事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について、現時点で想定される主なものを記載いたしました。
 なお、文中記載の事項のうち将来に関するものについては、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)当社グループを取り巻く事業環境について

 当社グループが属する情報サービス産業では、営業・販売活動のデジタル化への取り組みや、それらを支援する新たなネットワークサービスの開発などに加え、AI・IoT技術を活用したシステムインテグレーションおよび管理運営受託が堅調に推移しております。しかしながら、デジタル人材の供給面に目を向けると、慢性的なシステム/ネットワークエンジニアの不足が拡大しております。

 当社では継続した積極的技術投資を行い対応に努めておりますが、他業種からの新規参入や海外企業の台頭による想定以上の価格競争の発生、DX等による顧客のビジネスモデルの変革や広範な領域における急速な技術革新が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(2)特定の取引先への依存度について

 当社グループの当連結会計年度末における野村総合研究所グループ及び富士通グループへの販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ51.5%及び19.3%となっております。このため、上記顧客の受注動向等は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 これに対して、当社グループは常にエンドユーザーに密着したサービスを提供することを志向し、上記顧客との関係を維持しながら、新規領域の獲得を目指し、サービスの最終的な利用者であるエンドユーザーとの緊密な関係の構築に注力することで、当社グループの経営成績に及ぼす悪影響の軽減を図っております。

 

(3)プロジェクトの品質・損益管理について

 当社グループでは、システム開発技術の向上・蓄積及び将来の受注拡大を目的として、収益性の低いプロジェクト又は赤字になると見込まれるプロジェクトであっても積極的に受託する可能性があります。また、当社グループの提供するサービスは原則として請負契約となるため、受注時に採算が取れると見込まれるプロジェクトであっても、想定外の仕様変更や当初の見積りを超える追加作業の発生等により収益性が低下し、不採算となる可能性があります。

 今後、DX事業の推進により顧客から要求されるシステムの高難度化が進み、品質の確保が困難な局面は増加傾向にあると考えられます。また、顧客との認識相違や当社の技術力・マネジメント不足による品質不良が発生した場合、2020年4月に施行された民法改正での契約不適合期間の延長による長期の修補責任や、売上の減額請求を行われる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 その対策として、システム開発会議において工程ごとのレビューを徹底することでプロジェクトに内包するリスクの早期共有や見える化を図るとともに、各プロジェクトに対するモニタリング機能の強化による品質向上、さらにDX事業を筆頭とし契約形態を準委任契約へ変更することでリスクコントロールしてまいります。

 

(4)情報管理・情報漏洩に関するリスク

 当社グループが顧客に提供するシステムソリューション・サービスにおいては、当社グループの従業員及び当社グループが委託するビジネスパートナーの従業員が、顧客企業の保有する機密情報へアクセス可能な環境にある場合があります。当社グループでは顧客及び従業員情報の保全や機密情報の適切な管理及び情報セキュリティ・マネジメントシステムの強化・改善を重要課題と位置づけ、昨今のビジネス環境の変化によるセキュリティリスクへの対応も含め、様々な取組みを行っております。また、当社の社内環境や開発環境がサイバー攻撃にさらされるというリスクについても適正な対策を行っております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず個人情報や企業情報が万一漏洩した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)事業継続について

 当社グループは、昨今の新型コロナウイルス感染拡大のようなパンデミックや、その他災害対策、地政学的リスク、災害等の発生の影響により顧客へのサービス提供の中断が不可避となった場合等を加味した事業継続プログラム(BCP)の再構築を行い、その実効性の点検や課題の解決を図っております。しかしながら、災害規模が想定よりも甚大な場合には顧客と合意した水準でのサービス提供が困難となり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 なお、新型コロナウィルス感染症による当社グループへの影響につきましては、顧客企業による新規開発案件の凍結や商談機会の減少など営業活動への影響が続いた一方で、社会活動を維持するためのICTの積極活用により、企業規模に関わらずDXを中心とした需要が継続的に伸びております。IT投資の二極化が進む環境下で、デジタル技術を駆使することで品質を維持しながら分散型、非接触型でのサービス提供に努めることで事業活動を推進してまいります。

 

(6)海外子会社を含めた海外での事業活動について

 当社グループは、海外での事業拡大を進めております。しかし多くの海外市場において、日本とは異なる法制度、商慣習及び労使関係や経済の動向並びに為替相場の変動、その他政治的及び社会的要因といった様々な要因の発生が見込まれ、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 これらに対して、一極集中を避けるために、国内ニアショアの活用など国内外の拠点の再配置の検討をすすめてまいります。

 

(7)投資有価証券の価値の棄損について

 当社グループは、取引先との関係強化や情報収集を目的に保有する上場株式の他に、業務提携等で取得した未上場株式や資金運用を目的とする債券を保有しております。また、新技術を保有するベンチャー企業の発掘を目的に投資事業組合への出資を行っております。これらの投資有価証券は、発行体の業績悪化や経営破綻等が発生した場合には、会計上減損処理を行うことや、投資額を回収できないことがあり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 これらのリスクに対して、市場並びに運用先のモニタリングを充実させ、適切な対処を行ってまいります。

 

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