業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

(経営成績の分析)

当社は「20XX年までに時価総額1兆円以上」という超長期的目標を掲げ、2018年5月10日をもって全ての事業を子会社化し、純粋持株会社となりグループ経営へと移行しております。この超長期的目標を最速で実現するべく、次世代の事業と経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるための仕組み「CROOZ永久進化構想」を活用し、より多くの起業家を育成し、『SHOPLIST.com by CROOZ』(以下、SHOPLIST事業)を軸に、EC領域に関連する複数のサービスを展開する「ECソリューションカンパニー」として、成長産業であるEC領域に今まで以上に注力していきます。

 

グループの主軸事業であるEC事業の国内BtoCのEC(消費者向け電子商取引)市場は2020年に19.3兆円に達しており(注1)、また今後更に拡大し、2025年度には27.9兆円に達する見込みといわれております(注2)。

また、その中でもSHOPLIST事業のおかれるアパレルEC(BtoC)市場は、2020年に約2.2兆円に到達しており、直近3年間で約5,749億円拡大してまいりました。近年販売の主戦場が実店舗からECに移行する大局の流れが見られていたところ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でその流れが加速しました(注1)。

当該成長市場においてSHOPLIST事業は、低価格で良質なファストファッション商材の取扱いに特化し、また会員属性も20-30代を中心とした女性という特異なポジショニングを確立し、2012年7月の立ち上げから10年目を迎えた当連結会計年度の取扱高は230億円となりました(注3)。

SHOPLIST事業においては、今後の更なる拡大を目指し、社長直下のプロジェクトとして、プロジェクトオーナーに社長と同等の権限を付与し、オーナー自ら課題が起きた背景や理由を深堀り、様々な事実データをもとに解決策を講じる重要プロジェクト制度を進行させております。重要プロジェクトをもとに、広告プロモーション投資の効率化、探しやすさや購入前と後のギャップをゼロにするべくサイトのユーザビリティ向上、配送効率の徹底的な見直しを含めた物流インフラの強化等のコスト改善や業務効率の改善及び組織体制の整備に注力してきましたが、今後は取扱高を再度成長軌道に乗せていくための施策に注力していきます。

また、新規性の高い事業にも積極的に取り組んでおり、今後の第二・第三の事業の柱として期待できる事業を生み出すべくチャレンジを継続してまいります。

 

以上の結果として、経営上の目標を判断するための客観的な指標等である取扱高は32,278,197千円(前連結会計年度比9.6%減)となりました。

 

当連結会計年度の経営成績は、売上高15,477,613千円、営業利益1,238,062千円(前連結会計年度比42.0%減)、経常利益1,292,604千円(前連結会計年度比42.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益310,445千円(前連結会計年度比78.3%減)となりました。

 

(注1)2021年7月30日経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」を基に記載しております。

(注2)株式会社野村総合研究所「ITナビゲーター2021年版」を基に記載しております。

(注3)当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、EC事業、インターネット広告・メディア事業及びその他の事業において、「売上高」と「仕入原価」をネットした金額を「売上高」として開示しております。

 

 

 セグメントごとの経営成績の状況を示すと次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」の適用により、EC事業、インターネット広告・メディア事業及びその他の事業において、「売上高」と「仕入原価」をネットした金額を「売上高」として開示しております。そのため、これらのセグメントの当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① EC事業

 当連結会計年度の売上高は9,789,784千円、セグメント利益は839,273千円(前連結会計年度比54.6%減)となりました。

 

② ゲーム事業

 当連結会計年度の売上高は2,680,562千円、セグメント損失は379,133千円(前連結会計年度はセグメント利益149,743千円)となりました。

 

③ インターネット広告・メディア事業

 当連結会計年度の売上高は1,443,762千円、セグメント利益は671,438千円(前連結会計年度比39.7%増)となりました。

 

④ その他事業

 当連結会計年度の売上高は1,563,503千円、セグメント利益は106,484千円(前連結会計年度はセグメント損失343,375千円)となりました。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 なお、販売高及び仕入高と連結損益計算書の差異につきましては、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、主にEC事業、インターネット広告・メディア事業及びその他事業において「販売高」より「仕入高」をネットした金額を「売上高」として開示しているためであります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

EC事業

13,998,874

87.2

ゲーム事業

インターネット広告・メディア事業

2,019,234

83.8

その他

621,094

145.6

合計

16,639,203

88.1

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

② 受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

EC事業

24,072,167

88.3

217,473

64.9

ゲーム事業

2,605,384

114.6

インターネット広告

・メディア事業

3,369,723

96.9

その他

1,817,059

63.0

11,250

4.8

合計

31,864,334

88.8

228,723

35.6

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

EC事業

24,189,529

85.7

ゲーム事業

2,680,562

119.2

インターネット広告・メディア事業

3,369,723

96.9

その他

2,038,383

116.3

合計

32,278,197

90.4

 

(財政状態の分析)

(資産)

 当連結会計年度における総資産は、現金及び預金の減少1,291,189千円及び売掛金の減少589,538千円などがあった一方で、ソフトウエアの増加209,261千円などにより、25,086,771千円(前連結会計年度比1,985,692千円の減少)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度における負債は、未払金の増加88,014千円などがあった一方で、買掛金の減少339,180千円、短期借入金の減少324,238千円及び未払法人税等の減少228,172千円などにより、15,436,065千円(前連結会計年度比1,891,532千円の減少)となりました。

 

(純資産)

 当連結会計年度における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益310,445千円の計上があった一方で、その他有価証券評価差額金の減少74,905千円及び非支配株主持分の減少275,693千円などにより、9,650,705千円(前連結会計年度比94,159千円の減少)となりました。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は13,065,726千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、683,151千円の収入(前連結会計年度は2,432,214千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が208,504千円、減価償却費が213,946千円及び減損損失が348,055千円などによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、1,280,647千円の支出(前連結会計年度は72,708千円の収入)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の払戻による収入1,019,873千円がありましたが、投資有価証券の取得による支出1,828,469千円及び無形固定資産の取得による支出428,914千円などによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、692,964千円の支出(前連結会計年度は1,279,769千円の支出)となりました。これは長期借入金の返済による支出370,828千円、短期借入金の減少322,136千円によるものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末日における資産、負債及び報告期間における収益、費用の計上並びに開示において、種々の見積り及び仮定を前提としております。そのため、実際の結果は、それらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の概況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度の売上高が15,477,613千円となりましたが、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当該会計基準を適用した後の数値となっており、売上高の前年同期比は記載しておりません。当連結会計年度は営業利益1,238,062千円となり、前連結会計年度は営業利益2,134,459千円だったことから大幅に営業利益の減少となりました。営業利益が減少した主な理由は、主力事業であるSHOPLIST事業が取扱高の減少により前連結会計年度は営業利益1,942,751千円だったところ、当連結会計年度は営業利益915,032千円(前年同期比52.9%減)へと大幅に減少したことと、ゲーム事業が前連結会計年度は営業利益149,743千円だったところ、当連結会計年度は営業損失379,133千円となったことが挙げられます。

 SHOPILST事業は、2020年7月よりグループ代表の小渕宏二がSHOPLIST株式会社の代表を兼任し、本社の取締役陣やグループ内で子会社を牽引する役員もSHOPLIST株式会社に参画させ、重要プロジェクト制度(注1)を創設し、従前から実施しているコスト構造の見直しによる営業利益率の改善だけでなく、取扱高の成長に向けて取り組んでまいりました。しかし、当連結会計年度において通期取扱高が前年同期比で84.7%と前年同期を大きく下回る結果となりました。その主な理由は、前連結会計年度における①コロナ特需の影響が落ち着いたこと、②SEO経由の訪問者数の減少、③広告経由の訪問者数の減少、④売れ筋商品の欠品率が高いことの4点が挙げられます。取扱高を向上させるために早急に改善する必要があるのは「訪問者数の減少」と「売れ筋商品の欠品率」になります。訪問者数の減少については、引き続きSNSを中心とした広告プロモーションの強化に関連する施策を継続していきます。売れ筋商品の欠品率の改善については、ユーザーが購入したい商品を充実させるために2012年のサービス開始以降の販売実績データをもとに分析を行い、SKU単位での需要予測を算出するシステムを構築し適切な在庫管理を徹底していきますが、これにより売れ筋商品の欠品率及び消化率は改善傾向にあり、順調に施策の効果は出始めているといえます。また、欠品率の改善により購入率も改善され、その結果広告効率も良くなることで、さらに広告プロモーションを強化できるため、訪問者数がさらに増加することが期待できます。そして、引き続きSHOPLISTサイト内の商品の露出優先順位のロジックの見直しを継続して行っておりますが、これにより取扱高の改善に良い影響が出ております。今後は、引き続きコスト改善に取り組むだけでなく、取扱高を伸ばしSHOPLIST事業の中長期目標である年間売上1,000億円を達成するための重要指標である年間ユニーク購入者数500万人及び一人当たり年間購入金額20,000円を追求してまいります。

 ゲーム事業については、営業損失379,133千円(前連会計年度は営業利益149,743千円)となりましたが、2021年12月8日にリリースした新作ゲーム『SHAMAN KING ふんばりクロニクル』にかかる一時的な開発コスト及びプロモーション費用が大きくかかっていたためです。開発コストの負担が無くなった第4四半期連結会計期間より、ゲーム事業は黒字化されており、来期以降も引き続き安定して収益をあげていく予定です。今後とも『SHAMAN KING』ファンの方をはじめとする既存ユーザーの方にも、新規ユーザーの方にもより長く面白く遊んでいただけるように、より魅力的なゲームコンテンツにしてまいります。

 一方で、上記以外の事業について事業進捗は順調であり、インターネット広告・メディア事業については、前連結会計年度は営業利益480,713千円だったところ、当連結会計年度は営業利益671,438千円(前年同期比39.7%増)へと増益しております。これは従前から公表しておりますランク王だけでなく、金融関連を中心としたその他新規メディアや広告代理事業も好調であることが要因です。安定して収益をあげていけるようになってきており、利益率も高く今後も大きな成長が見込める事業でもあるため、引き続き業績を伸ばすために注力してまいります。

 また、その他事業については、新規事業としてチャレンジしている過程でありますが、赤字だった事業が黒字化したことで前連結会計年度は営業損失343,375千円だったところ、当連結会計年度は営業利益106,484千円へと大幅に増益となっております。将来に向けて売上及び利益に貢献できるように引き続き成長させてまいります。

 なお、当連結会計年度において純投資の一部について回収可能性が無いと見做し、特別損失に712,434千円の投資有価証券評価損を計上しております。純投資はスタートアップ企業へ投資し数年間を経てM&AやIPOにたどり着いた際の売却によるキャピタルゲインの獲得を目的としており、投資成果が出始めるのに通常5~7年はかかります。事業・起業の成功確率を考えると全ての投資先が上手くいくわけではなく、そのような投資先については会計上減損を認識することもあります。投資先全体で見れば、大きな成功に至る投資先は一部ですが、この一部の投資先から得られるリターンで全体の投資額を大きく超えるリターンを獲得することを見込んでおります。このような純投資の性質上、減損によりコストが先行することもありますが、減損については今回である程度の目途がつき、今後はこのような多額の減損が起きる可能性は低く、投資の回収に入っていく段階だと考えており、特段進捗に問題があるわけではありません。投資先の中には、数年以内に上場を視野に入れている会社も複数あり、数年先には大きな利益を生む期待感を持っております。

 

(注1)重要プロジェクト制度とは、社長直下のプロジェクトを立て、プロジェクトオーナーに社長と同じ権限を付与し、オーナー自ら課題が起きた背景や理由を深堀り、様々な事実データをもとに解決策を講じ、SHOPLISTを立て直すための制度です。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 (キャッシュ・フローの状況の分析)」に記載のとおりであります。

 また、当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び新規事業立ち上げにかかる設備投資等であり、必要資金の調達については、自己資金だけでなく社債及び借入金によって外部調達しております。

 資金の流動性については、適正な水準の現預金を保持した上で、不測の事態に対応するため、取引金融機関と当座貸越契約等を締結することで流動性を確保しております。

 

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