業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営環境

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の感染防止策やワクチンの普及を受けて持ち直しの動きが期待されるものの、ウイルス変異株による国内外の感染動向、経済活動の制限の長期化、供給面での制約や金融不安など、依然として今後の先行きは不透明な状況が続いております。

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当社グループの経営成績は、以下のとおりです。

 当連結会計年度は『食べログ』の飲食店販促事業、『求人ボックス』をはじめとする新興メディア・ソリューションの各事業及び連結子会社㈱カカクコム・インシュアランスの各事業が好調に成長したことによって、売上収益は51,723百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は19,147百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

 

セグメントごとの業績(内部取引消去後)は次のとおりです。

当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は49,043百万円(前年同期比0.9%増)、セグメント利益は18,488百万円(前年同期比4.5%増)となりました。当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,680百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は658百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

 

 当社グループの財政状態は、以下のとおりです。

 資産合計は70,477百万円となり、前連結会計年度末と比較し480百万円減少いたしました。これは主にその他の金融資産(非流動)が2,741百万円、その他の流動資産が623百万円それぞれ増加した一方で、使用権資産が1,379百万円、持分法で会計処理されている投資が1,283百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 負債合計は22,313百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,503百万円減少いたしました。これは主にその他の流動負債が1,872百万円、営業債務及びその他の債務が539百万円それぞれ増加した一方で、その他の金融負債(流動)が2,928百万円、リース負債(非流動)が1,168百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 資本合計は48,164百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,023百万円増加いたしました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益14,294百万円を計上した一方で、剰余金の配当8,218百万円、自己株式の取得及び処分による減少4,947百万円を計上したことによるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ590百万円減少し、34,298百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は16,033百万円(前年同期は17,288百万円の収入)となりました。

 これは主に、法人所得税の支払額5,650百万円、その他の金融負債の減少2,929百万円を計上した一方で、税引前利益20,897百万円、減価償却費及び償却費3,503百万円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は1,311百万円(前年同期は2,182百万円の支出)となりました。
 これは主に、サーバーで使用するソフトウェアの購入等の無形資産の取得による支出が1,394百万円、投資有価証券の取得による支出が692百万円、有形固定資産の取得による支出が380百万円あった一方で、関係会社株式の売却による収入が880百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は15,310百万円(前年同期は9,722百万円の支出)となりました。
 これは主に、配当金の支払による支出が8,217百万円、自己株式の取得による支出が5,016百万円、リース負債の返済による支出が1,411百万円あったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

 当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比

インターネット・メディア事業

49,043

0.9%増

ファイナンス事業

2,680

7.5%増

合計

51,723

1.3%増

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度における販売先については、いずれも販売実績が総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

 3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 重要な会計方針及び見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 及び 4. 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績及び財政状態の状況

 当連結会計年度における当社グループの売上収益は51,723百万円(前年同期比1.3%増)となりました。

 新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が相次いで発出され経済活動の制限が長期化する中で、食べログ事業における飲食店販促事業、求人ボックス事業をはじめとする新興メディア・ソリューション事業、及びファイナンス事業においてはそれぞれ売上が増加した一方、価格.com事業においては売上が減少しました。

 売上増加したことによって営業利益は19,147百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

 税引前利益は20,897百万円(前年同期比16.7%増)となりました。これは主として、営業利益の増加並びに金融収益の増加及び関係会社株式売却益を計上したことによるものであります。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は14,294百万円(前年同期比21.5%増)となりました。

 

セグメントの業績(内部取引消去後)は、次のとおりであります。

 

1.インターネット・メディア事業

 当連結会計年度のインターネット・メディア事業の売上収益は49,043百万円(前年同期比0.9%増)、セグメント利益は18,488百万円(前年同期比4.5%増)となりました。

 

[価格.com]

 当連結会計年度の売上収益は21,417百万円(前年同期比8.8%減)となりました。

 ショッピング事業は、新製品の減少その他の供給面の制約における影響を受け、売上が減少しました。サービス事業は、個人消費の弱い状態が続き売上が減少しました。

 その結果、ショッピング事業の売上収益は8,840百万円(前年同期比12.5%減)、サービス事業の売上収益は8,261百万円(前年同期比8.8%減)、広告事業の売上収益は4,317百万円(前年同期比0.4%減)となりました。

 月間利用者数は2022年3月度に5,923万人(※1)となりました。

 

[食べログ]

 当連結会計年度の売上収益は16,879百万円(前年同期比5.1%減)となりました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が相次いで発出され、ネット予約人数は累計で2,682万人(前年同期比7.1%減)となりました。一方で、販促サービスにおいてはネット予約サービス契約店舗数が増加し、有料プラン契約店舗数は2022年3月時点で64,200店舗となりました。その結果、飲食店販促事業の売上収益は13,537百万円(前年同期比3.5%増)となりました。

 ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の減少により、売上収益が1,511百万円(前年同期比10.8%減)となりました。

 広告事業は、広告出稿の延期及び中止により売上収益が1,601百万円(前年同期比16.6%減)となりました。

また、業務受託の売上収益は230百万円(※2)となりました。

 月間利用者数は2022年3月度に8,763万人(※1)となりました。

 

    [新興メディア・ソリューション]

 当連結会計年度の売上収益は10,747百万円(前年同期比47.2%増)となりました。

 『求人ボックス』及び『スマイティ』をはじめとするいずれの領域においても売上が増加しました。

 

※1 月間利用者数とは、サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた利用者数です(特定のブラウザ、OS等によっては一定期間経過後に再訪した利用者を重複計測する場合があります)。モバイル端末のウェブページ高速表示に伴う利用者数の重複や、第三者による自動収集プログラムなどの機械的なアクセスについては可能な限り排除して計測しています。なお、『食べログ』においては、2022年2月をもってAMP(Accelerated Mobile Pages)対応を終了いたしました。

※2 Go To Eatキャンペーン事業(農林水産省)の受託による収入を指しております。ただし、当該事業の受託による広告宣伝に係る収入(広告事業に計上)は含まれておりません。

 

2.ファイナンス事業

 当連結会計年度のファイナンス事業の売上収益は2,680百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は658百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

 ㈱カカクコム・インシュアランスが運営する『価格.com保険』は生命保険及び損害保険のオンライン契約申込み数が増加したことにより手数料収入が増加しました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活必需品への需要集中、外食、旅行・娯楽関連の消費の自粛、事業者の休業など市場動向に大きな変化が生じており、当社グループにおいては当連結会計年度末以降も、特に外食、旅行及び娯楽の各領域におけるサービス利用者数、加えて広告事業における出稿のそれぞれについて、影響が生じております。

当社グループでは対策本部を構え、事業への影響の把握と事業継続のために必要な対処の検討・実施を進めておりますが、感染収束の時期など不確定要素が多く、先行きの見通しが困難な状況がしばらく続くものと見られます。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

(経営資源の配分に関する考え方)

 既存事業の運営及び成長投資に必要な資金を手元に残した上で、過剰な内部留保は行わずに株主還元を行うこと、また株主還元は年2回の配当及び機動的な自己株の取得によって継続的に実施することを方針としております。

 なお、成長投資は、ⅰ)既存事業の拡大や新規事業創出に伴う人的資源への投資、ⅱ)先端技術に関する研究開発及び事業への活用に対する投資、並びにⅲ)事業ポートフォリオ拡大及び成長の加速を目的としたM&Aや出資をその対象としています。

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(資金需要)

当社グループの主な資金需要は運転資金及び設備資金であります。運転資金の主なものは、営業活動における人件費や販売代理店に支払う販売手数料、またサービス利用者増加を目的とした広告宣伝費によるものであります。設備資金の主なものは、サーバー及びネットワークの設備投資によるものであります。

(財務政策)

当社グループの事業拡大に必要な資金は営業キャッシュ・フローから獲得した資金を充当しております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等について

 当社グループは、新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比を20%以上に引き上げることを目指しております。当連結会計年度は26.0%となりました。

 

[新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の連結売上構成比率の推移]

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

連結売上構成比率

10.0%

14.5%

17.5%

19.2%

26.0%

 

 また、継続的な事業拡大と経営の効率維持のために親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な指標と位置付け、その目安を40%としておりますが、当連結会計年度のROEは30.1%となりました。これは、売上収益及び親会社の所有者に帰属する当期利益がいずれも前年同期比では増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けたことによって、コロナ前との比較においては低い水準にとどまったことによるものです。

[ROEの推移]

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

ROE

45.7%

45.1%

44.0%

26.2%

30.1%

 

 加えて、各事業の売上収益についても指標として重視しております。

[各事業の売上]                                   (単位:百万円)

事業

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当連結会計年度

価格.com

5,417

10,531

15,851

21,417

ショッピング事業

2,267

4,394

6,601

8,840

サービス事業

2,153

4,184

5,995

8,261

広告事業

997

1,954

3,256

4,317

食べログ

3,754

7,318

12,626

16,879

飲食店販促事業

2,932

5,691

10,098

13,537

ユーザー会員事業

392

767

1,141

1,511

広告事業

313

680

1,179

1,601

業務受託に係る収入

116

180

207

230

新興メディア・ソリューション

2,153

4,681

7,459

10,747

ファイナンス

697

1,351

2,000

2,680

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