業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2020年11月1日~2021年10月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大による再三の緊急事態宣言の影響が大きく、個人消費を中心に厳しい状況が続いています。9月末の緊急事態宣言の解除を受けて、旅行や飲食などの業態でも少しずつ活気を取り戻しつつあるものの、国際的な半導体不足による製造業への影響、円安や原油高による各種製品・サービスの価格上昇など、経済活動は回復へと向かいつつも、先行きには不透明さが残る状況が続いております。

このような状況の中、当社におきましては、新卒採用市場においては中長期的採用計画に基づく底堅い採用ニーズを捉え、新卒向け就職サイト「あさがくナビ」にて動画を中心に訴求力向上を図る等、ダイレクトリクルーティングサイトとしての強みが評価されました。中途採用市場においては、20代の若手採用市場におけるNo.1サイトの「Re就活」を中心として、転職市場のニーズの高まりに加えて、新卒で入社した方の早期退職の補完ニーズを捉え、第3四半期から当第4四半期にかけて急速に回復しました。一方、リアルな接点を持つことで採用のミスマッチを防ぎたいというニーズも同時に高まっており、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を十分に行いながら「就職博」の開催を継続いたしました。

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

①財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ14億66百万円増加し、134億34百万円となりました。

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ5億14百万円増加し、15億21百万円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ9億51百万円増加し、119億13百万円となりました。

②経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高62億22百万円(前期比108.8%)、営業利益18億19百万円(前期比153.1%)、経常利益20億14百万円(前期比146.9%)、当期純利益13億83百万円(前期比149.2%)となりました。

なお、主たる事業である「就職情報事業」につきましては、次のとおりであります。

当事業年度(2020年11月1日~2021年10月31日)における新卒採用市場は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、一部の業界においては著名企業の採用中止といった報道がなされましたが、多くの企業では中長期計画に基づいた新卒学生への採用意欲は高く、2022年3月卒業予定者に対する「大卒求人倍率」は1.50倍で、2021年3月卒業予定者の1.53倍と比較しても0.03ポイントの下落に留まりました。このような背景のもと、大卒内々定率(当社調査)は、昨年と比較できる1月~9月発表分まで常に昨年を上回るペースで推移しておりましたが、例年以上に学生からの内定辞退が発生した結果、追加採用ニーズと共に、採用活動の早期化へ対応すべく2023年3月卒業予定者に対するインターンシップ告知媒体へのニーズが高まりました。

「あさがくナビ」に関しましては、「ダイレクトリクルーティングサイト」No.1 (東京商工リサーチ調べ) の会員登録者数を背景とした効果が評価されたことに加え、採用ステップごとに動画コミュニケーションを使い分けることができる「JobTubeシリーズ」等のオプション企画商品も好評で、「あさがくナビ」の売上高は14億18百万円(前期比118.3%)となりました。

「就職博」に関しましては、緊急事態宣言の発出による影響もありますが、学生とのリアルな接点に対するニーズや内定辞退に対応する即応性が人気となり、「就職博」の売上高は前年同期比で第3四半期会計期間が112.3%、当第4四半期会計期間が107.9%となりました。その結果、「就職博」の売上高は15億35百万円(前期比86.8%)となり、第2四半期累計期間時点の前年同期比62.2%、及び第3四半期累計期間時点の前年同期比78.8%から大きく改善することとなりました。

中途採用市場におきましては、若手人材に対する採用ニーズが急速に回復していることに加え、コロナ禍における「働き方」の変化もあり、地方へのUIターン就職を希望する求職者が増加するなど、人材のマッチングニーズは多様化、細分化しています。そのような中、「Re就活」に関しましては、2021年7月に大幅なアップグレードを行うなど、毎年、企業側、求職者側双方のニーズに対応していることもあって、20代が選ぶ転職サイトで3年連続No.1 (東京商工リサーチ調べ)を獲得いたしました。その結果、当事業年度の「Re就活」の売上高は14億40百万円(前期比116.2%)となりました。

また、変化する就労感やマッチングニーズに対応して、「Re就活エージェント」による人材紹介事業も好調に推移し、紹介決定数が前期比162.7%となり、「人材紹介事業」の売上高は2億76百万円(前期比126.0%)となりました。

「公的分野商品」に関しましては、過去に受託実行した様々な雇用対策事業における実績が評価され、新たな事業の受託が好調に推移し、「公的分野商品」の売上高は7億12百万円(前期比146.5%)となりました。

その結果、当事業年度における就職情報事業全体の売上高は59億64百万円(前期比109.3%)となりました。

なお、足元の営業環境は前期比で好転しており、2022年10月期の業績は更なる回復を見込んでおります。また、採用市場におけるニーズは更に多様化、細分化すると予測されており、当社は今後も企業側、求職者側双方に支持される新商品を企画開発し、拡販することによって業績向上を図ってまいります。

(2)キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて6億4百万円増加し、31億94百万円となりました(前期比123.4%)。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果、増加した資金は16億87百万円(前期比238.9%)となりました。

これは主に、税引前当期純利益が生じたことによる資金の増加20億14百万円、法人税等の支払による資金の減少3億47百万円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果、減少した資金は3億98百万円(前期比1,436.6%)となりました。

これは主に、投資有価証券の取得による支出12億84百万円及び売却による収入7億7百万円及び償還による収入2億85百万円、無形固定資産の取得による支出1億1百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果、減少した資金は6億84百万円(前期比91.0%)となりました。

これは主に、配当金の支払による支出4億41百万円、自己株式の取得による支出2億40百万円によるものです。

販売実績

当事業年度における販売実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。

事業の種類

当事業年度

 

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前期比(%)

就職情報事業(千円)

5,964,435

109.3

 

新卒採用集合品(千円)

2,953,947

99.5

 

 (就職博)(千円)

(1,535,012)

(86.8)

 

 (朝日学情ナビ)(千円)

(1,418,935)

(118.3)

 

新卒採用個別品(千円)

1,293,452

125.3

 

中途採用商品(千円)

1,717,035

117.7

 

 (Re就活)(千円)

(1,440,837)

(116.2)

その他(千円)

257,638

98.8

合計(千円)

6,222,074

108.8

(注)1.( )内の数値は内数を記載しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析、検討内容は次のとおりであります。なお、記載内容における将来に関する事項については、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

①財政状態の分析

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比べ11億83百万円増加し、75億92百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加5億73百万円、売掛金の増加3億30百万円、有価証券の増加3億14百万円があったことによるものです。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比べ2億83百万円増加し、58億42百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加3億60百万円、繰延税金資産の減少88百万円があったことによるものです。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比べ5億18百万円増加し、12億84百万円となりました。これは主に、未払法人税等の増加3億17百万円、未払消費税等の増加84百万円、未払金の増加51百万円があったことによるものです。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比べ著しい増減がなく、2億36百万円となりました。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比べ9億51百万円増加し、119億13百万円となりました。これは主に、当期純利益13億83百万円、配当金の支払い4億41百万円、自己株式の取得による自己株式の増加2億39百万円、その他有価証券評価差額金の増加2億44百万円があったことによるものです。

②経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は、前事業年度と比べ5億2百万円増加し、62億22百万円となりました(前期比108.8%)。これは主に、就職情報事業の売上高の増加があったことによるものです。新型コロナウイルス感染症の流行拡大による再三の緊急事態宣言の影響によって、個人消費を中心に厳しい状況が続いておりましたが、企業の採用意欲の回復に加えて、コロナ禍における採用活動のあり方が浸透した事で、「あさがくナビ」の売上高は14億18百万円(前期比118.3%)、Re就活の売上高は14億40百万円(前期比116.2%)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べ77百万円増加し、20億27百万円となりました(前期比104.0%)。これは主に、就職情報事業に係る売上原価の増加があったことによるものです。

販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ2億6百万円減少し、23億75百万円となりました(前期比92.0%)。これは主に、TVCM等の「Re就活」プロモーションを縮小したこと等による販売促進費の減少があったことによるものです。

(営業利益、経常利益、当期純利益)

以上の結果、当事業年度における営業利益は18億19百万円(前期比153.1%)となり、また、当事業年度における経常利益は20億14百万円(前期比146.9%)となりました。これは主に、営業外収益において、有価証券利息89百万円、投資有価証券売却益55百万円、本社ビルの受取家賃44百万円があったことによるものです。

また、当期純利益は13億83百万円(前期比149.2%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2.事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

なお、現時点において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。

[キャッシュ・フローの参考資料]

 

 2019年10月期

 2020年10月期

 2021年10月期

自己資本比率(%)

88.6

91.3

88.4

時価ベースの自己資本比率(%)

186.0

115.9

125.1

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注)株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。

②資本の財源及び資金の流動性

当社の資金需要のうち主なものは、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金であります。これらの所要資金については、自己資金により充当しております。ただし、金融機関との良好な関係を維持することを目的とした場合には、金融機関からの調達を行うこととしております。

なお、当事業年度における借入金の残高はなく、現金及び預金の残高は5,194,251千円であり、当面の資金繰りについては問題ないと判断しております。

(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や現在の取引状況ならびに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。また、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得