文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、1984年の設立以来、「質の高い”おもてなし”の創造」を理念とし、ホテルの食器洗浄・衛生管理等のスチュワード事業を中心に展開してまいりました。その後、給食事業、音楽・映像・音響・放送機器関連事業を傘下に加え、現在では6つの事業会社からなるグループを形成し、お客様に「最適なサービス」を提供するための環境を実現することを経営方針の柱として掲げております。
(2)経営環境、優先的に対処すべき課題
当社グループは、2024年に迎える40周年に向けて、当連結会計年度より3か年の中期経営計画「Value Innovation 2024」を推進、「基軸事業の強化による収益力の向上」「グループシナジーによる新たな価値の創出」を軸とし、コロナ禍により激変した事業環境に対応すべく経営基盤の再構築に取り組んでおります。計画初年度となる当期は、コロナ禍が繁閑を伴いながら緩やかに解消するトレンドで推移する一方、半導体不足や食材・エネルギー・物流コストの上昇および極端な円安水準などが新たに経営環境に大きな影響を及ぼしました。
このような状況においてグループ業績は、計画に対して営業利益が若干及ばなかったものの、売上高・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は大きく上回る結果を出すことができました。これを受けて、現在の事業トレンドや獲得した経験・知見を踏まえて現中期経営計画を事業単位で見直しを行い、計画の2年目、3年目を上方修正いたしました。2024年9月期には売上高150億円、親会社株主に帰属する当期純利益2.5億円、ROE8%以上を目指します。従前までの環境リスクはなお完全に払拭されておりませんが、着実かつ安定的な収益の確保に努める一方、各事業ともに新たな取り組みを積極的に展開することで企業価値の向上に全力で取り組んでまいります。
各事業における重点施策は以下のとおりです。
<スチュワード事業>
当事業は2022年9月期においては計画値を大きく上回るペースでコロナ禍前の水準へ回復基調で推移しており、主要顧客であるホテルをはじめとするレジャー・観光業においては、ここ数年のコロナ禍による人材離れにより、内製化されていた業務のアウトソーシングへの切替えが、今後ますます加速するものと思われます。
このような状況を踏まえ、人財の確保・育成を最重要課題と捉え人材開発部を設置、大学や日本語学校との連携を強化し新卒採用の拡大を図るとともに、教育・研修制度、従業員の福利厚生を充実させ従業員のエンゲージメント向上を図ってまいります。また、現場システムのDX化や洗浄、清掃ロボットによる業務効率化の検討も加速させ進めてまいります。営業面においては、マーケットの拡大、パートナー会社開拓に向け「マーケット開発部」を新設し、新たなマーケットの開発、パートナー会社とのリレーションの構築、さらに、当社の「スチュワーディング」ノウハウをホテル以外のレストラン等のより広い範囲に提供することを目的として、コンサルティング事業の確立を目指します。
業界のリーディングカンパニーであり続けるため、スチュワード管理業務の品質をさらに向上させ、ホテル・レストランに留まらず、サービスの提供先の拡充と更なるサービスメニューの増幅を図ってまいります。
<フードサービス事業>
当事業においては、コロナ禍の稼働率低下により一時内製化されていたホテルの従業員食堂運営やホテルの朝食レストラン運営などの再受注や、一時閉館していたホテルの再稼働による業務の再受注など、多くのお引き合いをいただいており、10月以降5件の業務開始が決定しております。
アフターコロナに向けては宿泊特化型ホテルのみならず、リゾートホテル等における朝食レストランの外部委託傾向は強まっており、今後の新規開業や既存ホテルからの新たな運営受託が期待できます。
このような状況下、当事業においても12月以降の新規開業に備え、人材の採用活動を強化し、人財確保・育成を最優先に取り組んでおります。営業面では、ホテルの朝食レストランを中止とするレストラン部門においては、当社ならではの「食」と「衛生」の総合提案力を活かし、アフターコロナにおけるエンドユーザーのニーズに応えるべく、衛生への対応強化、新たな食のスタイルの提供等、顧客ホテルの稼働率向上のための提案を積極的に行ってまいります。従業員食堂を中心とする給食部門においては、イベントやフェアメニューを積極的に取り入れる等、「食」の充実を図ることで、顧客の従業員満足度向上に貢献します。介護・高齢者施設を中心とするメディカル給食部門においては、多くのホテルと関係をもつ当社の強みを活かし、ホテルメイドの「食」を提供するなど、利用者の満足度、ご要望を叶えるべく、顧客それぞれの環境に合わせた「食」の提案を継続してまいります。全社においてこのような取り組みを継続し、引続き顧客の「安心・安全」を第一に事業の継続に努めてまいります。
<空間プロデュース事業>
当事業においては、長引くコロナ禍の影響による顧客の設備投資の見送りや縮小、加えて不安定な国際情勢による原材料不足や物流コストの高騰、円安の進行による利幅減少など、先行きは不透明で当面厳しい事業環境が継続することが予想されます。
このような状況を踏まえ、法人営業部門、金融営業部門においては 既存顧客のセキュリティーカメラシステムに新たにAIを中心としたクラウドシステムを組み合わせることによる新たなソリューションの提案を企画、推進してまいります。空間プロデュース営業部門では、映像配信admitTVによる動画コンテンツ配信をはじめ、新たなソリューションを企画、提案することにより新たな収益確保に努めます。施工管理部門・サービスセンターにおいては、外部受託業務を取り込むことにより収益拡大を目指します。また、音楽機器販売部門においては、各種展示会へ積極的に参加、顧客に向けた新商材のデモンストレーションやセミナーの開催により商材の拡充、販路の拡大に努め、売上拡大を目指してまいります。
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