当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識並びに分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績の分析
当社は、2021年9月28日開催の第45回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、決算日を6月30日から3月31日に変更いたしました。このため、当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、決算日が6月30日であった当社は9ヶ月間(2021年7月1日~2022年3月31日)、決算日が3月31日であった在外連結子会社は12ヶ月間(2021年4月1日~2022年3月31日)を連結対象期間とした変則的な決算となっております。このため、対前年同期比については記載しておりません。
当連結会計年度は、国内においては新型コロナウイルス感染症の流行継続に伴う巣ごもり需要などの影響もあり、高付加価値商品を中心に売上が好調に推移しました。北海道で発生した干ばつの影響等による馬鈴薯不足のため、やむを得ず販促を抑制せざるを得ない状況もありましたが、傾斜的な広告宣伝投資などを通じ、戦略商品の販売構成を高めてまいりました。他方、利益面においては、新工場設立に伴う減価償却費及び労務費等のコスト増加要因に加え、世界的な物価上昇の影響を受け、パーム油をはじめとした原材料価格が高騰し、収益圧迫要因となりました。海外においても、特にベトナムやタイにおいて新型コロナウイルスに伴う社会規制の影響により厳しい市場・経営環境となりましたが、一昨年の馬鈴薯不足が解消した台湾をはじめ、各国で収益を改善し海外事業全体で黒字転換いたしました、業績は次のとおりです。
売上高は、30,395百万円となりました。利益につきましては、営業利益1,089百万円、経常利益1,142百万円、親会社株主に帰属する当期純利益758百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
<国内>
2022年3月期は、引き続き高付加価値商品の売上拡大、「With コロナ」時代のニーズに応える新機軸商品の展開、新設した九州阿蘇工場を活用した物流費削減及び価格改定などによる既存商品群の収益性改善の3つのテーマを戦略の軸に据え事業展開を進めました。
国内事業においては、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要が断続的に発生するなど外部環境からの影響を受けた一方で、北海道で発生した干ばつの影響で北海道産馬鈴薯の収穫量が大幅に減少したため、2021年11月頃より数ヶ月の間、主力ポテトチップス商品の販促をやむを得ず中止・辞退せざるを得ない状況に見舞われました。しかし、そのような状況でありながらも、高付加価値商品やポテトチップス以外の商品を中心に拡販し、売上拡大と利益確保に努めました。
一方、世界的な物価上昇の影響を受け、当社が調達しているパーム油やコーンなどの原料、資材の価格が期首の想定を上回って高騰し、大きな利益圧迫要因となりました。このような状況を受け、将来に向けた利益確保を図るため、主力ポテトチップス商品を中心に2022年2月より価格改定を実施いたしました。
商品戦略においては、湖池屋ポテトチップス60周年記念商品である「KOIKEYA Theのり塩」と「KOIKEYA The麹塩」を2021年10月に全国発売しました。また、2022年2月で発売5周年を迎えた「湖池屋プライドポテト」のリニューアルを実施、2022年3月には発売から35年となる「スコーン」の大幅リニューアルを実施するなど、収益性の高い商品を中心に広告投資を含めた拡販活動を行いました。
以上のとおり、厳しい経営環境でありながらも売上・利益を確保すべく各種施策に取り組んだ結果、国内の売上高は26,066百万円となり、セグメント利益は1,014百万円となりました。
<海外>
台湾事業では、新型コロナウイルスの影響による需要増加もあり売上が好調に推移した一方、試食販売などの販促企画が中止となるなど、販促費が抑制されました。これに加え、ポテトチップス「じゃがいも心地」などの高収益商品や、コーンを原料とした商品「黍一番」、小麦を原料とした商品「横綱棒」などのポテトチップス以外の商品を戦略的に拡販した結果、馬鈴薯不足で苦戦した前年度に比べ大幅に利益が改善いたしました。
ベトナム事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ベトナム全土で極めて厳しい行動規制がなされたため、製販両面で事業活動に強い制約を受けました。販売面では全土にわたる広範なロックダウンにより販売スタッフが活動できないケースが相次いだほか、製造面でも増産目的の設備導入の大幅遅延、サプライヤーの製造停止による原料資材の不足、各種規制により出勤可能な工場従業員が大幅に減ったことなどによる大規模な商品欠品が発生し売上構築に苦戦いたしました。この結果、売上・利益とも期首の見込みを大きく下回ることになりましたが、他方、増産のための設備投資を実施したほか、商品供給を優先した現地小売チェーンにおいては売上が好調に推移し、また、各国への輸出が増加するなど明るい兆しが見えてきております。
タイ事業においても、新型コロナウイルスの影響でスナック市場の状況悪化が継続しております。そのような状況にありつつも、店舗ラウンダーの導入が奏功して「カラムーチョ」の定番商品が売上を伸ばしたほか、「カラムーチョSTRONG」といった新製品も売上に貢献し、計画通りの利益を確保しました。また、現地飲料メーカーであるOSOTSPA社と新たに提携し、従来販路の限られていた地方のスーパーや個人商店への展開を本格化させました。
以上により、海外の売上高は4,329百万円となり、セグメント利益は93百万円となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
総資産は、前連結会計年度末に比べ225百万円増加し、27,093百万円となりました。主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加(167百万円)によるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ355百万円減少し、12,865百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少(318百万円)によるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ581百万円増加し、14,227百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(438百万円)によるものであります。なお、自己資本比率は51.8%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は3,366百万円(前連結会計年度は4,264百万円)となり、897百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は219百万円(前連結会計年度は3,027百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増減額(1,201百万円)及び法人税等の支払額(540百万円)等の減少があったものの、税金等調整前当期純利益(1,142百万円)及び減価償却費(921百万円)等の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は643百万円(前連結会計年度は4,570百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入(501百万円)等の増加があったものの、有形固定資産の取得による支出(1,112百万円)等の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は499百万円(前連結会計年度は1,863百万円の収入)となりました。これは、配当金の支払額(320百万円)及び長期借入金の返済による支出(106百万円)等の減少があったことによるものであります。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況
1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がなく、今後の経済活動の正常化のタイミング及び当社グループにおける業績の影響を見通すことは困難ですが、当該影響は翌連結会計年度末には概ね収束するものと仮定しております。
①繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行っておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
②退職給付費用及び債務
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいた死亡率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
③固定資産の減損
当社グループが減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、事業計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や直近の経営成績に基づいた情報に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
なお、Koikeya Vietnam Co.,Ltd.に係る固定資産の減損の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
国内(百万円) |
37,732 |
- |
海外(百万円) |
542 |
- |
合計(百万円) |
38,274 |
- |
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社は9ヶ月(2021年7月1日~2022年3月31日)、3月決算の連結子会社は12ヶ月(2021年4月1日~2022年3月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、前年同期比については記載しておりません。
②受注実績
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。
一部の事業において受注生産を行っていますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
国内(百万円) |
26,066 |
- |
海外(百万円) |
4,329 |
- |
合計(百万円) |
30,395 |
- |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社は9ヶ月(2021年7月1日~2022年3月31日)、3月決算の連結子会社は12ヶ月(2021年4月1日~2022年3月31日)を連結対象期間とした変則決算となっているため、前年同期比については記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
丸紅㈱ |
7,245 |
18.0 |
5,066 |
16.7 |
三菱商事㈱ |
5,070 |
12.6 |
3,394 |
11.2 |
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループの当連結会計年度の業績は次のとおりです。
売上高は、30,395百万円となりました。
利益につきましては、営業利益1,089百万円、経常利益1,142百万円、親会社株主に帰属する当期純利益758百万円となりました。
世界的な物価上昇の影響を受け、原材料価格の高騰が収益圧迫の要因となった一方、国内における新型コロナウイルス感染症の流行に伴う巣ごもり需要の影響を受けた高付加価値商品の売上拡大、収益性の高い商品を中心とした拡販活動、海外における各国の収益改善施策等が主な要因となり、好調な売上の推移となりました。
(財政状態の分析)
財政状態の分析につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)財政状態の分析」に記載のとおりであります。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](3)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループにおける資金需要は、主に運転資金、設備投資、配当金の支払いとなります。これら資金需要を満
たすため、当社グループでは営業活動から得られるキャッシュ・フローを主たる財源とし安定的な資金確保を行っ
ておりますが、当社グループの戦略として掲げている高付加価値商品の売上拡大、定番商品等の収益改善、新規商
材開発を進めるにあたり必要となる設備投資を主とした成長投資等の将来への資金需要に対しては、可能な限り
自己資金から充当し、必要に応じて金融機関からの借入による調達を行う方針であります。また、金融機関とは
良好な関係を継続しており、当座貸越枠を設定し、機動的な資金確保が行える体制を構築するなど十分な資金の流動性を確保しております。
配当金の支払いにつきましては、株主の皆様への安定した配当を継続するとともにグループの業績に応じた成果の配分を行うことを基本方針としております。
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