「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
■2022年3月期実績
(注)1 EBITDAは簡易版を使用→営業利益+減価償却費
2 2022年2月28日発表値
■2022年3月期実績:セグメント情報
② 財政状態の状況
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,120億6千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ340億2千2百万円増加しております。これは主に、現金及び預金が250億8千4百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,022億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ226億3千2百万円減少しております。これは主に、建物及び構築物(純額)が42億3千8百万円、機械装置及び運搬具(純額)が57億9千6百万円増加した一方で、建設仮勘定が73億7千7百万円、投資有価証券が251億3千6百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、701億4千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ205億6千4百万円増加しております。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が100億円、未払法人税等が86億1千7百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、129億7千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ166億4千2百万円減少しております。これは主に、長期借入金が100億円、繰延税金負債が68億5千2百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,311億7千4百万円で、前連結会計年度末に比べ74億6千8百万円増加しております。これは主に、その他有価証券評価差額金が153億3千3百万円減少した一方で、利益剰余金が237億4千7百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、前連結会計年度末より0.2ポイント増加し、60.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ285億7千8百万円増加し、601億4千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は248億2千5百万円と前連結会計年度に比べ126億9千8百万円増加となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益が392億1千6百万円、減価償却費100億3千2百万円、投資有価証券売却損益219億5千1百万円及び法人税等の支払額24億円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は93億1千2百万円となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出や投資有価証券の売却による収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は59億4千3百万円となりました。主な内容は、自己株式の取得による支出や配当金の支払額によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格によっております。
2 「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
主要製品の受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により様々な経済活動への制約が続く中、ワクチン接種の普及もあり人流が増加傾向で推移するなど、経済活動が徐々に正常化に動き出す向きもありましたが、新たな変異株により感染が再拡大するなど先行き不透明な状態が続いております。欧米においては、防疫と経済の両立進展により、物価上昇圧力が強まるなかでも経済回復がみられますが、世界経済はロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、サプライチェーンの混乱、原材料価格及び原油価格の高騰に伴うインフレ圧力の高まりなどもあり、下振れリスクは依然として大きく、不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く食品業界におきましては、食の安全・安心の徹底やライフスタイルの変化により簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化とその兆しを捉えたより付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境はいっそう厳しさを増しております。
このような経営環境のもと、当社グループは2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」及びその達成に向けた1stステージである「2021中期経営計画」を策定し、1期目として飛躍に向けた新たな基盤づくりを実現すべく、事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上、事業戦略と連動した経営基盤の構築、ダイバーシティの推進に取り組んでまいりました。
売上高は、各セグメントでコロナ禍からの回復が見られたこと、「2030経営計画」で定めた重点領域の各事業が大きな成長を遂げたことにより、全体では1,812億5千1百万円と前年実績に比べ130億1千1百万円(7.7%)の増収となりました。
損益は、売上高の増収がありましたが、原材料価格及び原油価格の高騰や今後の成長に向けた設備投資に伴う減価償却費の負担増などにより、営業利益は前年実績に比べ14億9千1百万円(7.8%)減益の176億8千5百万円、経常利益も前年実績に比べ15億3千5百万円(7.8%)減益の182億4千7百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却に伴う特別利益計上などにより前年実績に比べ143億5千7百万円(107.0%)増益の277億7千3百万円となりました。
■営業利益増減分析
(注)1 対象は国内の菓子食品事業、冷菓事業、in事業(森永製菓単体及び製造子会社)
2 原価及び販管費計
3 R&D、DX関連等への投資金額
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造事業>
菓子食品部門
国内主力ブランドでは、「森永ビスケット」が定番品に加え、季節限定品も好調に推移しました。「ハイチュウ」は特徴の一つである食感を進化させた「すッパイチュウ」や「うまイチュウ」の好調もあり、前年を上回りました。また「カレ・ド・ショコラ」も前年実績を上回りましたが、「チョコボール」「ダース」「森永甘酒」「森永ココア」は前年実績を下回り、主力ブランド全体では前年実績を下回りました。その他のブランドでは、「森永ホットケーキミックス」は巣ごもり需要が落ち着いたこともあり、前年実績を下回りましたが、今年発売50周年を迎えた「小枝」は前年実績を大きく上回りました。これらの結果、国内全体では前年実績を上回りました。
海外のうち米国では、「HI-CHEW」の取扱いが順調に拡大していること、店頭回転も好調に推移していることもあり、前年実績を大きく上回りました。中国では「HI-CHEW」のコンビニエンスストアにおける販促等が奏功し、前年実績を大きく上回りました。台湾では今年発売60周年を迎えた「ミルクキャラメル」が好調に推移したこともあり、海外全体では前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、菓子食品部門全体の売上高は934億1千4百万円と前年実績に比べ42億4千8百万円(4.8%)増となりました。
損益は、原価改善、販売費及び一般管理費の抑制等、コスト削減に取り組んでまいりましたが、原材料価格高騰の影響や減価償却費の負担増があり、営業利益は前年実績に比べ9億5千4百万円(14.9%)減益の54億6千1百万円となりました。
冷菓部門
主力ブランドの「ジャンボ」グループ、「アイスボックス」は、積極的なプロモーションを展開しましたが前年の大幅な売上拡大の反動もあり前年実績を下回りました。その他のブランドでは、「板チョコアイス」が通年発売化から2年目ながら過去最高の購入率を記録するなど好調に推移しました。「パキシエル」もコンテンツとのコラボレーションを展開した効果などにより前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓部門全体の売上高は407億3千1百万円と前年実績に比べ18億7千4百万円(4.8%)増となりました。
損益は、原価改善、販売費及び一般管理費の抑制等、コスト削減に取り組んでまいりましたが、原材料価格高騰の影響や高崎第三工場に係る減価償却費の負担増があり、営業利益は前年実績に比べ24億4千万円(34.4%)減益の46億4千9百万円となりました。
健康部門
主力ブランドの「inゼリー」は、自宅トレーニングにおける栄養補給、在宅ワーク下での考えるためのエネルギー補給といった様々な飲用シーンの提案、体調不良時の食事代替ニーズの増加、フルーツ食感などの新たなニーズに対応した新商品の展開もあり、コロナ禍による影響を受ける前である2020年3月期の売上高を超えるまでⅤ字回復しました。「inバー」は、手軽なタンパク質の摂取ニーズを訴求するとともに、在宅ワークにおける間食需要も取り込んだことで前年実績を上回りました。
通販事業は、積極的なプロモーションの展開により新規定期顧客数が増加するなど「おいしいコラーゲンドリンク」を中心に前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、健康部門全体の売上高は過去最高の386億4百万円と前年実績に比べ63億9千7百万円(19.9%)増となりました。
損益は、主要なブランドが好調に推移したことにより、営業利益は前年実績に比べ20億2千4百万円(38.2%)増益の73億2千9百万円となりました。
これらの結果、<食料品製造事業>の売上高は1,727億5千万円と前年実績に比べ7.8%増となりました。セグメント利益は174億3千9百万円と前年実績に比べ13億7千万円の減益となりました。
<食料卸売事業>
売上高は、59億3千5百万円と前年実績に比べ7.0%増となりました。セグメント利益は3億4千6百万円と前年実績に比べ6千6百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス事業>
売上高は、19億1千5百万円と前年実績に比べ4.9%増となりました。セグメント利益は8億7千3百万円と前年実績に比べ8千3百万円の増益となりました。
<その他>
売上高6億4千9百万円、セグメント利益1億7千9百万円であります。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、積極的な成長投資と安定した財務基盤を維持することにより、持続的な企業価値向上と安定的な株主還元を実現いたします。
<財務安全性の確保と資金調達方針>
当社グループは、マクロ環境の変化、事業環境の不透明性及び経営リスク増大に備えて、一定水準の財務安全性を確保することを基本方針としております。
その上で、資金需要を満たすための資金調達にあたっては、適切な手元資金の水準、資金コストの水準や調達条件、財務安全性を十分確保できる自己資本比率の水準、RОE・RОICといった財務指標への影響度などを総合的に勘案した上で、最適な資本構成を目指してまいります。
<企業価値向上に向けた投資活動>
中長期的に企業価値の向上を図るために、資本コストを考慮した成長投資を実行してまいります。投資の意思決定基準を明確化し、かつその後の投資回収状況を継続的にフォローしながら、資本コストを意識した投資管理を行っております。
投資対象領域としては、事業提携やM&Aなどのインオーガニック成長を含めて、重点領域への投資を最優先とし、飛躍的な成長を促してまいります。加えて、将来の事業の芽を創出する探索・研究領域への投資、老朽化対応も含めた基盤領域への投資を実施することで、持続的かつ安定的な成長を実現いたします。また、広告、R&D、DXなどの無形資産投資を強化し、変化の激しい経営環境への対応、及び新たな価値創造の基盤づくりを進めてまいります。
<株主還元方針>
当社グループは、株主の皆様への利益還元について、経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元の実施を目指してまいります。当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
■財務指標の趨勢
■株主還元
④ 目標とする経営指標の達成状況
2021年5月に策定いたしました「2021中期経営計画」では、最終年度となる2024年3月期の経営目標を売上高1,900億円、営業利益215億円としております。また、重要経営指標として売上高営業利益率11%以上、海外売上高比率9%以上、重点領域売上高比率+5ポイント以上(「2018中期経営計画」の期間平均値比)、ROE10%以上を目標としております。
「2021中期経営計画」初年度となる当連結会計年度の売上高は、コロナ禍からの回復が見られたこと、「2030経営計画」で定めた重点領域の各事業が大きな成長を遂げたことにより、前年実績比7.7%増の1,812億円となりました。「2021中期経営計画」経営目標の達成に向けて、順調なスタートを切りました。
売上高成長に関する重要経営指標である海外売上高比率について、米国事業の飛躍的な成長等により当連結会計年度は前年実績比2.1ポイント増の9.1%となりました。また、重点領域売上高比率は、重点領域に属する4事業全てで高い成長を遂げたことで、「2018中期経営計画」の期間平均値に対して当連結会計年度は6.8ポイント増の48.8%となりました。これら2つの指標は、「2021中期経営計画」の目標を2年前倒しで達成いたしました。
営業利益は、売上高の増収がありましたが、原材料価格及び原油価格の高騰や今後の成長に向けた設備投資に伴う減価償却費の負担増、広告費増などにより、前年実績比7.8%減の176億円となりました。収益性に関する重要経営指標である売上高営業利益率について、当連結会計年度は前年実績比1.6ポイント減の9.8%となりましたが、当連結会計年度に実施した設備投資及び広告投資は、当社の安定的な中長期成長を実現するための投資であり、将来的な収益貢献に向けて着実に経営基盤は整いつつあります。
効率性を示す重要経営指標であるROEについて、政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除くと当連結会計年度は前年実績比1.7ポイント減の10.1%となりましたが、「2021中期経営計画」の目標である10%以上を保っており、引続き安定的な経営基盤を有しております。
当連結会計年度のわが国経済は、ロシア・ウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、サプライチェーンの混乱、円安の進行、原材料価格及び原油価格の高騰に伴うインフレ圧力の高まりなどから、世界経済の下振れリスクは依然として大きく、当社グループを取り巻く経営環境や個人消費におきましては先行き不透明な状態が続くと想定されます。
このような状況の中、当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献しつつ中長期的な成長を果たすべく、高い収益性、成長性が見込める事業へ経営資源を集中することで事業ポートフォリオの転換を図り、事業規模の拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。また、投資原資を安定的に創出するべく構造改革により経営の効率化をいっそう推進するとともに、R&DやDXなどへの投資を強化することで中長期の成長に資する基盤づくりに努めてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束時期等を含む仮定に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
お知らせ