当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、国際的な原材料価格の高騰や急速な円安の進行に伴う物価の上昇等、景気の先行きが不透明な状況が続いております。当社グループが属する業界において、不動産業界は、オフィスの集約や縮小の動きによる解約の影響が見られ、空室率が上昇しました。また、レジャー・観光業界は、新型コロナウイルス感染症による影響が続いている一方で、ワーケーションやグランピング等の消費者ニーズの変化が生じております。
このような事業環境の中、当社グループは「ハッピートライアングル:関わる人全てがハッピーなビジネスを」という企業理念のもと、駐車場事業(国内・海外)、スキー場事業、テーマパーク事業の3つの主力事業において、環境変化や顧客需要変化を捉えた商品・サービスの提供等により、事業の改善に取り組みました。
当連結会計年度においては、事業の集中と選択を実施し、成長領域に経営資源を集中した結果、駐車場、テーマパークの両事業が過去最高の売上・営業利益を達成し、スキー場についても2022年1月の緊急事態宣言が発令され外出自粛があった中でも、前年から大きく回復いたしました。
これらの結果、売上高は、 26,271百万円 ( 前期比10.4%増 )となりました。営業利益は、駐車場事業の継続的な成長、テーマパーク事業における緊急事態宣言解除後のグループ化以来の最高来場者数更新、スキー場事業のコスト削減により、 4,582百万円 ( 前期比40.4%増 )、 経常利益は4,639百万円 ( 前期比34.1%増 )となり、過去最高となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、 3,125百万円 ( 前期比33.8%増 )となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
各セグメントの業績数値にはセグメント間の内部取引高を含んでいます。
国内駐車場事業においては、コロナ禍で直接対面による月極駐車場の問い合わせ等が減少した一方で、検索サイトの情報を充足させるなどサイトの利便性を高めたことで、オンラインによる問い合わせがコロナ禍前の2019年7月期対比で264%増加しました。月極契約の成約件数の増加だけでなく、その膨大な問い合わせデータ(ニーズ)を活用して市場を分析し、新規月極駐車場の開拓に取り組んだ結果、新規物件獲得の高い成約率と早期収益化を実現しました。掲載物件の充実や、各種手続きのオンライン化を図る中で、オンラインでの駐車場問い合わせからの集客を今後も大きく増加させ、駐車場事業をけん引します。
また、新規物件の獲得に関し、コロナ禍の影響により時間貸し駐車場の運営条件を見直す競合他社の動きを好機と捉え、オーナーの定期訪問と競合他社の条件見直しに発する提案に注力し、運営獲得後は当社の売上改善力、有人のオペレーション力を発揮し、収益化を早期に実現いたしました。さらに、従来から取り組んでいるオフィス・商業ビルの附置機械式駐車場の不稼働車室の収益化提案に加え、駐車場利用者の利便性向上、ビル・施設オーナー様への付加価値提供、駐車場オペレーションの効率化を目的に、チケットレス精算機、IoTセンサー導入による在車検知、オートスタンドの導入といった駐車場のDXを新規提案に導入したことにより、東京都内の大手本社ビルの地下駐車場の運営、大型商業施設の駐車場運営の受託に至りました。
これらの結果、当連結会計年度における国内駐車場事業の新規契約物件数は103物件、解約物件数は71物件、前連結会計年度末から32物件の純増となり、国内の運営物件数は 1,284 物件、運営総台数は 44,519 台となりました。
海外駐車場事業においては、進出していた5か国の拠点のうち、地政学リスクを考慮し、中国現地法人を売却、台湾法人を会社清算、インドネシア法人を休眠状態とし、タイと韓国に経営資源を集中しました。その結果、タイと韓国においては増収増益となりました。タイでは、稼働が悪化したオフィス・ホテルへの駐車場サブリース提案や、駐車場検索サイトの改善が順調に進んだことにより新規物件の獲得・新規ユーザーの獲得の両面を強化いたしました。さらにカーディーラー、銀行等のまとまった駐車場需要に対しても積極的に提案を行い、受注を進めました。韓国においては、不採算物件の見直しや、既存物件の改善を進めました。
これらの結果、海外の運営物件数は前連結会計年度末から4物件減少し70物件、運営総台数は16,528台となりました。
以上の結果、駐車場事業の売上高は14,597百万円(前期比2.4%増)、営業利益は3,546百万円(前期比10.2%増)となりました。
当ウィンターシーズン(2021年12月から2022年5月上旬)は、グループ各スキー場ともに十分な自然降雪に恵まれました。また、新型コロナウイルスの影響は1月中旬よりオミクロン株が蔓延したことにより、同期間は学校団体やバスツアー等の来場者数が減少しましたが、2月後半からは観光需要が徐々に回復し、3月の国内来場者数はコロナ前の2019年3月を超える水準までになるなど、回復傾向は鮮明となりました。
これらに加え、国内のスキー人口創出を目的とした中期的な取り組みとして、家族でスキー場へ遊びに行きやすい環境づくりを行うため、小学生及び未就学児のお子様を対象としたシーズン券が無料となる「NSDキッズプログラム」の募集を行いました。当プログラムは約1万名の会員を獲得するとともに、今シーズンの当プログラムを開催したグループ6か所のスキー場の子供の来場者数は82千人(前期比65.0%増)となり、また、同伴される親御様等の来場が全体の来場者数を押し上げました。
グリーンシーズン(2021年8月から同年11月上旬、2022年4月下旬から同年7月)は、新型コロナウイルス第5波が8月にかけてピークに達したことや、繁忙期となるお盆期間は連続して雨天となったことから8月の来場者数は前年を下回りました。しかしながら、9月中旬以降は新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向となり、マイカー利用等の一般顧客だけでなく、バスツアー等団体旅行も徐々に再開され、10月から11月にかけてのグループ全施設の来場者数はGo Toトラベルの効果があった前期を上回り、観光需要の回復傾向が鮮明となりました。
なお、グリーンシーズンが本格化する7月は戻り梅雨による雨天の影響を受けましたが、新型コロナウイルスが蔓延してから初めての行動制限のない夏を迎えることもでき、グリーンシーズンの来場者数は過去最高の451千人となりました。
これらの結果、スキー場事業の 売上高は5,569百万円 ( 前期比22.5%増 )となり、 営業利益は254百万円 (前期は営業損失 428百万円 )となりました。
テーマパーク事業においては、昨年8月から9月は、コロナ禍による緊急事態宣言や天候に恵まれなかったものの、緊急事態宣言解除後からの団体誘致活動等が功を奏し、那須ハイランドパークの10月から7月までの10か月間の来場者数は、当社グループ化以来、過去最高となりました。3月より迎えた新シーズンにおいては、若者に人気のある「Girls²(ガールズガールズ)Park SUMMER 2022」や、遊園地では初のコラボレーションとなる「うんこミュージアムin那須ハイランドパーク」を開催するとともに、園内のレストランのリニューアルを行い、更なる魅力創出に努めました。那須高原りんどう湖ファミリー牧場においては、湖面に映る幻想的な花火で好評の「りんどう湖花火大会」にて、初のゴールデンウィーク開催を行うとともに、音楽と花火を組み合わせた新たな演出を行い、多数のお客様に来場いただきました。これらの取り組みが功を奏し、テーマパーク事業の来場者数は801千人(前期比13.7%増)となりました。
宿泊事業においては、那須地域の食材を厳選して提供するBBQレストラン「BBQ Village」のオープンや、那須高原りんどう湖ファミリー牧場の乳製品を使用した朝食メニューの提供等、滞在中の魅力創出を図り、「楽天トラベルゴールドアワード2021」を受賞いたしました。更に、積極的に貸別荘を新築したことに加え、本年7月には日本最大級のグランピングエリア「ソランピング」を新たにオープンしたことで、過去最高の宿泊者数となりました。また、昨年10月の「一般社団法人ナスコンバレー協議会」の発足に続き、ベンチャー企業の経営者や投資家らが会するカンファレンス「IVS NASU 2021」が、TOWAピュアコテージにて開催されました。これらの取り組みを背景に、ドローンをはじめとする先端技術分野の実証実験・社会実装の場として、別荘地を提供するとともに、研修利用やワーケーションプランへの加入、社員旅行でのご利用及びご家族でお越しいただく等、リピート滞在や那須エリア全体の魅力発信を積極的に進めております。
これらの結果、テーマ パーク事業の 売上高は5,485百万円 ( 前期比24.8%増 )、 営業利益は1,061百万円 (前期比39.4%増)とグループ化以来、過去最高の業績を達成しました。那須ハイランドパーク等を運営する藤和那須リゾート及び那須高原りんどう湖ファミリー牧場を運営する那須興業においても、グループ化後、過去最高の業績を達成しております。
SDGsの取組みにおいては、グループの2030年カーボンニュートラルの実現を目指し、新会社「スマートグリーンエネルギー株式会社」を立ち上げました。今後、那須ハイランドの別荘地の間伐材を活用した、地産地消の循環型バイオマス発電に取り組み、持続可能な経済社会の実現を目指します。また、2017年より取り組んでいる保護犬の里親探しを行う「SOS活動」では、2022年7月31日現在、単年度の里親譲渡数が34頭、取組開始依頼の累計里親譲渡数が100頭超えの101頭となりました。そのほか、子ども食堂の運営やウクライナ支援といったSDGs活動を主体事業に組み込むことで更なる社会貢献に取り組んでまいります。
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べて1,107百万円減少し、27,598百万円となりました。主な要因は、積極的な設備投資により有形固定資産が629百万円増加したものの、2,063百万円の銀行借入れの返済等により、現金及び預金が1,824百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べて2,115百万円減少し、15,865百万円となりました。主な要因は、2,063百万円の銀行借入れの返済により借入金が減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて1,007百万円増加し、11,733百万円となりました。主な要因は、配当の実施及び自己株式の取得等により2,322百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を3,125百万円計上したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて1,805百万円減少し、11,628百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、3,942百万円(前期は3,406百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払1,363百万円があったものの、税金等調整前当期純利益4,469百万円、減価償却費1,231百万円を計上したこと等によるものです。
投資活動の結果支出した資金は、1,360百万円(前期は2,195百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入499百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出1,687百万円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、4,495百万円(前期は4,218百万円の支出)となりました。これは主に銀行借入れの返済による支出2,063百万円、配当金の支払額1,545百万円、自己株式の取得による支出948百万円があったこと等によるものです。
該当事項はありません。
当社は一般の不特定多数の顧客を相手とするサービス業であり、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社は一般の不特定多数の顧客を相手とするサービス業であります。
2.上記の金額は、セグメント間取引を相殺消去しております。
3.当連結会計年度における駐車場事業の地域別、事業別売上高、地域別物件数、台数及び契約率を主たる地域別に示すと、次のとおりであります。
国内・海外駐車場事業の地域別物件数、台数及び契約率
(月極専用直営物件)
(時間貸し併用直営物件)
(時間貸しマネジメント物件)
(合計)
※ 『借上台数』・・・当社グループと駐車場オーナーとの間で賃貸借契約を締結している台数
『貸付台数』・・・月極専用直営物件において、当社グループと駐車場ユーザーとの間で賃貸借契約を締結している台数
『管理台数』・・・時間貸しマネジメント物件の総収容台数
『契約率』 ・・・月極専用直営物件において『貸付台数』を『借上台数』で除した比率
『総台数』 ・・・『借上台数』+『管理台数』
≪駐車場付マンスリーレンタカー設置台数≫ (単位:台)
≪グリーンシーズン≫
■索道を稼働した施設における来場者数 (単位:千人)
■その他の施設における来場者数 (単位:千人)
(注) 1.索道を稼働した施設における来場者数については、主にリフト券の販売数に基づいて記載しております。
索道とは、ゴンドラ、ロープウェイ及びリフトを指します。
2.その他の施設における来場者数は以下の合計となります。
㈱鹿島槍:鹿島槍スポーツヴィレッジの来場者数
川場リゾート㈱:スケートボードパーク施設の来場者数、HANETTAの来場者数、
おにぎり店の来場者(レジ通過者数)
めいほう高原開発㈱:キャンプ施設、ASOBOTの来場者数、おにぎり店の来場者(レジ通過者数)
≪ウインターシーズン≫
■スキー場別来場者数 (単位:千人)
■その他の施設における来場者数 (単位:千人)
(注) 1.スキー場の来場者数については、主にリフト券の販売数に基づいて記載しております。
2.菅平高原スノーリゾートの来場者数については、「TARO AREA・DAVOS AREA」の来場者数を表示しております。
3.その他の施設における来場者数は以下の合計となります。
川場リゾート㈱:おにぎり店の来場数(レジ通過者数)
めいほう高原開発㈱:おにぎり店の来場者数(レジ通過者数)
≪テーマパーク事業の来場者数≫ (単位:千人)
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの売上高は前期比10.4%増の26,271百万円となりました。その要因について、セグメント毎に分析すると以下のとおりとなります。
(駐車場事業)
駐車場事業の売上高は前期比2.4%増の14,597百万円となりました。主な要因は、月極駐車場検索サイトの情報を充実させる等、サイトの利便性向上に努めたことで、オンラインによる問い合わせがコロナ禍前の2019年7月期対比で264%増加となり、さらに月極契約の成約件数の増加だけでなく、その膨大な問合せデータを活用し、駐車場案件の受注を進めたことで、新規物件の高い成約率と早期収益化を実現したことであります。
(スキー場事業)
スキー場事業の売上高は前期比22.5%増の5,569百万円となりました。主な要因は、1月中旬よりオミクロン株が蔓延したことにより、同期間のバスツアー等団体来場者数が減少しましたが、2月後半からは観光需要が徐々に回復し、小学生や未就学児のお子様のシーズン券が無料となるプログラムにより家族での来場強化などの施策効果もあり、3月の国内来場者数はコロナ禍前の2019年3月を超える水準にまでなる等、回復傾向が鮮明となったためであります。
(テーマパーク事業)
テーマパーク事業の売上高は前期比24.8%増の5,485百万円となりました。主な要因は、8月緊急事態宣言解除後からの団体誘致活動が功を奏し、那須ハイランドパークの10月から7月までの10か月間の来場者数は、グループ化後過去最高となりました。また宿泊事業においては、別荘の新築や受託により運営宿泊室数を増やし、さらに並行してレストランの新規オープンや朝食メニューの改良等による滞在中の魅力創出や、実証実験の場として別荘地を提供することで、平日の企業利用の開拓に注力したことで、宿泊数も過去最高となりました。
当連結会計年度において、当社グループの営業利益は前期比40.4%増の4,582百万円となり、営業利益率は13.7%から17.4%へと3.7ポイント改善しました。主な要因は、前期コロナウイルス蔓延により営業損失を計上したスキー場事業において、家族連れやノンスキーヤーの集客に注力したことで業績が回復したこと、さらにテーマパークの来場者数がグループ化後、過去最高となったこと等であります。
当社グループにおける運転資金需要の内、主なものは、各セグメントにおける仕入や運営人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資やM&Aにおける取得費用等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達であります。
当社グループは、高い収益性をもって成長し続けることを目標としており、成長性、収益性、健全性、効率性のバランスを重視し、安定的且つ効率的な高成長を目指すとともに、株主重視の経営を行ってまいります。具体的な指標として、営業利益成長率、売上高営業利益率、売上高経常利益率、自己資本比率、自己資本当期純利益率(ROE)を高水準で維持することを目標としています。
当連結会計年度を含む直近3連結会計年度の指標の推移は以下のとおりです。
(単位:%)
なお、営業利益成長率の過去3年平均は8.9%、過去5年平均は11.9%となっております。営業利益成長率については、当社グループの事業特性上、M&A等により大幅に変動する可能性があり、明確な目標値を定めておりませんが、現在の水準の維持向上に努めてまいります。また、その他の指標についても達成すべく、各セグメントにおける収益性及び資本効率の改善に取り組んでまいります。
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