な状況下、電力の安定供給を下支えする「エッセンシャルワーカー」の集団として、電力送配電各社のご指導の下、電力安定供給に貢献できるよう努めてまいりました。
しかしながら、発注元である電力会社の予算見直しにより、予定されていた大型案件の工事が部分発注になった影響を受け、受注高は27億6千9百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。売上高は工事中止等の影響により、30億2千2百万円(前連結会計年度比18.4%増)となりました。
設備事業においては、再生可能エネルギー発電所における特別高圧変電所工事の受注に注力してまいりましたが、予定していた大型工事の受注時期がずれ込み、受注高は19億2千9百万円(前連結会計年度比39.8%減)となりました。売上高は手持ちの大型工事案件が順調に推移した結果、26億3千8百万円(前連結会計年度比49.6%増)となりました。
これらにより、電気工事業の当連結会計年度の受注高は46億9千8百万円(前連結会計年度比17.5%減)、売上高は56億6千万円(前連結会計年度比31.1%増)、セグメント利益(営業利益)は2億4千6百万円(前連結会計年度比28.8%増)となりました。
(建物管理・清掃業)
建物管理・清掃業においては、第1四半期に買収したユウキ産業株式会社の連結への寄与があり、当連結会計年度の売上高は9億9千1百万円(前連結会計年度比69.8%増)、セグメント利益(営業利益)は8千5百万円(前連結会計年度比29.0%増)となりました。
(その他)
その他事業の売電事業においては、当連結会計年度の売上高は3千5百万円(前連結会計年度比734.5%増)、セグメント損失(営業損失)は2千万円(前連結会計年度は4百万円のセグメント損失)となりました。
b.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は65億6千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億6百万円増加しております。増加の主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等及び契約資産5億7千8百万円の増加、建物・構築物2億9千5百万円の増加、未成工事支出金2億2千6百万円の増加及び現金預金1億8千4百万円の増加などによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は38億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億2千9百万円増加しております。増加の主な要因は、短期借入金2億2千4百万円の減少などがありましたが、工事未払金5億3千9百万円の増加、長期借入金4億7千6百万円の増加及び1年内返済予定の長期借入金1億7千4百万円の増加などによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は26億7千万円となり、前連結会計年度末に比べ1億7千7百万円増加しております。増加の主な要因は、利益剰余金1億8千万円の増加によるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末49.1%に対し当連結会計年度末40.6%と、8.5ポイント低下いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億2千1百万円増加し、資金残高は21億5千1百万円となっております。
当連結会計年度末の各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度3億6百万円の資金減少に対し当連結会計年度2億1千8百万円の資金減少となりました。これは主に増加要因として仕入債務の増加額4億9千5百万円及び税金等調整前当期純利益3億4千5百万円もありましたが、減少要因として売上債権の増加額5億2千6百万円、未払金の減少額3億1千3百万及び未成工事支出金の増加額1億4千7百万円があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度7億2千1百万円の資金減少に対し当連結会計年度2億6千4百万円の資金増加となりました。これは主に減少要因として定期預金の預入れによる支出5億1千9百万円もありましたが、増加要因として定期預金の払戻による収入4億9千4百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入2億8千7百万円があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度5億7千8百万円の資金増加に対し当連結会計年度2億7千5百万円の資金増加となりました。これは主に減少要因として短期借入金の返済による支出37億7千9百万円及び長期借入金の返済による支出2億2百万円もありましたが、増加要因として短期借入れによる収入36億2千1百万円及び長期借入れによる収入6億8千7百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
(注) 当社グループでは、電気工事業以外は受注生産を行っておりません。
(注) 1. 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
2. セグメント間取引については、相殺消去しております。
3. 主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりであります。
また、当社は電気工事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別の概況を記載しております。
(注) 1. 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。
2. 次期繰越施工高は、未成工事支出金を用いて次期繰越工事(手持工事)の施工高を推定したものであります。
3. 次期繰越施工高の割合は、次期繰越工事高に対するものであります。
4. 当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
5. 事業区分間の取引については、相殺消去しております。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 1. 百分比は請負金額比であります。
2. 特命には競争以外のその他を含めて表示しております。
(注) 1. 事業区分間の取引については、相殺消去しております。
2. 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負工事金額1億円以上の主なもの
当事業年度 請負工事金額1億円以上の主なもの
3. 主な相手先別の完成工事高及び完成工事高総額に対する割合は、次のとおりであります。
2022年9月30日現在
(注) 1. 手持工事のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と求められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、連結貸借対照表上の資産・負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える会計上の見積り及び仮定を用いております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定の設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
また、特に重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a.経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、想定していた新規受注の交渉に遅れが生じたものの、前期末から当期にかけて3社を買収したことにより66億8千8百万円(前連結会計年度比36.4%増)となりました。
営業利益につきましては、売上高営業利益率5.0%を目標としておりましたが、材料等の高騰が影響し売上高営業利益率は4.0%となり、2億6千6百万円(前連結会計年度比5.1%増)となりました。
経常利益につきましては、2億6千3百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2億1千2百万円(前連結会計年度比21.4%増)となりました。
当連結会計年度の財政状態につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
c.キャッシュ・フローの分析
事業部門別の業績等の概要及びキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、工事代金の支出や販売費及び一般管理費等の営業活動に伴う支出及び設備投資に伴う支出、更なる事業の拡大を目指した今後のM&Aに向けた投資に伴う支出であります。これらの資金については、自己資金及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行うことを基本とし、必要に応じて多様な調達手段も検討することを方針としております。
なお、資金調達を機動的に行う観点から金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。
お知らせ