当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当期(2021年10月~2022年9月)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により制限されていた外出やイベント等の自粛要請は段階的に緩和され、経済活動の再開が見られましたが、円安の進行や、中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーンへの影響、ウクライナ情勢の影響等による資源やエネルギー価格の高騰等による物価上昇傾向から、依然として先行き不透明な状況が継続しています。
当社の主要な顧客である建設・不動産業界においては、新築着工件数は前年度比(10月~9月)+2.3%と増加したものの、資材不足等により、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年9月期と比較すると-7.0%といまだ低い水準にあります。国内の移動者数は、移動制限の緩和等により、前年度比で+0.9%と増加しましたが、2019年9月期比では-2.4%と低い水準にとどまり、完全な回復までには道半ばとなっています。(国土交通省「建築着工統計調査報告」、総務省「住民基本台帳人口移動報告」より)
海外においても、国内と同様の先行き不透明な状況が継続しています。
このような状況のもと、当社グループでは、国内外において、主力事業である不動産関連情報サービスの継続成長に向けて、積極的な成長投資を実施しており、不動産事業者向けインターネット・マーケティング事業やファッションのアグリゲーションサービスといった周辺事業の売却とその他投資計画の見直し及び一時延期等により、主力事業への成長投資へ経営リソースの集中を行いました。
営業利益、税引前当期利益、当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益については、前期に計上しているのれんの減損損失の影響もあり、大幅に改善しております。
その結果、当期における連結業績は、売上収益 35,730,792千円 (前期比 △0.4% )、営業利益 1,681,907千円 (前期は営業損失 6,644,103千円 )、税引前当期利益 1,396,421千円 (前期は税引前当期損失 6,857,347千円 )、当期利益 1,192,512千円 (前期は当期損失 5,895,682千円 )、親会社の所有者に帰属する当期利益 1,187,667千円 (前期は親会社の所有者に帰属する当期損失 5,901,120千円 )となりました。
なお、当期におけるセグメント毎の売上収益及びセグメント利益は、以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2 前期のセグメント損失は679,033千円であります。
当セグメントは、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」と不動産事業者向け業務支援サービス、及び関連事業で構成されています。
当期は、クライアント、ユーザーへの提供価値の向上と競争力強化に向けて、一人ひとりに合わせた住まい探しをサポートできるメディアに進化させるべく、AI技術を活用した新機能の開発強化や、認知向上のための広告宣伝投資、クライアントネットワークの拡大等に積極的に取り組んでまいりました。これらの取組みによる効果により、「LIFULL HOME'S」を活用した問合せ数は増加傾向にあります。
しかしながら、引越者はコロナ前の水準と比べ減少していることや、アライアンスパートナーとの提携解消等の影響もあり、本格的な回復までには道半ばとなっています。
また主力事業である「LIFULL HOME'S」への成長投資に社内リソースを集中することを目的に、同セグメントに含まれていた、インターネット・マーケティング事業を営むLIFULL Marketing Partners株式会社については、2022年9月30日付で株式譲渡しております。
以上の結果、当事業の売上収益は26,083,502千円(前期比△2.4%)、セグメント利益は349,381千円(同△85.2%)となりました。
②海外事業
当セグメントは、主にLIFULL CONNECTが運営する不動産・住宅情報サイト等により構成されています。
当期はグローバルにおける競争力強化に向けて、60を超える国や地域で展開する複数のWEBサービスを活用し、各地域におけるユーザーシェアの拡大による広告価値の向上や、各サービスの高度化による集客効率の向上に取り組みました。
特にラテンアメリカのエリアにおいては、ポータルサイトProperatiの事業譲受や、不動産事業者向けCRMの開発、運営をしているWasiの子会社化等積極的な投資を実施し、既存のサービスとの相互活用や、現地の営業力の強化等により、顧客数は拡大傾向にあります。
また海外事業におけるノンコア事業であったファッションのアグリゲーションサイトについては、不動産を中心とする情報サービスに経営リソースを集中することを目的に、2022年7月28日付で株式譲渡しております。
以上の結果、当事業の売上収益は7,201,380千円(同△0.9%)、セグメント利益は576,753千円(同△63.4%)となりました。
③その他
その他には、老人ホーム・介護施設の検索サイト「LIFULL 介護」、レンタル収納スペース情報検索サイト「LIFULL トランクルーム」、地方創生事業、地域創生ファンド等のサービスがあります。
その他の売上収益は2,745,599千円(同+25.3%)、セグメント損失は△661,486千円(前期はセグメント損失679,033千円、17,547千円の改善)となりました。
以下の項目等、より詳しい決算内容に関しては、当社IRサイトより、2022年11月9日発表の「2022年9月期 決算説明資料」をご覧ください。
参考URL:https://ir.lifull.com/ir/ir-data/
<決算説明資料の主な項目>
・簡易損益計算書 ・・・ 簡易損益計算書(IFRS)
・セグメント別売上収益 ・・・ セグメント別売上収益(IFRS)
・業績予想の進捗状況 ・・・ 簡易損益計算書、サービス別売上収益
・事業の状況 ・・・ セグメント毎の主な取組状況
・四半期別の業績推移 ・・・ 連結損益計算書(簡易版)、連結セグメント別損益
・外部市況データ月別推移 ・・・ マンション発売戸数、マンション価格、新設住宅着工戸数、日本全国移動者数、日本人口
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループはインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績及び受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(流動資産)
流動資産の残高は25,011,262千円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)に比べ3,466,307千円増加しております。主な要因は、現金及び現金同等物の増加3,375,954千円、売掛金及びその他の短期債権の減少539,551千円、その他の短期金融資産の増加479,082千円、その他の流動資産の増加150,821千円であります。
(非流動資産)
非流動資産の残高は23,695,627千円となり、前期末に比べ647,014千円減少しております。主な要因は、有形固定資産の減少249,722千円、使用権資産の減少773,037千円、のれんの増加564,109千円、無形資産の減少233,603千円、持分法で会計処理されている投資の増加773,586千円、その他の長期金融資産の減少573,023千円、繰延税金資産の減少133,005千円、その他の非流動資産の減少22,317千円であります。
以上の結果、当期末の資産合計は48,706,890千円となり、前期末に比べ2,819,293千円増加しております。
(流動負債)
流動負債の残高は13,389,712千円となり、前期末に比べ1,250,418千円増加しております。主な要因は、買掛金及びその他の短期債務の減少141,397千円、借入金の増加1,463,666千円、リース負債の減少44,793千円、未払法人所得税の減少45,078千円、及び、その他の流動負債の増加18,021千円であります。
(非流動負債)
非流動負債の残高は4,186,265千円となり、前期末に比べ1,023,648千円減少しております。主な要因は、借入金の減少536,174千円、リース負債の減少725,818千円、その他の長期金融負債の増加91,356千円、繰延税金負債の減少32,089千円、及び、その他の非流動負債の増加178,734千円等であります。
以上の結果、当期末の負債合計は17,575,978千円となり、前期末に比べ226,770千円増加しております。
(資本)
当期末における資本の残高は31,130,912千円となり、前期末に比べ2,592,523千円増加しております。主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益による利益剰余金の増加1,187,667千円、剰余金の配当による利益剰余金の減少477,049千円、その他の包括利益によるその他の資本の構成要素の増加1,823,902千円、及び、非支配持分の増加6,802千円等であります。
当期における現金及び現金同等物(以下、資金)は、3,375,954千円増加し、16,521,263千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は2,697,315千円となり、前連結会計年度(以下、前期)の増加した資金1,287,655千円と比べ、1,409,660千円の増加となりました。主な要因は、前期は減損損失が9,749,169千円発生していたこと、当期は税引前当期利益が1,396,421千円と前期に比べ8,253,769千円増加したこと、減価償却費及び償却費が1,910,549千円と前期に比べ67,940千円減少したこと、売掛金及びその他の短期債権の増減額が△1,738,155千円と前期に比べ4,384,145千円減少したこと、買掛金及びその他の短期債務の増減額が2,174,908千円と前期に比べ4,802,484千円増加したこと、その他が△1,168,047千円と前期に比べ485,598千円増加したこと、利息の支払額が172,469千円と前期に比べ60,436千円増加したこと、及び、法人所得税の還付額が205,995千円と前期の法人所得税の支払額1,921,086千円に比べ2,127,081千円増加したこと等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は388,869千円となり、前期の減少した資金1,068,049千円と比べ、1,456,918千円の増加となりました。主な要因は、前期は資本性金融資産の取得による支出が100,100千円、子会社の取得による収入が4,458千円それぞれ発生していたこと、当期は資本性金融資産の売却による収入が20,000千円、子会社株式の売却による収入が2,440,155千円、関連会社株式の取得による支出が800,000千円それぞれ発生したこと、有形固定資産の取得による支出が92,640千円と前期に比べ6,690千円減少したこと、無形資産の取得による支出が586,945千円と前期に比べ91,572千円減少したこと、事業譲受による支出が453,523千円と前期に比べ35,979千円増加したこと、子会社の取得による支出が295,381千円と前期に比べ292,164千円増加したこと、敷金及び保証金の差入による支出が18,799千円と前期に比べ8,917千円増加したこと、敷金及び保証金の返還による収入が6,574千円と前期に比べ172,894千円減少したこと、貸付による支出が985,164千円と前期に比べ171,664千円増加したこと、貸付金の回収による収入が1,141,585千円と前期に比べ379,420千円増加したこと、及び、その他が5,852千円と前期に比べ100,525千円減少したこと等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は54,082千円となり、前期の減少した資金3,291,648千円と比べ、3,237,566千円の増加となりました。主な要因は、前期は非支配持分からの子会社持分取得による支出が19,970千円、非支配持分からの払込による収入が20,700千円それぞれ発生していたこと、当期は短期借入れによる収入が503,000千円発生したこと、短期借入金の返済による支出が250,500千円と前期に比べ850,049千円減少したこと、長期借入れによる収入が1,319,746千円と前期に比べ910,246千円増加したこと、長期借入金の返済による支出が404,350千円と前期に比べ650,737千円減少したこと、配当金の支払額が477,172千円と前期に比べ220,062千円減少したこと、リース負債の返済による支出が739,468千円と前期に比べ89,362千円減少したこと、及び、非支配持分への配当金の支払額が5,331千円と前期に比べ14,843千円減少したこと等であります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益及び営業利益)
当連結会計年度(以下、当期)においては、国内外において、主力事業である不動産関連情報サービスの継続成長に向けて、積極的な成長投資を実施しており、不動産事業者向けインターネット・マーケティング事業やファッションのアグリゲーションサービスといった周辺事業の売却とその他投資計画の見直し及び一時延期等により、主力事業への成長投資へ経営リソースの集中を行いました。
この結果、当期における売上収益は35,730,792千円、営業利益は1,681,907千円となりました。
当期は持分法投資損失202,304千円等が発生したこと、また、法人所得税費用203,909千円を計上した結果、当期利益は1,192,512千円となりました。
資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析は「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
(資金需要)
当社グループの資金需要は販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。
(財務政策)
当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性維持及び、効率的な資金の確保を最優先しております。これに従い、営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めると共に、自己資金を効率的に活用しております。
短期的な運転資金の調達並びに設備投資資金等の調達に関しましては、自己資金及び複数の金融機関より確保している融資枠からの借入金を基本としております。
「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念とし、日本及び海外において不動産情報サービス事業を中心に、住まいの情報を提供しております。また、住まいの情報のみならず、介護施設やトランクルーム等、暮らしにかかわる様々な情報サービスを提供しております。
当社グループが重視している経営指標は、売上収益、CAGR、営業利益、営業利益率であり、事業上の指標として、HOME'S関連事業においては掲載物件数、顧客数、一顧客あたり平均売上(ARPA)、サイトの訪問者数、問合せ数(ユーザーから不動産会社等に対するメールや電話での問合せ)等を重視しております。
当社グループでは「常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る」を経営理念として掲げており、あらゆる人が安心と喜びをもって未来へと進んでいくためのサポートをしたいと考えております。世の中に溢れている大量の情報を蓄積・整理・統合し、情報を必要としているユーザーに対し、様々なデバイスやチャネルを通じて最適な情報を提供することに取り組んでおります。
この戦略に基づき、「HOME'S関連事業の強化」、「海外事業のグローバルにおける競争力強化」、「不動産領域以外の新規領域事業の収益化と新規事業開発」に重点的に取り組んでまいります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
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