業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及により経済正常化の流れが進みつつあるものの、新たに発生したオミクロン株等の蔓延懸念に加え、ウクライナ情勢の長期的な影響が懸念される等、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社が属するインターネット広告市場におきましては、2021年の広告費は2兆7,052億円(前年比21.4%増)となり、一貫して成長を続けている結果、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)を初めて上回りました(株式会社電通「2021年 日本の広告費」)。また、当社が注力してまいりましたインターネットを活用した求人広告市場につきましては、2021年度平均の有効求人倍率は1.16倍、2022年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.22倍となり、前年同期比でそれぞれ0.06、0.12ポイント増加し(厚生労働省「一般職業紹介状況(2022年3月分及び2021年度分)について」)、2022年3月の職種分類別求人広告掲載件数は、全体で131万件(公益社団法人全国求人情報協会「求人広告掲載件数等集計結果(2022年3月分)」で徐々に回復傾向となっており、前年同期比で48.1%増加となりました。

このような事業環境の下、『データマネジメント事業』は、代理店戦略の強化やアライアンスの推進を行い、データの拡充と有効活用を図ってまいりました。また、『HRテクノロジー事業』は、『HR Ads Platform』に社内
リソースを集中させて、新規求人メディア連携やATS連携の強化を図ってまいりました。

その結果、『らくらく連絡網』の2022年3月末時点の会員数は693万人(前年同期比0.2%減)、アプリ会員数は263万人(前年同期比10.8%増)、有効団体数は38万団体(前年同期比0.3%減)、『らくらくアルバイト』の2022年3月末時点の会員数は187万人(前年同期比4.8%増)、『ジョブオレ』の2022年3月末時点の求人原稿数は328千件(前年同期比351.6%増)となっております。

以上の結果、当事業年度の売上高は2,086,427千円(前年同期比45.0%増)、営業損失は40,321千円(前年同期は295,204千円の営業損失)、経常損失は43,565千円(前年同期は274,063千円の経常損失)となりました。

また、2022年5月13日に発表しました「2022年3月期通期業績予想と実績値の差異及び特別損失の計上に関するお知らせ」のとおり、減損損失101,394千円を計上いたしましたので当期純損失は147,250千円(前年同期は630,978千円の当期純損失)となりました。

なお、当社は、インターネットメディア関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は前事業年度末に比べ28,814千円減少し、392,198千円(前年同期比6.8%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は1,441千円(前年同期は249,866千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純損失144,960千円及び売上債権の増加額81,765千円があったものの、減損損失101,394千円、未払消費税等の増加額31,181千円、仕入債務の増加額31,138千円、未払金の増加額24,975千円、減価償却額22,126千円、株式報酬費用5,997千円があったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は72,465千円(前年同期比83.1%増)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による増加71,076千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は42,210千円(前年同期は429.4%増)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入42,210千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社の主たる事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b. 受注実績

受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。

なお、当社は単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。

 

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

データマネジメント事業

659,347

△5.9

HRテクノロジー事業

1,386,019

130.3

その他

41,060

△69.9

合計

2,086,427

45.0

 

(注) 当事業年度より、『データマネジメント事業』、『HRテクノロジー事業』及び『その他』としておりますが、前年同期比に関しては、組替えた後の数値にて比較して算出しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(売上高)

売上高は、前事業年度より647,392千円(45.0%)増加し、2,086,427千円となりました。これは主に、『データマネジメント事業』に関しては、各企業の販促需要が回復してこなかったものの、『HRテクノロジー事業』において、前期より運用型広告の当社運用力を背景に他社からの乗り換えやコロナ禍の影響を受けにくい顧客群の強化を行ってきたことにより、売上高を牽引し、コロナ禍以前の売上高水準まで回復の兆しを見せ始めたものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前事業年度より406,355千円(39.1%)増加し、1,446,587千円となり、売上原価率は3.0ポイント減少して69.3%となりました。これは主に、減価償却費96,488千円減少及び労務費26,461千円減少したものの、売上高増加に伴って仕入高が476,131千円増加したこと等によるものであります。

以上の結果、売上総利益は、前事業年度より241,037千円(60.4%)増加し、639,839千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ13,845千円(2.0%)減少し、680,161千円となり、売上に対する販売費及び一般管理費の比率は、15.6ポイント減少して、32.6%となりました。これは主に、外注費22,070千円増加及び採用関連費17,799千円増加したものの、人件費23,278千円減少、支払手数料10,229千円減少、販売手数料6,911千円減少、消耗品費5,662千円減少及び減価償却費2,840千円減少したこと等によるものであります。

以上の結果、営業損失は前事業年度より254,883千円減少し、40,321千円の営業損失(前事業年度は295,204千円の営業損失)となりました。

 

(営業外損益)

営業外損益は、前事業年度の21,141千円の収入(純額)から3,244千円の費用(純額)となりました。これは主として、前事業年度は助成金収入21,110千円が発生したものの、当事業年度は株式交付費3,277千円が発生したこと等によるものであります。

以上の結果、経常損失は前事業年度より230,497千円減少し、43,565千円の経常損失(前事業年度は274,063千円の経常損失)となりました。

 

(特別損益)

特別利益は、前事業年度及び当事業年度ともに計上がありませんでした。特別損失は、前事業年度の297,471千円から101,394千円となりました。これは、当事業年度において、減損損失101,394千円が発生したことによるものであります。

 

(法人税等合計)

法人税等合計は、前事業年度に比べ57,153千円(96.1%)減少して、2,290千円となりました。これは主として、前事業年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて、2022年3月期以降の課税所得を保守的に検討した結果、繰延税金資産を全額取崩ししたため、法人税調整額57,153千円を計上したことによるものであります。

以上の結果、当期純損失は、前事業年度より483,727千円減少し、147,250千円の当期純損失(前事業年度は630,978千円の当期純損失)となりました。

 

b. 財政状態

(資産)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて14,783千円(1.9%)減少し、751,696千円となりました。これは主として、売掛金が82,826千円増加したものの、ソフトウエアが51,545千円減少、現金及び預金が28,814千円減少及びソフトウエア仮勘定が8,861千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて85,258千円(37.4%)増加し、313,213千円となりました。これは主として、未払消費税等が31,181千円増加、買掛金が31,138千円増加、未払金が15,327千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて100,042千円(18.6%)減少し、438,483千円となりました。これ主として、資本金が24,899千円増加、資本準備金が23,603千円増加したものの、当期純損失の計上に伴い利益剰余金が147,250千円減少したことによるものであります。

 

c. キャッシュ・フロー

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d. 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、媒体仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、サーバー等の設備投資、サービス開発に係る労務費、外注費等によるものであります。必要資金については原則として手許資金で賄っておりますが、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、その当座貸越極度額は200,000千円であります。
当社は、財務基盤を強化するとともに、成長のための投資資金の確保を実現するため、財務の健全性や資本効率等当社にとって最適な資本構成を追求しながら、新たなサービスの開発等、会社の将来の成長のための内部留保の充実を図る必要があると考えております。

 

e. 経営戦略の現状と見通し

当社は、「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中を応援し、社会に貢献してゆく」という経営理念のもと、『らくらく連絡網』を基盤に『らくらく連絡網』で培ってきたノウハウやおよそ693万人の会員情報等を活かし、『pinpoint』、『らくらくアルバイト』を展開し、今後も各サービスの更なる事業拡大を目指してまいります。

2023年3月期は、未だに新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期が不透明な状況ですが、少子高齢化を背景とした市場全体において人手不足という課題は依然として残っており、一時的な採用意欲の減退等は発生するものの、特定業種における採用意欲は堅調に推移すると考えております。『コミュニケーションデータ事業』に関しては、代理店戦略の強化やアライアンスの推進を行い、『らくらく連絡網』の新アプリの開発を行うことにより、行動履歴データも含めたデータの拡充を行い、そのデータを活かしたより効果的な広告配信を行うことで競争力の強化を図ってまいります。また、中長期的には、新たな収益モデルの確立のために投資を行い、更なる新規事業の創出を目指しております。『HRデータ事業』に関しては、『HR Ads Platform』の新規求人メディア連携やATS連携の強化を図るとともに、能動学習の導入や運用自動化による利益率向上を想定した開発を予定しており、引き続き注力してまいります。『求人検索エンジン』については既存顧客の継続率を高めつつアップセルを強化していくとともに、新規顧客の獲得を積極的に行い、効果の高いサービス提供に取り組んでまいります。

 

f. 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制、内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を行ってまいります。

 

g. 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、今後のさらなる成長のために、スピーディーな事業展開による収益基盤の強化と多角化、システムセキュリティの維持と情報管理体制の強化、及びこれらを担う優秀な人材確保が大きな課題であると考え、これらの達成を中期的な目標としております。詳細につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

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