業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率が高まり、景気は持ち直しの動きがみられましたが、変異株発生による感染再拡大があり、エネルギー価格や原材料価格の動向が懸念されるなど先行き不透明な状況が続いております。

そうした中、当社グループが属する情報サービス業界では、新型コロナウイルス感染予防・抑止のためのICTの活用、サステナブルな社会実現への取り組みや企業の生産性向上を目的とした自動化・省力化、新たな付加価値の創出による事業強化・変革といったDX(デジタルトランスフォーメーション)等のデジタル関連需要が拡大しております。

このような環境の中で、当社グループは、中期経営計画「デジタル社会のリーディングカンパニー」の最終年度として、農業・社会基盤分野などへの新たなソリューション、サービスの投入によるIoTソリューション(ソーシャルIoT)事業の拡大やビジネス分野でこれまで培ってきたプライム力を活かしたビジネスDXの強力な推進に取り組んでまいりました。

ソーシャルIoTにおいては、物流や畜産分野での新たなソリューションの市場投入、食品加工分野の市場での優位性を獲得することができました。

また、ビジネスDXにおいては、当社プライムでプロジェクトを推進・実行し、グローバル企業での経験・実績を獲得し、伸長することができました。

しかしながら、GIGAスクール構想での需要一巡による文教分野向けインターネット・セキュリティ関連製品の大幅な減少等により、当連結会計年度の業績については、売上高は 137億25百万円 (前連結会計年度比 5.2%減 )となりました。利益面では、 営業利益8億42百万円 (同 8.6%減 )、 経常利益7億23百万円 (同 11.4%減 )、 親会社株主に帰属する当期純利益4億3百万円 (同 37.0%減 )となりました。

 

事業別の概況は、以下のとおりです。

 

〔ビジネスソリューション事業〕

当事業では、企業向け基幹システム構築や健康保険者向けシステム構築は前年度に比べ減少しましたが、移動体通信事業者向け開発は堅調に推移し、ERPソリューションは、当社プライムでのビジネスDXの推進・実行により大幅に増加しました。

その結果、受注高は100億42百万円(前連結会計年度比11.7%増)となり、売上高は100億16百万円(同9.4%増)となりました。

 

〔IoTソリューション事業〕

当事業では、遠隔監視などのFAシステム開発は増加し、食品加工向けAI・IoT製品は堅調に推移しましたが、GIGAスクール構想での需要一巡により文教分野向けインターネット・セキュリティ関連製品が大幅に減少し、2020年7月の会社分割・株式譲渡の影響によりメカトロ機器向け組込開発や製造業向けIoT製品も減少しました。

その結果、受注高は40億86百万円(前連結会計年度比23.8%減)となり、売上高は37億9百万円(同30.3%減)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より87百万円増加し、27億35百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、退職給付に係る負債の減少10億4百万円、法人税等の支払額4億63百万円、未払消費税等の減少2億56百万円、未払費用の減少2億49百万円があったものの、売上債権の減少11億39百万円、税金等調整前当期純利益7億23百万円、減価償却費2億88百万円、たな卸資産の減少1億31百万円、持分法による投資損失1億18百万円があったこと等により、4億87百万円(前連結会計年度比3億53百万円減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出1億25百万円、敷金の差入による支出50百万円、有形固定資産の取得による支出33百万円があったこと等により、△2億13百万円(同3億33百万円減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払1億81百万円等により、△1億88百万円(同75百万円減)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、情報サービスの総合的な提供を事業内容としており、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における実績を部門別に記載しております。

 

a. 生産実績

 

部門

当連結会計年度
(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

7,077,756

+3.2

IoTソリューション事業

2,331,038

△28.8

合計

9,408,795

△7.1

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 上記金額は製造原価で記載しております。

 

b. 受注状況

 

部門

当連結会計年度
(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)

受注実績

受注残高

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

金額(千円)

前連結会計年度比
(%)

ビジネスソリューション事業

10,042,259

+11.7

3,169,246

+0.8

IoTソリューション事業

4,086,089

△23.8

2,363,335

+19.0

合計

14,128,348

△1.5

5,532,581

+7.9

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

c. 販売実績

 

部門

当連結会計年度
(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

10,016,312

+9.4

IoTソリューション事業

3,709,220

△30.3

合計

13,725,533

△5.2

 

(注)1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2020年3月1日

 至 2021年2月28日)

当連結会計年度
(自 2021年3月1日

 至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社安川電機

4,218,119

29.1

5,054,247

36.8

富士通株式会社

1,417,114

9.8

1,769,434

12.9

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

IoTソリューション事業は減少したものの、ビジネスソリューション事業の増加により、当連結会計年度の売上高は137億25百万円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。

売上原価は95億44百万円(同6.1%減)となり、売上原価率は69.5%と前連結会計年度から0.7ポイント改善いたしました。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は41億80百万円(同3.1%減)となりました。

また、販売費及び一般管理費は33億37百万円(同1.7%減)となりました。

この結果、当連結会計年度は8億42百万円の営業利益(同8.6%減)となりました。

営業外収益は4百万円(同64.4%減)となり、営業外費用は持分法による投資損失の発生等により1億23百万円(同5.8%増)となりました。

この結果、当連結会計年度は7億23百万円の経常利益(同11.4%減)となり、税金等調整前当期純利益は7億23百万円(同30.1%減)となりました。

これに法人税等の税金、法人税等調整額と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は4億3百万円(同37.0%減)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、次のとおりです。

情報サービス業界におきましては、あらゆる分野・業種において、クラウドやビッグデータ、IoT、AI、セキュリティ等の技術を活用したサービスの提供が加速してきております。

クラウドビジネスの進展は、情報システムやソフトウエアの消費目線が所有から利用へとシフトし、公共や企業等の情報関連投資の選択やIT企業が提供するサービスに変化が現れます。
 このような動きは、情報システムの開発やITサービスの提供を行うビジネスソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

 

また、クラウドビジネスやビッグデータ市場を支えるインフラ(情報機器やネットワーク)が重要な役割を担うことになり、情報漏洩やコンピュータウィルス等の外部からの攻撃に対してのセキュリティ技術もますます重要になってきます。このような動きは、機器間の情報伝送のための組込ソフト開発、IoT機器、ネットワーク・セキュリティ関連商品を取扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

さらに、モバイル端末をはじめとする通信端末やAI技術の発達により、機器同士が人の手を介さずに相互に情報交換し、自動的に情報収集や管理・制御を行うようになってきております。このような動きは、AI技術や組込・制御システム、IoT機器を取り扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

なお、このような新技術・新ビジネスの普及は、情報通信技術の高度化・大規模化・複雑化を伴い、今まで以上に品質上の問題が発生する危険性が高くなっています。このような品質上の問題が発生した場合には、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。その一方で、付加価値の高い新製品・新サービスの商品化やライセンス化は、当社グループの売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。

 

② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

当社グループは、営業活動によって獲得した現金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大のための設備投資を行っております。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。

(百万円)

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,065

346

280

841

487

投資活動によるキャッシュ・フロー

△322

△346

△421

119

△213

財務活動によるキャッシュ・フロー

△145

△110

△111

△113

△188

フリー・キャッシュフロー

742

△0

△140

960

273

 

 

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

自己資本比率 (%)

30.6

32.2

33.8

34.6

43.1

時価ベースの自己資本比率 (%)

137.8

85.0

87.6

105.2

76.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率 (年)

インタレスト・カバレッジ・
レシオ (倍)

23,734.4

2,435.7

36,775.0

3,176.6

 

(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー

自己資本比率:自己資本÷総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、感染再拡大の懸念など、引き続き先行き不透明な状況が予想されますが、現時点では、会計上の見積りに及ぼす重要な影響はないと判断しております。

 

 

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