業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際財務報告基準(IFRS)に準拠して作成しています。

連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針および見積りについての詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」および同「4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

(2)経営成績の状況・分析

①事業全体の状況・分析

当連結会計年度におけるわが国の経済につきましては、新型コロナウイルスの感染状況に応じて経済活動の制限と緩和が繰り返される中で、全国的に新型コロナワクチンの接種が進展したこと等を契機として持ち直しの動きがみられました。一方で、変異株による新型コロナウイルス再拡大およびロシアによるウクライナ侵攻に端を発した地政学リスクの急激な高まりを受け、各種商品市況の高止まりや金融市場への影響により景気が下振れするリスクも依然として抱えており、先行きは不透明な状況となっています。

 

 

2022年3月期

(百万円)

2021年3月期

(百万円)

増減率(%)

売上収益

46,062

43,767

5.2

売上原価

販売費及び一般管理費

37,854

6,168

35,021

6,227

8.1

△0.9

営業利益

2,164

2,206

△1.9

金融収益

金融費用

持分法による投資利益

89

58

219

89

72

206

0.4

△18.4

6.2

税引前利益

2,414

2,430

△0.6

親会社の所有者に帰属する当期利益

1,715

1,132

51.4

 

事業全体の経営成績の分析は以下のとおりです。報告セグメントごとの分析については②セグメントごとの状況・分析をご覧ください。

 

(売上収益)

売上収益は、主に砂糖その他食品事業において新型コロナウイルス感染症対策を伴う新しい生活様式により社会・経済活動が行われた結果、国内砂糖消費の減少に歯止めがかかったこと等により増収となり、健康産業事業においても効率的な事業運営を行ったことや休業や時短営業等の対象店舗・期間が限定的になり営業日数が増加したこと、月会費を値上げしたこと等により増収となったことから、前期比5.2%増の46,062百万円となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、主に海外原糖市況の高騰を受けた原料調達コストの上昇をはじめ、エネルギーコストおよび物流コスト等の上昇により、前期比8.1%増の37,854百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、前期比0.9%減の6,168百万円となりました。

 

(営業利益)

営業利益は、売上原価の増加等により、前期比1.9%減の2,164百万円となりました。

 

(金融収益、金融費用、持分法による投資利益)

金融収益は、前期比0.4%増の89百万円となりました。

金融費用は、前期比18.4%減の58百万円となりました。

持分法による投資利益は、前期比6.2%増の219百万円となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期は健康産業事業において税効果会計における回収可能性の見直し等を実施したことにより税負担率が増加していたことから、前期比51.4%増の1,715百万円となりました。

 

②セグメントごとの状況・分析

(百万円、%)

 

事業全体

内訳(報告セグメント)

砂糖その他

食品事業

健康産業事業

倉庫事業

売上収益

対前期増減率

(構成比)

46,062

5.2

(100)

42,172

4.6

(91.6)

2,317

15.4

(5.0)

1,571

9.7

(3.4)

セグメント利益又は

損失(△)

対前期増減率

(構成比)

2,164

△1.9

(100)

1,976

△32.3

(91.3)

△71

(△3.3)

259

0.2

(12.0)

(注)セグメント利益又は損失(△)は、連結財務諸表の営業利益と一致しています。

 

[砂糖その他食品事業]

海外原糖市況につきましては、1ポンド当たり14.71セントで始まり、主要生産国であるブラジルの干ばつや降霜による供給面での不透明感の強まりにより、11月中旬には約4年9ヶ月ぶりの高値となる20.69セントまで値を上げました。その後は、タイ・インドでの増産予想等で上値が重い状況下、変異株による新型コロナウイルスの感染拡大懸念や原油をはじめとする国際商品市場から投機資金が流出したことから値を下げました。3月に入ると、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した地政学リスクの急激な高まりを受け、原油をはじめとした各種商品市況の高まりや資源国であるブラジルの通貨高などを背景に海外原糖市況は値を上げ、19.49セントで当期を終了しました。

 

海外原糖市況(ニューヨーク市場粗糖先物相場(当限))

         日付     セント/ポンド    円/kg   為替(円/ドル)

  始 値  2021年4月1日   14.71      36.27     111.84

  高 値  2021年11月18日   20.69      52.54     115.18

  安 値  2021年4月1日   14.68      36.20     111.84

  終 値  2022年3月31日   19.49      53.02     123.39

(注)1ポンドは約0.4536㎏として換算し、為替は当日の三菱UFJ銀行直物為替公表TTSによっています。

 

一方、国内精糖市況(日本経済新聞掲載、東京)につきましては、上白糖1kg当たり192~193円で始まり、海外原糖市況の高騰を受け、8月初旬に6円、1月中旬にも6円と合計12円上昇し、204~205円で当期を終了しました。

このような状況のもと、主力の砂糖につきましては、新しい生活様式の定着や緊急事態宣言の解除等により、製菓・製パン販売等が回復し、土産菓子、外食関係についても一部回復がみられたことにより、業務用製品が増加しました。また、当社独自製品のきび砂糖や梅酒向け氷砂糖の出荷が好調に推移したこと等により、一部家庭用製品は増加しました。その結果、砂糖全体の出荷量は前期を上回りました。利益面においては、海外原糖市況の高騰を受けた原料調達コストの上昇をはじめ、エネルギーコストおよび物流コスト等の上昇により、前期を下回りました。

ツキオカフィルム製薬株式会社の売上収益につきましては、食用純金箔事業において百貨店・路面店等の一部業種における需要が回復しているものの、フィルム事業においてフィルム石鹸の需要が一巡したこと等により、前期を下回りました。

 

以上の結果、砂糖その他食品事業合計の売上収益は42,172百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は1,976百万円(同32.3%減)となりました。

 

[健康産業事業]

健康産業事業につきましては、総合フィットネスクラブ7店舗、女性専用のホットヨガ&コラーゲンスタジオ5店舗およびコンパクトジム18店舗を関東地方において運営しています。会員数は前期よりも増加しましたが、回復基調は鈍く、度重なる緊急事態宣言の延長やまん延防止等重点措置により一部店舗で休業や時短営業を実施した影響から、依然として厳しい状況が続いています。このような状況のもと、引き続き感染防止策を徹底し、新しい生活様式に沿った効率的な事業運営を行ったことや休業や時短営業等の対象店舗・期間が限定的になり営業日数が増加したこと、月会費を値上げしたこと等によって売上収益は2,317百万円(前期比15.4%増)、セグメント損失は71百万円(前期はセグメント損失972百万円)となりました。

 

[倉庫事業]

倉庫事業につきましては、港湾運送において輸入建材の取扱量が増加したことにより売上収益は1,571百万円(前期比9.7%増)、セグメント利益は259百万円(同0.2%増)となりました。

 

なお、各セグメントに関する他の情報は、「(3)財政状態 ②セグメントごとの状況」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおりです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前期比(%)

砂糖その他食品事業(百万円)

27,957

110.9

(注)1.金額は製造原価によっており、内部取引額を除いています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b.受注実績

生産は原則として見込み生産であり、少量の受託加工を除き受注生産は行っていません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前期比(%)

砂糖その他食品事業(百万円)

42,172

104.6

健康産業事業(百万円)

2,317

115.4

倉庫事業(百万円)

1,571

109.7

合計(百万円)

46,062

105.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住商フーズ㈱

8,634

19.7

9,290

20.2

 

④中期経営計画の達成状況

当社グループは、ROEを持続的な企業価値増大に関わる中核的な指標と捉えております。

次期中期経営計画に関しては、まん延防止等重点措置が解除され経済活動が徐々に正常化に向かうなか、景気持ち直しが期待されますが、ウクライナ情勢等による影響が懸念され、適正かつ合理的な情報収集が困難な状況にあります。また、2022年6月10日公表のとおり、伊藤忠製糖との経営統合に関する基本合意書を締結し、砂糖の安定的な供給体制をより一層盤石なものとし、持続的な成長と企業価値の向上に向け協議を開始しております。

このような状況で次期中期経営計画を公表することは、株主・投資家をはじめとする関係者の皆さまを混乱させてしまう可能性があると判断し、公表を延期することといたしました。

また、従来目標としておりました2024年度ROE8%達成につきましては、伊藤忠製糖との経営統合に関する協議の進捗もふまえ、次期中期経営計画の策定にあわせて見直し、改めて公表することといたします。

当社グループとして、まずは、新型コロナウイルス感染症拡大後の事業環境の変化を適切に捉え、同感染症拡大前の収益レベルへの早期回復に努めてまいります。そのうえで、ガバナンス体制の強化、既存事業の成長、事業領域の拡大に向けた検討を着実に進め、持続的な企業価値向上に全社一丸となって取り組んでまいります。

 

(3)財政状態

①事業全体の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は25,078百万円となり、前連結会計年度末に比べ474百万円減少しました。これは主に営業債権及びその他の債権が317百万円、棚卸資産が141百万円それぞれ増加し、現金及び現金同等物が875百万円減少したことによるものです。非流動資産は36,056百万円となり、前連結会計年度末に比べ293百万円増加しました。これは主に有形固定資産が194百万円減少した一方で、使用権資産が275百万円、持分法で会計処理されている投資が196百万円それぞれ増加したことによるものです。

この結果、資産合計は61,134百万円となり、前連結会計年度末に比べ181百万円減少しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は7,597百万円となり、前連結会計年度末に比べ558百万円減少しました。これは主に未払法人所得税等が110百万円増加した一方で、営業債務及びその他の債務が543百万円、その他の流動負債が102百万円それぞれ減少したことによるものです。非流動負債は4,632百万円となり、前連結会計年度末に比べ17百万円増加しました。これは主に退職給付に係る負債が44百万円減少した一方で、リース負債が28百万円、繰延税金負債が33百万円それぞれ増加したことによるものです。

この結果、負債合計は12,230百万円となり、前連結会計年度末に比べ541百万円減少しました。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本合計は48,904百万円となり、前連結会計年度末に比べ360百万円増加しました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益1,715百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産等によるその他の資本の構成要素の増加83百万円および配当金の支払による減少1,458百万円によるものです。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は80.0%(前連結会計年度末比0.8ポイント増)となりました。

 

②セグメントごとの状況

[砂糖その他食品事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、主に現金及び現金同等物、有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ合計で780百万円減少し、52,933百万円となりました。

 

[健康産業事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、主に使用権資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ390百万円増加し、4,943百万円となりました。

 

[倉庫事業]

当連結会計年度末のセグメント資産は、主に現金及び現金同等物、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ202百万円増加し、3,268百万円となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より875百万円減少し、7,649百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,178百万円の収入となりました。

主なものは、税引前利益2,414百万円、減価償却費及び償却費1,630百万円、持分法による投資利益△219百万円、法人所得税の支払額△586百万円、ならびに棚卸資産の増加、営業債権及びその他の債権の増加、営業債務及びその他の債務の減少、その他の増減による△1,064百万円です。

なお、前年同期は3,319百万円の収入であり、主なものは、税引前利益2,430百万円、減価償却費及び償却費1,664百万円、減損損失346百万円、持分法による投資利益△206百万円、法人所得税の支払額△990百万円、ならびに棚卸資産の増加、営業債権及びその他の債権の増加、営業債務及びその他の債務の増加、その他の増減による78百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、651百万円の支出となりました。

主なものは、余資の運用である有価証券の純減額100百万円、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△740百万円です。

なお、前年同期は482百万円の支出であり、主なものは、定期預金の純減額940百万円、余資の運用である有価証券の純増額△1,000百万円、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△610百万円、タイの砂糖製造販売大手 Kaset Thai International Sugar Corporation Public Company Limited(カセタイ)の持株会社株式の譲渡等の投資の売却、償還による収入494百万円、その他(事業用地の取得等)△314百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,402百万円の支出となりました。

主なものは、リース負債の返済による支出△943百万円、配当金の支払額△1,458百万円です。

なお、前年同期は2,398百万円の支出であり、主なものは、リース負債の返済による支出△982百万円、配当金の支払額△1,415百万円です。

 

 

(5)資金需要および資金の調達・使途

①資金需要

当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要です。

運転資金需要として、製品を製造するための原材料の仕入・製造費・商品の仕入・販売費及び一般管理費等、設備資金需要として、砂糖生産設備等の経常的更新等および業務関連システム等のIT投資にかかるものが含まれます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている健康産業事業においては、運転資金ならびに、感染防止のための館内設備の強化および時代のニーズに合わせた多様な店舗展開を見据えた設備資金の需要が増大しています。

 

②資金の調達・使途

当社グループは運転資金につきましては、上記健康産業事業の資金需要も含め、短期借入金と自己資金により充当しており、設備資金につきましては、自己資金により充当しています。

また、国内金融機関において合計2,000百万円のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応可能となっています。

 

 

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