研究開発活動

5【研究開発活動】

  当社グループにおいては、社会並びに顧客の複雑化、多様化するニーズに対応するとともに、安全、高品質、効率的施工の実現のために、工法・工具の改善から新技術の研究まで幅広い技術・技能の研究開発活動を行っている。

  当連結会計年度における研究開発費は651百万円であった。また、当社は京都研究所をはじめ、技術企画室、技術本部、環境設備本部、情報通信本部及び電力本部に研究開発の部署を置き、研究開発活動に取り組んでいる。また、電力関係については関西電力㈱及び関西電力送配電㈱の支援・協力のもと研究開発活動に取り組んでいる。

  当連結会計年度における当社グループの研究開発活動の主な結果は、次のとおりである。

 

(設備工事業)

 (1)「SPIDERPLUS」電力量計確認機能のパワーアップ

 電気設備工事における電力量計確認作業は、テナントビルなどの入居者の電気料金請求に関わる重要な作業で、電力量計が設計通りに設置されていることや正しく配線されていることなどを実際の電力量計で確認する。当社は2019年に「SPIDERPLUS」の電力量計確認機能をスパイダープラス株式会社と共同で開発し、目視で確認した内容をタブレットPCに入力すれば確認作業ができるだけでなく、自動で報告帳票や電力量計写真帳を作成できるようにした。しかし、電力量計は薄暗い場所に設置される場合が多いことに加え、表示される文字が小さいため、目視による確認作業において見逃し、見間違いなどのヒューマンエラーにより、誤計量が発生する可能性があった。

 そこで今回、電力量計を写真撮影して、その写真からOCR技術を用いて各種情報を機械的に読み取る支援機能を開発。作業員の目視での確認と機械的な照合によるダブルチェックを行い、ヒューマンエラーの防止を可能とした。

 また、OCR技術の認識精度は、電力量計の写真の品質に大きく影響されるため、当社は設置環境に影響されずに電力量計を撮影可能な電力量計撮影用補助具(意匠登録済)も開発した。同補助具を利用することで、写真撮影時の反射によるカメラ本体や背景の映り込み、劣悪な照明環境における光量不足の問題を解決し、OCR認識精度の向上だけでなく、電力量計写真帳の品質も向上する。「SPIDERPLUS」電力量計確認機能は、同補助具による撮影を効率的に行う機能も併せて搭載している。

 

(OCR技術による支援機能利用のメリット)

・電力計の設定値が設計値と異なる場合、警告表示を行い、見間違いや見逃しを防止

・電力計に誤結線などのエラーが表示されている場合、警告表示を行い、見逃しを防止

・電力量計の情報収集のみに利用する場合でも、OCR技術により入力の省力化が可能

 

 (2)照度測定ロボット3号機の開発

 現場の労働環境改善や時間外労働を削減するために、建設業ではロボット活用が進みつつある。当社は、夜間作業となる照度測定を自動化できる「照度測定ロボット」の1号機を2018年に開発し、改良を重ね、2021年度には3号機の開発を行った。

 今回の開発で、ロボットが搭載する測域センサの測定距離が従来機の30mから150mと5倍になり、大型物流施設など大空間の現場でも利用可能となった。

 さらに、オンラインストレージサービスBoxとロボットの連携機能を開発した。これにより、Boxに保存した「走行設定ファイル」など必要なファイルをロボットが自動的に読み込むことができ、測定後は自動的にロボットからBoxへ測定結果が保存されるなど、ファイルコピー操作が減り、作業者の利便性が向上した。

 

(仕 様)

照度測定ロボット

・サイズ:[W]374mm×[D]542mm×[H]218mm

・重 量:約12kg

・走行速度:1.26km/時

・測域センサ計測距離:150m

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