業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う企業活動や個人消費の制限により、厳しい状況が続きました。加えて、新型コロナウイルス感染症の変異株による感染再拡大により、先行きは極めて不透明な状況が続いております。また、本年2月にはロシアによるウクライナ侵攻という地政学的リスクも顕在化し、さらなる資源価格の高騰など、当社を取り巻く環境の不確実性が高まりつつあります。その一方で、ウイズコロナ/ニューノーマルの新しい生活、メタバースやWeb3など新しい経済の仕組みなどが具体的な進展を見せ、またフェイクニュースや偏った報道などに惑わされないSNSなどの主体的な情報発信の意義が高まり、こうしたことを支えるデジタル・コミュニケーション基盤の重要性が更に高まっています。

 このような状況のなか、当社グループのボイスコンピューティングを中心とする主力製品の販売活動に傾注し、認知度を高める活動を推進してきたことにより、問い合わせ件数が増加し、引き合いにおいても増加傾向にあります。提案から顧客との成約に至るまでの過程において時間を要しているものの、顧客ニーズに対応するためにソフトウェアの改良に取り組んでいくことで販路の拡大を図ってまいります。

 当社グループは、2021年5月14日に発表をいたしました中期経営計画に基づき、業容の拡大を目指し簡易株式交付により株式会社サイト・パブリスを2021年11月29日付にて子会社化いたしました。

 今後、当社グループにおきましては、ボイスコンピューティングに加え、コンテンツ・マネジメント・システムを提供することで、より一層のデジタル・コミュニケーション基盤の強化を図ることができるとともに、さらに事業展開を積極的に進めてまいります。

 サイト・パブリスの事業及び製品の特長につきましては、次のとおりでございます。

 Web制作に必要な専門的な知識が無くても、Webサイトやコンテンツを構築管理・更新できるシステムであるCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)とページ制作・構築・保守などの関連サービスを提供

 ・2003年発売の純国産の商用版CMS

 ・あらゆる業種・業態・会社規模に対応できるラインナップ

 ・自社で開発・保守・サポート

 

 当連結会計年度の事業活動により次の成果が得られております。

<commubo>

・会話AIロボットの運用状況を分析し業務改善を実現するcommubo「会話統計機能」を大幅強化

・コンタクトセンターを運営するウェルネストコミュニケーションズが AI オペレータ「commubo(コミュボ)」による 通販事業者向けサービスを提供開始

・WEB マーケティング事業を手掛けるエス・ケイ通信が ボイスボット「commubo(コミュボ)」による顧客向けサポートを開始

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<telmee>

・クラウド自動電話サービス「telmee(テルミー)」が地方自治体の新型コロナワクチン接種に関する電話予約業務で複数導入

・テレマーケティングのベルテックが新型コロナワクチン接種に関する 電話予約業務でクラウド自動電話サービス「telmee」を導入

・東京都渋谷区が住民向けの災害情報通知でクラウド自動電話サービス「telmee(テルミー)」を導入

・社会福祉を専門に手掛けるそーしゃる・おふぃすがクラウド自動電話サービス「telmee(テルミー)」を導入

・国際資格の専門校アビタスがソフトフロントジャパンのクラウドPBXサービス「telmee(テルミー)PBXプラス」を導入

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 これらの結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高377,803千円(前連結会計年度比21.8%増)、営業損失17,621千円(前連結会計年度は29,824千円の営業利益)、経常損失34,248千円(前連結会計年度は37,207千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失29,059千円(前連結会計年度は54,296千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 当社グループは、事業基盤の拡大を図り今後の経営を安定させるため、簡易株式交付によるM&Aを実施したことにより売上高は前年同期と比べ増加しました。経費削減を徹底的に実施したものの株式交付に要した費用が嵩んだこと、貸倒引当金繰入額を営業外費用に計上したこと、あたらしい働き方を意識した本店移転を実施したことにより販売管理費は削減したものの当連結会計年度においては移転関連費用を特別損失に計上したこと等から、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失となりました。

 当社グループは、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 なお、当連結会計年度において、簡易株式交付により株式会社サイト・パブリスの株式を新たに取得し、子会社としたため、連結の範囲に含めております。これに伴い、当連結会計年度より、報告セグメントの名称を従来の「ソフトフロントジャパン関連事業」から「コミュニケーション・プラットフォーム関連事業」に変更しております。報告セグメントの名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得9,163千円、投資活動による資金の獲得39,820千円、財務活動による資金の獲得26,361千円により、292,517千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は9,163千円(前連結会計年度は47,236千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失27,743千円、仕入債務の減少額22,252千円、投資有価証券売却益10,000千円などの資金減少要因があった一方で、売上債権及び契約資産の減少額47,777千円、減価償却費21,841千円、貸倒引当金の増加額16,838千円、のれん償却額13,011千円などの資金増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は39,820千円(前連結会計年度は24,350千円の消費)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出49,023千円、敷金及び保証金の差入による支出9,230千円があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入79,633千円、敷金及び保証金の回収による収入10,248千円、投資有価証券の売却による収入10,000千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は26,361千円(前連結会計年度は12,597千円の獲得)となりました。これは、長期借入金の返済による支出3,639千円があった一方で、長期借入れによる収入30,000千円があったことによるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コミュニケーション・プラットフォーム関連事業

158,214

157.9

(注)金額は、製造原価によって算出しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

コミュニケーション・プラットフォーム関連事業

133,505

117.5

29,323

93.0

(注)ソフトウエアの受託開発に係る受注実績を記載しており、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業全ての受注実績を記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コミュニケーション・プラットフォーム関連事業

377,803

121.8

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度の株式会社ライフティに対する販売実績は、総販売実績の100分の10未満であるため、当連結会計年度のパイオニア株式会社に対する販売実績は、総販売実績の100分の10未満であるため、それぞれ記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社オプテージ

68,188

22.0

52,366

13.9

パイオニア株式会社

44,047

14.2

株式会社ライフティ

39,114

10.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月30日)現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、創業以来の当社固有のコミュニケーション関連の技術・事業の伸展・深耕による事業拡大へと原点回帰し、ボイスコンピューティングを中心としたコミュニケーション領域での事業拡大に向け、事業基盤の確立を進めてまいりました。当連結会計年度においては、連結子会社である株式会社ソフトフロントジャパンが主力商品として、ボイスコンピューティング分野にて展開する自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」におきまして、コールセンター業務を営む大手企業を中心に引き合いも多く寄せられております。今後においても、電話による営業アポイントメントの獲得、企業の代表電話の受付、通販・テレビショッピングの注文受付など様々な利用シーンへの展開が期待されております。

 また、当連結会計年度におきましては、コンテンツ・マネジメント・システムとWebページ制作・構築・保守などの関連サービスを提供する株式会社サイト・パブリスを簡易株式交付により子会社化いたしました。

 当社グループは、ボイスコンピューティングに加え、コンテンツマネージメントシステムを提供していくことで、より一層のデジタル・コミュニケーション基盤の強化を図り事業展開を進めてまいります。

 以上の結果、経営成績及び財政状態は次のおとりとなりました。

a.経営成績

(売上高)

 売上高につきましては、377,803千円となりました。

 

(売上原価)

 売上原価につきましては、171,954千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費につきましては、223,469千円となりました。

 

(営業損益)

 営業損益につきましては、売上総利益が205,848千円となり、販売費及び一般管理費を223,469千円計上したため、17,621千円の営業損失を計上いたしました。

 

(営業外損益)

 営業外損益につきましては、営業外収益1,303千円を計上し、営業外費用17,930千円を計上いたしました。

 

(経常損益)

 経常損益につきましては、営業外収益1,303千円及び営業外費用17,930千円を計上したため、34,248千円の経常損失を計上いたしました。

 

(特別損益)

 特別損益につきましては、投資有価証券売却益10,000千円を計上したことにより、特別利益10,000千円を計上し、移転関連費用3,495千円を計上したことにより、特別損失を3,495千円計上いたしました。

 

(税金等調整前当期純損益)

 税金等調整前当期純損益につきましては、特別利益10,000千円及び特別損失3,495千円を計上したため、27,743千円の税金等調整前当期純損失を計上いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、法人税、住民税及び事業税952千円、法人税等調整額△487千円、非支配株主に帰属する当期純利益850千円を計上したことにより、29,059千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上いたしました。

 

b.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は427,619千円となり、前連結会計年度末に比べ116,478千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が75,345千円、売掛金及び契約資産が38,925千円増加したことによるものであります。固定資産は392,077千円となり、前連結会計年度末に比べ285,071千円増加いたしました。これは主に、のれんが209,663千円、ソフトウエアが57,333千円、ソフトウエア仮勘定が12,405千円、繰延税金資産が18,915千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は87,487千円となり、前連結会計年度末に比べ30,766千円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が12,108千円、前受金(前連結会計年度は「その他」に含めて表示)が19,936千円増加したことによるものであります。固定負債は176,624千円となり、前連結会計年度末に比べ20,383千円増加いたしました。これは、長期借入金が20,383千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は555,584千円となり、前連結会計年度末に比べ350,400千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が29,059千円減少した一方で、株式交付により資本剰余金が308,039千円増加したこと、非支配株主持分が71,420千円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は58.9%(前連結会計年度末は48.8%)となりました。

 

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、既存事業の再構築と事業基盤の強化が重要となります。

 当社は、既存事業のうち、当社のコア事業であるボイスコンピューティング事業とコミュニケーション・プラットフォーム事業に経営資源を投下し、事業を拡大してまいります。

 具体的には、様々なシステム環境に電話の機能を安価にかつスピーディに組み込んでサービス提供することを可能とするクラウドサービス「telmee(テルミー)」の需要が自治体や各種事業者で顕在化しており、サービスの拡販に力を入れてまいります。また、今後の急成長分野として期待するボイスコンピューティング分野において展開する自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」の提供により、コールセンター業務への対応、電話による営業アポイントメントの獲得、企業の代表電話の受付、通販・テレビショッピングの注文受付など様々な利用シーンへの展開が期待され、同様にサービスの拡販に力を入れてまいります。

 専門知識がなくてもWebサイトやコンテンツを構築管理・更新できるソフトウェアとページ制作・構築・保守などの関連サービスを提供する株式会社サイト・パブリスにおいて、さらにこれからの時代に即したソフトウエア開発を行い、企業と、お客様、従業員、パートナーなどあらゆるステークホルダーをつなぐコミュニケーション基盤としてさらなる拡販を図るとともに、ボイスコンピューティング事業とのシナジーを創出することに力を入れてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得9,163千円、投資活動による資金の獲得39,820千円、財務活動による資金の獲得26,361千円により、292,517千円となりました。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、新製品・サービスの提供に向けて開発を行っており、また、その開発を迅速に進めるためにM&A等を含めた投資を行うことも視野に入れており、資金需要の発生が見込まれます。これらの資金需要により、新株の発行などの資金調達を実行する可能性があります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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