(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が徐々に緩やかになっており、経済活動に対する制約も緩和されておりますが、感染者数の急増により持ち直しの動きにブレーキがかかっております。また、ウクライナ情勢の影響による原材料価格やエネルギー価格の高騰、急激な円安の進行による物価の高騰等不安定な状況は続いており、当面は経済活動に影響が出ると考えられます。
当社の属するフリーペーパー・フリーマガジン市場は、WEBやSNSをはじめとした広告媒体の多様化により、顧客の獲得や価格競争など、依然として厳しい経営環境が続いております。当社におきましては、2021年10月にリブランディングを実施し、「地域の人と人をつなぎ、あたたかい地域社会を創る」という新たなブランドミッションを掲げ、企業価値の向上を図っております。クライアントにおきましては、コロナ禍からの回復が進みつつあるものの、依然として販促活動に力を割けない状況が続いております。このような状況の下、当社の基盤事業である新聞等発行事業は、2022年8月末現在で、3県45エリアで45版を発行、週間の発行部数は約201万部となりました。
当社の新聞等発行事業におきましては、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いた4月以降、販促意欲の回復傾向が見られましたが、7月以降の感染者数の急増により、販促のタイミングに慎重な判断を下すクライアントが増加しております。当第4四半期の施策といたしましては、6月に読者の関心の高い「老後資金特集」、7月に飲食店を特集した「私の街のまんぷくガイド」、8月に生誕55周年を迎えたリカちゃん人形とのコラボ企画といった特集を実施し、読者アンケートやウェビナー、自社YouTubeチャンネルを通したコンテンツの配信により広告効果をより高められるよう施策を実施いたしました。今後も発行エリアの採算性を慎重に判断し、ブランドミッションを軸として読者とのつながりを強化し、広告効果を高める取り組みに努めてまいります。
折込チラシ配布事業におきましては、それぞれの地域にカスタマイズされた独自の地図情報システム(GIS)を活用することにより、クライアントの顧客ターゲットが明確となり、効率的かつ広告効果の最大化を図るサービスを実現しております。また、コロナ禍からの回復と一般紙の購読率低下を主要因として、折込チラシ配布サービスへのニーズは高まっています。
販売促進総合支援事業におきましては、主に行政広報誌の配布業務や印刷業務の新規受託により取引が増加いたしました。
その他事業におきましては、マッチング事業、WEB事業、ヒューマンリソース事業といった成長事業や新規事業開発に経営資源を投下し、成長スピードの加速を図っております。マッチング事業においては、優良な業者を選択したい読者のニーズを捉えており順調に成長しておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、成長スピードは予定より遅れております。2022年8月より新たなジャンルとして「ちいき新聞のお墓掃除」をリリースしており、マッチング事業は現在10ジャンル(定額宅配サービスを含む)を展開しております。今後は更にサービスの質を向上させつつ、対象ジャンルを増やしていく方針であります。WEB事業につきましては、WEB事業分野の知見が深い人材を採用し、コミュニティサイト「チイコミ!」の2023年8月期のリニューアルに向けてサービス内容を見直しております。ヒューマンリソース事業におきましては、需要が高まっていることもあり、第3四半期以降前倒しで求人情報紙「Happiness」の発行回数を増やし、想定以上のスピードで売上が拡大いたしました。今後は事業の拡大に向けて求職者向けイベントの開催、人材紹介サービスのリリースを予定しております。その他の新規事業といたしましては、2022年4月より発行を開始した子育て支援情報誌「ままここっと®」、2021年5月より発行を開始したキャリア教育副教材「発見たんけん」の売上も順調に拡大しており、ターゲットを絞った媒体の発行はさらに拡大を図るべく力を入れております。
以上の結果、当事業年度における売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は依然としてあるものの、全体としては経済活動が回復基調にあり、2,887,909千円(前期比103.6%)、経常利益は7,766千円(前期は経常損失50,020千円)、当期純利益は8,459千円(前期は当期純損失86,869千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る数値等については、当該会計基準等を適用した後の数値等となっております。
② キャッシュ・フロー状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、28,210千円減少し674,373千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において営業活動の結果得られた資金は、67,687千円となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益7,124千円、減価償却費31,008千円、仕入債務の減少10,099千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において投資活動の結果使用した資金は、18,472千円となりました。収入の主な内訳は定期預金の払戻による収入200,000千円であり、支出の主な内訳は定期預金の預入による支出200,000千円、有形固定資産の取得による支出14,903千円、敷金及び保証金の差入による支出2,227千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末において財務活動の結果使用した資金は、77,426千円となりました。収入の主な内訳は株式の発行による収入86,460千円であり、支出の主な内訳は長期借入れの返済による支出156,642千円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社の資金需要のうち主なものは、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要に対して当社では、主として手元の資金及び金融機関からの借入金によって資金を確保しております。
なお、当事業年度末において、借入金残高601,720千円、リース債務残高4,805千円、現金及び預金残高874,373千円となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社は、生産、受注及び販売の状況については、セグメント情報に代えて事業別に記載を行っております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
事業別 |
当事業年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
前年同期比(%) |
新聞等発行事業(千円) |
605,170 |
102.5 |
販売促進総合支援事業(千円) |
101,381 |
109.1 |
その他の事業(千円) |
58,770 |
58.7 |
合計(千円) |
765,322 |
97.7 |
(注)1.金額は、売上原価によっております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る数値等については、当該会計基準等を適用した後の数値等となっております。
b.受注実績
当社は、受注から販売までの所要日数が短く、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
事業別 |
当事業年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
前年同期比(%) |
新聞等発行事業(千円) |
1,236,811 |
101.6 |
折込チラシ配布事業(千円) |
1,248,125 |
106.8 |
販売促進総合支援事業(千円) |
236,387 |
108.1 |
その他の事業(千円) |
166,584 |
90.2 |
合計(千円) |
2,887,909 |
103.6 |
(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る数値等については、当該会計基準等を適用した後の数値等となっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択及び適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5[経理の状況] 1[財務諸表等] (1)[財務諸表][注記事項]の(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等は、売上高2,887,909千円(前期比103.6%)と前期の実績を上回りました。これは、「新聞等発行事業」に含まれるヒューマンリソース事業への需要が高まり、求人情報紙「Happiness」の発行回数を増加したことや、販促需要が回復傾向にあり「折込チラシ配布事業」において受注が増加したこと、また、「その他の事業」に含まれているマッチング事業の成長によるものであります。
以上の結果、売上高が2,887,909千円(前期比103.6%)と増収し、原価のコントロールと販売費及び一般管理費の圧縮により増益となりました。
当事業年度の結果を踏まえ、「新聞等発行事業」及び「折込チラシ配布事業」のコア事業については、売上単価の向上と顧客数増加を図り安定した収益を確保に注力いたします。その他にも成長領域へのリソース集中投下や徹底的なコスト削減を図り、利益を追求する体制を再構築してまいります。
当事業年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにおいて67,687千円の増加となり、投資活動におけるキャッシュ・フローにおいては、主に有形固定資産の取得による支出14,903千円等があり、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては、長期借入金の返済による支出156,642千円がありました。
2023年8月期については、新型コロナウイルス感染症の影響により、単月での業績回復は不安定な状態が続いております。行動制限緩和等、業績回復に良い材料も出ておりますが、足元の感染状況は終息には至っていないため、業績の回復速度は現時点で不透明であると判断しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[財務諸表等] (1)[財務諸表][注記事項]の(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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